結成21年目に突入したTHE BACK HORNの新作『カルペ・ディエム』

THE BACK HORN | 2019.10.23

 結成21年目に突入したTHE BACK HORNの新作『カルペ・ディエム』は、フルアルバムとしては約4年ぶりとなる。その間もシングルやベスト盤などを出し新曲も発表して来たが、新たな気持ちで今の自分たちを詰め込んだのが、この新作。ここに至るまでの過程や制作秘話、作品に込めた思いを、松田晋二(Dr)と山田将司(Vo)に熱く語ってもらった。

EMTG:フルアルバムは『運命開花』以来、約4年ぶりです。やはりフルアルバムは気合が感じられますね。
松田晋二:そうですね。2月に20周年の締めの日本武道館が終わってから、みんなで集まって、どういう風に作っていこうかというところから始めて。みんなで意見を出し合って、全曲新曲でフルアルバムを出そうと。この4年の間にベスト盤に入ってる新曲があったり、シングル「孤独を繋いで」が出たり、新曲はみんなにお届け出来てたんですけど、21年目のTHE BACK HORN、今の気持ちのまま曲作りに入ろうということで、全曲新曲のアルバムになりましたね。
山田将司:『運命開花』の後、シングル「With You」で亀田(誠治)さんとやって、(宇多田)ヒカルちゃんと「あなたを待ってる」を作って、ベスト盤には「グローリア」が入って、インディーズの再録『ALL INDIES THE BACK HORN』、ミニアルバム『情景泥棒』も作って。いろんな人といろんなものを作って、また吸収もしてきて。2018年、20周年というのもあって振り返る時間でもありながら、新しい曲も作っていて。だから自然と新曲ができる感じはありましたね。
EMTG:この4年間に発表してきた曲がそれぞれ完結したものだったから、この新作には新たな熱意が込められたんですね。それがこのタイトル『カルペ・ディエム』に現れているかと思いますが、意味と、これをタイトルにした理由を教えてください。
松田:「カルペ・ディエム」は、「その日を掴め」「その日の花を摘め」とか、いろいろな訳し方があるラテン語なんですけど、ローマ時代の詩人ホラティウスの言葉で。この言葉に行き着く前に、「死を思え」という意味の「メメント・モリ」という言葉が自分の中で深く残っていて。「死を思え」ってものすごく強烈で突き刺さってくるんですけど、どこか温かいというか。その言葉に出会ったのは高校の時で、自分の中でも命がなくなる悲しみみたいなものがまだ漠然としてたのかな。
EMTG:10代にはそういうこと考えますよね。
松田: THE BACK HORNが初期に、特に最初の10年ぐらい、ネガティヴな感情とか悲しみとかを、正面から向き合って力強く歌うのは、「メメント・モリ」だったのかなとふと思って。それで言葉を探してるうちに「カルペ・ディエム」に繋がってきて。今のTHE BACK HORNは「カルペ・ディエム」だなって思って。アルバム・タイトルの会議の時に、こういうのがあるって、みんなに伝えたんです。
山田:最初は、意味はすごいいけど、言葉がちょっと難しくないかな?って思った。人の心に届いて欲しいけど、言葉として聞き馴染みがないから、お客さんに入っていくかなあって。でも逆に、あまり知られていない暗号のような言葉だけど、意味は素晴らしいから、そこをTHE BACK HORNとして、自分たちのものとして携えて行けるのはいいんじゃないかって。
松田:今までも『リヴスコール』とか『アサイラム』とか、僕らなりの言葉みたいなものをタイトルにしてきた。アルバムや曲のタイトルとか歌詞、楽曲も含めて、自分たちにしか見つけられなかった言葉とか表現、そういうところにTHE BACK HORNを感じてるんで。
EMTG:なるほど。このタイトルは制作当初からあったんですか?どんな風にアルバムの制作は進んだんでしょう。
松田:アルバム・タイトルは、一番最後ですね。最初は(菅波)栄純が、みんなで分担するって感じで、「将司こういう曲作ったら?」「光舟、こういうの書いてみたら?」「マツ、将司のこういう曲に歌詞つけたらどう?」って大枠を振ってきて。その話の段階ではどういう曲が出てくるか誰もわからなかったけど、俺たちの力を出せる部分がどんどん増えていって、アルバムの完成形が見えてきた。
山田:俺はただ、「よし、みんなで分担だ!」っていう気持ちが伝わってきて(笑)。だからみんなの良さが注ぎ込まれるアルバムになったと思う。
松田:だから将司には、栄純がTHE BACK HORNらしい曲をって言って、それで「鎖」が出来た。
山田:THE BACK HORNの十八番の曲を作ってくれという、無謀なオーダーに応えたつもりです(笑)。「鎖」という言葉が出て来たのは、イントロのイメージなのかな。自分自身を縛り付けてる鎖と、自分と他者をつなぎとめてる鎖と、そのどっちも描きたいなと思ってて。<絶対的な鎖で一つになって  繋ごう もう二度と離れぬよう>って、全然手を取るレベルじゃなくて、相手を自分のエゴで束縛しようとしてるぐらいの気持ちだし、でもこの言葉が出てきたときに、無謀ではあるけれど、すごい熱くてまっすぐな思い、これライブで歌ったら、この歌詞の熱量はライブに耐えうるだろうなと、そんな感じがあって。
EMTG:「ペトリコール」も山田さんの詞・曲です。
松田:これは、やられた感ありましたね。これは今からでもタイトル変えてもらいたいぐらいの(笑)。「ペトリコール」って雨の匂い、一番歌詞にしたい。
山田:マツの方がこの言葉は発見してそうだもんね(笑)。でも、歌詞の中では、雨は実際には降ってないんだけどね。この後に降ったかもしれないけど。
EMTG:10曲目「果てなき冒険者」が詞・松田さん、曲・山田さん。
松田:これはイレギュラーな形で登場してきた曲で。栄純のオーダーとは別に、将司が虎視眈々と育て上げてた曲で。俺たち全然知らなかったんですよ。
山田:俺のPCの中に、プロジェクトとして2年ぐらい保存してた。どのタイミングで出そうかなと思ってて。今回みんながすごいいいデモを上げてきてたから、栄純のオファーとは関係ないけどこれも出してみようと。その時マツも、同世代とか周りにいてくれる人とかの背中を押すような応援歌みたいな歌詞を書きたいっていうので、初めはその歌詞を「鎖」に乗せようとしたんだけど、いやこれは「果てなき冒険者」の方が、21年目を迎えたTHE BACK HORNの応援の仕方として、こういう曲調で背中を押せたらすごくいいと思って、マツにこの曲の歌詞を書いてもらいました。
松田:振り返ると、『運命開花』も1曲しか歌詞書いてなくて、最近少ないイメージがあったので、ここでちょっと頑張りたいというのが自分の中でもありましたね。どういう風にこの曲に命を宿すか、今まで以上に曲の中に潜り込んで、曲の中に流れてる温度とか景色とかを掴み取る作業は、丁寧にやれた気がします。大変なことがあっても今を生きている、なんとか頑張ってる人たちはたくさんいる。そういう人たちが、帰りの電車とかで、明日も進んで行こうって、ちょっとでも思えるものを目指して。最後まで将司と「ここもっと色濃くしよう」みたいな話をしてて。
山田:レコーディング直前までやってたね。
松田:自分の力量不足でそこまでたどり着けなかったというのもあると思うけど、俺、公園に通ってましたね、この歌詞を書く時に。将司も河川敷に行ってたって。
山田:行ってましたね。曲と対峙するときは河川敷で、夜の川をずっとみながら。
松田:それぞれパターンがあるみたいで。曲を作る時は狭い部屋で自分に向き合うのもいいかもしれないんですけど、歌詞とか言葉とかメッセージとかは、自分の場合は外気に触れているというか、世界の中に自分はいるなって認識することで、いろんな人の気持ちになれたりするんですよ。適度に車が走ってたり声が聞こえたり、いい雑音というか。それに繋がりを感じたりするんですよ。
山田:広くないとね。アンテナがね、同じ周波数のものを拾いに出歩く感じですよね。いろんな旅するよね。
EMTG:この壮大なスケール感の曲でアルバムが終わるかと思うと、その後の「アンコールを君と」で幕を閉じるんですね。
松田:そうなんですよ。これで21年目に踏み出していく感じが、みんなに伝わったらいいなというのがあって。曲は前に栄純と光舟が書いたのがあって、それが自分の中でリンクして。歌詞も、俺たちTHE BACK HORNと、ライブでそこにいるみんなが繋がってきたこと。
EMTG:歌詞にある「また生きて会おうぜ」は、山田さんがライブの最後に言う言葉ですよね。
松田:ライブの現場をシンプルに想像した時に、あの言葉を入れたいなと思って。こういうのって、いろんなタイミングが揃わないと出来ないだろうって思ったので。
EMTG:せっかくなので訊きたいのですが、山田さんがライブの最後にいつもこの言葉を言うのは、どういう思いからなんでしょう?
山田:なんだろうなあ……。押し付けがましくない希望を共有したい、みたいな気持ちかな。前向きに、頑張っていこう、みたいな言葉でもないし。また会おうだけでもいいんだけど、そこにちょっと踏ん張る力を込めたくて、お互い踏ん張って生きて行こうって気持ちを込めたくて。東日本大震災の後のツアーぐらいからかな。自然に出てきましたね。
EMTG:この新作のツアーがますます楽しみになります。
松田:久しぶりの新作を携えてのツアーなので、僕らも楽しみです。

【取材・文:今井 智子】



THE BACK HORN『カルペ・ディエム』全曲試聴ダイジェスト【楽曲解説付き】

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リリース情報

カルペ・ディエム

カルペ・ディエム

2019年10月23日

ビクターエンタテインメント

1. 心臓が止まるまでは
2. 金輪際
3. 鎖
4. フューチャーワールド
5. ソーダ水の泡沫
6. ペトリコール
7. デスティニー
8. 太陽の花
9. I believe
10. 果てなき冒険者
11. アンコールを君と

お知らせ

■マイ検索ワード

松田:「UAP」(未確認航空現象) 米海軍が、未確認航空現象ってものを認めたっていうニュースを見て。UFOではなくて、確認できない何かが起きたってことは認めますってことで。これがヤフー・ニュースのトップに来たときに、「うわーっついに!本物だったんだ!」って。それが加工した画像だったり、鳥でしたみたいなことや、ただの雲じゃないかとか色々な憶測がある中で、パイロットが目撃したもので、ただそれが物体かどうかは、説明できないっていう。でもよくわかんないものが飛んでたってことは認めたってことなんで、ますます興味が(笑)。

山田:「第1チャクラ」 周りのスタッフでオーラが見える人がいて。俺のオーラの色は黄色だって言われて、黄色の人は第1と第3チャクラが強いとか言われて。じゃ第1チャクラってどこだろうって。第1チャクラは、「生きる時の基盤にある、生存にかかわる」って書いてある。その時に、SHIKABANEのメンバー(佐々木 亮介(a flood of circle)、菅原 卓郎(9mm Parabellum Bullet)、山田 将司(THE BACK HORN)、村松 拓(Nothing’s Carved In Stone))がいて、みんなオーラの色を見てもらって、拓は赤で、亮介は青と緑。で、赤と黄色は相性がいいって言われて、ああそれで拓とよく一緒にいるんだなって思いながら(笑)。チャクラとかオーラの色とかを見てましたね。


■ライブ情報

THE BACK HORN
「KYO-MEIワンマンツアー」
カルペ・ディエム~今を掴め~

[2019]
11/18(月)渋谷WWW X
11/21(木)浜松窓枠
11/23(土)郡山HIP SHOT JAPAN
11/27(水)HEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1
11/30(土)札幌PENNY LANE24
12/04(水)京都磔磔
12/06(金)金沢EIGHT HALL
12/07(土)松本Sound Hall a.C
12/12(木)米子AZTiC laughs
12/13(金)広島CLUB QUATTRO
12/15(日)福岡DRUM LOGOS
12/21(土)盛岡Club Change WAVE
12/22(日)仙台Rensa
[2020]
01/10(金)高松MONSTER
01/11(土)高知X-pt.
01/17(金)心斎橋BIGCAT
01/23(木)水戸LIGHT HOUSE
01/24(金)HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
01/31(金)名古屋DIAMOND HALL
02/02(日)鹿児島CAPARVO HALL
02/11(火祝)umeda TRAD
02/15(土)新木場STUDIO COAST

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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