3markets[ ]、全8曲入りの3rdミニアルバム『さよならスーサイド』

3markets[ ] | 2019.11.05

 奇妙な文字面が妙に目を引くバンド名の3markets[ ]。気になった人は、早速、3rdミニアルバム『さよならスーサイド』を聴いた方がいい。ドラマチックな展開を遂げるバンドサウンドに胸が熱く高鳴りつつも、ネガティブな表現を満載した歌詞によって頭がクラクラすることになるだろう。負の感情が土台にある音楽であるのは確かなのだが、聴き心地は決して暗いものではない。センスのいいユーモアと豊かな物語に裏打ちされている各楽曲を通して、仄かな光のようなものを感じることができるのが、このバンドのかけがえのない魅力だ。今作について、カザマタカフミ(Vo・Gt)、ヤハギアキラ(Gt)、金子セイメイ(Ba)に語ってもらった。

EMTG:3markets[ ]の鳴らしているサウンド、かっこいいという自負はありますよね?
カザマ:演奏は、いけてるんですけどね。ボーカルがいけてないという。
EMTG:2017年に出した前々作『それでもバンドが続くなら』で、いかにも解散しそうな感じでしたけど、去年は『君の心臓になりたい』も出して、続いているじゃないですか。
カザマ:『それでもバンドが続くなら』の時は、ほんとに最後だと思ってたんですよ。やめると思ってたよね?
ヤハギ:うん。
金子:やめるっていうか、「もう活動できない」っていう感じだったから。
カザマ:活動する中で、何も売れてなくて、「これでだめだったらもうやめよう」っていう感じだったんですよね。まあ、今も売れてないんですけど(笑)。今回は、「さすがにこれで最後かな」って思ってます。あっ、今日、ドラムがいないので脱退したように見えるかもしれないですけど、入院でいないだけです。
EMTG:前々作の時よりも、確実に3markets[ ]の名前を目にする機会は増えていますよ。
カザマ:そうですか? それは、みなさんのおかげです。
金子:出させていただく場が増えたので、そのおかげですね。
EMTG:ライブの動員は、増えましたよね?
カザマ:増えました。この前、新代田FEVERが、ソールドアウトでしたし。でも、次は渋谷のクアトロですから、どうなるかわからないですよ。これで埋まらなかったら、やめようかなと。
EMTG:プラスのことを言った後に、必ずマイナスのことを言って台無しにするカザマさんのこの感じに触れると、「3markets[ ]の取材って、いつもこういう感じ!」という記憶がよみがえって、なんか嬉しいです。
金子:オチが絶対にネガティブですからね(笑)。
EMTG:まあ、話をまとめると、バンドとして後退はしていないってことなのでは?
カザマ:そうですね。それがあるから、こうして続いてるってことかもしれないです。
ヤハギ:でも、動員はそういう感じですけど、それ以外は何かあるわけじゃないんですよ。
カザマ:あと、こうやって続いた理由を挙げるならば、『それでもバンドが続くなら』の頃よりもバンド内の人間関係がいいってことですね。
金子:僕もそう思います。僕は前作が出た直後くらいでバンドをやめようと思ってましたから。でも、今はみんな、言いたいことを言えるようになりました。
ヤハギ:なんでそうなったのかは、わからないです。まあ、僕は一応リーダーなので、言いたいことは前から言えてますけど。
カザマ:リーダーが決まったから、「何かあった時はリーダーに決めてもらおう」ってなったのも、良かったのかもしれないです。
EMTG:ヤハギさんがリーダーになった理由は?
ヤハギ:僕が一番、社会不適合者じゃないからです(笑)。
EMTG:(笑)。今作の制作は、どういう雰囲気だったんですか?
金子:いい環境でした。時間に余裕がありましたし。前回プロデューサーを迎えて制作をした経験が活きたのか、今回は自分たちでちゃんとやれました。
ヤハギ:ウチは録り方が独特で、一発で録るんですけど、そうする上での指標を自分たちで決めてやってましたね。「ライブ感」とか「生々しさ」っていう指標で進めたので、自分たちの合格ラインのものを録れたと思います。
EMTG:作品は既にリリースされていますが、お客さんの反応は何か感じています?
カザマ:特にないですかね。前のベースがいきなり結婚報告をしたので、そればっかりエゴサに引っかかってきてしまって、反応を見れてません。
EMTG:(笑)。一応、僕がリスナーを代表して感想を言うならば、先ほども言った通り「ものすごくかっこいい音が鳴ってるぞ!」っていうことです。
金子:ライブの良さを出せるような音源を作りたいっていうのはありましたからね。
EMTG:それと、「歌詞が音と対照的」というのも、妙に惹かれるものがあるんですよ。
カザマ:お客さんも、盛り上がっていいのかよくわからないみたいです。
ヤハギ:この前のライブの時は手を挙げてる人もいて、変化は感じますけどね。
EMTG:例えば、今作に収録されている「みんなのうた」のアウトロのギター、実にかっこいいじゃないですか。
ヤハギ:これはB’zが好きな感じが出てます。小っちゃい時の憧れだったので、ところどころでそういうのが出ちゃうんですよね。B’zが好きでエレキギターを始めました。僕たち(ヤハギとカザマ)のギターのDNAは、B’zです。
EMTG:何をどう間違ったら、こういう3markets[ ]みたいな感じになるんですかね?
ヤハギ:なんでですかね?(笑)。
EMTG:(笑)。カザマさんが前の取材で、「こういう音に普通の歌詞をのせても仕方ない」っていう旨のことをおっしゃっていたんですけど、そこが理由の1つかも。
カザマ:まあ、前向きなことは考えてないですし。前向きな人はたくさんいるので、こういうバンドがいてもいいのかなと。
EMTG:「社会のゴミカザマタカフミ」も、それぞれの楽器の聴かせどころがありますけど、歌詞がまさしくタイトルの通りの内容じゃないですか。これ、たしか前作の時も録って、結局収録されなくて、ツイッターで発表しましたよね?
ヤハギ:はい。ソロ回しみたいなものもある曲ですけど、歌詞はギャップがあるでしょうね。

3markets[ ] -「社会のゴミカザマタカフミ」MV
EMTG:そういうギャップは、すべての曲に関して言えることだと思います。
カザマ:歌詞は、もっと切り込んでいきたいんですけどね。頑張ります。
EMTG:「タイムセール」も、歌詞が印象的です。値引きシールが貼られる時間帯にスーパーマーケットで思ったことが、生々しく伝わってきますから。
カザマ:惣菜を見てたら悲しくなってきたことがあったんです。
EMTG:安売りされるお惣菜と、自分自身を重ねていますよね?
カザマ:そうですね。この曲は一番好きです。言いたいことをちゃんと言えたので。こういうのは、売れないだろうなあって思いつつ(笑)。
EMTG:(笑)。カザマさんが書く歌詞は、常に生活感があるのも興味深いです。
カザマ:生活してる範囲でしか動いてないですからね。『ドラクエウォーク』も家にいながらやりたいです。
金子:それ、意味ない(笑)。
カザマ:家にモンスターが全然出てこないんですよ。
EMTG:こういう人だから、3markets[ ]の独特な風味が生まれているんだと思います。別の人が、なんかいい感じの歌詞をのせたら「正統派にかっこいいバンド!」っていう反応を得られるかもしれないですよ。
カザマ:「誰が代わりに歌ったら売れるだろう?」っていう話は、よくしてます。
ヤハギ:まあ、ボーカルは変人でなんぼですから、今のままでいいんじゃないですか(笑)。
カザマ:まあ、僕、結構まともなんですけどね。時間をすごく守るし。「お酒さえ飲まなければ」っていう感じだと思います。
金子:僕、この前、酔った彼に突き飛ばされました(笑)。その先の人を見ていて、僕が目に入らなかったみたいです。
カザマ:昔に比べればまともになりましたよ。だって俺、酔っぱらって、機材車の中でおしっことウンコを漏らしたことがあるんだから。
金子:最低だよ!
ヤハギ:うわあ……。
カザマ:これ、記事に書いても大丈夫です。まあ、そのことに気づいた時は、さすがに死のうと思いましたが(笑)。って、何のインタビューでしたっけ?
EMTG:最新作のインタビューです(笑)。今作の1曲目「0570064556」のこの数字は、「心の健康相談統一ダイヤル」の電話番号ですね。
カザマ:そうなんです。
EMTG:「さよならスーサイド」に合わせて、このタイトルになったということですか?
カザマ:はい。
EMTG:アメリカのラッパーのLogicが、向こうのこういう相談窓口の電話番号をタイトルにして曲を出したんですよ。それをビートジャックした曲を、日本のSKY-HIが「0570-064-556」というタイトルで発表したのは知っています?
カザマ:それ、作ってから知りました。「ウチとかぶってる人がいるな」と思いました(笑)。
EMTG:(笑)「誰かを喜ばせなければいけない世の中になんて生まれてこなければよかった」っていうこの曲で描かれている感覚、結構「そうだよな」と思う人がいると思います。
カザマ:まあ、「誰かを喜ばせなければいけない」ってことへの違和感って、めちゃくちゃありますからね。
ヤハギ:僕もこういう感覚はあったんですけど、結婚してからは、そういうのは思わなくなりました。
カザマ:孤独を感じなくなった?
ヤハギ:嫁がいるからかな?
EMTG:カザマさんが結婚したら、もしかしたら3markets[ ]の歌詞は、雰囲気が変わるんですかね?
カザマ:いや。結婚しても、離婚というものが必ずつきまといますからね(笑)。
EMTG:他の曲の話に移りましょう(笑)。「さよならスーサイド」も、なかなか暗い内容ですけど、ギターが実にかっこいいんですよね。歯軋りのようなあの感じ、痺れます。
ヤハギ:ありがとうございます。このギターは、家で1人で考えました。
カザマ:ギター教室やってるって、記事に載せてもらったら?
ヤハギ:生徒募集中なんで、興味のある人は、僕のツイッターを見てください(笑)。
EMTG:(笑)。この曲を聴いて改めて思ったんですけど、ネガティブなことをかなり言いつつも、ふと、それだけではない感情がチラリと出てくるところが、実は3markets[ ]の曲ならではの味わいだな。「さよならスーサイド」のエンディングの《お前といるなら1人のほうがマシ でも お前もそう思っていたら悲しい》も、そういうフレーズですし。
カザマ:そうありたいんですよね。「暗いからいいじゃん」っていうのは、結構嫌いなんです。「だったら、そんなの言うんじゃねえ!」って思うので。「明るくなりたい」って頑張れる人じゃないと、話してるとだるい感じになるじゃないですか。「暗いままでいい」とは思ってないですし。だからこういう曲を書こうと常に思ってます。
EMTG:こういう歌詞がバンドサウンドと共に迫ってくると、何かグッとくるエネルギーを帯びるのが、3markets[ ]ならではの魅力だと僕は思っています。
カザマ:ありがとうございます。
EMTG:間違いなくひねくれているし、ユニークな佇まいではあるけど、ロックバンドとしての正統派のかっこよさがあるこの感じを、僕は昔、「ハンバーグとかとはまた別の美味しさがある漬物みたい」っていうような感じで言ったと思うんですけど、ますますいい漬かり具合になってきているということじゃないですか?
カザマ:まだ漬物なんですね……。
ヤハギ:ハンバーグにはなれない(笑)。
金子:なれないね(笑)。
カザマ:でも、そろそろハンバーグに乗ってるパイナップルくらいには、なってきてるのかも。ハンバーグにパイナップルが乗ってるのってあるよね?
ヤハギ:あるけど、絶対に頼まないやつ。
カザマ:たしかに、頼まない。
ヤハギ:好きな人は、好きなんだろうけど(笑)。
EMTG:(笑)。11月には、ドラマチックアラスカとのツアーがありますね。
カザマ:はい。僕らのお客さんにも僕らのことを知ってほしいし、ドラマチックアラスカのお客さんにも僕らのことを知ってほしいです。つまり、僕らのことだけ知ってほしいっていう、わがままな気持ちでいます(笑)。対バンなので、ガチで臨みます。

【取材・文:田中 大】




3markets[ ] -「さよならスーサイド」MV

tag一覧 J-POP ミニアルバム インタビュー 男性ボーカル 3markets[ ]

リリース情報

さよならスーサイド

さよならスーサイド

2019年10月23日

miyatakegeinou

01.0570064556
02.さよならスーサイド
03.フリーターのすべて
04.君とコンビニ
05.タイムセール
06.漫画とゲームと猫
07.みんなのうた
08.社会のゴミカザマタカフミ

お知らせ

■マイ検索ワード

カザマタカフミ(Vo/Gt)
ブログ インタビュー
リリースまで毎日ブログを書くことになって、最後に自分の脳内で自分にインタビューをするというのをやったんです。そのインタビューをブログで書くために、WordPressを使う技術を身につけました。2枚の自分の写真のアイコンの吹き出し同士が会話する形式の脳内インタビューが、ブログに載ってます。こういうことができるようになったので、誰か仕事ください(笑)。

ヤハギアキラ(Gt)
ジョーカー バットマン
僕、『バットマン』のことがよくわかってなかったんです。『ジョーカー』について、「すごく共感する」って、みんな言ってるけど、僕の印象は、「屁理屈言って、正論言われたら切れて暴れた」みたいな感じで、共感しなかったんですよね。だから調べました。面白い映画ではありました。

金子セイメイ(Ba)
ワイドパンツ メンズ
ついさっき検索しました。最近、太ったので、細いパンツが穿けなくなってきたんです(笑)。



■ライブ情報

『さよならスーサイド』Release Tour
2020/01/31(金) 南堀江Knave
2020/02/16(日) 名古屋Huck Finn
2020/03/28(土) 新宿marble
2020/04/05(日) 仙台Flying son
【TourFinal OneMan】
2020/05/09(土) 渋谷 Club Quattro

-----------

ドラマチックアラスカ×3markets[ ] presents
「本当におれのこと好き?」ツアー

11/13(水) 千葉LOOK
GUEST:愛しておくれ
11/15(金) 宇都宮HEAVEN’S ROCK
GUEST:Mr.ふぉるて
11/18(月) 水戸LIGHT HOUSE
GUEST:なきごと
11/20(水) 上諏訪 CLUB ROCKHEARTS
11/22(金) 奈良 NEVERLAND
GUEST:テスラは泣かない。
11/24(日) 京都MOJO
GUEST:ウソツキ
11/25(月) 神戸 太陽と虎
GUEST:マイアミパーティ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る