ただひたすらがむしゃらに――1stアルバムに込めた3人の初期衝動に迫る!

OCEANS | 2019.11.20

 THE NINTH APOLLO所属、八王子の3ピースロックバンド・OCEANSが、11月13日に初の全国流通盤となる1stアルバム『シナリオストーリー』をリリースした。今作には、OCEANS の“これまで”と“これから”を、“今”のOCEANSが鳴らし歌ったという、想いの詰まった10曲が収録されている。「バンドが楽しい! 大好きだ!」という純真でまっすぐな気持ちが、楽曲からもライブからもビシバシと伝わってくる彼らの会心作についてはもちろん、バンドの結成や“生き様”ともいうべきライブへの想いについても紐解くべく、メンバー全員にメールインタビューを敢行した。

EMTG:1stアルバム『シナリオストーリー』のリリース、おめでとうございます! 今回、OCEANSの皆さんに初めてインタビューさせていただくということで、まずはバンド結成についてお訊かせください。バイオグラフィーを拝見したところ、「2016年11月、ギターマン安藤がサポートベース/サポートドラムを引き連れ結成」とありますが、安藤さんがバンドをやりたいと思ったきっかけはどんなことだったのでしょうか? また、そのときにはどういう音楽を鳴らし、歌っていきたいと思ったのでしょうか?
ギターマン安藤(Vo/Gt):僕は自分の作る歌がすごくいいなって大学生の頃に気づいて、「ならもっと知ってもらいたい! あわよくば音楽で食べていきたい!」という気持ちがバンドをやる大きなマインドになっています(笑)。どういう音楽を鳴らそうかは、その頃は特に考えていなかったですね。自分から出てきた音楽を素直にライブでやっていこうと思っていましたし、今も「素直にバンドをやる」というのがモットーです。
EMTG:2017年にごろうさんとショウさんが加入して現在の3人になったとのことですが、加入をした決め手について、当時の想いをそれぞれ教えてください。
ごろう(Ba/Cho):僕は元々、先輩バンドのサポートなどをしながら八王子のライブハウスによく遊びに行っていたんですけど、前に八王子でやっていた「50人ぐらいが出て1人1曲弾き語る」というイベントに安藤が出ていたんです。その時、みんながお酒を飲みながらウケを狙った弾き語りをやっていたなかで、安藤は「本気でメンバー探しています!」と言いながら「太陽ロック」をやっていたのがめちゃめちゃ良くて、すぐに連絡先を交換しました。それが安藤との出会いですね。そのあとに、安藤のことを高校の頃から知っている当時の八王子のブッキングの方に「OCEANSに入ろうか悩んでいます」と相談したら、「ごろうが入ったらめっちゃ面白いじゃん! 入りなよ!」って言われて。それから安藤のライブを何回か観て、「やっぱかっこいいな!」と思って加入を決めました。
OCEANS - 太陽ロック(Official Video)
ショウ(Dr/Cho):OCEANSとの出会いは八王子のライブハウスです。最初は先輩の紹介で安藤と出会って、初対面でご飯に行って、曲を聴いて、後日スタジオに入って……という感じでスタートしました。前にやっていたバンドが解散して、ちょうどバンドをやっていなかった時期だったということもあり、OCEANSのサポートドラムという形で始めて。そこからサポートをしていた期間が半年くらいあって……正直、その時は加入を悩んでいました。でも、スタジオとライブを重ねていくうちに、自分の中で思いが固まっていきました。初めてOCEANSの曲を聴いた時の印象も強かったですが、それよりもライブに対する姿勢を見て、心が動きました。それが決め手です。正式に決まる瞬間は打ち上げの時で、八王子のライブハウスの店長である奥さん(奥 泰正さん)に「今決めろ!」と言われて、即決しました(笑)。あの時は完全に勢いで決めましたが、今になっても後悔はないです。それと、最初にOCEANSを紹介してくれた八王子の先輩にはずっと感謝しています。こうへいさん、ありがとうございます!
EMTG:八王子という場所は、THE NINTH APOLLO所属バンドでいえばハルカミライもそうですし、多くのかっこいいバンドが育ってきた土地だと思います。OCEANSの皆さんにとって、その一員として八王子を背負うことをどう思いますか?
安藤:やっぱり自分たちから「東京 八王子」と名乗るわけですから、半端なバンドとして見てもらいたくないという意地が僕にはありますね。練習も入りまくって、曲も作りまくる。八王子の先輩に負けないように、これからもやっていきたいです。
ごろう:僕は八王子のバンドが好きで八王子に上京したので、すごくうれしいですね。周りの先輩たちもかっこいいバンドが多いので刺激になります。逆に、僕たちのせいで八王子バンドがダサいって思われないようにしようという思いも強いです。
ショウ:八王子は、バンドとしても人としてもかっこいい人たちが多いので、その中にいられることは誇りに思います。先輩方が築き上げてきたものを見て学んできたので、吸収してきたものを、僕らなりのやり方で吐き出して全国各地に見せていきたいです。
EMTG:お三方が影響を受けたアーティストや、自分の礎になっているなと思える音楽はありますか?
安藤:14歳の頃に聴いたフジファブリック、ASIAN KUNG-FU GENERATION。そして、17歳の頃に聴いたandymoriとNUMBER GIRLが僕のルーツです。
ごろう:マキシマム ザ ホルモンがずっと好きで、上ちゃんに憧れてベースを始めました。そこからRed Hot Chili PeppersやInfectious Groovesはすごい聴いていました。
ショウ:スピッツ、THE BLUE HEARTS、ELLEGARDEN、Hi-STANDARD、Green Day、New Found Gloryなどのパンクロックが好きです。バンドを始めたきっかけでもあります。
EMTG:小難しいことは言わずに悩みも情けなさも素直に綴っている歌詞と、エネルギッシュかつ心にグッとくるメロディ。そんなOCEANSの音楽は、聴くたびに背中を押してくれます。安藤さんが曲を作るうえで大切にしていることはありますか?
安藤:メロディに重きを置いていますね。耳にスッと入っていくメロディ。それと同時に、歌詞も大事にしています。曲を作っている時に「このメロディを歌うための歌詞だ!」ってビビッとくる瞬間があって、その感覚を自分の中で調節していくのがいつもの楽曲制作です。
EMTG:誰かのために鳴らす音楽か、自分の為に鳴らす音楽か。OCEANSの音楽はどちらだと思いますか?
安藤:もちろん、自分のために鳴らしています! でも、それは今現在の僕らです。もう少し先の、例えばメンバーの誰かが家庭を持ったり、本格的に音楽で生計を立てることができたりしたら、それも少しずつ変わっていくんじゃないでしょうか。
EMTG:今作『シナリオストーリー』についてお訊きしていきたいと思います。『シナリオストーリー』というタイトルを聞いて、「脚本と物語」という、頭の中に描かれたシーンをよりリアルなものとするために不可欠な関係性にある言葉が組み合わされていることに、個人的に考察心をくすぐられました。どういった気持ちを込めてこのタイトルは付けられたのでしょうか?
安藤:このタイトル、すごく気に入っています(笑)。えーっと、「人生がひとつのシナリオだとしたら、数え切れないほどの出会いや別れがあって、その中で出会った人や物には、それぞれにストーリーがあるんじゃないかなと思うんです。僕たちは、聴いた人のシナリオの中で出会うストーリーとして待っていたい」という気持ちで付けました。
EMTG:今作の収録曲は「太陽ロック」以外が全曲録り下ろしとのことで、1stアルバムへの意気込みが感じられました。「Boys」や「メッセージ」はデモ音源(シングル)からのリテイクとのことですが、これらの楽曲を選んだのはどうしてですか?
安藤:OCEANSの初期衝動を詰め込んだシンボル的存在だったので、これは外せないなと思って入れました。それと、ライブでいちばんやっている曲たちだったというのもありますね。
OCEANS - メッセージ(Official Music Video)
EMTG:「太陽ロック」だけがミックスのみ変わっているとのことですが、ほかの楽曲と差別化したことには理由があるんですか?
安藤:全体的なミックスというよりも、音量バランスを少し調整した!という感じですね。ちょっとややこしくてすみません。どこが変わっているかは、シングルを持っている人はぜひ確かめてみてください!
EMTG:レコーディング時のことも含めて、今作の中で想い出深い楽曲を選ぶとしたらどの楽曲ですか? それぞれ教えてください。ちなみに、個人的には「光絵」がとても好きです!
安藤:「光絵」いいですよね(笑)。「空白」は苦労して録った甲斐がありました。本当に僕のギターテクニックというか、センスが悪くて(笑)。「ハネを意識して弾かないとアンサンブル的におかしい」とエンジニアさんから指摘を受けまして、1時間近くひたすら弾いていました(笑)。
ごろう:やっぱり「太陽ロック」は、安藤が初対面で弾き語りしていたので思い出深いですね。あとは「SUPER 2」のベースラインがお気に入りです。
ショウ:「光絵」です。この曲だけ鳴らし方を変えて、力強く、元気よく聴こえるように演奏したので、聴いていて気持ちいいです。歌のメロディや歌詞も、レコーディング中に聴きながら改めていいなと感じました。
EMTG:歌詞に関して、例えば「空白」の《傷付くわけがないよと 涙が言うけど》や「メッセージ」の《喫茶店で君の小さな目が/僕を待っている》など、“僕”や“君”本体ではないけれど、間違いなくその人の一部である物に置き換えている表現が描写をより色濃くしているように感じました。安藤さんが作詞をするにあたって、そういったところは意識しているんですか?
安藤:「あ~、たしかに! 言われて気づきました(笑)。でも、あれですね、こう……イメージしやすい歌詞を意識しています。難しい言葉とかは、それだけ扱い方と放つタイミングが重要になってくると思うんです。ASIAN KUNG-FU GENERATIONやandymoriはそういう言葉遣いが上手いなぁと思うんですけど、僕にはそれはできないなと。それなら僕は、もっと簡単な言葉を、聴いている人の深い部分に刺すことができればいいなと思いました。フジファブリックがそういった楽曲をたくさん作っていて、そこからも影響を受けています。
EMTG:OCEANSのライブを何度か観させていただいたことがありますが、「がむしゃら」という言葉が似合う全力投球のアクトに心をガツンと揺さぶられました。昨年は年間105本ものライブを行ったとのことでしたが、OCEANSにとって「ライブ」とはなんでしょうか?
安藤:「バンド」ですね。ライブといったら、バンド。バンドといったらライブ。もう、これに尽きるんじゃないかと。しこたま練習しても、ライブで上手く表現できるわけではないんです。ライブの独特の空気感の中で、鋼の弦と爆音の太鼓をここぞというタイミングで鳴らさないと、バンド感は生まれないんですよね。「楽器だけで会話する」っていうヤツですね。かっこつけて言っちゃいましたけど(笑)。
ごろう:僕にとっては、バンドの持っているエネルギーが全部出る場所だと思います。なので、ほかがどんなに良くてもライブがイマイチだとダメだなって思います。
ショウ:等身大の俺ら!というイメージです。バンドのすべてが解放される瞬間です。
OCEANS - シーズンズ(Official Video)
EMTG:12月10日の下北沢SHELTER公演を皮切りに、全国リリースツアーも控えていますね。今作を聴いた人/これから聴く人へのメッセージと、ツアーへの意気込みをお願いします!
安藤:聴いた人、あんたのセンスは間違ってない! これから聴いてくれる人、騙されて買って好きになって! THE NINTH APOLLOに所属してからの本格的なツアー、三皮くらい剥けて、先輩の脅威になれたらと思っているので、いい意味でまるで違うOCEANSになる! そこのところを楽しみにしていてください!
ごろう:OCEANSのこれまでのストーリーを出せました! ぜひ聴いてください! ツアーもエネルギー全開でがむしゃらにやります! 遊びにきてくださいー!
ショウ:今のOCEANSがわかりやすく表現されたアルバムになっていると思うので、今の俺らを感じてください! そして、CD→ライブに繋がってほしいので、ライブハウスに遊びに来てほしいです! パワフルにガツンといきます! 運転にも気をつけて行きます!

【取材・文:峯岸利恵】

リリース情報

シナリオストーリー

シナリオストーリー

2019年11月13日

THE NINTH APOLLO

1. Boys
2. 太陽ロック
3. SUPER 2
4. TONY
5. 空白
6. BLUE
7. 光絵
8. メッセージ
9. wanna be
10. シーズンズ

お知らせ

■ライブ情報

OCEANS presents 僕らのストーリーツアー
2019/12/10(火)東京 下北沢SHELTER
w/ TETORA / moon drop
2019/12/14(土)愛知 名古屋Party’z
w/ さよならポエジー / BAN’S ENCOUNTER
2019/12/15(日)静岡 UMBER
w/ TETORA / BAN’S ENCOUNTER
2019/12/20(金)香川 高松DIME
w/ BUZZ THE BEARS / TETORA and more...
2019/12/21(土)大阪 心斎橋BRONZE
w/ コールスロー / Danablu / TETORA / あいう
2020/1/16(木)栃木 宇都宮HELLO DOLLY
2020/1/17(金)千葉 LOOK
2020/1/19(日)茨城 つくばPARKDINER


Danablu presents NAVY BLUE
2019/11/19(火)東京 初台WALL

ALBRIGHT KNOT presents 2nd mini album『サブリミナル』レコ発ツアー"state of trance TOUR2019"ファイナルシリーズ
2019/11/20(水)東京 高田馬場CLUB PHASE

LOGBOOK vol.1
2019/11/21(木)神奈川 横浜F.A.D

コールスロー presents KAZOO HALL BOM-BA-YE 2019
2019/11/23(土・祝)山梨 甲府KAZOO HALL

INKYMAP presents SHINANO ROCK DRUNKER Vol.2
2019/11/24(日)長野 上諏訪CLUB ROCKHEARTS

PARKLIFE presents PARKLIFE 2nd digital Single「ナイトウォーカー/手を伸ばせば」リリース"おさんぽツアー"
2019/12/5(木)神奈川 横浜F.A.D

TRUST RECORDS presents DON’T TRUST OVER 30.TOUR
2019/12/12(木)長野 松本ALECX

Negative Campaign presents Negative Campaign "Traveling Nowhere TOUR 2019"
2019/12/17(火)宮城 仙台enn 3rd

HERO COMPLEX presents HERO COMPLEX“ハナウタ e.p."Release Tour「雨雲追い越すツアー」
2019/12/19(木)愛知 名古屋APOLLO BASE

まこっつNiGHT年末SPECIAL
2019/12/28(土)愛知 名古屋Party’z & R.A.D & TIGHT ROPE

O-Crest YEAR END PARTY 2019 Special 5DAYS!
2019/12/31(火)東京 渋谷TSUTAYA O-Crest

TENJIN ONTAQ 2020
2020/3/14(土)、3/15(日)福岡 天神地区8会場

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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