どのようにしてMega Shinnosukeというクリエイターは生まれたのか? 新EP『東京熱帯雨林気候』インタビューで迫る

Mega Shinnosuke | 2019.12.05

 2000年生まれ、2019年春に上京して音楽活動を行っているMega Shinnosuke(本名だそうだ)。2019年6月にリリースしたEP『HONNE』は、独創的でキラリと光るメロディと言葉、アーバン・コンテンポラリーやヒップホップ、シューゲイザーまでを見渡す幅広い音楽性が詰め込まれており、各種サブスクリプション系サービスでも気鋭アーティストとしてプッシュされた。12月4日に届けられる2作目のEP『東京熱帯雨林気候』ではまたガラリと作風を変え、熱いロックのテイストを振りまいていて驚かされる。今回の初インタビューではMega Shinnosukeの人となりに迫ることで、極めて批評的なアプローチで表現に取り組む姿勢と、筋の通ったビジョンを訊くことができた。

EMTG:11月20日が誕生日ということで、このインタビューが掲載される頃には、19歳になっているんですね。
Mega Shinnosuke:はい。
EMTG:17歳の頃から作曲を始められたということなんですが、どのような音楽的背景の中で過ごされてきたのか、教えてください。
Mega Shinnosuke:環境としては、親族で音楽を聴く人がほとんどいなくて、ファッションやアートにもまったく馴染みがなかったんです。Suchmosの影響でジャージが流行ったときも、親から「部屋着で外に出るな」と言われるような。
EMTG:じゃあ割と、周りの環境はカルチャー面には保守的というか。
Mega Shinnosuke:はい。だから、家族や親族からの影響というのはないです。僕も小さい頃は音楽をまったく聴いていなくて、TVで『ポケットモンスター』と『イナズマイレブン』のテーマ曲だけ知ってる、みたいな。中学2年ぐらいのときに、たまたまTSUTAYAに行って音楽に触れるようにはなったんですけど、「音楽というものがある」ということを認識する程度でしたね。高校に入ってギターを始めたんですけど、何から鳴らしたらいいのか分からなくて、それもほとんど買っただけ(笑)。高校2年のときに先輩から文化祭に誘われて。その誘ってくれた先輩が校外でやっているバンドがあるからというので、観に行ったんですけど、それがめちゃくちゃダサくて。雰囲気で一応オリジナル曲をやっているぐらいの。でも、周りはそれをチヤホヤするという身内ノリが強くて。そのときになぜか、自分で作った方がいい曲作れるんじゃないかと思って、作曲を始めました。
EMTG:先輩のやっていたバンドを観たときに、それなりの知識がないと「ダサい」というジャッジができないじゃないですか。
Mega Shinnosuke:正直そのとき、演奏は上手いと思っていたんですよ。でも、MCとか歌詞が、どういうテンションと志でその言葉を発しているのか分からなくて、身の丈に合っていない感じがして。たまに、コピーバンドで変な情熱を語ったりする人もいるし。僕がこう、いわゆる邦ロックの文化にのめり込んでいなかったから、邦ロックのライブに行くと「どういう盛り上げ方なんだろう?」という違和感が今でもあるんですよね。
EMTG:それでも、進学や就職といった選択肢がある中で、この春に上京して音楽の道を志したわけですよね。
Mega Shinnosuke:単純に、自分がどこに時間を割くかと考えたとき、就職を目指して大学に行くよりも、自分がやりたいことを突き詰められる環境に行った方が圧倒的に良いと思って。周りの若い人を見ていると、「やりたいことがない」「好きなことがない」という人がとても多いんですよ。だったら、好きなことがある時点で勝ちだなと思って。好きなことに対して、自分である程度のセンスがあると思うんだったら、そっちを選んだ方が絶対にうまく行くと思います。小さい頃やっていた野球を早くやめたかったんですけど、それはプロ野球選手になれないからなんですよ。具体的に自分の中で使い道が思い当たらないと、全然やる気がなくなっちゃうから。音楽も、流行りの雰囲気のいい曲を出して「エモい」って言われて終わりというのではなくて、生活の中にまで入り込むカルチャーを設計しないといけない。そういう意味で、長い目で見る挑戦にはなっていると思います。
EMTG:なるほど、おもしろいです。では新作EP『東京熱帯雨林気候』について伺いたいんですが、新曲MV「明日もこの世は回るから」もすこぶるパンキッシュで、前作EP『HONNE』とはまったく毛色が異なっています。今回は全体的にロック色が強いですよね。
Mega Shinnosuke:そうですね。前作のサウンドの方が、ちまちま作り込んだところがあって、「出来た」という手応えはあったんですけど、今回は「出た」という感じが強いです。満足感というよりも、これからだという気持ちですね。
EMTG:演奏陣も、自分で依頼して?
Mega Shinnosuke:はい。自分でネットで探したりして。前回は地元の福岡で作っていたんですけど、今回もたまたま人との巡り合わせがあって、出会った人に参加してもらったりしています。先行配信された「Wonder」には、唐突にトランペットが入ってくるんですけど、これはチャンケン(阿部健太)さんという方です。デモは僕が口で吹き込んだトランペットの音色だったので、難しかったらしいです(笑)。朝から何度も吹いてもらっていました。
EMTG:「明日もこの世は回るから」の、リスナーを鼓舞するようなパンキッシュな曲調を、やってみたいと思ったのはなぜですか。
Mega Shinnosuke:前回「本音」という曲を出したんですけど、それを作ったときに、ロックソングって日本語がくっきり伝わる印象だなと思っていて。でもそのときにバチバチなパンクをやらなかったのは、東京に引っ越したりする移り変わりの中で自分の生活が安定していなくて、ちゃんとした前向きな歌詞を書けるか不安だったからなんです。でも今回、18歳の今だからこそ書ける歌詞を書こうと思って、作りました。
EMTG:《明日もこの世は回るから/君は布団の中から出ては来れない》という一節に込めた気持ちは、どういうものでしょう。
Mega Shinnosuke:僕は「布団」とか「毛布」といったフレーズを使いがちで。性格的に、お風呂とかすぐ入れないタイプなんですよ。めちゃくちゃ腰が重い。だから苦悩して書いた歌詞というよりも、自分のことがそのまま出てきた感じですね。《否定を気にしてないなんて嘘だよ》という部分も、自分に絶対の自信があって何を言われても平気なわけではないんですよ。ただ全部を飲み込んで、正しいと思うことをやっているっていう。だから、見当違いにはならないと思います。そういった思いもあってMusic Videoは日常的で等身大なものにしたいと思って自分でディレクションしました。
EMTG:リスナーとして、刺さるし響いてくる歌が多いEPの中で、「蔓延る」という1曲だけが内省的な作風なのはなぜですか。
Mega Shinnosuke:こっちの世界に連れて行っているんだけど、EPの構成としても一旦そちらにお返しする場面があった方がいいなと思って、直接的なメッセージよりも想像力を働かせるような短い曲が欲しかったんですよね。メロディも、キャッチーを狙った感じにせずキャッチーに仕上げるというか。《蔓延る》という言葉がリフレインしている間に、考えてもらう余白を作りたかったんです。けっこう僕は主張型の曲が多いから、こういう曲ないなと思って、作りました。
EMTG:前回の『HONNE』から通して、曲調が本当にバラバラなのがおもしろいんですけど、それは意識してやっていることですか。
Mega Shinnosuke:ずっと同じ曲調をやるバンドのライブが、つまらないから。僕は忍耐力がまったくないんです。The 1975がめちゃくちゃ好きで、SUMMER SONIC 2019に観に行ったんですよ。世界遺産を見るような気持ちでThe 1975のバンドロゴを見ていて、人生でトップ3に入るぐらい楽しかったんですけど、それでも一瞬意識が飛びかけましたから。やばいですよね。僕の中では、ライブは45分くらいがちょうどいいですね。だから、曲調もいろいろ変えないと。将来的に、「このワンマンは飽きないな」って自分で思えたら、他の人は本当に飽きないと思います。
EMTG:今作の最後に収録された「甘ったるい呼吸」が個人的に大好きで、どっしりしたロックバラードになっています。まさに身の丈に合った歌という印象で、まっすぐ響いてくる。
Mega Shinnosuke:この曲のサビのメロディは、実は1年ぐらい前から出来ていて。いろんな経験をする中で、どこかで聞いた薄っぺらいことを言う人が多いな、と思ったんですよ。これは恋愛の歌ですけど、実際の場面になると、「あの人が言っていたことって嘘じゃん」と思うことがある。そういう気持ちを書いた歌です。
EMTG:借り物みたいな言葉で装ったり、嘘で誤魔化すのって、楽じゃないですか。でもそれじゃ駄目だと思っているから、言葉を研ぎ澄ませて、メロディを組み立てて、いろんな曲調を作っているわけですよね。
Mega Shinnosuke:やりたいことがたくさんある、という一貫性の中で生まれてくることなので、作曲に関して自分を追い込んでいる感覚はないですね。最近はちょっとずつ、またさらに音楽を作ることがおもしろくなっています……打ち込みをする気力がなくて、昨日の夜も一人でやっていたんですけど、何にもできねえなあって(笑)。でもまあ、自分が置いた音が鳴るというのはおもしろいですね。集中力が保たないんで、出来れば今後は、DTMを一緒にやってくれるお兄さん的な人とフレンドリーにやりたいな。僕、レックス・オレンジ・カウンティに音楽を教えてもらいたいです(笑)。

【取材・文:小池宏和】




[公演情報]
タイトル:MEGA ONEMAN SHIBUYA 3300
日時:2020年3月8日 (日)
OPEN 17:15 / START 18:00
会場:Shibuya WWW
ALL STANDING 
チケット:前売り:¥3,300/当日:¥3,800 ※ドリンク代別
オフィシャル先行
12月4日(水)18:00~12月15日(日)23:59
URL:https://w.pia.jp/t/megashinnosuke-of/

tag一覧 Mega Shinnosuke インタビュー アルバム 男性ボーカル

リリース情報

東京熱帯雨林気候

東京熱帯雨林気候

2019年12月04日

インディーズレーベル

1.Wonder
2.明日もこの世は回るから
3.電車
4.蔓延る
5.甘ったるい呼吸

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

MEGA ONEMAN SHIBUYA 3300
2020/03/08(日)Shibuya WWW
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JAPAN’S NEXT 渋谷JACK 2019 WINTER
2019/12/08(日)渋谷各ライブハウス

松尾企画PRESENTS ’’TOUR2019 糸’’
2019/12/11(水)新代田FEAVER

BARIYOKA ROCK 2019
2019/12/28(土)ZEPP Fukuoka

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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