キュウソネコカミ結成10周年!!記念ミニアルバム『ハリネズミズム』

キュウソネコカミ | 2020.01.29

 今年で結成10周年を迎えるキュウソネコカミのミニアルバム『ハリネズミズム』。新曲の他、初期の曲の新録バージョンも収録されたことにより、このバンドの根幹にあるものも再確認できる1枚となった。ファンはよく知っていることだと思うが、キュウソの音楽の核には、不安、迷い、焦燥感が色濃く渦巻いている。負のエネルギーを爆発的なサウンドやユーモアへと昇華しながら歩んできた彼らの姿を示してくれるのが今作だ。込められている想いについて、メンバーに語ってもらった。

EMTG:作品全体のテーマはありました?
ヤマサキ セイヤ(Vo/Gt):それが毎回のことながら、ないんですよねえ。
EMTG:“10周年”というのを、すごく感じさせてくれる1枚ですけど。
セイヤ:そういうのを考えなくてもこうなるのが、キュウソらしさです。僕ら、こういうミラクルみたいなことが起こりやすいんですよ。
EMTG:キュウソネコカミは、持ってる男たち?
セイヤ:はい(笑)。“2020年”“10周年”“ねずみ年”っていうのも、たまたまですし。キュウソは、そういうたまたまがよくあるんです。
ヨコタ シンノスケ(Key/Vo):まじめにコツコツやってる分、徳を積んでるんでしょうね(笑)。
セイヤ:キュウソを“イケてない”とか“ツイてない”とか“就活失敗した”とかいうイメージで捉える人が多いですけど。
EMTG:実はイケてる男たち?
セイヤ:いや。イケてはいない(笑)。ツイてる人たちです。
オカザワ カズマ(Gt):スタッフとの出会いとか、メジャーデビューのタイミングもそうでしたし。自分たちが“こうやりたいなあ”って思うと、周りの人が協力してくれることが多いバンドです。
カワクボ タクロウ(Ba):“踊れる”“エモい”“笑える”“勢いで行っちゃう”とか、いろんな形でサービス精神を振りまきながら手抜きをしてこなかったバンドだから、こうなれてるのかもしれないですけど。
セイヤ:全力でやってきましたからね。暴れてるけど、迷惑はかけたくないのでルールは守ります。つまり真面目なんですよ。
ソゴウ タイスケ(Dr):演奏にも、真面目な性格が出てるのかもしれないです。
シンノスケ:ロックバンドだったら外見も含めてロックバンドっぽくなっていくのが普通なのに、そうじゃないのが逆にキュウソの尖ってるところなのかもしれないですね。
EMTG:みなさんらしい尖り方を貫いてきたバンドであるというのは、今作からも感じますよ。例えば、2020年バージョンとしてレコーディングし直した初期の曲の「役立たず」と「適当には生きていけない」は、キュウソが昔から持っていたドロリとしたエネルギーを示しているじゃないですか。
セイヤ:「役立たず」は、最初に作った曲なんですよ。MVも自分たちで撮って、編集して、音をつけてましたから、ユーチューバーの走りみたいなもんです。
ソゴウ:ふたりでiPhoneを片手に走り回って撮りましたからね(笑)。
オカザワ:セルフボラギノール(セイヤとオカザワがもともとやっていたバンド)で培ったものを出したのが「役立たず」だったんですよね。最初に聴かせてもらった時に、めちゃくちゃかっこよくて、“このバンドをやっていきたい”って思った記憶があります。
セイヤ:この曲、昔録ったやつに納得いってないところがあったんですよ。そもそもコードが間違ってるのが嫌で(笑)。それもあって録り直しました。
EMTG:精神的に追い詰められている人の心の叫びが歌われていますけど、これはキュウソの原点にある想いですよね?
セイヤ:そうですね。この曲に漂う悲壮感、やばいですよ。
シンノスケ:“この頃のセイヤ”っていう感じが、すごくします。「適当には生きていけない」も、そうなんですけど。溜まりに溜まったフラストレーションを歌ってるっていうのは、今も変わってないところだと思います。
セイヤ:“できるだけ病まないように”って思って生きてるんですけど、たまにダークサイドに落ちかけた時に曲が生まれたりしてきたんですよね。
タクロウ:「役立たず」は、僕が加入する前からあって、最初に“覚えてきて”って渡されたのがこれと「ネコ踊る」だったんですよ。この曲でセイヤの印象が変わりました。セイヤって、普通に友だちと一緒にいる時は、ここまで感情を表に出さないんです。だから、“こういうのを書くんだ?”って思った記憶があります。
EMTG:初期からキュウソの根本にあった焦燥感、影、悶々とした想いは、新曲の「冷めない夢」にも繋がっていると思います。
セイヤ:「冷めない夢」、いい曲になりましたね。ライブでやってて自分で感動できる曲です。4、5年前のキュウソって、“コスプレしたり段ボールで何か作ったりする”っていうような“おもしろ”のイメージが先行してたんですよ。でも、最近はエモい曲も臆せずできるようになってきてますし、それをお客さんも受け止めてくれるライブの現場が増えてきてます。
EMTG:“面白いバンド”というイメージだけになることへの抵抗感があると、結構前からおっしゃっていましたよね。
セイヤ:はい。“それだけでずっと生きていくのは嫌だな”ってなってきたので。そういう方向に振り切ってるバンドだったらそれもいいと思いますけど、僕らは振り切ってるわけではないですからね。
シンノスケ:「わかってんだよ」を作って、すごくいいものになって、そういう曲がどんどん増えていった時期に、“俺たちが追求していくべきものとは?”ってみんなで考えたんです。それで思ったのは、“この5人がちゃんと演奏して、嘘のないことを歌う”っていうことだったんですよね。「冷めない夢」も、5人が共有している切迫感みたいなものがあるからこそ作れた曲です。
セイヤ:ほんと“冷めない”“満たされない”っていう感じがずっとあるんですよ。勝った気がしないというか。
EMTG:今年の11月に幕張メッセでワンマンライブをやるバンドですけど、それでも達成感はないですか?
セイヤ:ないです。まだチケットが完売してないですし(笑)。完売したらもちろん嬉しいですけど、それでも“やっと完売した”っていう感じで、達成感とは違うんだと思います。そういうキュウソにとって、「冷めない夢」はピッタリな曲なんじゃないですかね。
シンノスケ:キュウソは悲壮感だけじゃないのもでかいというか。俺たちが悲壮感だけだったら痛々しくて見てられないですけど、ちょいちょい、大きいフェスのメインステージみたいな場を与えてもらえるんですよね。そういうキュウソの姿も出ているので、「冷めない夢」を聴いたら俺たちのことを、すごくわかってもらえるのかも。今のキュウソのテーマソングみたいな感覚があります。
EMTG:《俺たちは冷めない夢を追いかけ続けるだけ》《俺たちは冷めない夢に挑み続けてるだけ》って、みなさんがユニゾンで歌ってるところが、非常にグッときます。
ソゴウ:僕もライブでドラムを叩きながら熱唱してますからね。
セイヤ:ほんまか?
シンノスケ:ドラムは後ろにいるから、メンバーで唯一、歌ってるところが見えてないんだよな(笑)。5人で話して、いろいろ考えた時期があったのが良かったと改めて思います。ちょっと喧嘩したこともあったけど、「セイヤは実際いい曲書くやん?」って、みんなが同じ方向を見ることができたんです。それこそ「役立たず」を聴いた時の感覚を思い出したというか。そういうのがあったから、今回こうして「冷めない夢」も作れたんですよね。
セイヤ:こういう曲もありつつ、遊んでる曲もあるのが、キュウソのいいところなのかなと思ってます。
EMTG:「戯我浪費」は今回の作品の中で、面白いタイプに分類される曲ですが、やはりスマホをテーマにするのが好きですよね?
セイヤ:はい(笑)。速度制限で振り回される気持ちを歌ってます。こういうの得意ですね。4つ打ちでコードをジャカジャカして、速いテンポで歌うのが好きですし。
EMTG:スマホって、現代人の我々にとって最も身近なもののひとつですし、リスナーとしても感情移入せずにはいられません。
セイヤ:みんなずっと使ってますからね。“実は人体に有害でした”みたいなことに突然なって、人類が滅亡した後を描く映画とか、いつかあったりして?
シンノスケ:頑なに使ってなかったやつだけ生き残る?
セイヤ:そう! 電気とかも通ってない山奥の人だけ生き残るの(笑)。
EMTG:(笑)。今作を聴いて改めて思ったんですけど、キュウソって自分たちならではの作風をしっかり確立し続けているバンドですね。
セイヤ:“キュウソネコカミ”っていうジャンルを作ったと思ってます。だって、僕らがいまだにフェスのメインステージに出続けてるのって、不思議ですよ。そんなに歌も上手くないし、パフォーマンスも散らかってるし、音楽に対する厳しい目を持ってる軽音楽部のやつらとかが嫌いそうなことをやってるんですよ(笑)。それでも、こうやってやり続けられてますから、“この場所は自分らで勝ち取ったんだな”って思ってます。
シンノスケ:“インディーズだったから良かったけど、メジャーだと絶対無理やろ”みたいなことをめっちゃ言われてましたからね。
セイヤ:これだけ雰囲気を変えずにやってきたから、“よく折れんなあ”って自分らで思うことがあります。
EMTG:根本がブレないバンドですよね。「Welcome to 西宮」みたいに、バンドの地元のことを結成から10年経っても歌いますし。
セイヤ:これ、ノリで作ったんですけどね(笑)。この前、西宮でワンマンをやったんですけど、それが決まる前からできてたので、“10周年だから西宮の曲作ろうぜ!”っていうのもなかったんです。でも、僕らは“西宮は最高だ!”って心から言えますからね。上京しないで、今も西宮にいますから。この曲、どんどん好きになってきてます。最初は心配だったんですよ。“シンプル過ぎんか?”って。
オカザワ:ごちゃごちゃ言わないシンプルさがあるからこそ良いんでしょうね。
EMTG:キュウソって、シンプルなものをかっこよく聴かせられるバンドでもありますよね。昔の曲から挙げるならば、「家」もタマホームのCMソングとしてシンプル且つ的確だったじゃないですか。
セイヤ:あれは先方からいただいた“家って、いっぱい言ってください”っていうご要望を、ちゃんと反映していましたからね。
EMTG:今作に収録された『日清 カレーメシ』とのコラボソング「華麗なる飯」も、カレーメシを食べたくて堪らなくなりますから、お見事です。
セイヤ:僕らはいただく要望を全部反映するんです。それで自分たちらしさも入れていくのが、キュウソのタイアップかなと。「華麗なる飯」は、《シャバシャバグルグル》っていうのが、聴くと印象に残ると思います。カレーメシを食べてたら思い浮かんだんですよ。
EMTG:この場の勝手な思いつきですが……ライブでお客さんに黄色い服とかを着てきてもらって「華麗なる飯」を演奏したら、ものすごい風景を作れるかも。
セイヤ:整理番号順でカレーの黄色、ライスの白、福神漬けの赤とか? 指定席ならできるかもしれないですね。
シンノスケ:チケットの座席番号が「ライス‐A‐3」とか?(笑)。
EMTG:(笑)。2020年は、既に発表されているライブの本数がものすごいですね。先ほど11月の幕張メッセ公演の話も出ましたが、6月のインテックス大阪公演や、全国47都道府県62公演対バンツアーもあるじゃないですか。
セイヤ:ツアーは11月までありますからね。11月の幕張メッセ公演が終わったら、そこからすぐに冬フェスですよ。
オカザワ:このツアーとは別に、3月にはアメリカツアーもありますし。
EMTG:『SXSW』のJapan Niteに出演するバンドたちと回るんですよね?
オカザワ:はい。“日本で磨いてきた技がどこまで通用するのか?”ってことですよね。
セイヤ:せっかく日本で何年もかけて作ってきたものがあるので、また面白さだけで行っちゃわないようにしたいですね。“あいつら、アメリカで段ボールをつぶしてるぞ”ってなったら日本のお客さんががっかりするでしょうから、全力の演奏をしたいです。おもしろのエッセンスとしては、お客さんの上に臆せず乗っていくことはしたいと思ってますけど、小道具は使い過ぎないようにしたいです。使っても筋斗雲(笑)。

【取材・文:田中 大】


キュウソネコカミ - 「ハリネズミズム」全曲トレーラー

キュウソネコカミ - 「ハリネズミズム」完全限定生産盤付属DVDティザー映像

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リリース情報

ハリネズミズム

ハリネズミズム

2020年01月29日

ビクターエンタテインメント

01.Welcome to 西宮
02.あいつホンマ
03.華麗なる飯
04.戯我浪費 (ヨミ:ギガロウヒ)
05.役立たず (2020 ver.)
06.適当には生きていけない (2020 ver.)
07.冷めない夢

お知らせ

■マイ検索ワード

ヤマサキ セイヤ(Vo/Gt)
猫が十二支にいない理由
「“1月1日にみんな神様のもとに集まれ”っていうのを、ねずみが“1月2日だよ”って、嘘を教えたから、猫は間に合わなくて十二支に入れなかったらしいですよ。猫はキレて、それ以来、ねずみを追い回すようになったそうです」(セイヤ)

「つまり、猫に追い回されて窮鼠になるねずみの側が、そもそも悪いことをしたってことですよね?」(シンノスケ)

「猫にやられても仕方ない(笑)」(オカザワ)



■ライブ情報

キュウソネコカミ 10th ANNIVERSARY TOUR -アルテマウスの襲来-
04/07(火) 千葉 LOOK
04/08(水) 栃木 HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2
04/12(日) 鹿児島 CAPARVO HALL
04/13(月) 宮崎 SR-BOX
04/15(水) 大分 DRUM Be-0
04/16(木) 福岡 小倉FUSE
04/21(火) 石川 金沢EIGHT HALL
04/22(水) 新潟 上越EARTH
04/29(水) 静岡 SOUND SHOWER ark
04/30(木) 愛知 名古屋DIAMOND HALL
05/09(土) 島根 松江AZTiC canova
05/10(日) 鳥取 米子AZTiC laughs
05/12(火) 岡山 YEBISU YA PRO
05/13(水) 愛媛 松山WstudioRED
05/26(火) 東京 新木場STUDIO COAST
05/28(木) 神奈川 KT Zepp Yokohama
05/30(土) 青森 八戸FOR ME
05/31(日) 岩手 CLUB COUNTER ACTION 宮古
06/02(火) 宮城 仙台Rensa
06/03(水) 福島 いわきSONIC
06/19(金) 沖縄 桜坂セントラル
07/01(水) 山口 周南RISING HALL
07/02(木) 佐賀 GEILS
07/04(土) 熊本 B.9 V1
07/05(日) 長崎 DRUM Be-7
07/10(金) 北海道 小樽 GOLD STONE
07/13(月) 北海道 帯広MEGA STONE
07/14(火) 北海道 根室 HYWATTHALL
07/16(木) 北海道 旭川CASINO DRIVE
07/26(日) 東京 Zepp Haneda
07/28(火) 山梨 甲府conviction
07/29(水) 長野 松本Sound Hall a.C
07/31(金) 富山 MAIRO
08/01(土) 福井 AOSSA 福井県民ホール
08/05(水) 三重 松坂M’AXA
08/06(木) 岐阜 club-G
08/25(火) 神奈川 F.A.D YOKOHAMA
08/26(水) 埼玉 HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
09/02(水) 岩手 大船渡KESEN ROCK FREAKS
09/03(木) 岩手 盛岡CLUB CHANGE WAVE
09/05(土) 秋田 Club SWINDLE
09/06(日) 山形 ミュージック昭和Session
09/16(水) 高知 X-pt.
09/17(木) 徳島 club GRINDHOUSE
09/23(水) 群馬 高崎 club FLEEZ
09/24(木) 茨城 水戸LIGHT HOUSE
09/30(水) 静岡 浜松窓枠
10/01(木) 愛知 Zepp Nagoya
10/11(日) 宮城 仙台GIGS
10/13(火) 北海道 Zepp Sapporo
10/15(木) 青森 Quarter
10/17(土) 新潟 LOTS
10/22(木) 福岡 Zepp Fukuoka
10/23(金) 広島 CLUB QUATTRO
10/25(日) 香川 高松festhalle
10/29(木) 大阪 Zepp OSAKA Bayside
11/05(木) 滋賀 U☆STONE
11/06(金) 京都 KYOTO MUSE
11/08(日) 愛媛 新居浜Jeandore
11/10(火) 奈良 EVANS CASTLE HALL
11/11(水) 和歌山 CLUB GATE
11/13(金) 兵庫 music zoo KOBE 太陽と虎

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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