ユレニワ、初の全国流通盤で提示する巨大なテーマとは? 人間性を紐解いてわかったこと

ユレニワ | 2020.02.17

 「MASH FIGHT!」や「未確認フェスティバル」をはじめ、数々のオーディションやコンテストでその名を轟かせてきた千葉出身の4人組バンド、ユレニワ。彼らの初の全国流通盤『ピースの報せ』は、メンバーそれぞれの個性や興味がこれでもかと注ぎ込まれた力作である。「生と死」という根源的で巨大なテーマに、現在21歳の彼らは「愛」を以ってどう答えようとしたのか。バンドの結成から今に至る物語とともに、メンバー全員で語ってもらった。ちなみに終盤までRENJU(Drs&Cho)がインタビューに登場しないのは、彼が取材当日にまさかの遅刻をしたためです(笑)。

EMTG:初めてのインタビューなので、結成のきっかけから教えてください。
シロナカムラ(Vo&Gt):僕ら千葉出身で、地元の溜まり場みたいになってるスタジオがありまして。高校の頃、そこに各々違うバンド組んで溜まっていたんです。そのスタジオが主催の「スクールズアウト」っていう高校生限定のイベントがあって、そこに出て優勝するために即席のバンドを組んだのがユレニワです。だからいい感じに名前を轟かせてやれたらいいなっていう軽い気持ちで組んだのがきっかけなんですよ。でも実際にスクールズアウトに出てうまいこと優勝することができて、「意外といいじゃん、馬が合うじゃん」って。
EMTG:このメンバーを集めたのはシロくん?
シロ:俺とRENJUが。RENJUがギターの(種谷)佳輝(Gt&Cho)を連れてきて、俺はもともと一緒に組んでたベースの(宮下)レジナルド(Ba&Cho)を連れてきて。
EMTG:誘われたとき、どう思いました?
種谷:いや、もともとRENJUとは仲が悪くて。同じバンドだったんですけど、ケンカ別れみたいな形になってたんですよ。だから誘われたときは……僕、シロのバンドは知ってて、ずっと。名前も知ってたし曲も好きだったんです。だから、RENJUがいたからっていうよりはシロがやるならっていう(笑)。
シロ:今もケンカしてんの?(笑)
種谷:まだ仲悪いっすね、遅刻するし。
シロ:そうだ、遅刻するしな。俺も嫌いになってきたわ。
EMTG:本人いないところで悪口言わないでください(笑)。レジナルドくんは?
宮下:いや正直「俺なんかでいいのかな?」っていうところがありましたね。
シロ:性格出るなあ。
宮下:「そんなやれる人じゃないのになんで連れてこられたんだろう、この場に」と思って。
シロ・種谷:ははははは。
宮下:で、初めてスタジオに入ったんですけど、種谷とRENJUが絶対音感を持ってるっていうのをたまたま知って。シロもわりと音楽できるほうだったんで、「俺だけ普通じゃね?」みたいな(笑)。そこで自分で勝手に他のメンバーと差を感じていて。なので……めちゃくちゃ頑張って、周りを認めさせようと。めちゃくちゃ頑張って、今に至ります。
シロ:「今に至ります」。
種谷:いちばんいいな、そういうの。努力でここまで来たみたいな。
シロ:株が上がるよ。
EMTG:ちなみにシロくんは、詞とか曲はいつ頃から書き始めたんですか?
シロ:中学2年とか。中2の夏に、ずっと風呂にも入らず引き篭ってたんですよ。何をするでもなく。今思うとそこでちょっと擦れたのかなっていう感じがしますけど(笑)。
EMTG:何があったんですか?
シロ:何かあったんじゃないですか? わかんないけど。ちょうど僕らの世代は、ニコニコ動画をはじめネットの文化だったりとか、なんかそういうのを見て一喜一憂する時期がちょうど中2だったんですよね。それまでも音楽は好きだったんですよ。家にフォークギターが1本あって、それはお爺ちゃんの影響なんですけど。で、ロックに憧れもあってたから、このやり場のない気持ちを表現する方法が歌だったんだなって思います。
EMTG:そこからすぐに人前で披露したりし始めたんですか?
シロ:そうです。俺はそういうのをやらないと気が済まないので。DAWで作った音源を友達に聴かせたりとか。それである時、適当なクラスメイトかき集めて「ちょっとバンドやんねえ?」とか言ってみたりして。結局馬が合わなくてあれでしたけど(笑)。
宮下:僕はそのかき集めたクラスメイトの中に入ってたんです。最初は「何だろ、こいつ」みたいな感じだったんですけど、接していくうちに「面白いやつだな」って興味をひかれましたね。
種谷:ファッションも個性的だったよね。高校一年生の頃はMA-1とかが流行ってて僕とか友達とかは着てたりしてたのに、こっちは柄シャツ着てピアスだかイヤリングだかをつけてたりとかして。
シロ:ずっとそういう感じだったんですよ。そうやって、誰からも影響受けない姿勢を少しは持っておきたいな、みたいなのもあったのかなと思います。
EMTG:なるほど。今回『ピースの報せ』を作るにあたって、どういうものを作りたいと思っていたんですか?
シロ:大きいところでいうと「生と死」っていう。別々のルートを辿ってそのゴールに向かっていく、10個違ったスタート地点から同じゴールに向かっていくっていうアルバムです。いつかは触れるだろうっていうテーマにたまたま今回当たったって感じですね。
EMTG:今回、曲でいうと、どのへんから作っていったんですか?
シロ:どのへんだろう。「Bianca」かな。そこから同時に「遺書」とか「Lilac」とかを作り始めました。
EMTG:「Bianca」はミュージックビデオも話題になりましたが、あれも愛の物語じゃないですか。映像と一緒になることでビビッドに曲のテーマが伝わる形になりましたね。
シロ:うん、MVも素晴らしい作品だなと思います。なんとなく空想してたものがそのまま形になったなって。
EMTG:この曲を書いたときのことは覚えていますか?
シロ:なんか……同性愛に限らず、差別とかはあんまり好きではなくて。かと言って自分としては「これは差別だ!」って過敏に反応するのも好きじゃないんですよ。そういう人って結構多いですけど。そういうこと言うやつほど当事者でもないし。そういうのがすごく嫌だなって真剣に考えたことが書くきっかけだったんですよね。そこからはもう思うように書いたまでですね。
EMTG:この曲も含め、アルバムには愛や恋を歌った曲がたくさん入っているんですけど、シロくんの歌詞は簡単に好きとか愛してるとか言わないじゃないですか。「遺書」でも「君を愛してる 恋人になってほしい」って最後の最後に言うんだけど、これを言うために一生懸命色んなことを言ってるっていうか。
シロ:「遺書」に関してはぽろっと出ちゃった感があるなと思ってます。これ、発端には、戦争反対、反戦主義みたいな気持ちがあって。漠然と頭の中にひとりの男がいて、その男が今からお国のために死ぬとして、何を思うのだろうかとか。そういうことを考え始めたらどんどんテーマが広がっていって。その挙句、きっとそいつが俺だったら最後の最後で「愛してる」って言うだろうなって思ったんです。今から死ぬのに言うんだろうな、バカだなって。
EMTG:ふたりは彼の書く歌詞をどう受け取ってこれを自分の中で消化しているんですか?
宮下:うーん、何か独創的すぎて……全然いい意味なんですけど、独創的すぎて分かるところもあれば分からないこともあるんです。その分からないところを自分なりにどうやって探していくかがシロの歌詞の面白みのひとつなんじゃないかな。
種谷:なんか一貫性はずっとあるんですよね、彼の歌詞は。結成当初から、言い回しとかも絶対にストレートな表現を……避けるわけでもないけど、直接は言わない。直接的な言葉を使っても直接的な表現はしてなかったりするんですね。そういうのが好きですね。
EMTG:そこでいくと、アルバムの最後に入っている「阿呆」って曲は、このアルバムの中でも一番ストレートなラブソングだと思うんですが、なぜこういう曲になったんでしょうか。(RENJUが遅れて登場)
シロ:もともと、俺がひとりでやったデモとしてできてたんですよ。その時はいい意味でも悪い意味でもあまり思想を強くしたくないっていうのは確かにあって。で、何か核心をついたことを言いたいなと思って、自分が猛烈に好きだった女の子のことをひたすらに思って書いただけですね。だから非常に分かりいいのかなと。
EMTG:ちなみに、RENJUさんは作曲にも関わってますけど、実際に曲を書いている人間としてシロナカムラの歌詞の世界についてはどう感じていますか?
RENJU:シンプルに、いい詞を書くなとは思っていて。高校1年からの仲なんですけど、その時から書きたいことをちゃんと確立してたし、世界観を作るのが上手なので。それに俺の曲を乗せたらどうかなっていうのがありました。
EMTG:わかりました。では最後に、このアルバム、リスナーにはどういう風に聴いてほしいですか?
種谷:聴いてくれる人には、いろんなジャンルが混ざってるなとか、そういうところを聴いてほしいわけでもないと思うんですね。自分たちがやりたいことはやりたいこととしてあるけど、その上でシロの言葉とか歌詞をよく噛み砕いて聴いてほしい。今はたぶん聴き方がちょっと軽くなっちゃってる気がするんです。そこに僕らは全国流通盤っていう形でCDを出す。そこに意味があると思っていて。歌詞カードを見ながら聴いてほしいし、それでハマったなら、言葉の細部まで噛み砕いて聴いてほしいなとすごく思います。
シロ:本当に歌詞を一つめくってみてもらえたら、広がると思うんですよね。それに何か楽曲的な面白さは素人目にしても玄人目にしても多分あると思うし、何回も聴き込んでいくうちにここってこんな変な音が鳴ってたの?っていう面白さだったりとか、クセになるきっかけになると思うんですよ。そうやってその人の中でその価値が上がっていくアルバムだと思ってるんで、そういうところに着目して聴いてもらえたらと思います。

【取材・文:小川智宏】

リリース情報

ピースの報せ

ピースの報せ

2020年02月19日

MASH A&R

01.革命児
02.遺書
03.Lilac
04.Cherie
05.PLAY
06.fusee 101
07.まぼろしの夜に
08.Bianca
09.ラストソング
10.阿呆

お知らせ

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■ライブ情報

『Jumpin’ Jack Honeymoon 2020』
02/24(月・祝)千葉LOOK
03/04(水)大阪 寝屋川VINTAGE
03/06(金)広島BACK BEAT
03/09(月)仙台enn3rd
03/11(水)北海道 札幌COLONY
03/23(月)福岡 Early Believers
03/25(水)名古屋HUCK FINN
03/29(日)東京 下北沢SHELTER ※ワンマンライブ
MUSIC MONSTER 2020 -Winter-
02/23(日) 渋谷5会場

“かたこと"でもあなたに伝えたい vol.5
03/01(日)渋谷CLUB CRAWL

クジラ夜の街 pre.『夜景捜査 Vol.1』
03/15(日)渋谷Milkyway

Maech of lover - マチラバー-
03/20(金)神戸三宮周辺ライブハウス4会場サーキット

『essais vol.3』
04/17(金)東京 近松

『KAIKA NO UTAGE SPRING BOARD FES’2020 』
04/25(土)市川市文化会館 大ホール

SMELLS pre. 2020 TOUR『生活と音楽』
04/26(日)西永福JAM

VIVA LA ROCK 2020
05/04(月)さいたまスーパーアリーナ

ヒヨリノアメ 主催サーキットフェス『下北沢REVERSE’20 』
05/17(日)下北沢MOSAiC / 下北沢 CLUB Que / 下北沢近松

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