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超能力戦士ドリアン 「ミニアルバムをリリースしたので可能な限り全国を回るワンマンツアー」

超能力戦士ドリアン | 2019.08.20

 超能力戦士ドリアン、6月5日にリリースした初の全国流通盤『超能力戦士ドリアンの楽曲が7つ入ったミニアルバム』を引っさげての「ミニアルバムをリリースしたので可能な限り全国を回るワンマンツアー」。全8公演の4本目、新代田FEVER。とりあえず、当日、会場入りしたばかりのメンバーをとっ捕まえてFEVERの広い楽屋(楽屋の広さはこのハコのすばらしいところのひとつ)で収録した動画インタビューはこちら。

 さて、順調に準備が進み、開場して、お客さんが続々入場して、ソールドアウトなのであっという間にフロアはみっちみちになった。ところが開演時刻の19:00を過ぎてもなかなかライブが始まらない。どうしたのかなとだんだん不安になってきたところで、衝撃の事実が発覚する。心あるロックファンにはおなじみであろうATFIELD・P青木氏がステージに登場していきなりお詫び。本来19:00開演のところ、イベンターの手違いで一部プレイガイドでは19:30開演と案内していたとのこと。19:30だと思ってそこに間に合うように来るお客さんもいるので、それを待って19:30きっかりに始めたい、とのこと。そのアナウンスに怒号が起きる――はずはもちろんなく、半分くらいは「青木さんならしょうがない」というニュアンスも含んだ温かい拍手が送られる(念のため説明しておくと、キュウソが言い出した呼び名「P青木」のPは「ポンコツ」のPである)。いいお客さんを持ってるな、ドリアン。とにもかくにも何か不測の事態とかではなくてよかった、とほっとしているうちに19:30になり、いよいよライブがスタートである。

 まずはメンバーの登場に先立ってドラム後ろに鎮座する公式マスコットにしてドラマーのピーチボーイが諸注意。「はじまるよー!」の声とともに、桃のカチューシャをつけたやっさん(G/Vo)、おーちくん(Vo)、けつぷり(G・Cho)が登場する。おーちが「のっけからテンション上げていくよー!」と叫んで「おいでよドリアンランド2019」でいきなり一面の手拍子を巻き起こすと、間奏ではおーちによる定番のパフォーマンス「ジェットコースターソロ」を繰り出す。続いて「みんなでワクワク楽しいソング」。やっさんが「もっともっとテンション上げていきましょー!」とフロアを煽る。言われなくてもフロアのテンションはずっと右肩上がりだ。

 その後も「アイウォンチューを発令中」でFEVERに集まった人たち全員でラブラブ光線を発射し、先ほどの開演時間の件に触れて「開演が遅れたので途中で帰らなきゃいけない人に粗品を配る」というファン思いの一面を覗かせ(「いいですかー?」「興味あるー!」とファンも大喜び)、「お友達紹介のうた」ではお客さん全員座らせて3人が振りも付けつつフリップ芸も披露し(フロア一致団結の「たかさーん!」コールも成功)、「ファッションマジでクエスチョン」では曲中におーちが今流行りのタピオカミルクティーに変身し、そのままファッションショーよろしくランウェイ(フロアの真ん中)をウォーキングしていくとその先にはなんとサブステ―ジがあって、そのサブステージで披露した「天保山-TENPOZAN-」ではお客さんによる「KYK(海遊館)」コールも決まり、「チャーハンパラパラパラダイス」では懐かしいパラパラの踊りで大盛り上がり。ピーチボーイが毒を吐きまくる「全ドラマーの気持ちを代弁した歌」を挟んでメインステージでおーちくんの恐竜が登場する「恐竜博士は恐竜見たことないでしょ」……ちょっとどこからどこまで触れたらいいのかわからないくらい、全編にわたってネタの大洪水だ。

 そんな調子で進んできたからこそ、終盤にやっさんの「後悔させない、もっと高いところに連れていきます、恥ずかしくないバンドになります」という言葉から演奏された「二番煎じって感じ」には思わずぐっときてしまった。ミニアルバムの最後に収録されたこの曲には、超能力戦士ドリアンのプライドが詰まっている。いつかこのバンドに追いついてみせるという言葉とともに鳴らされた「ヤマサキセイヤと同じ性別」もそう。ドリアンの本気が垣間見えた瞬間だった。

 印象的だったのが、中盤で新曲を演奏したシーン。用意してきた新曲が2曲あって、どちらもパンについての曲だそうで、「かっこいいパンの曲」と「ポップなパンの曲」、どっちがいいかをお客さんの拍手による多数決で決めた。その結果は僅差でポップなほうに決まり実際に演奏されたのだが、確かにポップな曲だった。しかしただポップなだけじゃなくて、お客さんたちのほとんどは初見にもかかわらず手を振ったり手拍子が起きたり挙句の果てに合唱も起きてしまうという、ちょっとすごいことになっていた。このわかりやすさ、共通言語感、ツーといえばカーというか、「あ」の次は「い」ですよ、ぐらいの言わずもがな感。敷居の低さが尋常じゃない。敷居が低いどころか、外と地続きで土足のまま家の中に入っていける感じ。それはもはや家ではないのだが、家なんて作る暇もなく、ドリアンは走り出し、今も走り続けているということなのだ。音楽があって、笑いがある、という順番ではなく、音楽と笑いが同時にスタートを切って全力疾走をしているのが超能力戦士ドリアン。それはバンドなのかといわれれば、どう考えてもロックバンドである。笑いをつくる道具として音楽をやっているんだったらそれはお笑い芸人だが、ドリアンのなかでは両方がまったく同じ価値をもって存在している。だから、アンコールでほうきをギターに見立てて、ミニアルバムのシークレットトラックとして収録されている「例の曲」を弾き語りするおーちくんの姿はある意味ですごく象徴的だなと思ったのだった。

【取材・文:小川智宏】
【撮影:竹本みずき】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル 超能力戦士ドリアン

リリース情報

超能力戦士ドリアンの1004円のCD

超能力戦士ドリアンの1004円のCD

2018年07月04日

Eggs

1.いきものがかりと同じ編成
2.ヤマサキセイヤと同じ性別
3.天保山
4.チャーハンパラパラパラダイス
5.3人組のうた

セットリスト

「ミニアルバムをリリースしたので可能な限り全国を回るワンマンツアー」
2019.6.28@新代田FEVER

  1. 1.おいでよドリアンランド2019
  2. 2.みんなでワクワク楽しいソング
  3. 3.アイウォンチューを発令中
  4. 4.新曲
  5. 5.新曲初披露はムズイ
  6. 6.背中に翼が生えたら便利だけどジャマ
  7. 7.お友達紹介のうた
  8. 8.顔
  9. 9.ファッションマジでクエスチョン
  10. 10.天保山
  11. 11.スマホの充電ナイトフィーバー
  12. 12.トントン相撲やろうぜ
  13. 13.チャーハンパラパラパラダイス
  14. 14.ドラムのうた
  15. 15.恐竜博士は恐竜見たことないでしょ
  16. 16.ムカつくヤツは敵
  17. 17.焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね
  18. 18.二番煎じって感じ
  19. 19.ヤマサキセイヤと同じ性別
  20. 20.WANIMAと同じ人数
  21. 【ENCORE】
  22. En1.おーちくんの個人情報ソング
  23. En2.いきものがかりと同じ人数

お知らせ

■ライブ情報

【ワンマンライブ】スペシャルな公演
11/15(土)渋谷 WWWX
11/30(日)大阪 BIGCAT



SOUND SHOCK 2019
08/27(火)クリエイティブセンター大阪

ベリテンライブ 2019
08/28(水)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2

OTODAMA’18-19〜音泉魂〜
09/08(日)泉大津フェニックス

TOKYO CALLING 2019
09/14(土)LOVE MUSIC コラボステージ

BAYCAMP 2019
09/15(日)川崎市東扇島東公園・特設会場

KANSAI LOVERS 2019
09/21(土)大阪城野外音楽堂

♀フェス’19~超大阪爆笑宣言
10/02(水)大阪BIGCAT

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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