前へ

次へ

“世界中の毎日をおどらせる”を体現した熱狂の初ワンマンをレポート!

Lucky Kilimanjaro | 2019.12.04

 Lucky Kilimanjaro初のワンマンライブ(意外!)。肌寒い雨の日だったが、会場の渋谷WWWはソールドアウトの超満員で、熱気がムンムンしていた。
開演時刻の17時半を5分ほど過ぎたところで暗転し、ステージ背後のスクリーンに6人の映像が流れた。熊木幸丸(Vo)が「僕ら、“世界中の毎日をおどらせる”っていうコンセプトでやっておりますが、今日はめちゃくちゃ踊ってくれてもいいし、逆に全然踊らない、でも気持ちはめっちゃ躍ってます、っていうのでもいい。踊り方にイケてるとかダサいとかないと思うんで、自由に楽しんでいってください」とバンドからのメッセージを送る。

 SEに乗ってメンバーがステージに登場し、柴田昌輝(Dr)のカウントの先導で、否応なく高揚させるストリングスが流れる。オープニングは4ヵ月連続シングルの第一弾としてリリースされた「風になる」だ。お次は2ndミニアルバム『FAVORITE FANTASY』の冒頭を飾っていた「Fire」。シンプルなドラムと山浦聖司(Ba)のよく動くベースの対照が鮮やかなディスコ曲だ。ハウスっぽい「新しい靴」から、大瀧真央(Syn)の「渋谷、踊れてる? 本当に踊れてる?」という煽りを挟み、メドレーで「Burning Friday Night」へ。熊木はR&Bシンガーのように圧倒的な歌い手ではないが実直さが魅力的で、《寂しいのはお互い様/ならば一緒に踊ってみませんか?》といったメッセージが真摯に響く。
松崎浩二(Gt)の粒立ちのいいギターが効いた「Favorite Fantasy」と、長めのイントロを加えた「Everything be OK」で少しペースダウン。トラップ風味のファンクナンバー「Beautiful」ではロックバンドっぽくなるのも面白い。彼らには珍しい毒吐きソング「Thunderbolt」まで、スタートからほぼインターバルなしで8曲連発だった。

 ラミ(Per)が「みなさんも疲れたでしょうから、ここでひと休みしましょう。俺のためじゃなくてね」と観客を笑わせて、大瀧がこの日から衣装が新調されたことを告げる。男子は全員が色違いのスウェットパンツを穿き、上はそれぞれデザインの異なるプリントシャツ。ラミだけ上下スウェットだ。大瀧はアクアマリンのボーイフレンドパーカーにラグっぽいマルチカラーのロングスカートという装いだった。
ラミの『テラスハウス』『バチェラー・ジャパン』談義から理想のデートに話題が進み、大瀧が「わたしはゲームが好きだから、家でゲームしてたい」と言うと、熊木が「Lucky Kilimanjaroにおうちデートのすてきな曲があるんですよ」と割って入り、「Sweet Supermarket」を披露。照明がステージからフロアを照らし、そのまま「Children」へとメドレー。こうした日常の中のささやかな幸せを歌ったかわいらしいレパートリーがエレクトロポップバンド・Lucky Kilimanjaroのユニークさだろう。続く「初恋」から山浦がシンセベースを弾く曲が増えていく。さらに欧州的な陰翳のあるシンセポップ「Purple Dancer」。いわばLucky Kilimanjaro版ラブソングセクションである。
「僕、Lucky Kilimanjaroのラブソングって、自分で言うのもなんですけど、めっちゃいい曲多いと思うんです。その中でもいちばん好きな曲をやりたいと思います」(熊木)と「Hottest Lover」。ビートにかすかなレゲエっぽさがあり、シンセのフレーズが目立つソウルフルなバラードだ。サビの曲名連呼にグッとくる。

 ここでちょっと長めのMC。大瀧が中心になってグッズを紹介する。「業務連絡も終わったんで後半戦いきますよ」「今の業務連絡なの?」で始まる熊木とラミのコミカルなやりとりがふんわりした後味を残して終わると、怒濤のクライマックスに突入だ。
まずは1stミニアルバム『FULLCOLOR』の1曲目「SuperStar」。EDM的なサビへの盛り上げにきのはるのVJが加わり、視覚的にも楽しませる。きのはるとは美大の卒業制作にこの曲を起用してからの縁だそうだ。ラミの「俺の家に来ないか?」を挟み、「みなさんインドア派かもしれませんけど、俺らのほうがインドア派なんで、勝負してみませんか? 一緒に踊ろうぜ!」と熊木が呼びかけて「HOUSE」につながる。キメの《ここから出ない》は観客も大合唱。そして柴田のドラムソロ、ラミのパーカッションソロ(MPCも叩く)をイントロに、最新EPの表題曲「FRESH」。打楽器を前面に出してスタジオ音源から格段にパワーアップ。いい意味でのギャップ大賞だった。

 熊木が「今日は重大な発表があります」と前置きして、来年3月に初めてのフルアルバム『!magination』をリリースすることを発表。「すべて新曲です」で歓声が、「ゆえに今、地獄のスケジュールを送っております」で笑いが起こる。「去年の11月に『HUG』でメジャーデビューしてちょうど1年。こんなにたくさんの人に観てもらえて、とても幸せです。その『HUG』からとても大切な作品をやりたいと思います」との紹介で「ひとりの夜を抜け」。さらに大団円となる「Do Do Do」で、本編は幕を下ろした。

 アンコールでは「せっかく新しい作品を出すんだから、特別に新曲をやります」とお酒ソング「350ml Galaxy」をお披露目。ビートが変わるブレイクがかっこよく、新作への期待を促すには十分だ。最後の最後は予想どおり「君が踊り出すのを待ってる」。《君が踊り出すのを待ってる/君が歌い出すのを待ってる/君が歩き出すのを待ってる》という性急さと優しさが同居したサビを残して、6人はステージをあとにした。
全編を通して山浦と柴田のリズム隊が目立ったのはダンスバンドならでは。松崎はバッキングにソロにと大車輪。ラミと大瀧は、演奏はもちろんMCでも熊木との掛け合いで観客を盛り上げた。熊木は個性的なステップを踏んで、冒頭のメッセージを自ら体現する。そんな6人の姿に呼応するように、観客は思い思いに体を揺らしていた。フロア最後方にいたので見えなかったが、きっとみんな笑顔だったはずだ。

【取材・文:高岡洋詞】

tag一覧 Lucky Kilimanjaro ライブ 男性ボーカル

リリース情報

FRESH

FRESH

2019年10月02日

ドリーミュージック

01.FRESH
02.風になる
03.初恋
04.HOUSE
05.Do Do Do

リリース情報

!magination

!magination

2020年03月04日

ドリーミュージック

01.Imagination
02.Drawing!
03.350ml Galaxy
04.グライダー
05.RUN
06.時計の針を壊して
07.とろける
08.君とつづく
09.春はもうすぐそこ
10.DO YA THING
11.ロケット

セットリスト

Lucky Kilimanjaro presents.「FRESH」
2019.11.23@渋谷WWW

  1. 1.風になる
  2. 2.Fire
  3. 3.新しい靴
  4. 4.Burning Friday Night
  5. 5.Favorite Fantasy
  6. 6.Everything be OK
  7. 7.Beautiful
  8. 8.Thunderbolt
  9. 9.Sweet Supermarket
  10. 10.Children
  11. 11.初恋
  12. 12.Purple Dancer
  13. 13.Hottest Lover
  14. 14.SuperStar
  15. 15.HOUSE
  16. 16.FRESH
  17. 17.ひとりの夜を抜け
  18. 18.Do Do Do
  19. 【ENCORE】
  20. 1.350ml Galaxy(新曲)
  21. 2.君が踊り出すのを待ってる

お知らせ

■ライブ情報

ONEMAN TOUR 「!magination」
2020/5/2(土)東京 恵比寿LIQUIDROOM
2020/5/8(金)愛知 名古屋CLUB UPSET
2020/5/9(土)大阪 Music Club JANUS


look forward to science 3
2019/12/13(金)東京 Veats Shibuya
w/ Mom

RADIO GIGA 令和01
HAVE A GREAT NEW YEAR FROM DATE FM
2019/12/29(日)宮城 仙台PIT
w/ SIRUP / DATS / TENDRE / LUCKY TAPES / chelmico / RALLYE’S JAM(LUCKY TAPES, DATS, TENDRE) / キタニタツヤ / 土岐麻子

COUNTDOWN JAPAN 19/20
2019/12/31(火)千葉 幕張メッセ国際展示場

「Levitate Me!」
2020/1/25(土)大阪 Live House Anima
w/ Mom / JABBA DA FOOTBALL CLUB

Bringly up -vol.10-
2020/2/9(日)東京 渋谷WWW
w/ さとうもか / NF Zessho / 泉まくら / glitsmotel(HANG×唾奇)

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る