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Bentham、5周年の集大成を飾る一夜限りのスペシャルライブ「東京パノプティコン ~Re:Public~」

Bentham | 2019.12.12

 2014年のインディーズデビューから5周年を迎えたBenthamが、キャリア初となるキネマ倶楽部でのワンマンライブ、Bentham début 5th anniversary special 「東京パノプティコン ~Re:Public~」を開催した。キネマ倶楽部は、もとキャバレーとして使われていた会場。日ごろ、Benthamが主戦場とするライブハウスとは一線を画す特別感のある会場で行われたこの日のライブは、初の二部構成で行なわれ、彼らが所属する事務所社長へのインタビューや、アコースティックライブを盛り込み、バンド5周年の集大成を飾る一夜限りのスペシャルなライブになった。

 開演時間、ソールドアウトの会場に突如、この日のライブが二部構成になることがアナウンスされると、会場はざわめいた。嬉しいサプライズだ。そんななか、Benthamが所属する事務所の古閑(裕)社長が、バンドとの出会いや、メンバーの印象を語ったインタビューで笑いをとると(社長は、もしBenthamのメンバーのなかで恋人に選ぶなら、ベースの辻怜次らしい)、いよいよライブがスタート。1曲目は「アイマイミーマイン」だった。かつてデモテープを送ったことで、現在の事務所に所属するきっかけになったという大切な楽曲は、5周年ライブの幕開けにとてもふさわしい。続けて、ステージを真っ赤に染めた「TONIGHT」へ。鈴木敬(Dr)のキレのあるビートと、辻怜次(Ba)の奔放に暴れまわるベースライン、そこに、小関竜矢(Vo/Gt)の超がつくほどのハイトーンボーカルがキャッチーなメロディをなぞると、間奏では須田原生(Gt/Cho)によるメロディアスなギターソロが炸裂。一部では、5周年の前半を彩るアッパーでノリのいいインディーズ時代のロックナンバーが続々と披露された。ロックバンドとしての尖った部分と、ポップで心踊る部分。二つの側面を内包するユニークなロックが、インディーズ時代から続くバンドの唯一無二の個性であることを改めて感じる第一部だ。

 最初のMCでは、この日のライブをソールドアウトできたことに対する感謝を伝え、「5年間分の答え合わせをしましょう!」と意気込みを語った小関。「キネマ倶楽部でやれるなんて思ってなかったから、まるで夢物語」と、次の曲のタイトルにかけてつないだ「YUMEMONOGATARI」では、小関はギターを持たず、辻と向き合い、跳ねるベースに合わせて楽しげに踊り、歌った。そんな一部のハイライトは「僕から君へ」。「本当の意味で自分を愛せてなかったと、最近思います」と静かに伝えると、会場のシンガロングを誘うように、ギターと声のみで歌い出す。「僕から君へ」は彼らが長く大切に歌ってきた楽曲だが、こんなふうに大合唱を巻き起こしたのは初めてだ。そこから、須田が作曲を手がけた「サテライト」、鈴木と辻の挑み合うようなセッションから突入した「手の鳴る方へ」へと、ハイカロリーな楽曲を畳みかけ、「HEY!!」へ。須田が、“東京キネマ倶楽部”の「きょう」と「ラブ」を抜き出すというクセのあるコール&レスポンスで思いっきり湧かせて、第一部のラストを締めくくった。

 二部は、キネマ倶楽部の名物でもあるステージ下手のバルコニーに立ち、アコースティック編成によるライブで幕を開けた。楽器は、須田と辻がアコースティックのギターとベース、鈴木がカホン。まず最初に披露されたのは、「ずっと昔の大事な曲を」と紹介した「アナログマン」だ。原曲のアッパーなアプローチからは、アコースティックバージョンは想像しづらい意外な選曲だが、楽曲が持つ淡くセンチメタルな色合いが浮き立ち、新たな魅力を感じる名演だった。続けて、バンドに関わる人たちも“5人目のメンバー”という意味を込めた「five」、いろいろあった5年間に想いを馳せた「SUTTA MONDA」へ。コミカルな楽曲の最後には、鈴木が、この日のために仕入れたという、長さが1メートルはあろうかというジャイアントスティックでシンバルを叩く遊び心も印象的だった。

 須田が弾くピアノの伴奏にバンドサウンドが加わったバラード曲「夜な夜な」からは、再びメインステージに戻り、バンド編成に移った。そして、夜から朝へという時間の経過を描くように、須田のピアノが美しく彩ったのは「夜明けの歌」。さらに、歌ごころあふれるBenthamの魅力が全開になったミディアムテンポのラブソング「cymbidium」へと、二部の冒頭はゆったりとしたテンポのナンバーが続いた。デビュー当時こそ、ライブやフェスで盛り上がるバンドというイメージが強かったBenthamだが、その枠だけに囚われず、より自由に、よりクリエイティブに、本来バンドに備わっていたポップセンスを発揮していく、そんなバンドの歴史が二部構成のライブでは強く浮彫りになる。

 憧れのヒーロー像を開放的なバンドサウンドで表現した「Hope the youth」のあとには、『ウルトラマン ニュージェネレーションクロニクル』の主題歌に抜擢されたことが本当にうれしかったと、改めて語ったメンバー。ワンマン恒例の鈴木の長いMCでは、11月のベスト盤リリースに伴って、府中、立川、橋本(神奈川)、横浜のCDショップをひとりで挨拶まわりしたところ、感極まって泣いてしまったというエピソードを明かすと、メンバーは「タカさん、泣くことあるの!?」と驚きつつ、会場はすっかりリラックスした雰囲気に包まれた。そこから、小関の「バッター、辻怜次!」という言葉を合図に、辻のゴリゴリのベースが暴れ出した「BASSBALL」で、男女にわけた楽しいコール&レスポンスで湧かせると、「White」や「Chicago」「FATEMOTION」というメジャーデビュー以降に発表された、バンドの強い前進の意志を刻んだアップナンバーを次々に畳みかけていく。誰も止めることのできない怒涛の疾走感のなかで聴かせるキレのある演奏と緻密なアンサンブル。それは、小関、須田、辻、鈴木という4人が、5年の日々を一緒に歩んできた積み重がなければ鳴らせないものだろう。Benthamのライブを見ていると、「ロックバンドっていいな」と何度でも思わせてくれる。

 「俺はいま5年間でいちばんやりたいことをやれてる。それがうれしくて」。終盤、メンバーの演奏とコーラスのなかで、小関が熱く語りかけた。「俺、やっぱりずっと歌いたい。これからもバンドを続けたい。だから、いま頷いて聞いてくれてるあんたも、あんたも、あんたも、みんながやりたいことは続くよ。やめなきゃ続くわけだから」。揺るぎない信念をもって、いま自分が信じることを、誠意をもって伝えながら、「負けたっていい。俺は勝ち負けじゃないと思う。そういう歌」と紹介したのは、負け犬たちに捧げるBenthamらしい不屈のエールソング「Cry Cry Cry」だ。そういうことを、泥臭くストレートに歌うのではなく、間接的な言葉選びと心踊る曲調で届けられることが、Benthamが5年間でたどり着いたバンドの在り方なのだと思う。カラフルな照明に包まれたダンスナンバー「MIRROR BALL」では、小関がフロアへ降りて暴れまわり、メンバー紹介。「これからもありがとう!」と力強く伝え、最後は「踊れー!」の掛け声から突入した代表曲「パブリック」で終演。やはり音楽で踊らせることにかけて、Benthamは無敵だ。底抜けに楽しい、笑顔に満ちたフィナーレだった。

 アンコールでは、「重大発表があります」と鈴木。会場が期待感に包まれるなか、「Benthamは5周年でBentham Zになります……嘘です!」と冗談を言いつつ、改めて、春にツアーを開催することを発表した。そして、「これからもやりたいことをやる、言いたいことはCDとライブで伝えていく」と大切な想いを伝えると、最後は、陽性のロックンロールにのせて、ファンとの特別な関係を綴った新曲「FUN」、さらに、「俺たちはずっと激しい雨。そういうバンドでいたい!」と力強く宣言した「激しい雨」の2曲を続けて披露。「オゼ、須田、辻に、敬でBentham!」と、須田がリーダーシップをとる恒例コール&レスポンスで湧かせ、3時間近くにおよぶ5周年ライブを締めくくった。

 この日、発表された春のツアーは、初の北海道ワンマンを含む全8公演のワンマンツアーになる。5周年を経て、まだまだBenthamが届けてくれる「初めて」のワクワクは尽きることがなさそうだ。これまで以上に自由に、やりたいことを追求していくBenthamの6年目以降に期待したい。

【取材・文:秦理絵】
【撮影:白石達也】

tag一覧 J-POP Bentham ライブ 男性ボーカル

リリース情報

Re: Public <2014-2019>

Re: Public <2014-2019>

2019年11月13日

ポニーキャニオン

1. パブリック (2019 ver.)
2. クレイジーガール
3. 僕から君へ
4. White
5. Cry Cry Cry
6. サテライト
7. TONIGHT
8. contact
9. Hope the youth
10. memento
11. cymbidium
12. アイマイミーマイン
13. YUMEMONOGATARI
14. 初恋ディストーション
15. 夜明けの歌
16. アナログマン
17. タイムオーバー
18. Chicago
19. FATEMOTION
20. 激しい雨
21. FUN ※新曲

セットリスト

Bentham debut 5th anniversary special
「東京パノプティコン ~Re: Public~」
2019.11.22@東京キネマ倶楽部

    第一部
  1. 01.アイマイミーマイン
  2. 02.TONIGHT
  3. 03.contact
  4. 04.YUMEMONOGATARI
  5. 05.ハイルーフ
  6. 06.僕から君へ
  7. 07.サテライト
  8. 08.手の鳴る方へ
  9. 09.クレイジーガール
  10. 10.HEY!!
  11. 第二部
  12. 01.アナログマン(アコースティックVer.)
  13. 02.five(アコースティックVer.)
  14. 03.SUTTA MONDA(アコースティックVer.)
  15. 04.夜な夜な
  16. 05.夜明けの歌
  17. 06.cymbidium
  18. 07.Hope the youth
  19. 08.BASSBALL
  20. 09.White
  21. 10.Chicago
  22. 11.FATEMOTION
  23. 12.Cry Cry Cry
  24. 13.MIRROR BALL
  25. 14.パブリック
  26. 【ENCORE】
  27. EN1.FUN
  28. EN2.激しい雨

お知らせ

■ライブ情報

Bentham ワンマンツアー2020
2020/03/08(日) 仙台CLUB JUNK BOX
2020/03/15(日) 福岡 UTERO
2020/03/20(金) 札幌 COLONY
2020/04/01(水) 岡山 PEPPERLAND
2020/04/03(金) 名古屋 UPSET
2020/04/04(土) 大阪 JANUS
2020/04/11(土) 新潟 CLUB RIVERST
2020/04/18(土) 渋谷 CLUB QUATTRO
Bentham × nuance 「ベンサヌュ」
~タカシの好き放題~

2019/12/12(木)渋谷O-nest

エアトリ presents 毎日がクリスマス 2019
~かりゆし58×Bentham~

2019/12/14(土)横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール

2019/12/20(金)高松TOONICE

FLOW 2MAN TOUR 2019-2020
「VS NEXT GENERATION」

2019/12/21(土)岐阜CLUB-G

MERRY ROCK PARADE 2019
2019/12/22(日)ポートメッセなごや1号館~3号館

「KOGA RECORDS NIGHT」
~2019 忘年会SPECIAL~

2019/12/24(火)下北沢CLUB 251

COUNTDOWN JAPAN 19/20
2019/12/31(火)幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

FlowBack LIVE TOUR 2019-2020 “Connect"
2020/01/05(日)福岡BEAT STATION

SpecialThanks presents
"特別的謝謝夜 vol.1"

2020/01/17(金)新代田FEVER

RAD CREATION presents
でらロックフェスティバル2020
powered by @FM

2020/02/01(土)DIAMOND HALL / APOLLO BASE他、新栄/栄/大須エリアのライブハウス20会場以上

HAPPY JACK 2020
2020/03/14(土),15(日)熊本B.9 V1・V2、Django、ぺいあのPLUS’ *出演日は後日発表

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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