レビュー

Lenny code fiction | 2016.11.02

連載 第145週
Lenny code fiction「Flower」



一貫性とストーリー性のある歌詞に、アイディア豊富なサウンドがよく似合う

 ONE OK ROCKを手掛けるakkinがサウンドプロデュースを務めるLenny code fictionの2ndシングル「Flower」は、アイディアてんこ盛りに詰め込まれている。普通なら、売れっ子プロデューサーだからこそ手堅い作品作りをするものだが、akkinは惜しみなく“オイシイ音”をLenny code fictionに注ぎ込む。それだけ楽しいプロジェクトだということだろう。そして、それ以上にLenny code fictionのメンバーが、akkinのアイディアを楽しみながら自分たちの音として表現しているようだ。

 タイトル曲「Flower」は、1stシングルに続いてアニメのオープニングに抜擢されている。「ALL OUT!!」は日本初のラグビーをテーマにしたアニメだ。もちろんこのアニメに合わせた歌作りを行なったのだろうが、それでもこのバンドの本来持っているテイストが充分に活かされている。

 たとえば♪逆らうことさえ正義に思えた♪という印象的なフレーズは、作詞作曲も手掛けるボーカル&ギター・片桐 航の座右の銘“正義の逆はまた別の正義”という言葉に見事に沿っている。次のバースでは♪誰かが嫌がっても それでも咲かせたい♪とさらに踏み込んだ上で、最後は♪見せたいんだ喜びの花を♪とメッセージする。

 このあたりの一貫性とストーリー性は、23才というバンドの平均年齢を考えると“早熟”と言えるかもしれない。そんなソングライティングの頑張りに応えて、akkinは様々なアイディアを繰り出しているのだろう。

 僕がこの曲でいちばん好きなパートは、♪逆らうことさえ正義に思えた♪の少し後に歌われる♪僕ら一緒にいて♪の部分だ。ここでバンドサウンドが途切れてシーケンサーとギターと歌だけになる。その“突き抜けた感じ”が、片桐の歌詞と歌声を極めて鮮明にリスナーの耳に届けてくれるのだ。

 たった3分50秒の曲ながら、「Flower」は壮大な歌詞とサウンドでLenny code fictionの世界観を存分に楽しませてくれる。ロックバンドのシングルとして、すべての条件を満たしている点に注目したい。

 カップリングのミディアムテンポのバラード「オーロラ」は、アレンジがロマンティックに展開していく。対してもう1曲の「KISS」はアップテンポのポップチューンで、きっとライブで盛り上がることだろう。

 一体、どんなライブをやるんだろうと想像を膨らませてくれる2ndシングルだ。

【文:平山雄一】

リリース情報

Flower

Flower

発売日: 2016年11月09日

価格: ¥ 1,204(本体)+税

レーベル: Ki/oon Music

収録曲

1. Flower
2. オーロラ
3. KISS

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