レビュー

THE YELLOW MONKEY | 2019.12.06

 再集結してから3年になるTHE YELLOW MONKEYが、結成30周年を記念して19年ぶりにリリースした9作目『9999』を”完結版”にアップグレード、「30th Anniversary『9999+1』-GRATEFUL SPOONFUL EDITION-」をリリースした。

 プラスされるのは1つだけではない。DISC-1には『9999』発表後に行われた全国アリーナツアーで流れた「ボナペティ」のオープニング&エンディング・バージョン、『9999』未収録のLA録音音源「ダレカニ-demo-」、そして2015年に録音されていたEMMA作の曲「eien-demo2015-」が加わり、全17曲となる。

 「ボナペティ」は、タンバリンとブルースハープだけで吉井和哉が歌うアコースティックな曲。「ダレカニ-demo-」は歌詞もない歌と演奏で、彼らの楽曲の原石に触れるようでドキドキさせられる。「eien-demo2015-」は更にラフな演奏に歌メロを乗せている音源なのだが、骨太なサウンドはこのバンドならでは。これらの曲も、いつの日か完成した楽曲となって披露されるのだろうか。

 更にDISC-2は、全国15箇所27公演にわたった「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-」から8月3日に行われた宮城・セキスイハイムスーパーアリーナでのライブ映像を全編にわたり収録。このツアーは4パターンのセットリストが組まれ、それぞれトランプのマークになぞらえて♠・♥・♣・♦と名付けられていたのだが、この公演は“♦”だった。映像や照明を駆使し、オーディエンスと一つになっていくライブ映像は何度見ても感動的だ。また、このツアーに完全密着した横山マサト氏の未公開写真で構成する全200ページ以上に及ぶブックレットも付属、4パターンのゴージャスな衣装でステージに立つ彼らをじっくり見ることができる。

 3月28日にリリースした『9999』は、日本武道館で“試聴会”を開き、そこで全曲生演奏するサプライズお披露目だったことを思い出せば、あらかじめライブと密な関係にある作品だった。オーディエンスが加わることで完成する『9999』だったとすれば、今回の『9999+1』が“完結版”と名付けられたのもうなずける。

 だがこれで全てが完結したわけではない。すでに彼らの結成記念日12月28日のナゴヤドームを皮切りに、2020年は京セラドーム大阪、東京ドーム2daysとドーム・ツアーを発表している。THE YELLOW MONKEYは、まだまだ完結などしないのだ。

【文:今井 智子】

リリース情報

30th Anniversary『9999+1』 -GRATEFUL SPOONFUL EDITION-

30th Anniversary『9999+1』 -GRATEFUL SPOONFUL EDITION-

発売日: 2019年12月04日

価格: ¥ 7,800(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン

収録曲

■Disc1(CD)
1.ボナペティ-OPENING-
2.この恋のかけら
3.天道虫
4.Love Homme
5.Stars (9999 Version)
6.Breaking The Hide
7.ロザーナ
8.Changes Far Away
9.砂の塔
10.Balloon Balloon
11.Horizon
12.Titta Titta
13.ALRIGHT
14.I don’t know
15.ボナペティ-ENDING-
16.ダレカニ-demo-
17.eien-demo2015-

■Disc2(DVD)
「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL-」@宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(2019年8月3日公演)

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