カノエラナ 2nd mini album「カノエ上等。」をリリース

カノエラナ | 2017.02.14

 昨年8月にメジャーデビューしたシンガーソングライター、カノエラナ。1st mini album「カノエ参上。」は自己紹介的要素が詰まったポップな作品だったが、今作「カノエ上等。」ではカノエ流のロック魂が炸裂している。正面切って名を名乗り、ご挨拶を済ませたところでのファイティングポーズ。ユニークな視点と抜群のメロディーセンスを武器に、戦う準備は充分に出来ていることを伝える痛快なミニアルバムだ。グイグイとかメキメキとか、そんな音が本当に聞こえてきそうなくらいの成長を遂げている彼女の今を掘り下げた。

EMTG:今回のミニアルバムは、聴いてるだけでライブ会場に行ってるような気分になりました。
カノエラナ:そうですね、かなりライブサウンドな感じになっています。「カノエ参上。」がすごくポップな作品だったので、今回はサウンド的にもロックな方向にしたかったんですよね。
EMTG:カノエラナ流のロックの定義ってどういうものですか?
カノエラナ:噛みつく!ロックといえば、噛みつくような感じだと思います。たとえばどんな曲?って聞かれたら、今回の「おーい兄ちゃん」。この曲は、とあるライブハウスでお酒持ちながらヤバい話してたチャラチャラしたお兄ちゃんと、その数日後、焼肉屋さんにいた会社員の4人組の話が元になってるんですよ。4人の中にいた上司みたいな人が武勇伝を話してて、その人がトイレに行った時に「マジ、ウザくね?」みたいな会話が聞こえてきたんです(笑)。こわ~!と思いながらも、曲にしたら面白そうなんでめっちゃ聞いてました(笑)。
EMTG:じゃあ結構歌詞のまんまだったんですね。
カノエラナ:そう。実際自分も言われたらウザいだろうなって思うと思うんだけど(笑)、その時は、上司の人こんなに言われてかわいそうだなと思っちゃって。でも歌詞にする時は、ただの噛みつきだけじゃダメだと思ってるんですよ。最終的には、誰もが救われなきゃいけないっていうのが自分の中にあるんです。ハッピーエンドで終わりたいじゃないですか、どんな曲も。だから、どこかしら救いを入れるっていう前提で「おーい兄ちゃん」も書き始めました。
EMTG:最後まで歌詞を聴くとわかりますね。
カノエラナ:しょっぱなは喰いついてるけど、最終的には兄ちゃんの言い分もわかるよと。後輩に言いたいよね、わかるよ、でも実際はこういうこと言われてるんですよってことを、遠回しに歌で教えてる(笑)。物事の見方が一方的にならないようにっていうのはいつも心がけてることですね。
EMTG:最終的には誰もが救われなきゃいけない、ハッピーエンドがいいっていうのは、表現者としての信念みたいなものなんですか?
カノエラナ:そうですね。単純に曲としてかっこよければいいっていう考え方もいいと思うんだけど、私はやっぱりシンガーソングライターだから、歌詞もちゃんと読むし、何でこうなっちゃったんだろうっていう結果も追い求めちゃうんですね。私はネガティブなものばかり歌ってても誰も救われないよなって思うし、たとえハッピーエンドになってなくても、ちゃんと次が見えるような、道が見えるような終わり方がいいなって思ったんです。だって、助けを求めるために歌を聴いてる人のことを突き落としてどうすんじゃ、って思うから(笑)。
EMTG:そんな風に考えるようになったのは何かきっかけがあったんですか?
カノエラナ:ありました。唐津から東京に来て、カノエラナとして活動を始めてからなんですけど、それまではむしろ、どん底が好きみたいな考え方だったんですよ。大人キライ、人キライみたいな感情がめちゃくちゃ強かったんで、その時はハッピーな曲を書く意味がわからないとすら思ってたんです。でも東京に出てきたら (事務所の社長をはじめスタッフも)関西の人ばっかりで(笑)、常に「笑い、笑い!」みたいな感じでカルチャーショックを受けたんですよ。考え方とかも全部ポジティブだし。話の最後は結局「知らんけど」って言われるけど(笑)、その言葉に助けられたりもして、「なんだ、全然ハッピーでいいじゃん!」って思えた時に、自分の作る曲が変わったんです。
EMTG:東京で関西の洗礼を受けたわけですね(笑)。
カノエラナ:そうです、そうです(笑)。価値観、めっちゃ変わりました。ネガティブ、ネガティブだった18年間が全部覆されて、自分でもビックリしたんですよね。
EMTG:人生そのものを変えるくらいの出来事って、聞いている方はワクワクするけど、そのど真ん中にいる時の本人の気持ちとしてはどうでした?
カノエラナ:何色に染められてもいいやっていうか、「さぁ、どうぞ!」ぐらいの気持ちじゃないと、そういうのって絶対に跳ね返しちゃうじゃないですか。だからまずは自分を白紙に戻すっていうのがすごく大事だなと思ってました。人が言ってることを、一度受け入れる。ちょっと違うなと思ったらやらなくてもいいけど、やったら面白いかもなって思ったら全部やる。そういうの大事だよなって、最近も改めて思ってるんですよね。
EMTG:カノエラナの音楽はそうやって生まれてきてるんですね。
カノエラナ:そうですね。迷いなく、思っていることを、現状で伝えるべきセリフで伝えています。
EMTG:その最新型が今回の「カノエ上等。」となるわけですが、1曲目は「トーキョー」という曲ですね。
カノエラナ:この曲は、私の中の”フレッシュ東京”。実際に自分がめっちゃ辛いとか、田舎に帰りたいとかはないんですよ。ないけど、自分の中のどこかにある0.何パーセントかの気持ちを100にして書いたんです。みんな東京に対してのイメージって悪いじゃないですか。私も上京するまでは「東京は悪い人ばかり」とか、「あんなごちゃごちゃしたところ、絶対あんたみたいな人は行けんけん」とか言われてきたけど、来てみたら全然そんなことなくて。むしろ住みやすいなと思ったんです。他人に対して干渉しない、冷たいところが好きだなと思って。
EMTG:いい意味での距離感みたいなのがありますからね。
カノエラナ:はい。だから、東京って別にそんな悪いところじゃないよっていうのを明るくポジティブに言ってるんです。
EMTG:でも同じ上京組として、「笑え!トーキョー」、「泣くな!トーキョー」ってサビで明るく歌われれば歌われるほど、グッときちゃうんですよね(笑)。
カノエラナ:(笑)。そういうのを経験してる人にとっては「あの時ああだったな」ってジーンと来るんですよね。この曲を聴いた人からは「これから上京するんだけど、気持ちが楽になりました」とか、逆にずっと東京にいる人からは「東京ってこんな風に見えてるんだ」とかいう声もあって、ひとつの曲なんだけど、その人がいる場所によってこんなに聴こえ方違うんだなっていうのも感じました。
EMTG:東京をテーマにした曲は、いつか書きたいと思ってたんですか?
カノエラナ:そうですね。佐賀から東京に行く人ってあまりいなかったから、私だけしか経験できないことを歌にしないでどうするんだっていうのがあって。タイトルは、不格好で可愛いみたいなのを伝えたかったので、カタカナにしました。カクカクしてるフォルムも好きだし、漢字より柔らかい感じも表現したかったので。
EMTG:ラストの「恋とか愛とかそーいうの」は男性目線のラブソングです。
カノエラナ:この曲は、指弾きの曲が作りたいなっていうのがきっかけでした。この時も何かそういう感じの恋愛のアニメを見てたんですけど、アニメじゃなくリアルで考えてみようと思って作った、精一杯のラブソングです(笑)。
EMTG:リアルってことは、恋愛観とか生き方とか、にじみ出てるものがあります?
カノエラナ:ありますね。基本、片思いっていうのが出てます(笑)。一途なんですよ、たぶん。音楽もそうだけど、ひとつ「これ」って思ったらそれ以外入って来なくなるくらい一途。だからたぶん、恋愛に関してもそうなんでしょうね。目移りなんて絶対ありえない!みたいなタイプ。あと、カップルとかを応援するのが好きなので、リアルでも二次元でも、2人の幸せを見ていたいタイプなんですよ。基本、第三者の立場なので、それが曲にめっちゃ出てると思います。
EMTG:この曲、アレンジの面にもこだわりがあるそうですね。
カノエラナ:アコギ1本だと本当にひとりの歌になっちゃって悲しいから、2人の歌になるように、アコギも2本入れてるんです。男性の方がコードで、女の子の方が上をなぞるように寄り添ってるんですけど、最終的にはひとりになるので、音的にも1本にしました。
EMTG:さきほど音楽に対して一途だって言葉がありましたけど、カノエさんにとっての音楽ってどこまでを差してます?たとえばライブこそが本当の意味での音楽と言い切る人もいるでしょうし、作家として誰かに提供するものは自分と分けて考えてるって人もいると思うんですけど。
カノエラナ:“どこまで”…。あ、でも、メロディーがついたら音楽なんじゃないですかね。歌いたいと思ったり、弾きたいと思ったらもうそれは音楽だと思うから。気持ちとして一途って言葉を使ったけど、カノエラナとしての音楽は何でも取り入れようとしてるから、視野はむしろ広いと思います。
EMTG:「マネキネコ」、「ひとりかく恋慕」、「ピザまん」。今回収録されているこれらの曲だって、タイトルのインパクトやサウンドのバリエーション、描かれている景色など本当に視野が広いし、発してるエネルギーがすごいものばかり。ライブで聴くのが楽しみです。
カノエラナ:3月から始まるツアーは初めて行く場所も多いし、”ぼっち”なんで、「ワタクシ、こういうものです。」っていうのをわかりやすく見せられたらいいかなと思ってます。その後はまたバンドツアーも決まったので、弾き語りと合わせて楽しんでもらえたら嬉しいなと思ってます。
EMTG:では最後に、「カノエ上等。」と同時リリースされる30秒ソング集「30秒~カノエの楽しい歌日記~」についても聞かせてください。
カノエラナ:Twitterにアップしてた30秒の弾き語り動画の音源を、このアルバムのためにレコーディングしました。最初は「そんなへんなアルバム作るの!?」と思ったけど(笑)、やってる人見たことないし、聞いたこともないから「これって私にしか出来ないんじゃね?」と思って、選りすぐりの曲を集めてみました。ヘンテコだけど(笑)、これまでの進化もわかるような作品になってると思います。

【取材・文:山田邦子】

tag一覧 ミニアルバム 女性ボーカル カノエラナ

リリース情報

「カノエ上等。」

「カノエ上等。」

2017年02月15日

ワーナーミュージック・ジャパン

1.トーキョー
2.おーい兄ちゃん
3.マネキネコ
4.ひとりかく恋慕
5.ピザまん
6.恋とか愛とかそーいうの

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リリース情報

30秒ソング集「30秒~カノエの楽しい歌日記~」

30秒ソング集「30秒~カノエの楽しい歌日記~」

2017年02月15日

ワーナーミュージック・ジャパン

01. さばくんにあいたい
02. まえがみななめ
03. なかなか鼻水が止まらない
04. 奥二重のうた
05. ハハノヒ
06. こまか
07. ヒトミシリ
08. かぜ
09. 先輩が、好きです。
10. 買ったばかりの牛乳を
11. ハッピーウエディング
12. それが現実
13. ゴキブリの歌
14. たばこ吸うのやめてよ
15. わたしはゴキブリ
16. 女子校最高
17. 唐津くんちの曳山のうた
18. 速度制限解除最高
19. 恋する地縛霊
20. 大事にしてもらえよ
21. バレンタインのうた
22. 嘘つき
23. 地縛霊に恋をした
24. 歯医者さんのうた
25. カベチョロのうた
26. 鉄壁スカート
27. 迷子のうた
28. 花粉症の歌
29. たのしいバストの数え歌
30. 太陽サンサン応援歌

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お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

カノエラナ ご挨拶ワンマンツアー2017
「勇者を探して三千里~ぼっちで広げる旅の地図~」【弾き語り編】

2017/03/18(土) 埼玉 さいたま新都心HEAVEN’ S ROCK
2017/03/21(火) 福岡 Queblick
2017/03/25(土) 大分 Club SPOT
2017/03/26(日) 熊本 Django
2017/03/30( 木) 長崎 STUDIO Do !
2017/04/01(土) 鹿児島 SR HALL
2017/04/02(日) 宮崎 SR BOX
2017/04/04(火) 佐賀 RAG・G
2017/04/08(土) 石川 金沢ミリオンシティ
2017/04/09(日) 大阪 南堀江knave
2017/04/15(土) 宮城 仙台enn 3rd
2017/04/16(日) 北海道 札幌COLONY
2017/04/20( 木) 静岡 浜松FORCE
2017/04/22(土) 広島 SECOND CRUTCH
2017/04/23(日) 岡山 CRAZY MAMA 2nd
2017/04/29(土) 香川 高松TOONICE
2017/05/03(水祝) 京都 拾得

2nd mini album「カノエ上等。」リリースツアー
「とうめいはーん!!! ふくをマネくぜ勇者たち。」【バンド編】

2017/05/26(金) 大阪 梅田Shangri-La
2017/05/28(日) 福岡 DRUM Be-1
2017/06/02(金) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
2017/06/10(土) 東京 渋谷WWW X

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