札幌在住3ピース高校生ロック・バンド、-KARMA- 初の全国流通盤『イノセント・デイズ』

KALMA | 2018.11.01

 2016年の5月に結成された、札幌在住の高校3年生によるスリーピース・バンド、-KARMA-。斉藤陸斗(Ba&Cho)、畑山悠月(Gt&Vo)、金田竜也(Dr&Cho)の3人で地元のライブハウスなどで活動をしながら、今年の5月にリリースした自主制作CD『少年から』がタワーレコード札幌ピヴォ店の週間インディーズチャート1位を獲得。夏には北海道の大型音楽フェス『JOIN ALIVE 2018』へ史上初の高校生での出演を果たすなど、人気を加速させている。そんな彼らが初の全国流通ミニ・アルバム『イノセント・デイズ』をリリース。10代の揺れ動く胸の内をストレートに言葉にした歌詞と、聴いているだけで楽しく甘酸っぱい気持ちになれるような伸びやかなメロディライン、勢いのあるバンドサウンドが特徴的な楽曲が詰まった作品に仕上がっている。バンドが鳴らす音楽にワクワクしたり夢中になったことがある人ならば、ぜひ聴いてもらいたい。結成のいきさつや今のリアルな想いを3人が語ってくれた。

EMTG:まずは-KARMA-の結成のいきさつから聞かせてください。
畑山悠月(Gt&Vo):結成が2016年の4月で、高校1年生の時に最初は4人でバンドを組んだんです。今の3人編成になったのは2017年の9月くらいからで。リードギターが抜けた時に、あえてサポートギターを入れずに3ピースでやってみたいと思ったんですよね。周りの高校生バンドに3ピースのバンドがあまりいなかったこともあるし。3人になって前のドラムが抜けた時に、バンド活動を通じて友達だった竜也を誘ったんです。高校生企画のライブがあった時に、リハーサルが終わって、地元のバンドのみんなで松屋を食べに行ったりしたことあったね。
金田竜也(Dr&Cho):あの時、めっちゃいっぱいいたね。
畑山:15人くらいいた(笑)。さすがに店内に入りきれなくてテイクアウトして。結局みんなで河川敷で牛丼食いました。
EMTG:札幌の高校生活でバンドをやるということは割と身近にあったことなんですね。
畑山:そうですね。特に僕らの代は高校生のバンド活動がすごく盛んで。ライブハウスでも高校生企画がすごく多くて、チケットも500円とか安かったりするのでお客さんも遊びに来やすいし、ライブを観た人がまたバンドを始めてという感じで。
EMTG:そうなんですね。オリジナル曲を始めたのはいつから?
畑山:4人でやっていた時はKANA-BOONとかASIAN KUNG-FU GENERATIONとかのコピーをしてたんですけど、3人になった時から“他の高校生バンドと差をつけようぜ”という気持ちからオリジナル曲をやり始めました。
EMTG:みなさんそれぞれの音楽ルーツを教えてください。
斉藤陸斗(Ba&Cho):僕は小学校6年生くらいからずっとONE OK ROCKを聴いてて。もともと悠月とは小・中・高一緒で、野球も一緒にやってたし昔からよく遊んでたんですけど。最初はそんなにバンドに興味はなく、ベースを始めたきっかけは悠月に無理矢理やらされて(笑)。だから始めたばかりの頃は練習してても『ベースって何だ? この音は必要なのかな?』と思いながら弾いてました。でも本格的にライブをするようになってお客さんも増えてくると楽しいなと思うようになりました。
畑山:僕はもともと保育園の時から小学校を卒業するまでの7年間くらいバイオリンをやってて、でもそこまで音楽に興味があったわけではなくて。音楽を始めたきっかけは中学生の時にMr.Childrenの曲をお母さんの車の中で聴いて良いなと思ったことだったんですけど。桜井さんに憧れていたので絶対に歌いたかったしギターも弾きたかったんです。桜井さんにはなれないですけど、かなり影響を受けています。
金田:僕は誰に影響とかはないんですけど、小学校の時から父が好きなマキシマムザホルモンを聴いていました。そこから色んな音楽を聴くんですけどAAAが好きだった時もあるし、SiMとかHEY-SMITHとかめっちゃ好きです。-KARMA-をやるようになってから、他のふたりがよく聴くような優しめのロックを聴くようになりました。
EMTG:斉藤くんと畑山くんは野球をやってたんですね。
畑山:小学生の時は北海道の700チーム中3位とかの強いチームにいて。
斉藤:でも野球に未練は全く無いです(笑)。中学生からは悠月とは別に硬式野球をやってたんですけど、肘の調子があまり良くなくて。ある日、学校の手すりにもたれて窓の外を見てたら友達がふざけてふたりがかりで僕の足を後ろから持ち上げてきて、その時に肘から床に落ちちゃって。それで更に肘を悪くして野球できなくなっちゃったな、と思ってた時に悠月にバンドに誘われたんです。
EMTG:そうだったんですか。さっき畑山くんから車で聴いたミスチルに影響を受けたというエピソードもありました。親が聴いていた音楽に影響を受けたミュージシャンが作る曲は、同世代だけでなく幅広い世代から人気を得るというのは私の持論なんですけど(笑)。-KARMA-もそうじゃないですか?
畑山:そうですね。僕らの同世代だけじゃなく、上の世代の人達からも曲を覚えてもらうことが多くて嬉しいです。
EMTG:どういうことを大事に曲作りをしていますか?
畑山:今だけじゃなくて何年経っても良いメロディだなとか良い曲だなと思われるのが一番嬉しいです。1回聴いたら歌えなくても頭には残ってるくらいの絶対的なメロディを作りたいというこだわりはあります。だから今回のミニアルバム『イノセント・デイズ』も、全曲と言っていいくらいサビとか特徴的だと思うんです。自分たちらしい曲が出来たなという時はアコギ1本で弾いている時からわかります。
EMTG:今作『イノセント・デイズ』の1曲目「僕たちの唄」のサビ《雲に囲まれ ゆらゆら》のメロディとか、すごく爽やかで伸びやかで良いですね。
畑山:この曲は……あ、石狩川!(取材場所に置いてあるモニターから石狩川の風景映像が流れる)。
金田:ほんとだ(笑)。まさに『僕たちの唄』は石狩川に行って作ったんでしょ?
EMTG:すごい偶然ですね(笑)。
畑山:曲ができなかったので、いつもは家で曲作りをしてるんですけど、川とか公園とかでやってみようと思って。川に行ってギターを弾いて出てきたコードを、今度は公園でメロディにしてという感じで曲作りをしていました。
EMTG:環境を変えたことで新しい曲も生まれたんですね。ちなみに今作の中で一番最初に出来た曲は?
畑山:『ハレルヤ』です。《中二の夏 夢で見たあのステージへ》という歌詞があるんですけど、これは僕がミスチルのライブを観に札幌ドームに行った時のことなんです。桜井さんが楽しそうに歌ってるのを見て『こんなところで歌ってみたい』って思ったし、それまで札幌ドームは野球やサッカーをする場所というイメージだったのでミュージシャンがライブをしている姿も衝撃でしたね。その時の気持ちを思い出したりしながら、いつか-KARMA-はこういうバンドになりたいなという歌詞を書きました。
EMTG:そして今回のアルバムには「大人になりたい」と「大人になりたくない」という相反する感情が描かれていますが、どちらも素直に言葉にされていますね。
畑山:そうですね。自分の中で“俺らは高校を卒業するから大人になるんだ”という完結はしたくなくて。大人になりたいとも思うし、なりたくないとも思うし。自分たちの中でまだわからないから、そのままの気持ちを歌った方が聴いてる人も面白いと思うんですよね。
金田:僕は大人になりたくない派ですね。高校生がいいな。
斉藤:うん、今は高校生活が楽しいから。
畑山:ほんと? 僕は絶対大人になりたいな。美人なお姉さんが好きなので大人になって出会いたい(笑)。
EMTG:(笑)。10代の色んな想いが詰まった今しか鳴らせない作品になったと思いますが、アルバムが完成してどんな気持ちですか。
金田:僕としてはタイトル通り高校3年間の無邪気な日々を表現できたかなって思っています。
斉藤:さっき悠月が『これから何年も聴いてもらえるものにしたい』って言ってたけど、友達が僕らの曲を聴いて『初めて聴いたけどなんか懐かしい感じがする』って言ってくれた時に、考えてたものが作れたんじゃないかなと思って。今回の新曲とかも悠月が曲作るの大変そうだったので、その想いが届くといいなと思います。学校でも悠月が一時限目から寝てるのを見ると「遅くまで頑張ってるんだな」って。
畑山:朝4時まで曲作りして8時に起きるみたいな生活してたから(笑)。でも色んなアーティストの歌詞を見て勉強したりもしたし、このアルバムの制作を通じてすごく良い時間を過ごせました。ほんとに1曲1曲、全部違う感じで、その時々の僕らが表現できたので、聴いてくれる人にも色んなことを感じ取ってもらえるんじゃないかなと思います。
EMTG:自信を持って曲を届ける、その想いがリスナーにも楽しさとなって伝わってきます。
畑山:自信がないと、たぶん俺たちみたいなバンドはこんな明るい歌を歌えないんで。いつも僕らは大きなライブ前とかは不安がってますけど、結局ライブをすれば元気になるのは自分たちでもわかりますし。全員、自信あります。
EMTG:皆さん高校卒業後の進路は?
斉藤:僕は札幌にある医療系の専門学校に行きます。
金田:僕は音楽の専門学校です。
畑山:みんな上京はしないし、ふたりは学校に行くので今とあんまり変わらないのかなと思います。僕はたぶん進学はしないし就職も考えてないので、ちょこっとバイトしたりしながら、-KARMA-の曲をいっぱい作りたいなと思っています。まだ10代だし、北海道に住んでるし、そういう意味で活動は限られるかもしれないですけど、その中でもできる最大限の活動をこれからして行けたらいいなと思います!
EMTG:まずはこの『イノセント・デイズ』という作品とバンドの存在がより多くの人に知ってもらえたらいいですね。
全員:はい、ありがとうございます!

【取材・文:上野三樹】

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リリース情報

イノセント・デイズ

イノセント・デイズ

2018年11月07日

Eggs

1.僕たちの唄
2.ハレルヤ
3.年上の、お前
4.イノセント・デイズ
5.SORA
6.くだらん夢
7.少年から

お知らせ

■ライブ情報

畑山悠月(Vo&Gt)
北海道中央バス
僕は多分、年がら年中「北海道中央バス」です。僕の住んでる所には電車は通ってなく、移動は全部バスで、バンドやらバイトやらで移動が多いのでよく調べます。電車に比べて頻繁に動いてないので、ちゃんと明確に時間を調べて、乗り遅れが無いようにしています。(でも乗り遅れます。おかしいなあ)

斉藤陸斗(Ba&Cho)
サバイバル 生き抜く
僕は最近、海外のサバイバル生活の映像を見ることにハマっていてその流れでサバイバルを生き抜くための知恵やスキルなどをよく調べています。(僕には絶対できないなと思いました、、笑)

金田竜也(Dr&Cho)
CSGO 打ち合い
ゲームが好きすぎて、ゲームについて調べることがとても多いです!
上手くなる方法や武器の種類を調べたりと気づいたら時間が経ってしまいます。。
他のメンバー二人はあまりゲームをやらないので何かの機会に勧めたいと思います!

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