Amelie ニューシングル「ノンフィクション」

Amelie | 2019.04.22

 昨年1年を経て、ライブの動員、知名度共に更に飛躍したAmelie。そんななか届けられた今回の3曲入りEP「ノンフィクション」はまさに勝負作だ。従来の彼らの魅力が更に強調され、且つ新要素もしっかりと加味。それらの融合や同居は新章突入をも示唆している。 シンプルながらもキチンと構築性が溢れている今作は、実にロックバンドAmelieの面目躍如。整然とした作品感やその練り、ブラッシュアップを繰り返し辿り着いたが故の楽曲としての高い完成度を誇る。

 表現の仕方や伝え方に更に磨きがかかった感のある今作。しかしご安心を。その方法論は進化しつつも、根本は未だ聴き手が待望している楽曲ばかりだ。それはどの曲も、傍らにてまるで親友から優しく肩をポンと叩かれているが如くの安堵感と助力を与えてくれる。そう、彼らは今作を通じ、今一度、生命力と信憑性溢れる歌とサウンドにて、これまで以上に幅広い層の人々を次のフェイズへと誘ってくれる。
EMTG :個人的に今作からは、各曲非常に凄くAmelieらしさと新境地の同居を感じました。タイトル曲こそ「ノンフィクション」ですが、どれがタイトル曲になっても遜色のない出来の楽曲が揃っていて。
あっきー : まさに今おっしゃってくれた通りの理由もあり、ぶっちゃけどれをタイトル曲にするかはメンバー間でも非常に悩みました。
EMTG : 対して、これを表題曲に持ってきたのもいささか意外でした。この「ノンフィクション」が今回の3曲中、最も従来と違ったタイプに感じたもので。とは言え、そこに次へのフェイズを感じたりもして…。
mick : 今回、これをタイトル曲に持ってきたのはその「次のフェイズ感を出したい」気持ちが強かったからで。「自分たちはこのようなバンドなんだ!!」って部分を前面に強く打ち出しながらも、新しいAmelieを切り開きたかったんです。でも、かつては私たちって「ノンフィクション」寄りのバンドだったんですよね。
EMTG : それも意外です。
mick : ちょっとウェットさがあるバンドでしたから。とは言え決定的に違うのは、昔はそれこそシクシクエンエンでしたが、活動していくうちにポジティブさや聴いている人を元気にしていきたい方向性に辿り着いて。なので自分たちとしては、今だからこそ一周して出せる部分でもあって。改めて、「Amelieの本質ってこうなんだよ」と知ってもらう。そのキッカケ作りでもありました。
EMTG : その辺りもとても感じました。でも、それは今作のどの曲からも感じられて。みなさんの潜在的な要素を今ならではにブラッシュアップし、どれも放っている感があるんです。
直人 : Amelieはここ最近、色々な音楽性が表せる部分も売りでした。楽しいもハッピーも哀しいも切ないも。陰と陽の二面性も表したり。それらを経て今回は改めて「Amelieってこんなバンドだ!!」を今一度打ち出してみたくて。それが今必要だろうと。それが今回の3曲でもあるんです。
あっきー : 原点回帰をしながらもイメージチェンジもしたかったんです。あとは、これまで届いてなかった層にも届けたかったし。もちろんイメージを抱いていただけるのは嬉しいです。だけどそれだけだともったいなくて。それらを全てひっくるめて今自分たちが打ち出したいものは何かを現したのがこの3曲なんです。
アサケン : そこには前作アルバムでの反省点もありました。あれはあれで大好きで、当時は完璧と思ってましたが、やはりライブに重きを置くばかりに構築面や作品性にやや物足りなさがあって。それを経て今作では、自分たちが今一番やりたいことと今表現したいことをちゃんと詰め込んだ上でしっかりとしたビジョンを持った作品を作ろうと。そんな話をメンバー間でも深くしたんです。前作はそれこそそこまでビジョンを明確に詰め切れないままレコーディングに臨んでましたから。
EMTG : なるほど。
アサケン : それもあり、僕は次のフェイズに完全に入ったと思っています。mickのこれまでの象徴の赤髪も色や長さを変えたり。アーティスト写真も今回はあえて聴き手がそこから想像を膨らませられるようなものにしたし。ロゴも変えましたからね。
あっきー : より多くの人に届けるにはどうしたら良いか…?からその流れになりました。
mick : これまでは見た目や雰囲気で明確に伝わり過ぎたが故に届かなかった部分もありましたから。ビジュアルから音も想像出来ちゃって、それで逆に聴く人を限定してたのかなって。自分たちとしては純粋にいい音楽を作っているのに、それじゃもったいないし残念だなって。逆に「こんなにいいんだから聴いてよ!!」的な想いも強くあってのことでした。
あっきー : 今回のアー写やジャケ写にしてもいい意味で、どんな音楽をやっているかが明確じゃないじゃないですか。その分、興味はもちろん、先入観なしで聴いてもらえる。そこですね。なのでむしろターゲット的には自分たちをこれまで知らなかった方へというのがありました。
EMTG : が故の各楽曲の伝わりやすさは非常に感じました。加えて私が驚いたのは、こんなに詰め込んでいるのに実にシンプルに響かせている面だったんです。
アサケン : かなり詰め込みましたからね(笑)。とにかく景色が浮かぶ、匂いが漂ってくる、情景が浮かぶように楽器を入れてみました。何かを意図的に壊すために入れてものではなく、音数はこれまで以上に詰め込んではいますが、どれも全部重要で。しかもそれがトゥーマッチやごちゃごちゃしないようにしたい。その辺りは凄く気を使いました。
mick : それは歌詞にも言えることで。
あっきー : その辺りも前作での経験が活きてます。今回はとにかく作品のプリプロに入る前に、各々がアイデアを持ち寄り、色々と話ながら構築していったんです。なのでプリプロ段階からしっかりと練っていて。今回はエンジニアさんも一緒に参加してくれて楽曲に客観性をもたらせてくれたし。しかもプリプロを経てのレコーディングでもあったので、作品観の共有はもちろん、そこでのブラッシュアップも色々と念頭に進めていただけました。
EMTG : あと、サウンドのバリエーションが豊富な分、リリックでは逆に近いことを歌っている印象がありました。タイプは違えどどれも遺すものや死生観を共通に感じたんです。
直人 : ほぼ一緒ですね。特に僕の2曲のリリック(「ノンフィクション」「愛とか恋とか君との証」)に関しては同じところから派生した歌詞だったりするので。
EMTG : しかも、それがmickさんと直人さんと違ったパーソンが書いている部分に興味があります。
直人 : 実は僕、去年の秋に父親を亡したんです。それもちょうど今作の制作の時期に。それに際して特に今作に反映しよう的な話し合いはしてませんが、やはり僕の状況を見て、心情も察してくれたんでしょう。
EMTG : 「ノンフィクション」の歌詞からは特にその辺りを感じました。あなたの分まで生きるよ的な。
直人 : そうなんです。そこでただ哀しさだけを歌いたくはなくて。そこだけを伝えてもしょうがない。じゃあ、Amelieがこのような状況で伝えるのであれば…と。それがみんなで謳歌するサビのあのフレーズなんだろうなって。
EMTG : あのみんなでアンセムしている部分はホント生命力があり力が湧いてきます。
直人 : 哀しいことや受け入れなきゃいけない現実はあるけど、それでもそれを乗り越えて、その先の笑顔を手に入れなくちゃいけない。そり辺りがやはりAmelieとして伝えることなんだろうなって。「愛とか恋とか君との証」に関しては、歌詞はそれをモチーフに違った角度やテーマから、あえて真逆の曲調で前向きな感じを出してみたんです。
EMTG : 今回はその辺りのコントラストの妙をとても感じました。曲のテーマに対するサウンドやメロディや歌い方でのあえてのマッチ感とでも言うか…。が故にトゥーマッチや重々しく聴こえずスッと入ってくる。
mick : 「ノンフィクション」のウェットな歌い方は久々の挑戦でした。この曲はサウンドこそバンドサウンドでしたが、イメージ的には弾き語りをしている自分を想像しながら歌いました。その分丁寧だし、デリケートな部分にも気を使い、より楽曲に感情が込められました。久しぶりにファルセットを多用してみたんです。ここ最近の真っすぐで行くゾ~!!といった無垢でピュアとは違った路線で。今回は色々と経験をして酸いも甘いもかみ分けた年相応の感情や深みを交えて歌いたかったんです。
EMTG : 反面これまでのAmelieの元気印が好きだった方が、アレっ?と感じ、離れてしまう怖さは無かった?
mick : 全く無くて。今まで好きだった方にも受け入れてもらえる自信もあるし。そこは何も心配してないな。
EMTG : 表現の仕方や伝える術は変われど、歌っていることは基本変わってないですもんね。いわゆる肩をポンと叩いて一緒に行ってあげる感。そこは全く損なわれてないし、むしろ強くなったかも。
直人 : まさにその肩をポンと叩くって例えに尽きます。
あっき― : そうそう。ちゃんと自分のことを分かってくれている親友が傍らで肩をポンと叩いてくれている。上辺だけでなくキチンと信憑性と信頼感を持った励ましや元気づけ、それらが歌やサウンドで表せたんじゃないかな。
mick : これまではもっと楽観的でしたからね。その辺りも自分たちの表現の方法が広がったが故なんでしょう、言葉にしても音にしても。
アサケン : これまでは表現の仕方も2極化でしたから。陰か陽のどちらかみたいな。今回はその両方が上手く合わせられたしブレンドできたかなって。「愛とか恋とか君との証」も歌詞的には重いんですが、それをあえてポップでカラッと伝えることで聴きやすくでも伝わる部分はけっこう考えました。それがどの曲にも表れてるんじゃないかな。それもここまで色々と経たからこその表現のような気がしています。
EMTG : 今作は構築観がありながらもシンプルに感じさせる。その辺りのアレンジの巧みさも見受けられます。
あっきー : 引き算はかなり意識しました。あとは人のプレイやフレーズに対するメンバー間での注文も多かったし。結果メンバー間でもキチンと主観と客観が発生したのも大きい。それこそ今回はけっこう時間をかけてメンバー間で色々と話し合い、詰めながらやりましたから。
直人 : シンプルさは今回とても重要視しました。いい意味で改めて「僕らはインディーズバンドだ!!」を全面に出したかったので。
EMTG : インディーズバンドを自負するのは意外です。向かっている方向はポピュラリティでしょうから。
直人 : いわゆるアティテュードとしての「インディーズバンド」というか。なので間口は広く、幅広い多くの人に聴いてもらいたい気持ちはキチンと保持しつつ…。
あっきー : いわゆるバンド感ですね。
mick : その「間口を広く」も、お茶の間の方に向けてはもちろん、自分たちの主戦場は今はどうしてもライブハウスなので。その人たちにどう受け入れてもらえるかって面ですね。
直人 : 今まではライブハウスなのにお茶の間に向けて演っていたライブが、メジャー感もあるけど、今はあえてライブハウスで演っているバンド感。その辺りを出したかったんです。
あっきー : 叩き上げなところを魅せてやる!!みたいな、ね。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 シングル 女性ボーカル Amelie

リリース情報

ノンフィクション

ノンフィクション

2019年04月24日

[NOiD] / murffin discs

[CD]
1, 手と手
2, ノンフィクション
3, 愛とか恋とか君との証

[DVD]
1, ライアーゲームじゃ始まらない
2, 手紙
3, メグリメグル
4, 朝は来る
5, step!
6, STAND BY YOU
7, ヒーロー
(2018.09.22 @恵比寿LIQUID ROOM)

お知らせ

■マイ検索ワード

mick(Vo・Gt・Key)
サボテン 花言葉
最近、花粉症になったっぽくて。色々と調べている中、“そういえばあっきーも鼻にシューシューするヤツ(点鼻薬)をいつも使っているなと。Twitterを開いたところ、ちょうど「ナザールがどうの?」みたいなツイートをしているのが目に入ったんです。それを基に昨日、薬屋さんで手に入れました。

直人(Gt・Cho)
花粉症 点鼻薬
最近、花粉症になったっぽくて。色々と調べている中、“そういえばあっきーも鼻にシューシューするヤツ(点鼻薬)をいつも使っているなと。Twitterを開いたところ、ちょうど「ナザールがどうの?」みたいなツイートをしているのが目に入ったんです。それを基に昨日、薬屋さんで手に入れました。

あっきー(Ba・Cho)
クロルフェニラミンマレイン酸塩
もう、僕は昔から花粉症の点鼻薬には、むちゃくちゃ課金してきた男ですから(笑)。今の点鼻薬を3年近く使ってますが、今のところ最もこれが効きますね。色々な人に薦めてますが、みなさん色々と試された上で最終的にはこれに落ち着いてるみたいで。中の成分のクロルフェニラミンマレイン酸塩が効くらしいんです。これが沢山入っていればいるほど効くようで。もうこの薬品会社のエンドーサー(広告塔的な無償提供者)になってもいいんじゃないか?ぐらい使ったり薦めたりしてますから。

アサケン(Dr・Cho)
山本有三記念館
以前からずっと気にはなっていたんですが、これまで一回もそれについて調べたことが無くて。で、今回ようやくこの方が何をした人なのか?を調べてみました。文学家や作家さんだったらしいんですが、結局詳しくはあまり分からなかったという(苦笑)。なのでいつかは実際に入館したいですね。その際はまた報告しますね。



■ライブ情報

「ノンフィクション Release Tour 2019」
5/25(土) 越谷EASYGOINGS/越谷ABBEY ROAD ※自主企画サーキット
6/7(金) 広島SECOND CRUTCH
6/9(日) 福岡Queblick
6/14(金) 高松TOONICE
6/15(土) 梅田Shangri-La
7/18(木) 仙台enn 3rd
7/20(土) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
7/27(土) 名古屋APOLLO BASE
7/28(日) 渋谷eggman ※ワンマン

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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