レルエ、~不思議な異世界に引き込む~という意味合いが込められた1stフルアルバム『Alice』リリース

レルエ | 2019.09.17

 昨年の9月にミニアルバム『UNITE』をリリースして以降、着々とリスナー層を広げ、『METROCK 2019』『JOIN ALIVE 2019』など、様々な大型フェスへの出演が続いているレルエ。1stフルアルバム『Alice』は、このバンドの多彩な魅力が存分に発揮された1枚だ。エレクトロとロックの要素を融合させつつ、バイオリンやシンセサイザーが奏でる華やかな旋律も効果的に活かす彼らのサウンドは、新鮮な刺激を届けてくれる。この独特な音楽は、どのようにして生まれているのか?メンバーたちに語ってもらった。

EMTG:結成は2013年ですね。
櫻井健太郎(Vo&Gt):はい。もともと僕とエンドウは別のバンドをやっていて、対バンで知り合ったんです。彼のプレイとかステージングを観て、「一緒にやったら面白そうだな」と思っていたので、新しくバンドを始める時に誘いました。
EMTG:どんな音楽性のバンドをやりたいと思っていました?
櫻井:当時、海外のインディーズのバンドが好きだったので、J-POPをベースにしつつ洋楽の要素を取り入れた音楽をやるというコンセプトは、当初からありました。
エンドウリョウ(Ba):レルエの前身バンドは今みたいな感じではなくて、ギターロックをやっていたんです。sayaが加入してから、「エレクトロバンド」というコンセプトで立ち上げたのが、レルエです。
saya(Violin & Synth):レルエを始めるにあたって、「今までできなかったことをやろう」ということになったんです。
EMTG:バイオリンを取り入れたバンドはいないことはないですけど、バイオリンとシンセを弾くプレイヤーとなると、さらに珍しいですよね。
saya:そうですね。バイオリンを弾くのはクラシックの人が多くて、ロックも好きな人っていうのは、少ないですから。
櫻井:こういう編成というのは、大きな付加価値だと思っています。例えばバイオリンを表に出し過ぎると、それは間違いだと思うんですよ。でも、バンドがある程度のところに行けば、「バイオリン」という小さな武器は、大きな武器になるのかなと。
EMTG:レルエの音楽は、ダンスミュージック的な側面も強いですよね?
櫻井:はい。EDMを基盤にしていますし、80’s、70’sのディスコの要素も入っていると思います。どっしりとしたビートにファンキーなギターのカッティングを入れたりすることは、よくありますね。僕は70’sの音楽を取り入れたダフト・パンクとかが好きで、そこから掘り下げていったりしたので、そういう影響はあるんだと思います。
エンドウ:昔の音楽は、僕も好きなんです。Pファンク、ファンカデリックとかも聴いていますから。でも、オアシスとかも聴いていましたし、いろいろ好きなんですよね。
EMTG:エンドウさんのベースは、ディスコとかファンクの風味がありますよね。
エンドウ:レルエは上モノの音が派手なので、「根本を支える」というのは、念頭に置いています。あんまり難しいことはやらず、全体を支えつつ、でも、刺さる人には刺さって欲しいということは思っていますね。
EMTG:先ほどおっしゃったように、「エレクトロバンド」というコンセプトは初期から明確にあったようですが、理想的な形で表現するのは容易ではないですよね。
櫻井:そうですね。僕は、音楽を映像的に捉えているので、そのイメージのまま音を全部並べてみてから整理していく感じです。そういう取捨選択は本能的です。毎回、試行錯誤を繰り返しながら曲を作っています。
EMTG:パソコン上でいくらでも音を重ねられて、いろんな音楽を手軽に聴いて吸収することもできる現代のミュージシャンは、「取捨選択」のセンスもすごく問われますよね?
櫻井:そうだと思います。今の時代は情報が溢れているので、取捨選択の判断が、曲を作る僕に問われる大きな役割ですね。「ありか、なしか?」とか「ニーズがあるのか、ないのか?」というのは、常にすごく考えます。
EMTG:「ニーズ」とおっしゃいましたが、リスナーが求めるもののイメージというのは、作曲をする上でやはり大きいですか?
櫻井:大きいです。マーケティングは、意識していますから。作る曲毎にリスナーの層のことを考えています。
saya:でも、100%ニーズに合わせて作っていくっていうことでもないんです。もともとやりたいもののイメージがあった上で、リスナーのことも考えるっていうことですね。私も曲を形にする過程で、音色やフレーズをじっくり考えますから。「なんとなく」という感覚で音を入れると、やっぱり毒にも薬にもならないものになっちゃうので。
EMTG:そうやって作っているレルエの音楽に関して強く感じることのひとつは、やはり「踊れる!」ということです。緻密に作られているのに、勢いがありますから。クラブに踊りに行くことはあるんですか?
saya:クラブに行くことは、全然ないんですよ。
櫻井:僕も家でずっとYouTubeを観ていますからね(笑)。EDMのプレイリストを聴いたりは、よくしているんですけど。
saya:この3人の根幹にあるのは、「ギターロック」と「歌」。そこが、EDMから音楽に入る人とは、何かが違うんでしょうね。
EMTG:そういうみなさんが自分たちのサウンドを追求する日々を重ねて、新しい作品『Alice』を完成させたわけですが、どういう1枚にしたいと思っていました?
櫻井:基本は、前回出した『UNITE』を核にして、そこからさらに世界観を広く作っていくということを考えていました。
EMTG:『UNITE』にも収録された「夜はモーション」は、レルエにとって、表現したいものの形が具体的に見えたきっかけだったようですね?
櫻井:はい。この曲に対する反響も大きかったですし。
エンドウ:EDMなダンス寄りに思いっきり振り切ることができたのが、「夜はモーション」です。そういう作り方に納得できる曲でもあったので、「レルエのスタイルが少しずつ確立できてる」という手応えも感じました。
saya:いつもそうなんですけど、デモの段階ではバイオリンが入ってないんですよ。そこに対して付けていくバイオリンがハマった感触も、この曲は大きかったです。
EMTG:それぞれの曲で、独特なサウンドのアプローチが発揮されていますよね。例えば、「クローバー」は、デジタルサウンドの濃度の高さと歌声のファルセットの混じり具合が、とても印象的です。
櫻井:これは結構、挑戦してみた曲ですね。今回のアルバムは、「今まであまりやったことがない作り方を試みたい」ということも思っていたんです。
EMTG:歌詞で描かれていることに関しては、「別れ」や「忘れられない記憶」というようなイメージを、様々な曲から感じました。
櫻井:ノスタルジックな風景や映像が浮かんでくるようなものは、テーマとしてありました。
EMTG:2月に配信されて、今作にも収録されている「時鳴りの街」も、そういう風景を感じる曲です。
saya:彼の作る曲は、一貫して見ている風景みたいなものがあるんですよ。表現の仕方は、それぞれの曲で違うんですけど、切ないところから光の方に向かっていくイメージは、いろんな曲にあると思います。
EMTG:「プレイアデス」も、そういうイメージを感じた曲です。
saya:「プレイアデス」は、バイオリンとかシンセを入れるバランスをすごく考えた曲のひとつでもあります。
EMTG:バイオリンが入ることによって、曲の表情は大きく変わりますよね?
櫻井:はい。バイオリンは、歌的なところもある楽器ですから。
saya:ボーカルが、もうひとりいるみたいな感じがあるよね?
櫻井:うん。それは、すごく感じるところです。そういう部分も、このアルバムを聴きながら楽しんでもらえたら嬉しいです。
EMTG:アルバムのタイトルは、『Alice』ですけど、タイトルの由来は?
櫻井:アルバムの曲からいろんな出会いを感じてもらえたらなと思ってまして、非日常の異世界みたいなものを感じられるのが、こういう音楽とかの面白さですから。
EMTG:ユニークな質感の世界を作る櫻井さんの独特な感性は、メンバーのみなさんも常々感じているんですか?
エンドウ:感じています。彼は、いろいろなことに対して鋭いですし、独特なアンテナを持っているので。
EMTG:ユニークなものに関心を持ったり?
エンドウ:そういうこと、あるよね?
saya:うん。レコーディングの時にシロクマが池にダイブしている動画をずっと観ていたことがありましたし。
櫻井:それは、たまたまだから(笑)。
エンドウ:アルパカが流行る前にアルパカを見つけてなかったっけ?
櫻井:そうだっけ?
saya:本人は忘れているのかもしれないですけど、そういうことはよくあります(笑)。
EMTG:(笑)いろんなことに敏感で、先見の明もあるということですね。
櫻井:僕、昔、起業したかったんです。「ここを右に行く」とかいう嗅覚は、人並み以上にあると思っています。
saya:ドライさと繊細さを併せ持っているのが、彼の面白いところなんですよ。
EMTG:音楽を作る上で、客観的な視点も持っているということでしょうか?
櫻井:そうなんだと思います。僕はいろんな曲を聴きますし、他の国でヒットしている曲も、毎日チェックしてますから。そういう吸収をしつつ、「そこにはない新しいもの」というエッセンスを加えるための判断基準は、常に養っています。
saya:レルエは、いろんな人に聴いてもらいたいバンドでありつつ、音楽をマニアックに聴く人も楽しめる奥行きは持っていたいんです。そのためにも、彼の持っている判断基準みたいなことは、大事なんだと思います。
EMTG:リスナー層は、今後、さらに広げていきたいですか?
エンドウ:広げていきたいです。最近、海外からの反応もあるのが、嬉しいんですよ。
saya:アメリカやイギリス、台湾やタイとかからの反応も来るようになっているんです。
櫻井:海外の大きなフェスにも、いつか出たいです。
EMTG:みなさんの音楽のダンスミュージック的な面は、海外でも武器になるのでは?
櫻井:はい。やっぱり「ダンス」って、わかりやすいですからね。「J-POPを日本のカルチャーとして海外に発信していきたい」というのは、レルエとして向かいたい最終地点みたいなことなんです。「そのためには?」という道筋は、これからも考えていきたいです。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

Alice

Alice

2019年09月18日

ヴィレッジアゲインアソシエイション

01.Stockholm
02.時鳴りの街
03.火花
04.硝子の国
05.UP TO DATE
06.あの子はきっとインベーダー
07.クローバー
08.青とゲート
09.ホリデーバード
10.夜はモーション
11.プレイアデス

お知らせ

■マイ検索ワード

櫻井(Vo/Gt)
東海オンエア
毎日観ているんです。細かい情報をよく検索しています。レルエは、ツアーの時は、基本的に岡崎に寄るんですよ。東海オンエアの拠点ですから。

エンドウ(Ba)
サモ・ハン・キンポー
似ている人がいて、「サモ・ハン・キンポー」って言われて、「誰?」と思って調べました。髪型が似てた……っていうだけの話なんですけど(笑)。

saya(Violin/Syn)
ヨシモト∞ホール
お笑いが好きなんです。ヨシモト∞ホールと同じ建物にはイシバシ楽器が入っていて、そっちにはめちゃくちゃ行ってたのに、劇場があることをあまり意識してなかったんですよね。最近、よく行くようになりました。



■ライブ情報

LELLE live tour 2019“Alice”
11/01(金) 渋谷WWW
11/08(金) 心斎橋Music Club JANUS

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TOKYO CALLING
09/16(月) 渋谷ライブハウス13会場

PIA MUSIC COMPLEX
09/28(土) 新木場 若洲公園

MEGA ROCKS2019
10/05(土) Rensa/darwin/仙台CLUB JUNK BOX/仙台MACANA/HooK SENDAI/LIVE HOUSE enn 2nd/LIVE HOUSE enn 3rd/SpaceZero/retro Back Page/HIGHBURY/TOWER RECORDS 仙台パルコ店

MINAMI WHEEL
10/13(日) knave/club vijon/hillsパン工場/SUNHALL/FANJ twice/DROP/VARON/BEYOND/AtlantiQs/Pangea/BRONZE/CLAPPER/-Eggs Stage- BIGCAT/CONPASS/OSAKA MUSE/FootRock&BEERS/OSAKA RUIDO/JANUS/soma/FANJ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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