ロックシーンの未来を担うのはこのバンドだ! 結成から最新作までをひもとく。

osage | 2019.10.11

 昨年10月の「murffin discs audition 2018」で見事グランプリを獲得(準グランプリはなきごと)し、ポップ・パンクのキャッチーさと歪んだオルタナティブを組み合わせた絶妙のバランスでリスナーを魅了する4人組、それがosage。一度聴いたら忘れないボーカル・山口ケンタの個性的ボイス、切ない別れや喪失感にそっと寄り添う共感系の歌詞を前面に打ち出し、ひと癖あるメンバーたちが趣向を凝らしたバンドサウンドは、聴くほどに深みにハマる魅力あり。バンドの遍歴、初の全国流通ミニアルバム『October.』、そしてバンドの未来について、4人に語ってもらおう。

EMTG:「はじめまして」の人も多いと思うので、まずはバンド紹介からいきましょう。全員、高校の軽音部出身でしたっけ。
松永祐太朗(Gt):そうです。高校、大学と同級生です。
山口ケンタ(Vo/Ba):付属校で、大学がエスカレーターだったので。出会ってからもう9年目ぐらいです。
金廣洸輝(Gt/Cho):仲はいいよね。
田中優希(Dr):軽音部に入って、それぞれコピーバンドをやっていたんですけど。僕だけ別のバンドで、こっちの3人は一緒でした。
山口:彼はレッチリとか、BON JOVIとかを叩いてた。
田中:そっちはELLEGARDEN、アジカンとかだよね。やってたジャンルはまったく違います。それで大学に入って、僕がそれまでやってたバンドが自然消滅して、くすぶってる時に「やろうよ」って声をかけてくれて。
金廣:このバンドは元々、ボーカルのいないところで結成したんですよ。僕と松永が家でご飯を食べてて、ボーカルの山口がネットに上げてたデモ音源をふたりで聴いて、「この曲をやるバンドを作りたいね」と。
松永:もともとふたり(山口と金廣)は、高校の頃のコピーバンドから派生したバンドで活動してたんですけど。
山口:その時僕はギター&ボーカルで。それが先行き不透明になってきた時に、僕がネットに上げた音源を聴いたふたりが「これをそのままやろうよ」という話が、僕のいないところで進んでいった(笑)。ギターがふたりいて、たなピーがドラムで、だから「ベース&ボーカルをやってよ」と。僕の曲をやるために集まったのに、僕が最後の残り物を引き受けるみたいな(笑)。「え、ベース、ほんとに?」と思いながら。
松永:ピンボーカルじゃなく、楽器を持っててほしかったので。THE BAWDIESが好きで、高校の頃にベース&ボーカルでやってたこともあったので、「できるでしょ」って。それでやってもらったら、意外とかっこいいぞと。
田中:さまになってた。
金廣:結成は2015年ぐらいなんですけど、なにしろ4人でスタジオに入るのが楽しくて。ライブは年に2回とか。
山口:身内の企画とか、高校生のイベントに呼んでもらったり。
EMTG:当時の音楽性は?
松永:WEEZERとかGREEN DAYが好きだったので、ポップ・パンクの英詞っぽいものをやってました。でもだんだん日本語詞が増えてきて、「こっちのほうが良くね?」って。
山口:根本にあるのはグッド・メロディの、ギターが元気に鳴ってる曲。カラッとした感じの。
EMTG:あと何と言っても、山口くんの声がすごい。すごく個性的。
松永:個性的ですよね。
山口:いやあ、今でこそよかったなと思いますけど、小学校高学年ぐらいからこの声で、「声が面白い」ってものまねされたりとか。
松永:高校で隣のクラスの女の子に「本当に声がムリ」と言われたり(笑)。あれは振り切りすぎててめっちゃ面白かった。
山口:思い出しちゃったよ! ずっと忘れて過ごしてたのに!(笑)。
田中:そこまで言われるとむしろ気持ちがいい(笑)。
EMTG:今その子に聴かせたいな(笑)。ボーカリストとしては個性的ですごくキャッチーな声だぞって。
山口:だからこそ、歌ったら面白いかな?と思ったので。「この声、ほかにいなくね?」って。声に救われました。
田中:コンプレックスだったものが武器になった。
EMTG:いい話。めちゃロックっぽい。
金廣:最近YouTubeのミュージックビデオのコメントに「声がフリーザみたい」っていうのがあって、そのコメントに「いいね」が100個以上ついて。
山口:いちばん上に来ちゃった(笑)。そして最新のコメントが、「声がかっこいいドラえもんみたい」という。
EMTG:最高(笑)。そしてmufffin discsのオーディションでグランプリを取ったのが去年の10月。
金廣:最終審査に残った10バンドぐらいの音源を聴いて、「なきごとか俺らだろう」と思ってました。
山口:なきごとは出番が僕らのひとつ前で、初めてライブを観て、正直これはヤバいなと思った(笑)。俺らじゃないかも?って。
金廣:でも、なきごとも俺らのライブを観て「ヤバい」と思ったらしい。
山口:なきごとがMCで「1番取りに来ました」と言って、それでこっちも気合が入った。「いや待て。俺らを聴いてから言ってくれよ」と。
EMTG:またもやいい話。それがグランプリと準グランプリで、今や2マンでツアーを回るぐらいの同志になったのも運命でしょう。初めてosageのライブを観た時印象的だったのは、バンドの陽性のパワーと、山口くんのめっちゃ笑顔と、それとは裏腹な切なくて考えさせられるような歌詞。そのギャップが魅力的だなあと。
山口:たとえばネガティブなことも、めちゃめちゃハッピーに言えばいいことに聞こえたりしますよね。不幸自慢がめちゃめちゃ面白いやつとか。僕はそうではないけれど、歌になった時に多少なりとも「この気持ちわかる」って、悲しい同情じゃなくて、「こんなこともあったよな」と思ってほしいんですよね。辛辣なことを書いたとしても、このサウンドでやれば大丈夫だと思うので。バンドサウンドだからという安心感はあります。今はどんな曲をやってもosageの曲になってるんで、助けられてますね。
松永:ケンタの声を立たせようと思うようになったのはわりと最近で、むしろケンタが「そうしてくれ」と言った。
山口:ずっと音デカめでやってたんですけど、「抜くところは抜いて」ということを考え始めたのは最近かもしれない。
金廣:デカい音で、目をギラつかせてやってたんですけど。ケンタはライブ中すごい笑顔なんですよ。僕も触発されて笑顔になって、お客さんの顔を見るようになった。
山口:いいことだ(笑)。徐々に変わってきたのかな。音がデカければいいってもんじゃないというところに、前作の「ニュートラルe.p」ぐらいで切り替わったのかな。
EMTG:初の全国流通ミニアルバム『October.』はどんな作品ですか。
田中:抽象的な言い方ですけど、面白い曲が揃っている気がします。メロディや歌はスッと入ってくるけど、楽器は一癖あって聴いてて飽きない。どの曲もこだわったんですけど、「アナログ」は曲のテーマが“青春”だったので、ドラムのフレーズを、大学生の時に聴いて衝撃を受けたバンドのドラマーのイメージで考えました。ナンバーガールなんですけど、聴いた人がちょっとニヤッとしてくれたらうれしいです。
金廣:前回の「ニュートラルe.p」は全曲ギターロックという感じだったけど、今回は緩急がちゃんとあって。リード・トラックの「アナログ」「Greenback」で盛り上げて、「1954」「ginger air」という変な曲で聴かせて、「セトモノ」で上げて、「スープ」でしっかり締める。順番に聴ける良さがあって、それがいいところだなと思います。個人的には「スープ」を聴いてほしいですね。
EMTG:「スープ」は名曲ですよ。素晴らしくエモいロックバラード。
金廣:歌詞に出てくる「自由通り」は、僕らが通っていた駒澤大学駅の自由通りです。
松永:この曲は歌詞の距離感がすごく好き。パッと聴いて全部理解できるわけじゃないけど、だんだんわかってくる。
山口:でも「スープ」の歌詞は実体験じゃないんですよ。ほかの曲はノンフィクションの割合が多いんですけど、これはフィクションです。ひとつの別れがあったということを最終的に言いたいんですけど、「今も元気でいてくれたらいいな」という気持ちを、自由通りの景色と重ね合わせてみました。学生時代にみんなで遊んで、「じゃあな」と言って別れていく風景の寂しさが、この曲の根底にはあったんです。
EMTG:こういうノスタルジックな風景や感情を書かせたら、山口くんは本当にうまいと思う。
山口:ありがとうございます。前を向けるとか、一発で背中を押せるとか、そういう曲ではないと思うんですけど、聴いてくれれば何となくわかってくれると思うんですよね。「アナログ」も、絶対的に言葉にしている部分はないんですけど、「なんとなく別れが近づいてるなという雰囲気を君はわかってくれるでしょ?」という程度にとどめておきたい。白か黒か、本質的なことを言うのはたぶん僕にはできないんですけど、それとない共感とか、誰にでもある経験とか、そういうものを言葉にする強みはあると思います。ガツン!と誰かの目を覚ますような曲も今後は書いていきたいです。
EMTG:変えなくていいんじゃないですか。共感系バンドでいいと思う。
山口:そのエッセンスがいい塩梅でブレンドされたのが今回の『October.』だと思ってます。それを言葉にするのであれば、僕らが根底に持っているオルタナティブなものが滲み出た作品だと思います。「スープ」「セトモノ」も最初の頃からあって、音がデカければ優勝という時代の曲なので(笑)。でも正直に音楽をやっていたし、何も考えず「これだろう!」というものを吐き出していた時のエッセンスが、このアルバムにはすごく入ってるなと思います。
EMTG:個人的お気に入り曲は?
山口:僕は「ginger air」がすごく好きです。聴く人には新しく感じると思うんですけど、そもそも僕らの根底にあるもので、「そう、これこれ」というところにハマった曲なんですよ。このひねくれや外しみたいな感覚が懐かしいなと思います。サウンドも初期のデモCDみたいな質感で、そこに対する懐かしさがある。この6曲を通して、今青春時代の人、青春時代を思い出す人、それぞれに違った捉え方をしてほしいアルバムです。
松永:僕らの好きなエッセンスが出てるアルバムですね。聴く人は直感で聴くから関係ないとは思うんですけど、僕らは一過性のものを作ってるわけじゃなくて、好きな音楽がちゃんとあって、それをアウトプットしてるので。そういう、それぞれの好きなもののエッセンスがちゃんと出たアルバムかなと思います。好きな曲は「ginger air」です。
山口:付け加えると、「Greenback」は松永が作ったデモがあって、それがめちゃめちゃかっこよくて、それにメロディと歌詞を付けました。初めての例ですね。
金廣:今までは全部ひとりで作ってたんで。
山口:松永祐太朗エッセンスが出ていてオススメです。
EMTG:そしてタイトルが『October.』。
山口:ひとつはリリースが10月ということと、僕らは別れを歌うことが多いんですけど、本当の別れはどこにあるか考えた時に、だいたい3月に「それでは聴いてください、卒業の歌」というパターンが多いと思うんですけど、そうではなく。夏休みが終わり、文化祭や体育祭のイベントごとが終わって、学生は進路を意識したり、その先の就職や未来をぼんやりと考え出す、それが10月という季節なのかな?と。僕らの歌うテーマがいちばん生きる季節として、『October.』にしました。
EMTG:これからバンドしての夢は?
山口:そもそも友達から始まって、バンドをやって、すごく幸せなことだと思うんですね。初めての全国流通盤『October.』は、僕らの根底にあるものを味わえる作品なので、音楽ツウにも好きと言ってほしいし、初めて聴く人にも「いいね」と言ってほしい。ここからどんどん大きくなっていきたいですけど、まずは来年1月に渋谷eggmanでワンマンライブがあるので、そこを大成功させたいです。それから、クアトロとかでやりたいですね。
金廣:現実的だね。
山口:もうちょっと大きいことを言ったほうがいいかな(笑)。友達4人で武道館に立てたらいいなと思います。変な話、この4人でなければ武道館なんて行かなくてもいいと思うし、友達のままで大きいところに行って、「楽しいな」「そうでしょ?」という話をした時に、何万人が賛同してくれたらうれしいなと思います。

【取材・文:宮本英夫】

tag一覧 J-POP ミニアルバム インタビュー 男性ボーカル osage

リリース情報

October.

October.

2019年10月09日

murffin Lab. / murffin discs

01.アナログ
02.Greenback
03.1954
04.ginger air
05.セトモノ
06.スープ

お知らせ

■コメント動画




osage「October.」Release Tour
2019/10/20(日)東京 下北沢近松
w/ 時速36km / Mr.ふぉるて / オレンジスパイ二クラブ
2019/10/22(火)広島 CAVE-BE
w/ なきごと / Slimcat / アイビーカラー
2019/10/31(木)宮城 仙台enn 3rd
w/ なきごと / A11yourDays
2019/11/30(土)大阪 心斎橋Anima
w/ FEEDWIT / アイビーカラー
2019/12/01(日)愛知 名古屋CLUB ROCK’N’ROLL
w/ スロウハイツと太陽 / otter hangout
2020/01/18(土)東京 shibuya eggman(1man)
※ワンマン


「FM802 30PARTY MINAMI WHEEL 2019」
10/14(月・祝)大阪 アメ村ライブハウス一帯20会場

「風のリズム」
11/03(日)新潟 新潟市古町地区3.5会場

「無色透明 Vol.4」
12/09(月)東京 新宿SAMURAI
w/ UMEILO / イロムク and more

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る