Bentham、初のベスト盤『Re: Public <2014-2019>』インタビュー。今だからこそ言える「Benthamらしさ」とは?

Bentham | 2019.11.18

 2014年のインディーズデビューから5年。生粋のライブバンドとして、シーンを全力で駆け抜けてきたBenthamが、初のベストアルバム『Re: Public <2014-2019>』をリリースした。今作には、代表曲「パブリック」の再録バージョンをはじめ、ライブの定番曲「クレイジーガール」「TONIGHT」、メジャーデビュー曲「激しい雨」など、ファン投票とメンバー自身の選曲によって、CD収録時間の限界ギリギリとなる全21曲を収めた。さらに、ゲストボーカルにチリヌルヲワカのユウを迎えて、アーティストとファンとの関係性をテーマにした新曲「FUN」も収録。めまぐるしく変化する音楽シーンのなかで、その瞬間ごとに、全力で自分たちが鳴らすべき音楽と向き合い続けてきたBenthamの軌跡がくっきりと浮彫になる有意義なベストアルバムになった。

EMTG:このタイミングでベストを出すのは、やはり5周年という節目を迎えたことが大きいですか?
須田原生(Gt/Cho):そうですね。キリのいい数字なので。
辻怜次(Ba):「昔の曲にめっちゃ良いのがあるから、ベストにして出したらどうだ?」っていう古閑さん(所属事務所の社長)の意見もありつつ。
須田:前回出した『MYNE』っていうアルバムが、いままでの僕らとこれからの僕らの橋渡しになる作品になったんですよ。そういう作品を作れたタイミングだからこそ、いままであんまりライブでやらなかった昔の曲を、改めて聴いてもらってもいいんじゃないかなと思ったんです。
鈴木敬(Dr/Cho):まだまだBenthamって、名前だけは聞いたことがあるっていう人も多いと思うから、そういう人に紹介しやすい1枚ができたかなと思いますね。
小関竜矢(Vo/Gt):あと、このアルバムを出すことで、ファンとの勘違いを取り除きたいっていうのはあるんですよ。デビュー当時から、僕らは、全員がまったく違う音楽性を持っていて、それを混ぜ合わせたキャッチーな音楽だとか、僕のハイトーンを生かしたロックバンド、みたいなことが特徴だって言い続けてたんですけど、どんどん音楽性が広がっていくなかで、噛み合わない部分も増えてきたと思うんです。それが、さっき須田が言ってた『MYNE』のツアーをやったことで、少しずつ解消されてきたと思ってて。いまは変な縛りがなくなって、より自由にいけるような気がしてる。だからこそ、このタイミングで、ちゃんとバンドが成長できてるところを見てほしいなと思いますね。
EMTG:振り返ってみるとBenthamは、この5年間ずっと「自分たちは何者になりたいのか?」って摸索し続けたんじゃないかなと思うんですよ。自分たちとしてはどう感じてますか?
小関:最初は自分たちがどこを歩いてるのかもわからない状態で突っ走ってた気がしますね。この正体のわからない音楽シーンのなかでがんばって戦ってきたというか。
EMTG:デビュー当時は、いわゆるロックシーンに4つ打ちが流行ってた時期だったし、ライブハウス出身の叩き上げバンドが伸びてた時期でしたよね。
小関:そう。その流れのなかで、僕らも初期のころは4つ打ちの曲をたくさん出したし、それに自分たちも納得してやってたんですけど、けっこう悩んだ時期もあって。
須田:「自分たちはこういうバンドなんです」っていうことを、自分たちで説明できないとダメだ、みたいなことを考えて、とにかくいろいろ試しましたからね。
小関:なんて言うか僕ら、昭和生まれなんでね。スポ根の最後の世代なんです(笑)。
一同:あはははは!
小関:最近の若いバンドのインタビューとかを読んでると、ライブハウスでノルマを払う意味がないとか、そういう発言も多いじゃないですか。
EMTG:ええ。
小関:言ってる意味はわかるんですよ。でも俺たちは、やっぱりライブハウスの先輩の系譜を受け継いだバンドなんですよ。そこで失敗したり、迷ったりっていうのを積み重ねて、いまに至るというか。それが誇りだし、その美学を大切にしたいなと思ったりもしてて。だから、この5年間を振り返ると……正直、キツかったですよね(笑)。
辻:ひとことでまとめるとね(笑)。自分たちでも、「これ、いつのツアーだっけ?」っていうのがわからなくなるぐらい、とにかく駆け抜けてきましたよね。
小関:でも、何ひとつ間違ったものはリリースしていないっていう自信はあるんです。
EMTG:そんな5周年でリリースされる今回のベストアルバム。収録曲はファン投票からも選んでますけど、「これはファンの声がなかったら入らなかった」という曲はありましたか?
小関:それが意外とないんですよ。
辻:わかりやすく、「やっぱりそうなんだ」っていう感じだったよね。
小関:優秀なファンがそろってるんです。ファンだったら、当たり前すぎて「パブリック」なんか投票しないじゃないですか。でも、「私はこのマイナーな曲がめっちゃ好きだけど、ベストに入れるならこれです」みたいな(笑)。新規の人に聴いてもらうならっていう目線で選んでくれたんです。
EMTG:完全にリリース順の収録じゃないのも、聴き心地がよかったです。
須田:そのあたりはライブっぽい曲の流れを意識しましたね。
小関:僕らはあんまりゆっくりとした曲がないから、中盤をどう聴かせるかはかなり考えたんです。
EMTG:その中盤で、すごく印象的なのが「memento」でした。この曲を作ったころから、レコーディングチームが一新して、それまでやらなかった新しいサウンドアプローチにもチャレンジしていくじゃないですか。そういうバンドの試行錯誤の歴史も感じられますよね。
小関:そうですね。この時期って、せっかく須田がピアノを弾けるんだしっていうことで、やっとピアノを入れ始めたころなんですよね。だからいま聴くと、まだ自分たちでも掴み切れてないというか、完成してない感じはしてるんですけど。それも結果として面白いかなと思ってます。
須田:いろいろ挑戦をしだしたときでしたね。
EMTG:自分たちでアルバムを通して聴いてみて、どんなことを感じましたか?
小関:僕の歌がうまくなりましたね(笑)。最初のほうは、自分ではイケてるはずなのに、どうしてもピッチが合ってないこともあったんですけど、今はそういうことがなくなってきたんです。こうなりたいっていうボーカリストのポリシーが見えてきたのは良かったなと思いますね。
EMTG:いま、小関くんはどんなボーカリストになりたいと思ってるんですか?
小関:僕、昔はライブですごい汗をかくのが嫌だったんですよ。最前の子がびっくりするぐらい、汗をかくんです。それを好きって言ってくれる子もいるけど(笑)。今は、そういう部分も含めて自分を受け入れられるようになったから、全部曝け出して歌っていきたいと思ってますね。
EMTG:タカさんはどうですか? このベスト盤を聴いてみて。
鈴木:「クレイジーガール」とか「TONIGHT」とか、昔からずっとやってる曲は、今回、久々にCD音源を聴いたんですけど、全然違うんですよね。「クレイジーガール」はCDのほうがライブより速くて、「TONIGHT」はCDのほうが遅いんですよ。
須田:そうそう。改めて聴いて、「こういう箇所あったっけ!?」って新鮮に感じるところもあって、自分たちで聴いても刺激的でした。
EMTG:辻くんはどうですか?
辻:「アイマイミーマイン」とかは、もともとタイトルは違ったんですけど、それを古閑さんに送ったことがきっかけでいまの事務所に所属するきっかけになったし、「アナログマン」とか「夜明けの歌」とかは、いまのところでやりはじめるもっと前からやってた曲だから、そういうのを思い出して、感動しました。みんなでCDを作って、いろんな場所で配ってたな、とか思い出しましたね。
EMTG:私も「夜明けの歌」はぐっときました。Benthamが音楽をやる意味が詰まった曲だから、大切なライブでは、よく良い位置で歌ってたなあ、とか思い出して。
辻:そうそう。このベストアルバムもライブを意識した流れになってるから、最後に盛り上がる曲を畳みかけていく前の落とすところで、「夜明けの歌」を良い具合に入れてるんですよね。
EMTG:ここからは、せっかくベストアルバムのタイミングなので、メンバーが個人的に好きな曲を訊いてみたいです。
小関:えー、選べないなあ……。
辻:俺、「タイムオーバー」ですね。インディーズの3枚目の『OMG』のときに、古閑さんに「全員で作曲してほしい」って言われて作ったんですよ。それまで、全然曲を作ったことがなかったから、本当に締め切りギリギリで出したものを、当時のプロデューサーの田上さんとメンバーがアレンジしてくれて。自分も曲を作れるっていうのを体験したことで、音楽に向き合う姿勢が変わった曲ですね。
EMTG:タカさんは?
鈴木:俺は「パブリック」かなあ。5年間ほぼ毎回ライブでやってきたんですよ。
辻:一緒に育ってきたよね。
EMTG:今回、「パブリック」だけ、再録で収録したのはどうしてだったんですか?
小関:「パブリック」はライブでたくさんやってきたぶん、どんどんバージョンアップしてるんです。っていうのもあって、今回のベストアルバムでは、いまのスキルで録り直したくて。
EMTG:基本的に大きくアレンジは変えてないけど、より洗練されましたよね。
辻:最初は、エンジニアさんに、「過去を超えるのは難しいよ」って言われてたんですよ。
小関:「たぶん、良くなんない」ってね。
須田:あの頃のチープな感じが良かったりするから。
辻:でも、実際に録り終えてみたら、「これは再録の意味があるな」って言ってくれて。
須田:あれはうれしかったですね。
EMTG:まさにバンドの5年間の成長をどんな言葉よりも雄弁に証明する曲だと思います。他の曲ではなく、「パブリック」を再録したっていう意味も大きいですし。
小関:そうですね。初期のころは、“「パブリック」いいよね”って言われ続けてたから、僕のなかでは「パブリック」を超えたいって悩んだ時期もあったんです。全然国民的ヒット曲ではないけど、ライブでは、「パブリック」待ちみたいな感じもあったし。僕らにとっては大切な曲なんですよね。
EMTG:なるほど。ちょっと話がそれましたけど、メンバーの好きな曲、次は須田くん。
須田:僕は「cymbidium」ですね。前作の『MYNE』で、この曲をリードにした意味が大きかったんです。オゼの曲なんですけど、最初にデモを聴いたときから、ずっと好きだなと思ってて。初めてミドルテンポの曲をリードにしたときに、どういう反応になるだろう?っていう心配もあったけど、出してみたら、思ってた以上にライブで心地好く聴いてくれてて。僕らの可能性を広げてくれたターニングポイントになる曲だったかなと思います。
EMTG:小関くんは?
小関:うーん……2曲でもいいですか?
辻:そこは決めてよー(笑)!
小関:1位は「クレイジーガール」なんですけど、「Cry Cry Cry」と迷ってたんですよ。自分のなかでは、「クレイジーガール」は作曲における大発明なんです。この曲を作れたことは、自分の財産ですね。キャッチーな曲だけど、Bメロからサビの流れにグチャッてなる展開もいいし、コミカルだけど、フレーズはハードっていうところもイメージどおりなんです。
EMTG:いわゆる小関節が全開ですよね。
小関:そう、だから「クレイジーガール」は特別。で、「Cry Cry Cry」は、『Bulbous Bow』以降、新しいレコーディングのやり方になって、僕がチームの変化についていけなくて……でも、ついていきたいっていうときに、昔の自分と新しいやり方を融合できた曲なんです。途中でメンバーが歌うところがあるじゃないですか。これは僕のイメージなんですけど、いつもは僕がバンドのフロントマンとして矢面に立ってるつもりだけど、その僕が瀕死になってるときに、メンバーが「大丈夫か!?」って駆け寄ってくれる感じがするんですよね(笑)。で、最終的にはファンの子たちと戦うみたいな。そういうのが、なんかねえ……すごく自分にとって大事な曲なんですよね。
EMTG:では、最後にベスト盤の新曲として収録される「FUN」について訊かせてください。曲調はロックンロールっぽくて、バンドの新機軸になる曲ですね。
須田:デモの段階では、もっとロックンロール感が強かったんですよ。
小関:ああ、そうだったね。
須田:それをアレンジしていくなかで、いまの僕らっぽいポップな感じになったんです。今回新曲を収録するうえで、さっきも言った、前作で「cymbidium」をリードにした理由を汲んだものを出すべきだっていう話になって。全然違う曲ではあるけど、僕らの新しい一面を見せるっていう意味ではつながる曲になったから、ベストに入るべき新曲になったんじゃないかなと思います。
EMTG:チリヌルヲワカのユウさんが参加してますけど、それも最初からイメージしてたんですか?
須田:最初からオゼは「女性ボーカルを入れたい」って言ってたよね。
辻:わりと、昔からずっと言ってたんですよ。
小関:なんなら僕は女性のメンバーがほしいぐらいなんです(笑)。
EMTG:じゃあ、念願のコラボだったんですね。この曲はもうライブでも披露してますよね?
鈴木:そう、リリース前から披露してるんですけど、もう馴染んでるんですよ。
小関:めちゃくちゃ馴染んでるね。
鈴木:歌詞も、いまのバンドのことを歌ってるから、すごく気持ちが入るんです。いま、自分で歌詞を書いたように話してしまったんですけど……。
辻:あははは、ちょっと恥ずかしい(笑)。
EMTG:(笑)。小関くんが書いた歌詞だけど、メンバー全員の気持ちも代弁してるんでしょうね。メンバーとファンとの関係性を、迷いながらも素直に書いた曲だなと思いました。
小関:タイトルの「FUN」は、楽しいっていう意味の「FUN」の綴りなんですけど、アーティストの「ファン」でもあり、「不安」でもあるっていうギミックがあって。サビで歌ってる“変わらないでいてね”っていうのは、ミュージシャンがファンに対して思うこともそうだし、ファンがミュージシャンに求めることもそうだし、ポジティブにも、ネガティブにも、捉えられると思うんですよ。僕自身、いま変わりたいのか、変われないのか?っていう不安もあるし。っていうなかで、みんなはどうだい?っていう問いかけでもあったりして。いろいろな意味を込めて書いた曲ですね。
EMTG:では、最後の質問です。5周年のタイミングで、このベストを作りながら、改めて自分たちと向き合ってみて、いま思うBenthamらしさって何だと思いますか?
小関:質問の答えになるかわからないんですけど、いまは何かのカテゴリーに絞るというよりも、メンバーの音楽に対する情熱そのものがBenthamなんじゃないかと思います。僕らは誰かひとりでも抜けたら解散だし……うん。この、フワッとした答えがBenthamらしいと思うんですよね。
辻:ふふふ、そうだね(笑)。
小関:昔だったら、こんなふうには答えられなかったじゃないですか。
EMTG:ええ、そうですね。
小関:それこそ4つ打ちとかハイトーンとか、いろいろな音楽のカテゴリーはあるんですけど、そういうことじゃなくて。何歳になっても、僕らは情熱という言葉を言い続けたいですね。

【取材・文:秦理絵】

tag一覧 J-POP アルバム インタビュー Bentham 男性ボーカル

リリース情報

Re: Public <2014-2019>

Re: Public <2014-2019>

2019年11月13日

ポニーキャニオン

1. パブリック (2019 ver.)
2. クレイジーガール
3. 僕から君へ
4. White
5. Cry Cry Cry
6. サテライト
7. TONIGHT
8. contact
9. Hope the youth
10. memento
11. cymbidium
12. アイマイミーマイン
13. YUMEMONOGATARI
14. 初恋ディストーション
15. 夜明けの歌
16. アナログマン
17. タイムオーバー
18. Chicago
19. FATEMOTION
20. 激しい雨
21. FUN ※新曲

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

東京パノプティコン ~Re: Public~
11/22(金)東京キネマ倶楽部

OLのもっちゃんの部屋 展 ~パウダーブルー~
11/24(日)下北沢近松 フクザワ個展
※小関弾語り出演

Bentham FC会員限定ライブ「FAN!! FUN!! FAN!!」
11/30(土)渋谷LUSH

ドラマストア 2nd Single
「ラブソングはいらない」リリースツアー&
「ドラマチック・ミュージックショー」アンコールツアー

12/01(日)奈良 NEVER LAND

『Re: Public <2014-2019>』発売記念インストアライブ
12/07(土)タワーレコード 渋谷店 5Fイベントスペース
12/07(土)タワーレコード 新宿店 7Fイベントスペース
12/08(日)タワーレコード 梅田NU茶屋町店 イベントスペース
12/08(日)タワーレコード 名古屋パルコ店 店内イベントスペース

Bentham × nuance 「ベンサヌュ」~タカシの好き放題~
12/12(木)渋谷O-nest

エアトリ presents 毎日がクリスマス 2019~かりゆし58×Bentham~
12/14(土)横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール

12/20(金)高松TOONICE

FLOW 2MAN TOUR 2019-2020「VS NEXT GENERATION」
12/21(土)岐阜CLUB-G

MERRY ROCK PARADE 2019
12/22(日)ポートメッセなごや1号館~3号館

「KOGA RECORDS NIGHT」 ~2019 忘年会SPECIAL~
12/24(火)下北沢CLUB 251

COUNTDOWN JAPAN 19/20
12/31(火)幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る