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X JAPAN、約4年ぶり日本単独公演、横浜アリーナ公演をレポート!

X JAPAN | 2014.10.23

 10月11日にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでの単独公演を控えるX JAPAN。そのキックオフライブとなる横浜アリーナ公演が、9月30日と10月1日の2日間にわたって行われた。日本での単独公演は約4年ぶりということもあり、この日を待ち構えていたファンによって、チケットは1秒で完売。チケットを手に入れられなかった多くのファンがライブビューイングで各地の映画館に集結し、さらにはWOWWOWの生中継でも多くの人達がバンドの勇姿を見守ることとなった。実際には見られなかった多くの人達の思いも、この横浜アリーナまで届いていたように思う。何しろ、言い様のない空気感がそこにあったからだ。

 ここでは2日目の10月1日の様子をお伝えしよう。開演前、客席のあちこちから“We Are”……“X!”のコールが響く。メンバーを待つ熱い思いが場内にジワジワ伝わり、客電が落ちた瞬間のテンションの加速感にはゾクッとするものがあった。オープニングSEの「MIRACLE」が流れる中、まずはYOSHIKIが登場。背後から照明を浴びた姿は実に神々しい。どよめく歓声の中、「JADE」がプレイされる。Toshl、PATA、HEATH、SUGIZO、全員が黒い衣装に身を包み、アグレッシヴなサウンドを展開。さらに、炎やCO2の派手な演出でオーディエンスを刺激する。「Rusty Nail」「Silent Jealousy」など、長きにわたってファンに愛されてきた楽曲が次々に飛び出し、前半から観客による大合唱が響き渡った。

 最初のMCでToshlは「お前達の声を聞かせてくれ!」と叫んで大歓声を浴びると、今日は愛しい愛しいお前達と久しぶりに敢えて嬉しいぜ!」と、続けた。この間、YOSHIKIの表情もビジョンに映し出されたが、その顔には笑顔が浮かぶ。さて、次に披露されたのは「Beneath the Skin」。かつて、YOSHIKIを中心としたプロジェクトで発表した楽曲(作詞:YOSHIKI、作曲:SUGIZO)だが、完全にX JAPANのニューソングとして生まれ変わっていた。そんなところからも、バンドの“今”の胎動が伝わってくる。PATAやHEATHもギター&ベースソロで個人技を披露する時間帯もあり、「DRAIN」をはさんで、今度はSUGIZOのヴァイオリン・ソロへ。幻想的な空間を作り上げたソロ後半には、YOSHIKIも濃い赤と黒のゴシックなジャケットを着てピアノの前に現れる。ちなみに、この衣装を担当したのは、かねてから彼と交流のあるh.NAOTO。そして、ピアノ&ヴァイオリンのアレンジで弾き始めたのは「紅」。その後、Toshlの「「紅」だー!」というキッカケで、バンドサウンドへ。そのタイミングで銀テープがアリーナ頭上から客席へと降り注ぎ、ライブは佳境へと向かっていく。この後、披露されたのは新曲の「HERO」(映画『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』の主題歌「Hero(Yoshiki Classical Version)」のバンドバージョン)。8月に新宿で行ったゲリラライブでもお披露目されたが、ライブ会場での演奏は初となる。そして、本編ラストを飾ったのは、再結成後に作られた「Born To Be Free」だったが、もちろん、これでファンが満足するはずもない。開演前同様、“We are”……“X!!!”のコールが起こった。声援に応え、アンコールの幕開けに登場したYOSHIKIは、赤いバラ抱えながら、ステージ下手から上手に移動。途中、客席にバラを客席に投げ込むという演出に大きな歓声が起こる。そこから華麗なピアノソロとドラムソロで観客を魅了。ここでは、入場時、観客に配られたリストバンドが様々な色に点滅。演奏を盛り上げた。

 アンコールは2回行われ、最初のアンコールでは美しいバラードナンバー「Forever Love」に場内は酔う。追い打ちをかけるように、HIDEやTAIJIも映っている懐かしい映像が流れ、これには思わず涙を流す人の姿も。「X」では一変、ヘドバンも起こり、名物のXジャンプで観客は大熱狂。2回目のアンコールでYOSHIKIは、時おり声を詰まらせながらも「X JAPANはアメリカのマディソン・スクエア・ガーデンに向かって旅立ちます。ToshlもPATAもHEATHもSUGIZOも、そしてHIDEもTAIJIも自分も……X JAPANで世界に向かってがんばります! これからも応援よろしくお願いします!」と決意を新たに宣言した。そして「ENDLESS RAIN」から大作「ART OF LIFE」へとつなげていく。最後はメンバー全員がステージから去りがたい思いだったに違いない。YOSHIKIは声がかすれるまで「We are!」と叫びオーディエンスから「X!!」のレスポンスを引き出し続けた。カリスマティックなパフォーマンスに圧倒されながら、彼らの夢は、まだまだ遠くまで続いている……そう確信できたように思う。このモンスターバンドの“今後”が、さらに楽しみになった。

【取材・文:海江敦士】

リリース情報

THE WORLD~X JAPAN 初の全世界ベスト~ [2CD]

THE WORLD~X JAPAN 初の全世界ベスト~ [2CD]

2014年06月17日

ワーナーミュージック・ジャパン

ディスク:1
1. Silent Jealousy
2. Rusty Nail
3. SCARS
4. ENDLESS RAIN
5. WEEK END
6. 紅
7. Forever Love
8. DAHLIA
9. Amethyst (THE LAST LIVE~最後の夜~ LIVE VERSION)
10. X (THE LAST LIVE~最後の夜~ LIVE VERSION)
11. Without You (LIVE VERSION) (CD初収録)

ディスク:2
1. ART OF LIFE

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