西井万理那と東理紗によるアイドルグループ、生ハムと焼うどん（以下、生うどん）が、8月12日（金）に、横浜で船上ライブ『生うどん晩餐会 ～水面を吹き抜ける風を感じて～』を開催した。

　多くのメディアに取り上げられている、大注目の異色アイドルの生うどん。歌よりも寸劇が長く、鋭いツッコミの笑いにあふれたライブで人気急上昇の彼女たちが、野外の船上ライブを行うというのだから面白くないわけがない。しかも、ゲストアーティストとして出演するのはマッチョ29だ。
　マッチョ29は、禁煙、禁酒、非暴力、吸引（酸素）、飲蛋（プロテイン）、壊筋（筋細胞の破壊）の、マッチョ6原則を原則とした、世界で最も「キレている」エンターテインメントグループとして、13名で活動している筋肉軍団。水と油のような2組が、果たして船上でどんなバトルを繰り広げるのだろう。

　注目の一戦の直前に、生うどんの2人に、今回の船上ライブについて、そして10月21日に控えるTOKYO DOME CITY HALLでのワンマンライブに向けてのミニインタビューを敢行した。

EMTG：まず、なぜ船上ライブを行うことにしたんですか。

東：夏っぽいことしたくて、海でやったら面白いだろうなって。生うどんなのに海ってところもヘンでしょ。

西井：あと、おしゃれさを出したくて。アーバン、イエスイエス～！

EMTG：タイトルには、“水面を吹き抜ける風を感じて”と入ってますが。

東：とりあえず、おしゃれな名前にしたかったの。

西井：生うどんは、こ汚い感じだから、今日はしゃれた感じを出すぞと。

EMTG：ちなみに、何を感じたいですか。

東：私は、ただ風を感じるだけ。

西井：私は夏生まれ（8月22日が誕生日）だから、夏を感じたい。

EMTG：対バン相手が、マッチョ29ってところもすごいですね。

東：まあ、いくら筋肉がすごかろうが、うちらの相手じゃないですよ。

西井：今日は、生うどんのすごさを思い知らせてやります！

EMTG：さて、生うどんは、今年、夏フェスやたくさんのイベントにも出演されましたが、どんな感想がありますか。

東：たくさんアイドルがいる中、私たちが一番になってやるって自信があったんです。でもやっぱり自分たちよりすごいアイドルさんが死ぬほどいて、上には上がいましたね。自分たちまだまだだなって思い知った感じ。結構悔しかった。

EMTG：誰がヤバいと思いましたか。

東：え～、バンもん（バンドじゃないもん！）さんとか。

西井：『TIF』のメインステージ争奪戦で、まねきケチャさん負けたんですよ。活動期間もそんなに変わらないのにすごいなって思いました。でも、この1ヶ月でツイッターのフォロワーが5000人増えたんです。すごくないですか。だから、みんなに生うどんをちょっとは知ってもらえたのかなって思ってます。

EMTG：では、10月21日のTOKYO DOME CITY HALLワンマンへの意気込みを聞かせてください。

東：計算したら、本番当日までに1日30枚以上チケット売らないと3000人集まらないんです。ヤバいっしょ。だから、今日30枚売る！

西井：とにかくソールドアウトしたいんで、チケット買った人にも買わせるくらいの勢いです。いろんな人に撒いてってお願いしたい。

EMTG：TOKYO DOME CITY HALLでは、どんなライブ見せますか。

東：4月までは「女子高生」のJKだったんですけど、「常識を覆す」のJKになって初めてのワンマンライブだから、ほんとにこの子たちは18歳なのか？って年齢を忘れるくらい、常識を覆すライブにしたい。みんなをびっくりさせる、斜め上のことをどんどんやっていきたいと思う。

西井：見た人の記憶にグンっと入る感じでやりたい。その人の人生を変えるライブをします！

　ビッグマッチにかける2人の鼻息は荒い。では、船上ライブの模様のレポートに移ろう。
横浜・象の鼻桟橋から観客を乗せた船は出航し、横浜港へとクルージング。字面はとてもしゃれた印象だが、それをブチ壊すように、マッチョ29のハイテンションのライブが行われる。コアラ小嵐のアツいMCと13人のマッチョボディをフルパワーで活かし、「ビバ！マッチョ」「2929SUMMER」「Training Fighter」といった楽曲をアゲアゲで歌いまくる。超満員の食いしん坊（生うどんのファン）は、暑苦しいパワーにグイグイ引き込まれ、クレイジーなまでの大盛り上がりとなった。

　そして、生うどんの2人がステージに登場すると、「ナルシスト症候群」からライブをスタート。そして、天使と悪魔の寸劇が行われていく。
「さーて今日は生うどん晩餐会、あ～西井ちゃんかわいいな～。“お前が一番！お前が一番！”って叫びたいな～。でも叫んだら、DD（※アイドル用語：誰でも大好き）かピンチケ（※アイドル用語：マナーの悪いファン）って思われちゃうよな。でも、飛びてー！」と叫ぶ西井。そこに、悪魔役の東が、「別にピョンピョンしたっていいじゃねえかよ。所詮ピンチケなんて、ただの自己満足に過ぎない。だったら出禁になる覚悟で、思いっきりピョンピョンしちゃえ！　ビバビバビバビバマッチョ！」と後押し。

　だが、今度は天使役で東が現れ、「そんなことをしてはいけませーん。あなた何を考えているの？　今日は生ハムと焼うどんの晩餐会。みんな楽しみにこの日のチケットを買ってくれたのよ。もっと人の気持ちを考えなさい。そうと分かれば、うんちポーズをして、ゆっくりとうんちケチャをするの。それが生ハムと焼うどんにとっても、うんちという食いしん坊ネームがついてる人たちにとっても、一番の解決策なのよ」と優しくアドバイス。
すると西井は、「そうだよな、今日は晩餐会だもんな。オレは、絶対ピンチケになんてなんねーぞ！」と宣言。だが東の「西井が通過します」の声に、西井は「きたぁ～！　俺が生まれた来た理由！　それは西井に出会うため！　世界で一番愛してるー！！」と、立派にピンチケの道へと進んでいった。

　しかし西井は、「でもオレ、東の煽り、“よくできました”にキュンキュンしちゃうんだよな～。やべえ、推し変（※アイドル用語：推しているメンバーを変えること）しそう」と苦悩する。そこに、悪魔の東が「東にしちゃえよー！」と誘惑。「お前バカか。お前よりも才能があって、おっぱいもデカい東に推し変した方がいいに決まってる。あんな出っ歯な女なんか、さっさと推し変しちゃえよ」とダメ押し。西井は、「でもそんなことしたら西井がかわいそう」と悩み続ける。すると天使の東が、「そんなことはいけませーん！…と言いたいところだけど、今回は東を推薦するわ。あのハスキーボイス、ツイッターで見せる女っぽい自撮り」と、私情を入れて推し変を猛プッシュ。西井は、「こんな声あてにならねえから、物販に行ってオレの気持ち確かめてくるわ」と声にすると、「物販の人、かわいい！」と受付をしていた、東の母、東優子にまさかの推し変するのだった。

　さらに寸劇が進み、東と西井が揉めているところに、マッチョ29の相澤飛鳥が登場。「そんなときは、このCDでも聞いてくれ。マッチョ29のデビューシングル『ビバ！マッチョ』！」といきなりの宣伝。すると東は、「ここ宣伝するとこじゃねーから、倒しちまえ！」と、マッチョを倒して馬乗りで勝利。東は、「オラオラオラ、コイツ死んでやがるぜ。こうなったら楽しく歌おうぜ！」と声を上げ、「ツイテール」を歌唱した。

　そして再びの寸劇が始まる。東が、「ピンポンパンポーン、本日は大切なお知らせがあります。ビバマッチョ様のお客様はほとんどが女性のお客様と聞いております。今日は男性のみなさまにチャンスを与えたいと思います。進化バージョン、『合コンでの成功の仕方』をスタートしたいと思います！」と声にする。
観客は、ステージ向かって右側が男の子チーム、左側が女の子チーム（どっちも男女混成）に分かれる。
東の、「合コンで一番大切なのは男の人からアプローチすること。男の方だけ立って両手を頭の上に上げて、“お金、お金、お金”と女チームにアピールしてください」の説明に、お金を連呼してのダンスを見せる。

　西井は、女の子チームに、「私はお金じゃ振り向かないよって意味を込めてお尻を突き出してください。そしたら、みんなでマーチに合わせて、思いっきり男チームを睨み付けてお尻ペンペンしてください」と指示。女の子チームは、男の子チームに向かってリズムに乗ってお尻ペンペンを繰り返す。そして、観客全員が立ち上がり、東の掛け声とともに、全員で肩を組んで“海は広いな大きいな～”の大合唱を横浜の海に響かせる。もはや、船上はおしゃれでもアーバンでもなんでもないアホ状態化。そして生うどんは、「たまごかけごはん」を披露し、食いしん坊も大ヒートアップして、ライブはフィニッシュとなった。

　さらに、生うどんとマッチョ29のトークタイムに突入。マッチョメンを前に、西井は「私よりおっぱい大きい！」、東は「ハゲマッチョがいる、こんにちわ！」といじり放題。そして、東が「マッチョとコラボしたい」と言い出すと、ステージに上げた食いしん坊をマッチョ29のメンバーがお姫様抱っこして、会場全体から大歓声が沸き起こった。
すっかりカオスな状況となったところで、東の合図から、生うどんとマッチョ29がチャリーン・ポーズを決め、最後は全員で“アディオース！”を叫んでイベントは締め括られた。

　生うどんとマッチョ29は、予想外すぎるほどの相性抜群っぷりを発揮。アゲアゲで濃厚で筋肉に満ちた、最高に楽しい夏の野外の船上ライブとなった。

【取材・文・撮影：土屋恵介】