ハナレグミとレキシ、群雄割拠の音楽シーンで異彩を放ちまくっている2組のアーティストが所属するマネジメントオフィスの設立10周年突入を記念したツアー“Laughin’ 10周年突入記念イベント La族がまたやって来た、ジュー！ジュー！ジュー！”初日公演が12月11日東京国際フォーラム ホールAにて開催された。
　ハナレグミとレキシのカップリングによるライブは2年前の日比谷野音以来。久々の両雄揃い踏みを楽しみにするオーディエンスが集い、ソールドアウトの大盛況となった。

　先攻はハナレグミから。2016年初頭に行われたホールツアー“ハナレグミ Tour What are you looking for”と同じメンバーで登場した永積（タカシ）は、まずは「光と影」をギターのみの弾き語りでじっくり聴かせ、一気に会場中の心をつかむ。「自分の家だと思って騒いでいってちょうだい！」と語るとソロデビューアルバム収録の「音タイム」「家族の風景」と初期曲を立て続けに披露していく。
　レキシ・池田貴史との思い出話なども挟みながら和やかに進んでいくライブは、後半「オリビアを聴きながら」のスカカバーから、SUPER BUTTER DOG時代のファンキーなサウンドを想起させる「無印良人」、アフロポップな「オアシス」と、アッパーなナンバーを畳み掛けていく。前述したツアーで聴けた楽曲群もかなりアレンジを変えてきていて、息の合ったバンドメンバーとのアンサンブルの充実を強く感じた。大いに盛り上がった客席に「レキシの準備運動になればいいんですよ」などと冗談を飛ばしながら、ライブもいよいよ終盤。ステージライトがすべて灯って眩しい光の中で、人気曲「明日天気になれ」を演奏。一体になってシンガロングして盛り上がったのち、最後はシングルとして今年リリースされたバラード曲「深呼吸」を見事に歌い上げると、「お館様が待ってるから」とレキシにバトンを渡した。

　後攻のレキシは、今年発表した『Vキシ』のリード曲「KMTR645」で勢いよくライブをスタート。総立ちの観客が踊り出し、会場が大きく揺れる。初っ端なからフルスロットルで飛ばすと、「ありがとう！レキシでした！」とそのままステージをあとにしようとするお約束も。続く「年貢 for you」では早くも「PPAP」なんかの旬どころを早くも取り入れつつ、3曲目にまさかの「狩りから稲作へ」を披露。その曲中でスティーヴィー・ワンダー「Isn’t She Lovely」や、尾崎紀世彦「また逢う日まで」など、池ちゃんが突然ネタをぶっ込んでいくのだが、即座に対応する鉄壁のバンドメンバーに拍手喝采が起こった。

　冒頭から飛ばしすぎな（？）レキシは、4曲目で最新アルバム収録の名バラード「最後の将軍」を歌い上げ、この日初のキーボードソロも披露。そう池ちゃんはもともと鍵盤奏者なのだ！　という、みんながちょっと忘れかけた魅力もしっかりと見せつける。
　単衣を身にまとい「SHIKIBU」を披露すると、いよいよライブも終盤。最近CMソングにも起用され、さらに多くのリスナーに愛される曲となった「きらきら武士」へ。ミラーボールが回る中、合間にはなぜかMISIA「Everything」、そしてこの季節にぴったりの「ジングルベル」が織り交ぜられ、場内が笑顔で埋め尽くされるなか、賑やかに“武士納め”をしてレキシのステージは終了した。

　アンコールの声に応えて再びステージに現れた“タカシとタカフミ”は、所属事務所の頭文字である“L”“A”の被り物で登場。1曲目はなんと事務所スタッフの求人ソングを即興で作成。しかし、さだまさしや星野 源、エリック・クラプトンの替え歌などについつい脱線。肝心の求人募集の内容が伝わったかどうか怪しいところだ。そしてレキシのバンドメンバーをあらたに呼び込み、“L”“A”にちなんだ曲として、大黒摩季「ら・ら・ら」をカバー。みんなで手を振りながら♪ら・ら・ら♪と合唱する光景は、馬鹿馬鹿しくも感動的なシーンであった。さらに8周年イベントの時にも歌った久保田利伸「LA・LA・LA LOVE SONG」もカバーし、10周年のお祭りはグルービーに幕を下ろした。

【取材・文：宮内 健】
【撮影：田中聖太郎】