「ビクターロック祭り~2016~」圧巻のライブアクトに15,000人が大熱狂!

ビクターロック祭り | 2016.02.15

 レコード会社である、株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント(以下ビクター)が主催するロックフェスティバル「ビクターロック祭り~2016~」が、2016年2月14日(日)に幕張メッセ国際展示場9~11ホールで開催された。

「ビクターロック祭り~2016~」は音楽事業で80年を超える歴史をもつ日本のレコード会社として、いつの時代もロックシーンに確かな足跡を残し続けているビクターが「ずっとロック、これからもロック」を合言葉に開催する”ロックのお祭り”で、2014年に初開催。2015年に続き3回目の開催となる今回は、メインステージであるBARK STAGE(ビクター犬にちなみ、”吠える”の意味)、サブステージとなるROAR STAGE(”唸る”の意味)の2ステージ制と規模を拡大しての開催となった。また今年は2月14日“バレンタインデー”に開催ということもあり、場内にはえんむすび神社が出現するなどこの日ならではの演出に加え、今年も巨大なニッパー(ビクター犬)が登場するなどイベント随所に会場を盛り上げる仕掛けが組み込まれた。

 THE BAWDIES、サンボマスター、THE BACK HORN、Dragon Ash、レキシ、くるり、サカナクションという、ロックシーンを象徴するアーティストに加えて、Gacharic Spin、Awesome City Club、藤原さくら、go!go!vanillas、DJやついいちろう、SAKANAMONという、次世代のJ-ROCKを担う期待の新星たちを含めた全14アーティストが出演。さらに今年で2回目となるDJダイノジの出演や、ビクターロック祭りへの出演をかけた「ワン!チャン!!」オーディションでグランプリに輝いたヤバイTシャツ屋さん、kikiの出演などイベントに花を添えた。

 2016年ビクターロック祭りのトップバッターを務めたのは、THE BAWDIES。4人が登場すると待ち焦がれた観客からの力強い歓声が会場を包む。そして、スタートした1曲目「IT’S TOO LATE」。躍動する熱いビートに誘われ、フロア全体にダンスの輪が一気に広がる。2曲目「SING YOUR SONG」では、「一緒に歌ってもらっていいですか?」とROYが呼びかけると、巻き起こった特大のシンガロング。誰も彼もがTHE BAWDIESのロックンロールの虜となっていた。観客の明るい歌声も加わり、とびっきりの一体感が生まれたライブとなった。

 続いてBARK STAGEに登場したのは、サンボマスター。一昨年の「ビクターロック祭り」に出演、「安月給!」コールを巻き起こし幕張メッセを爆笑と興奮で埋めた山口(Vo)は、「みなさんも安月給、僕らも安月給、ビクターも安月給、でも行きたいところがあるわけなのよ近藤くん!」 と、「私をライブに連れてって」でスタート。暴風雨のようなバンド・サウンドでフロアの温度を上げる。「できっこないを やらなくちゃ」では今日何度目かのジャンプの海を出現させ、最後は「一緒に生きてくれよ!」と呼びかけながら「可能性」で感動的に閉めた。いついかなるところでも熱狂を巻き起こさなかったことなど一度たりともないサンボの真骨頂を見せたステージだった。なお「安月給!」コールは、「できっこないを やらなくちゃ」あたりまで連呼され続けた。

 真っ青な照明に包まれて登場したのはTHE BACK HORN。山田(Vo)が一発雄叫びをあげたあとの1曲目は「その先へ」。熱い歌声とともに分厚い重低音が轟くと、フロアからは力強く拳が上がっていく。ライヴで披露される度に歓喜の声を巻き起こす名バラード「美しい名前」の後のMCでは、松田(Dr)がメジャーデビューからの15年をともにしてきたビクターのことを「一人しか彼女を知らないまま結婚したようなもの」と喩え、オーディエンスに対しては「生と死とか、希望と絶望とか、俺らは一貫して『生きる』という奇跡みたいな大切さを歌ってきたと思います。これからも悲しみに打ち勝つための曲を作っていきます」とまっすぐに語った。ラストの一曲まで、演奏の熱量がそのまま真っ赤な血に変わっていくかのような渾身のステージを今日も見せた。

 ロック祭り中盤戦、唯一3年連続出演となるDragon Ashが登場。情熱的なビートとアグレッシブなアンサンブルで歓喜に沸き返るフロアを、Kj(Vo・G)のシャウトがさらに揺らしていく。「屋根ぶち破るぐらい飛び跳ねろ!」というコールとともに叩き付けた「AMBITIOUS」の沸き上がる観客の歌声に、満足げに親指を立てるKj。BOTS(DJ)のスクラッチとともに流れ込んだのは「百合の咲く場所で」。ばりばりと空気を震わせるKjの絶唱と魂のロックサウンドに応えて、BARK STAGE狭しとオーディエンスの手と歌声が突き上がる。熱いステージの最後を飾ったのは「Fantasista」。観客丸ごとロックの彼方へと導いていくような、強さと激しさに満ちたアクトだった。

 オリジナルグッズ『INAHO(イナホ)』を揺らしまるで田園風景さながらの不思議な空間に、突然法螺貝の音が響き渡った。現れたのは、今年で2回目の出演となるレキシ。「何だ、そのイナホの数は? ありがとね。ケビン・コスナーです!」と、ウィットに富みまくった挨拶を経て、1曲目「狩りから稲作へ」。誰もが知っている名曲の大胆な引用も連発、お約束のコール「キャッツ!」もバッチリ決まった。「せっかくなので十二単衣に……」と紫式部に変身してから届けられたのは、もちろんあの曲「SHIKIBU」。ラストに披露された「きらきら武士」はパワフルに躍動するビート、ソウルフルな歌声が、人々のダンス衝動を果てしなく加速していく。圧倒的な一体感を生み出しながらラストナンバー「きらきら武士」へと辿り着いた瞬間、さわやか極まりない余韻が会場全体に広がっていた。

 岸田繁のアコギでスタートしたくるりは、「グッドモーニング」でゆったりと1曲目を聴かせる。そこから「Morning Paper」「Race」「ロックンロール」「Hometown」と、04年のアルバム『アンテナ』を頭から5曲目まで披露。「ロック祭りということで、普段はフォークソングをやってるバンドなんですが、今日はロックを用意してきました(笑)」と岸田は言いつつ、「すけべな女の子」でまたも強靭なグルーヴを響かせる。「まだレコーディングもしてへん曲やけど、やります。シングルとかでも出ません。幕張の思い出にしてください」と、「どれくらいの」という新曲をプレイし、スケール感のあるリズムとメロディに会場から拍手がなり続けた。

 BARK STAGEのトリを飾るのは、2度目のヘッドライナーを務めるサカナクション。ステージ前面のPCの前でスタンバイしたメンバー5人が繰り出す1曲目は「ミュージック」。曲中の暗転とともにバンドセットに切り替わると、その音世界はよりいっそう肉体的な躍動感を帯びて、BARK STAGEの空気を刻一刻と熱く震わせていく。「帰ってきました! サカナクションです!」という言葉に続けて、「アルクアラウンド」でオーディエンス丸ごとクラップと大合唱の嵐へと巻き込む。立て続けに披露した「モノクロトウキョー」の曲中に「ビクター!」のコールを盛り込み、日本舞踊の踊り子を呼び込んで「夜の踊り子」を高らかに響かせ、レーザー光線舞い踊るメッセの頭上を高々と指し示す山口。その姿はまさに、ロックとポップの未知の可能性を力強く開拓していく冒険者を思わせるものだった。和太鼓のバチを手にした岩寺&草刈の太鼓乱れ打ちが轟く「SAKANA TRIBE TRANCE MIX」では、山口がエレクトリック・ポイを回転させると「ビクターロック祭り」の文字が! そこからノンストップミックス状態で「アイデンティティ」へ突入、アウトロとクロスフェードする形で「ルーキー」へ流れ込んだ後、「新宝島」のエモーショナルなアンサンブルとともに「なんだかんだ言って、僕たちビクターが大好きです!」と叫び上げた彼の言葉に、ひときわ熱い歓喜の声が湧き起こった。鳴り止まない手拍子に応えて再登場した5人。アンコールで鳴らしたラストナンバーは「Aoi」。ハイブリッドな構築美を強烈にドライブさせる5人のバイタリティが、BARK STAGEを目映く彩って――終了。現在はツアーの真っ最中、サカナクションの「その先」への期待感に胸躍る、最高のステージとなった。

 また今年よりスタートしたサブステージでは、次世代のJ-ROCKシーンを担う期待の新星7アーティストとDJ2アクトがライブを行いBARK STAGE(メインステージ)に負けない熱気を見せた。

 オーディション「ワン!チャン!!~ビクターロック祭りへの挑戦~」を経て出演権を勝ち取った2組が登場したワン!チャン!!ステージ。ブラックミュージックを基盤としたサウンドで伸びやかさや力強さも兼ね備えたkikiと、男女ツインヴォーカルとともに爆走するパンクサウンド、飾り気のないMCで会場に渦をおこしたヤバイTシャツ屋さんは、どちらのバンドも他の出演者に引けの取らない堂々としたライブを見せた。

 終始浮かべる明るい笑顔とアグレッシヴなプレイを見せるGacharic Spinのライブは、一度見るだけですっかり彼女たちの魅力の虜になってしまう。 午前中の悪天候から一転、空が明るくなった昼過ぎに登場したのはAwesome City Club。ROAR STAGEの会場からはみ出るほど集まった観客に、atagi(Vo/g)とPORIN(Vo/Syn)の甘い声が、じわじわと場の空気を染めいく。 続いて登場したのは、20歳のシンガーソングライター藤原さくら。絶妙な柔らかさを持つスモーキーヴォイスと、高音を張ったときの透明感のある歌声を対比させ”「かわいい」”をはじめ4曲を披露。珠玉のアンサンブルがオーディエンスの心を高鳴らせた。

 虹色の照明に負けないほどゴキゲンなサウンドで、ROAR STAGEの温度を上昇させ続けたgo!go!vanillas。「ビクターとロックの未来は俺たちに任せろ!」というメンバーからのメッセージ、会場のボルテージはさらにヒートアップ。熱気をそのまま受け継いで祝祭空間を描き出したのが、DJやついいちろう(エレキコミック)。ロック/ポップ名曲群を次々と繰り出し、あたかも歓喜の伝導師のように熱気をぐいぐいと高めていく。

 エレクトリカルな音像に彩られながら哀愁のメロを高らかに響かせるSAKANAMONの登場。アンコール含めて6曲披露し、彼らの全力投球の演奏を堪能した観客は誰も彼もが大満足の様子であった。

 ROAR STAGE最後となったDJアクトには、DJダイノジが登場。はてしなく広がるダンスの海状態を作り出した。

 約10時間に及ぶ「ビクターロック祭り」は大声援の渦の中、音楽愛にあふれたイベントのフィナーレを迎えた。

★BARK STAGE:Photo by Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)
★ROAR STAGE:Photo by Yosuke Kamiyama(SOUND SHOOTER)


[オンエア情報]
BSスカパー! BS241
「ビクターロック祭り~2016~」
2016年3月26日(土)16:00~19:00放送
※Ch等契約無料

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