上昇、向上、フックアップにクローズアップ、そしてベースアップ...。『UP』と付けられたDef Techのニューアルバムは、そのタイトル通り、さまざまなタイプの「アップ」が詰まっている。
2011年初頭から2度に渡るハワイでのセッションを始め、海に比較的近い国内スタジオでの合宿形式の制作環境は、これまでの以上の気分のリフレッシュさも手伝い、外気感や奔放さを作品にもたらせることに成功。より彼らの持ち味であるマイペース感や緩やかなサイクル、ジャワイアン度が増したものに。

あの「My Way」を彷彿させながらも、同曲以上に一対一に向けての歌を感じる「Golden Age」を始め、陽昇感溢れるトラックに”自分は自分”のアイデンティティの必要をトリッキーなラップや歌で伝える「The Day Dream」、軽やかなハワイアンブリーズを感じる「My Baby Love」「Spice」「Day Off」。飛び道具たっぷりな「Muteki」、ライヴを想起させるコール&レスポンスや自身の特性をレイビーでアッパーなサウンドに乗せラッピングした「Get Yo ASS UP!!!」等の盛り上がりナンバー。グル―ヴィーでぶっ太いベースラインに、”やりたいようにやりなさい”と柔らかく鋭く諭す「take it HIGHER!!」、スパニッシュな情熱的な「Freedom」、みんなでの大合唱必至な「friends for always」。かと思えば、”分け隔てや壁よりも大切なものがあるだろう”と、嘆き、諭し、歌う「Kokkyo」、文明の利器や便利さの裏にある身勝手による功罪により、二度と手に戻らない大切なものへの損失への警告を歌った「All That’s In The Universe」、人の表裏を鋭く突く「Naturally Blue」等のポリティカルなナンバーもしっかりとオンしている。

マイペースでリラックスした世界と、言いたいこと、伝えたいこと、おかしいと思ったことを、時に鋭く、時に諭すように、時に教えてくれるように伝えてくれるDef Techのニューアルバム。この1枚があれば、今のライフも気持ちもう少しアップ出来そうだ。

【 文：池田スカオ和宏 】