「えっ!?今回のシングルは、M-1の「LOVE SONG」にしろ、M-2.の「愛のうた」にしろ、訳せば同んなじ意味じゃん」

今回のファンモンのニューシングル「LOVE SONG/愛のうた」を手に取った方の多くはそう思ったことだろう。しかし、それを実際に聴き、逆に多くの人は、こう思ったにちがいない。”同じ「愛」って言葉でも、色々なものに対しての意味や向けてのものがあり、深いなぁ…”と。

今回のファンモンのニューシングルは、そのそれぞれのタイトル通り、愛がテーマのナンバーたち。とは言え、その2種は、片や"神様お願い!!"との祈りも切々とした、愛しい人への想いが胸に響いてくる、ミディアムバラード「LOVE SONG」と、<こんな時代だからこそ、みんなで力を合わせ、同じ目標に向かって頑張って行こう!!>とのメッセージも心に響く、聴く者に力を与えてくれる勢いのある「愛のうた」と、向けられる愛も、込められる願いも違ったもの。とは言え、その深さは同等に深く、規模やスケールの違いはあれど、どちらも重要な「愛」に対しての一途な訴えがなされている。

まずは、M-1「LOVE SONG」。こちらは、ここのところの彼らの新真骨頂とも言える、歌がメインになりながらも、”ここまで徹頭徹尾歌で歌われているのは初めてでは?”と思えるほど、歌が大全開となったナンバー。歌詞の共作と作曲に川村結花、アレンジに亀田誠治を迎え、ここまでの彼らの歌には、これほどのものは見られなかったぐらいの狂おしさと、一途な愛が聴く者の胸を締めつける。 「言っちゃえば、人を想う究極型をこの歌で表わしたかったんです。こんな時代だからこそ、１人に対しての狂おしいぐらいの深い愛を歌うのもいいんじゃないかと」と語るファンキー加藤。神様お願い的な祈りに満ち、たった１人に向けて愛しさむき出しで伝えるその伝達方法がいかにも彼ららしい。

続く、M-2の「愛のうた」は、悲壮感を吹き飛ばし、笑顔で手を差し伸べてくれるナンバー。ノリ良く勢いのある前のめりなサウンドの上、大勢の人が肩を組み、一緒に歌っている、そんなアンセム的な光景が浮かんでくる楽曲だ。「この歌はホント、みんなで力を合わせよう的な意味合いの強い歌で。歌だからこそ与えられるパワーというか。ホント、＜歌だからこそ出来ること＞を信じ歌いました」と語るモン吉。
頭の静かな歌い出しから急変。一気に最後まで駆け抜けて行くその勢いと力強さは、聴き終えたあなたに不思議なバイタリティを残してくれることだろう。

そして、今回のシングル中、最も白眉にして出色なのは、やはりケミカルが初めてソロで最初から最後まで歌っている「笑って笑って」に尽きる。 「明日への活力にして欲しい」との願いも込められたファンモン流宴会ソングとなった今作は、あの居酒屋チェーン「笑笑」とのタイアップ。「うちは先祖代々歌がヘタなんです(笑)。まっ、僕の歌でみなさんが楽しくなったり、和んでくれたらいいかな(笑) 」とは当のケミカル。いや、その言葉通り、聴く者を元気にし、聴き終わった後には活力を得られているところはまさにカジュアル系の居酒屋状態。これから年末にかけて、全国の「笑笑」の店内演奏で聴けるようなので、是非チェックしてみて欲しい。

「愛」以外に「こんな時代だからこそ」の力強さが根底に流れている今回のシングル。こんな時代だからこその「神様お願い」との祈りや、１人の人を一途に徹底的に愛する「LOVE SONG」。こんな時代だからこそ、「力を合わせ、みんな同じ方向を向き一緒に頑張ろう」と歌われる「愛のうた」。そして、「笑って笑って」は、こんな時代だからこそ、笑って、楽しんで、それらを明日への活力に変えていこうと歌われる。
そして、その「こんな時代だからこそ」感で更にいっぱいになりそうなのが、12/21に既に発売が決定している彼らのニューアルバム。うーん、こちらも今から非常に楽しみだ。

【 文：池田スカオ和宏 】