YUKIのライフスタイルが、華麗に響き渡る1枚。

　地に足が着いていながら、軽やかで無重力。ところどころにリアリティーが垣間見られるのに、とことんロマンチック＆ファンタジック。

　聴いているだけで、こちらの心も躍る。ポジティヴでハッピーな気分になるのは、彼女の生き方がそのままパッキングされた証拠ではあるまいか。YUKIだけが表現できる、ハートダンスミュージック・アルバムの誕生だ。

　YUKI、3年ぶりのオリジナルアルバム『FLY』は、16曲のポップチューンが満載だ。クールな４つ打ち、ヒップホップ、ドリーミーなバラード、メランコリックなポップス、ソウルフルなR&B、ファンク。さらにはアレンジの一部にアナログゲーム音を使ったりと、じつに自由自在。その豊富な曲調には、YUKIの音楽に対する尽きない興味＝モチベーションの高さが伺える。

　個人的には、M6からの中盤でみせる、昨今の海外ブラックミュージックシーンを彷彿させるアプローチが面白いと思った。こぶしを回さずとも、ソウルを感じさせるボーカル（含・コーラス）、そのニュアンスの豊かさと個性に、心から拍手を贈りたいです！　YUKIさん、カッコよくてため息が出ました。

　しかしながら、このアルバムの作品性と魅力は、自身の興味を突き詰め、最上級のYUKIポップスに昇華する彼女のクリエイティビティにあると思う。これまでの全作品においても、YUKI自身のクリエイティビティは重要なポイントになっていたと思うが、フラットに好きなものをチョイスし、フレッシュさ（オルタネイティヴと置き換えも可）を欠かさずポップスに切り込んで来るスタンスこそ、YUKIの生き方で実力だと、今作で改めて思った次第。

　いつでも次のノリシロがあるところが、YUKIポップスの魅力なのだと思う。 2014年のベスト１候補、見つかりました。

【文：伊藤亜希】