レビュー

FTISLAND | 2015.09.10

 10月29日に武道館公演でツアーファイナルを迎えるFTISLAND。これまで、エモーショナルかつゴリゴリのロックチューンや、壮大でドラマティックなロック・バラードのリリースが目立っていたが、新曲はなんと彼らのキュートな部分をフューチャーしたファンキーなポップ・ロックチューンだ。

 この「PUPPY」は、イ・ホンギが作詞、作曲を務めている。ホーンが楽しく響き渡るサウンドに乗るのは、女の子を子犬に例えたかわいらしいラブソング。どんなに追いかけても自分の思い通りにはいかない時もあれば、そばにずっと一緒にいて甘える姿も見せる。そんなワガママな“PUPPY”に喜んで振り回されるこの曲は、今までにない彼らのキュートな姿を見せてくれるのだ。作詞に共作としてヒップ・ホップアーティストであるWISEの名前がある通り、韻を踏んだリリックと言葉遊びが印象的なこの歌詞は、気づけば口ずさむほどの威力を持つ。さらには、サビになるとドラマティックに展開していくのだから、さすがである。ただ楽しいだけでなく、しっかりと心の奥を突くサウンドの構成は何度も聴きたくなる中毒性を持つ。

 この曲を聴いた瞬間、ライブに行きたくなる人も多い事だろう。コール&レスポンスが安易に想像できるこの曲は、今後のライブのキー曲に間違いなくなる曲だろう。一気にフロアを盛り上げ、一つにする力を持つこの曲を、ぜひライブで楽しんでもらいたい。

 カップリングには「Cycle」と「パラレルワールド」を収録。「Cycle」は、「PUPPY」とは対極な、緊張感あふれるシリアスなロックナンバーを聴かせてくれる。離れてしまった大切な人を忘れられずに想いながらも、それではいけないと前に踏み出そうとそうとする力強いメッセージソングだ。サビに向かって集まっていく音が、高ぶる気持ちを表現しているように響き、聴き終えた後は、ネガティブな気持ちが払拭され、しっかりとポジティブな気持ちになれるのだから、面白い。 「パラレルワールド」は、別れを予感した男性が過去に戻りもう一度やり直したいと願う、美しくも切ないバラード。カップリングに2曲に関しては、突き抜けた「PUPPY」とは全く異なる楽曲を収録してくるからこそ、このシングルは面白い。

 「PUPPY」で新たな魅力を開拓した彼ら。しっかりとロックナンバーを踏襲したからこそできるファンキーなナンバーは、とても力強く、ポジティブ。カップリングを含めて、より彼らのレンジの広さを感じることのできる1枚をぜひ堪能してもらいたい。

【文:吉田可奈】

tag一覧 シングル 男性ボーカル FTISLAND

リリース情報

PUPPY(初回限定盤A)[CD+DVD]

PUPPY(初回限定盤A)[CD+DVD]

発売日: 2015年09月16日

価格: ¥ 2,000(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージック・ジャパン

収録曲

[CD]
1.PUPPY
2.Cycle
3.パラレルワールド
4.Cycle(Instrumental)

[DVD]
PUPPY [Music Video]
PUPPY [In the Studio]
PUPPY [Behind The Scene of MV Shooting and Photo Session]

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