レビュー

水曜日のカンパネラ | 2016.11.01

 デジタルシングルとしてリリースされるメジャーでの第2作「SUPERKID」。今作を聴いて改めて実感するのは、水曜日のカンパネラが持っている“ワープ能力”とも言うべき時空を操るかのようなパワーだ。異なる事物同士をリンクさせ、未曾有の空間を作り上げるスリルが、水カンの音楽にはある。「アラジン」は、その好例だろう。“アラジン”というワードを聞けば、多くの人は『アラジンと魔法のランプ』を思い浮かべるだろうし、この曲の中にもランプや砂漠の国アグラバーなどが登場するが、描かれているのは、あの冒険譚の世界ではない。ランプの精を呼び出す動作である“こする”という動作にスポットを当て、金属の錆、汚れ、傷を完璧に落としてピカピカにしてしまう魔法のような磨き粉と、同商品を販売しているホームセンターのことを高らかに歌い上げている……と、いつものことながら水カンの歌詞を言葉で真面目に説明すると意味不明な感じになってしまうわけだが、実際に曲を聴いてみると、ごく自然且つ極上のダンスミュージックとして成立している。『アラジンと魔法のランプ』=夢とロマンに溢れたファンタジー/磨き粉・ホームセンター=生活感に満ちた地味極まりない事柄――本来無関係の両者を秘密のトンネルで繋げ、リスナーを夢見心地の恍惚へと誘うこんな曲、水カン以外からはなかなか生まれないと思う。

 そして、このような快感は、今作の他の曲にも大いに渦巻いている。「カメハメハ大王」は、ハワイ王国を築いたあの大王らしき人物が登場するが、描かれている姿は決して威厳に満ちたものではない。裸、羽マント、ヘルメットの恰好でうろちょろして職務質問を受けたり、柄の悪いお兄さんに絡まれたりしている。《ちょっとワイキキで ワイに危機迫る》というキラーフレーズを言いたいというだけの理由で制作されたのかもしれないと思うくらいに、痛快な突き抜け感がある仕上がりだ。また、トヨタ『TRY!PRIUS』とのコラボレーション楽曲「松尾芭蕉」の切れ味も鋭い。自動車に関するワードをたっぷりと盛り込みつつ、松尾芭蕉と『奥の細道』の要素も散りばめている。異なるもの同士をリンクさせることに水カンが長けているのは先述の通りだが、対象となる商品とアーティストの独自性の化学変化が求められるタイアップに於いて、その技は存分に光り輝く。タイアップ、CMソングなどで腕を振るう水カンの曲を、今後、もっといろいろ聴いてみたいという期待も膨らむ1曲だ。

【取材・文:田中 大】


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tag一覧 シングル 女性ボーカル 水曜日のカンパネラ

リリース情報

[配信]SUPERKID

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[配信]SUPERKID

発売日: 2016年11月01日

価格: ¥ 750(本体)+税

レーベル: WARNER MUSIC JAPAN

収録曲

1 アラジン
2 カメハメハ大王
3 松尾芭蕉 ※iTunes Exclusive

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