レビュー

KANA-BOON | 2019.03.18

 久々にアグレッシブに攻めるロックなKANA-BOONの新曲が到着した。3月6日にリリースされたニューシングル『ハグルマ』だ。現在のKANA-BOONはメジャーデビュー5周年イヤーを迎えて、怒涛のツアー&リリースラッシュを続けている。今月9日までは初の47都道府県ツアーを駆け抜けてきたほか、リリース作品としても『アスター』や『ネリネ』といった「夏」と「冬」をコンセプトにしたミニアルバムでバンドの新機軸を打ち出した。

 そんなKANA-BOONの最新シングル「ハグルマ」は、アニメ『からくりサーカス』のオープニングテーマ。これまでもKANA-BOONのアニメタイアップと言えば、『NARUTO -ナルト-』や『BORUTO -ボルト-』関連シリーズのアニメ&映画に起用された「シルエット」や「ダイバー」「バトンロード」、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のオープニングテーマとなった「Fighter」など、特に印象に残るものが多かったように思う。バンドの持ち味であるハイテンポでキャッチーなメロディはアニメとの親和性が非常に高い。

 今作「ハグルマ」も、そんなKANA-BOONのディスコグラフィーに鮮烈な爪痕を残す1曲だ。作詞作曲を手がけたボーカル谷口鮪が、幼少のころから原作漫画を愛読していた作品とのコラボレーションということで、「燃えるような情熱を持って曲を作りました」とコメントをしているとおり、並々ならぬ気合いで完成させた。古賀隼斗(Gt)が繰り出す攻撃的なギターのイントロにはじまり、艶やかに花開く歌謡テイストの美しいメロディ、前のめりに駆け抜ける疾走感に満ちたサウンド。このバンドが本来的に持っている訴求力の強さを最大限に詰め込んだアレンジには、「これぞ、KANA-BOON!」と思わず膝を打ちたくなった。メロディの裏でまったく違う旋律を奏でる古賀のギターをはじめ、飯田祐馬(Ba)、小泉貴裕(Dr)が繰り出す躍動感のあるリズム隊のアプローチも聴きどころが多くて嬉しい。

 5年前メジャーデビュー直後のタイミングからKANA-BOONは爆発的な人気を獲得して、一気にロックシーンのトップへと躍り出た。だが、その急激な環境の変化のなかで、純粋に音楽を楽しめない時期があったことも、最近のインタビューでは明かしている。そこから精力的なライブ活動や、4thアルバム『NAMiDA』の密度の高いレコーディングなどを経て、もう一度バンドを立て直し、メンバーの結束力が強くなっているのが、いまのKANA-BOONだ。それが、「ハグルマ」という曲からはひしひしと感じられる。ただ4人で音を鳴らすだけで、どうしようもなく楽しかったバンド初期の衝動に近い感覚のまま、ロックバンドとして成熟していくKANA-BOONは、いまが史上最高にかっこいい状態にあると思う。

「ハグルマ」の歌詞はアニメに寄り添い、「数奇な運命のなかで自分の道を選びとる」というテーマで書かれている。それもバンドが歩んできた紆余曲折の歴史と重なる。“未来だけ想えばいい 過去の亡霊を消して”。そんなふうに歌われるフレーズは、何度くじけても蘇り続けるバンドの飽くなき決意表明であり、いまだからこそ歌える熱いメッセージだ。

【文:秦理絵】

リリース情報

ハグルマ

ハグルマ

発売日: 2019年03月06日

価格: ¥ 971(本体)+税

レーベル: Ki/oon Music

収録曲

1.ハグルマ
2.オレンジ

トップに戻る