レビュー

あいみょん | 2019.04.24

 弾き語りによる初の日本武道館公演『AIMYON BUDOKAN -1995-』で披露された新曲「ハルノヒ」が、あいみょん7枚目のシングルとしてリリースされた。カップリングは、タイトルからしてインパクトありまくりのスカチューン「鯉」。ジャケットのアートワークも含め、またひとつあいみょんの新鮮な魅力が引き出された作品だ。

 「ハルノヒ」は4月19日に全国公開となる『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』の主題歌として書き下ろされたもので、リリースに先駆け、テレビ朝日系列でオンエア中のTVアニメ『クレヨンしんちゃん』のエンディングテーマとしても流れている楽曲だ。小さい頃から大好きで、いつも家族と一緒に見ていたという『クレヨンしんちゃん』。武道館のステージでも「岡本太郎の太陽の塔も、吉田拓郎も、ベッツィ&クリスも、全部しんちゃんが教えてくれた」と語っていたが、この「ハルノヒ」は、あいみょんにたくさんの刺激や感動や愛を与えてくれた「野原一家への、私なりの恩返し」なのだという。

 映画で描かれているのはひろしとみさえの“いまさらの新婚旅行”ということで、あいみょんは2人の原点ともいうべきエピソードに着目。歌い出しにある「北千住駅のプラットホーム」というのは、ひろしがみさえにプロポーズをした場所だ。男性目線、というかひろし目線で語られていく今作。「君の強さと僕の弱さ」や「前を歩く君じゃなきゃダメだから」といった歌詞からは2人のキャラクターや関係性。「いつかはひとり いつかはふたり 大切を増やしていこう」といったフレーズからは、しんのすけやひまわりの存在をイメージさせながら、強い家族愛で結ばれた”野原一家”になっていく様子が伝わってくる。「クレヨンしんちゃん」を愛し、自分自身も家族というものを大切にしているあいみょんの想いの深さを感じる歌詞の世界観だ。

 北千住駅のホームから始まった今作のストーリーは、最後の最後に「住み慣れた駅のプラットホーム」へと景色を変える。野原一家が現在暮らしているのはご存知春日部だが、そう言い切らないことによって、この曲はあなたの歌でもあるんだよと台本を託されたような気分になった。地元の駅、一人暮らしをしたあの街、子供の頃に見た夕焼けの空…。野原一家の物語がいつの間にか自分自身の記憶や生活とも重なっていき、どこか懐かしく、そしてあたたかい気持ちを残してくれていた。サビの部分などでは映画の主題歌にふさわしいドラマチックな展開が光っているが、最後のパートはこれ以上ないほどの愛をにじませながらも、ギター1本で呟くように歌い終える今作。映画館からの帰り道、手を繋いで帰る家族の後ろ姿が見えた気がした。

【文:山田邦子】

リリース情報

ハルノヒ

ハルノヒ

発売日: 2019年04月17日

価格: ¥ 1,000(本体)+税

レーベル: ワーナーミュージックジャパン

収録曲

01.ハルノヒ
02.鯉
03.ハルノヒ(Instrumental)

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