クリープハイプ、ついにメジャー1stアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』をリリース!

クリープハイプ | 2012.04.17

 数年前に初めて見たクリープハイプは、荒れ狂うバンドだった。尾崎世界観の歌詞は、自分が生きる中で感じ取ったことをしっかり描くという意味では、すでにその時点で完成度が高かった。が、バンドとしては精度が低かった。尾崎のユニークな激情を表現するには、ハイレベルの演奏技術が必要だったのだ。やがてメンバーは、散り散りになった。以降、尾崎は苦闘の連続。ただ、彼の信念と自信は揺るがなかった。一方で、孤独を深めていったのも事実だろう。

 そして彼の歌を愛しながら表現するメンバーに巡り会った。尾崎世界観(vo,g)、小川幸慈(g)、長谷川カオナシ(b)、小泉拓(dr)の4人は、ついにメジャー1stアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』をリリースする。内容は12曲中4曲が再録。インディー時代の名曲「チロルとポルノ」などが入っている一方で、「愛の標識」などスピード感あふれる新曲も収められていて、バンドの優れたアンソロジーであると同時に、クリープハイプの未来を示す好アルバムとなっている。 ただ僕は、尾崎の頑固さも知っているので、正直、メジャーのフールドでやっていけるのかという不安も持っていた。なので、そのあたりをストレートに訊いてみることにした。

EMTG:メジャー1stアルバムを作るにあたって、それまでといちばん違ってたことは?
尾崎:レコード会社のスタッフから「この曲、入れてくれ」とか、いろいろ言われたことが嬉しかったですね。
EMTG:えっ、嬉しかったの?いろいろ言われるのは嫌なんじゃないかと思ってたけど・・・。
尾崎:いやいや、今までそんなこと言われたことなかったし、俺たちは誰にも必要とされていないのかなと思ってたから、嬉しかったですよ。
EMTG:珍しいね(笑)。
尾崎:あはは。
EMTG:他のメンバーは?
小川:メジャーだからこうやろうっていうのはなかったけど、少し気負いはあったかな。ただレコーディング終わらせてから、アンプとか新しい機材が欲しくなりました。
EMTG:いいね。いい音を出したいっていう欲が出てきたんだ。
小泉:僕はスタッフが増えて、ドラムの話ができるようになったこと。ドラムテック(註:ドラムの調整をするスタッフ)とか、ドラマー目線で話せる相手ができたのが嬉しかった。今までは全部ひとりでやらなきゃいけなかったですからね。
EMTG:ちょっと淋しい話だけど(笑)、分かる、分かる。
長谷川:メジャーから出すからって、自分のやることは変わらなかったですよ。でも「チロルとポルノ」とか、古い曲をやることになって嬉しいなと思いました。僕がクリープハイプに入る前に好きで聴いていた曲を、メンバーとして演奏するのは楽しかったです。
EMTG:そうか、それは楽しいね。「チロルとポルノ」はどこが好きだったの?
長谷川:登場人物が魅力的。それが僕にも分かる言葉で描かれている。そこが好きですね。
EMTG:尾崎くんは昔の曲をもう一回レコーディングし直して、どう感じたの?
尾崎:バンドがうまくいかなかった時のこととか、いろいろ思い出しましたよ。あの時、こんな酷いことを言われたなとか。
EMTG:尾崎くんはそういうこと、絶対忘れないもんな(笑)。
尾崎:はい、忘れません(笑)。ただ、今回、あの頃のことをやっとちゃんと意味のあるものに変えられたと思う。クリープハイプは、取り戻さなきゃいけないものが多いバンドだと思う。スタッフがそれをちゃんと分かってくれていたから、昔の曲も抵抗なくやれた。そうじゃかなったら、レコーディングの様子は違ってたかもしれないですね。
小泉:僕は入る前に聴いてた曲で好きだったのは、「バイト バイト バイト」。心当たりがあるっていうか、なんか週刊誌のマンガ読んでるみたいで、歌のシチュエーションが自分と重なる。
小川:僕は「手と手」。ロマンティックなのに激しくて、歌詞の意味の全部は分からないけど、かっこいいし、切ない。その感じで言うと、尾崎が新曲を最初に弾き語るときと似ているかもしれない。
EMTG:どういうこと?
尾崎:今回のアルバムに入ってる新曲もそうなんですけど、まずみんなの前で一回弾き語りして、その時にメンバーが何かを感じなければ、その曲はそれ以上詰めるのは止める。早い段階で形にならないとダメ。「もうちょっとやればよくなる」って言われても、「ホントかなあ?」と思う。だって、お客さんに伝えなきゃいけないのに、自分たちが分からないでどーする。伝わるかどうか、すぐに知りたい性格なんですよ。そんなことで悩むヒマがあったら、新しい曲を作りますね。
EMTG:思い切りがいいねえ。でも一回の弾き語りでは、歌詞とか全部分からないんじゃないかな。
尾崎:いや、歌詞ひとつひとつの意味よりも、その曲が聴いてる人の心に残るか残らないかが大事。伝える側としては、入り口に立てるか立てないかだと思ってるから。
長谷川:最初の弾き語りは、断片しか入ってこない。
小泉:新曲の弾き語りを聴く時は、いろんな意味で緊張しますよ。でも楽しみでもある。聴いてて、途中からドラムを叩きたくなることもあるんですけど、そうすると「ちょっと待ってろ」って言われて(笑)。僕らは“お客さん”として聴くんです。
EMTG:メンバーが“最初のリスナー”なんだね。
尾崎:そう。だからこのアルバムに入ってるのは、自分たちがもう一回やりたくなった曲ばっかりです。
EMTG:自信作なんだね。
尾崎:っていうか、僕が作るのは、いつも自信作。ずっとそう言ってきたじゃないですか(笑)。
EMTG:確かにそうだった、そう言ってた(笑)。そして今回のアルバムも、歌詞のテーマは以前と変わってない。うまくいかない現実と、それに向かい合う主人公がいる。
尾崎:そのテーマは飽きないんですよ。これからもそうだろうなと思う。でないと、昔の曲と今の曲が両立しない。だから、変わらなくてよかったと思ってる。メジャーになって恵まれた環境にはなったけど、前と同じくらい悲しいことや嫌なことがある。そういうものが歌になったりするんですよね。
EMTG:他のメンバーは、そんな尾崎くんの世界観をどう思ってるの?
小川:メジャーになっても、別にいい車に乗りたいとか思わないし。変わってないのは、自分も同じだと思う。
長谷川:僕も相変わらず、いろんなことに「クソッ!」って思うし、思い続けるし。
小泉:一緒にいろんな経験をして、「あ、あれが歌になっちゃったんだな」って気づくのが面白い。
EMTG:いいメンバーだね!
尾崎:僕にとっては、曲を残したいっていう本能がいちばん大事なんですよ。これからもそうやって行きます。

【取材・文:平山雄一】

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リリース情報

死ぬまで一生愛されてると思ってたよ(初回盤)

死ぬまで一生愛されてると思ってたよ(初回盤)

2012年04月18日

ビクターエンタテインメント

1. 愛の標識
2. イノチミジカシコイセヨオトメ
3. 手と手
4. オレンジ
5. バイト バイト バイト
6. ミルクリスピー
7. 身も蓋もない水槽
8. ABCDC
9. 火まつり
10. 蜂蜜と風呂場
11. チロルとポルノ
12. exダーリン (初回盤ボーナストラック)

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●尾崎
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風邪を引いてて、悪寒がするんで調べた。熱は、身体が風邪と戦ってるから出る。熱があるから悪寒がするんだけど、悪寒があるうちは、まだ風邪だっていう。

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ミヤコ蝶々

今、昼ドラで『鈴子の恋』っていうのを見てて、主演女優(註:映美くらら)がけっこうかわいい。ミヤコ蝶々っていう人のドラマなので、興味があって調べました。


■ライブ情報

全国ワンマンツアー「つま先はその先へ」
2012/05/18(金)仙台PARK SQUARE
2012/05/25(金)札幌COLONY
2012/05/29(火)名古屋CLUB UPSET
2012/05/31(木)福岡graf
2012/06/02(土)広島Cave-be
2012/06/09(土)赤坂BLITZ

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