EMTG：まずはそれぞれの第一印象を聞かせてください。

トータス松本：小さいなと（笑）。思ったよりね。歌っていると、わりと大きく見えるんですよ。だから、意外と小さいなというのが第一印象だった気がするなあ。

越智志帆：私は、テレビなんかで　観ていた人なので、初めてお会いした時は、ミーハーな感じで「うわ?、本物のトータス松本さんだ?」って。

トータス松本：ハハハ。実在したと。

越智志帆：そんな感じでした。「テレビの人だ?」みたいな（笑）。

EMTG：今回のシングル「STARS」での初共演は、どういう経緯で決まったんですか？

トータス松本：もともと、(事務所の)新年会とかで、いつか一緒にやれたらええなあみたいな話はしていたんですよ。でも、なかなか実現しなくて。それで今回、フジテレビのオリンピック中継のテーマ曲をという話をいただいたんで、この機会にぜひやりたいなと思って。

越智志帆：でも私、何年か前、それこそ新年会の時に、酔った勢いで「一緒に歌いましょうよ」って言ったら、「10年早いわボケ」って言われたんですよ（笑）。

トータス松本：ウソつけ！　そんなこと言ってへんわ。ま、そういうことにしておこうか。ハハハハハ。

EMTG：作詞も作曲も松本さんですけど、どんなイメージで書かれたんですか？

トータス松本：やっぱり、自分で歌う歌っていうのは、自分が歌いやすいように作ればええねんけど、ふたりで歌うから、半分ぐらい……あんまり自分をそういうふうに考えたことはないんだけど、作詞家、作曲家みたいな感じでやってみようと。だから、すごく頭も使った。曲を書く時、あんまり頭使わないんですけどね。なんかちょっと、よそ行きの曲になっているでしょ（笑）？

EMTG：よそ行きって（笑）。

トータス松本：思ったのは、人が何かを一生懸命やるっていうのは、恋愛に近いんじゃないかなっていうことだったんですよ。ひたむきさとか、情熱とかね。だから、熱い熱いラヴ・ソングを書けば、きっとハマるやろと。あんまりその、スポーツだオリンピックだみたいなことを念頭に置いて書くと、言葉が狭まってくると思ったんですよ。勝ち負けみたいなことになっていくから。だからちょっと、そういうことは置いといて、純粋に男と女がすごく好き合っているっていうこと、そしてふたりでひとつのもの……それが結婚なのかどうかわからへんけど、恋愛の究極の形、究極の理想みたいなものを目指すような曲だったら、うまいこと選手の方たちのやる気にも繋がってくれるんじゃないかと思ったんですよね。

EMTG：志帆さんは、最初に曲をもらった時、どう感じましたか？

越智志帆：意外な曲だと思いました。私も、すごくメロディアスでポップな曲が、ふたりで歌うならいいだろうなって思っていたんですよ。ロックな曲よりも。それでも意外でしたね。今までのトータス松本さんにはないような感じの曲だったので。それで最初に驚いて、それからだんだん歌い方のイメージが湧いてきたんですよね。

EMTG：ふたり一緒にレコーディングしたんですか？

トータス松本：そうです。僕は志帆ちゃんに、発声練習から教えてもらいました（笑）。

越智志帆：ハハハハハ。

トータス松本：なんせ、度胸がある人ですよ。

越智志帆：いやいや、トータスさんが紳士なんです。

トータス松本：僕が逆の立場やったら、ガチガチになると思うんやけどね。別にトータス松本がどうこうじゃなくて、先輩と同じスタジオで、一緒に録音したわけですから。しかも、向き合ってね。そしたら、ものすごくいい感じで録れたんですよ。歌の温度が高いっていうか、とにかくアガる。志帆ちゃんの度胸ですよ。

越智志帆：いやあ、なんていうか、興奮度が、自分ひとりで歌っている時には感じないようなものだったんですよね。

トータス松本：そうそうそう。

越智志帆：そういうのって、伝染するんでしょうね。その興奮がどんどん大きくなって、すごく幸せを感じたんです。「私は幸せだなあ」って思いながら歌っていました。

EMTG：ご本人たちが思う、一番の聴かせどころを教えてください。

越智志帆：私は今回、デュエットで、しかもラヴ・ソングっていうことで、Superflyで歌う時と比べて、自分が女性だっていうことをすごく意識して歌ったんですね。

トータス松本：ああ、そうかもねえ。

越智志帆：テンションが上がって、最後のほうはわけわかんないことになっちゃったんですけど、でもすごく女性でいようっていうことを意識しました。なので今回は衣裳も、ちょっとブリっ子っぽくしています（笑）。

トータス松本：とにかく、声の混ざりを聴いてほしいよね。

越智志帆：うんうん。

トータス松本：絶妙やなと思いました。なんていうのかなあ、いろんな歌い手がおると思うんやけど、僕と志帆ちゃんは目指す唱法とかが似てるところもあるんやろうね。好きな歌手が似ていたりするのか、好きな音楽が似ているのか、好きな歌い回しなんかが似ていうるのか知らんけど、やっぱり声の混ざりがすごくいいと思った。ちょっとしたミックスのバランスの違いで、ずいぶん聴こえ方が変わるし、そういう意味ではすごくデリケートなところなんだけど、混ざりは本当にいい。仮歌をレコーディングした時に、ものすごく興奮したもん。

越智志帆：私もそうなんです。声がこんなにうまく混ざるとはって嬉しくなって、仮歌の音源を何回も聴きましたもん。パワーもすごく感じますしね。

トータス松本：これね、混ざらへんもんは混ざらへんのですよ。だから、よかったなあって。面白いしね。

EMTG：ぜひライヴの場でも歌っていただきたいです。

越智志帆：うん、私もライヴでやってみたいです。

トータス松本：やっぱり、こういう曲を作ったんだから、お客さんの前で歌ってみたいっていうのはあるね。

越智志帆：実際にライヴで歌った時に、自分たちがどんな心境になるのかも楽しみですしね。

トータス松本：うん。それと、テレビの音楽番組で歌って、同業者がぽかーんとなるのも見てみたいな（笑）。

【取材・文：鈴木宏和】