chay “今まさに届けたい” 1stアルバム『ハートクチュール』完成

chay | 2015.04.13

 ワンピースにハイヒール姿のシンガー・ソングライター、chay。彼女を説明するとき、“元『テラスハウス』出演の…”という説明がどうしても付きまとう。しかし、あれから1 年。デビュー3年目にして完成させた1stアルバム『ハートクチュール』は、chayがシンガーソングライターとして何を表現していくか、それをようやく手にした作品になった。自身が影響を受けた60?80年代の音楽を取り入れながら、耳でも目でも楽しめるシンガーソングライターになる。強い眼差しでそう語るchayは、元『テラスハウス』だけでは終わらない、大きな夢を抱いている。

EMTG:「あなたに恋をしてみました」(最新シングル)は初の月9タイアップ(『デート ?恋とはどんなものかしら?』)で自身最大のヒットになりましたね。
chay:ありがとうございます。まだまだですけどね(笑)。
EMTG:何かその手応えは感じてますか?
chay:周りの方の反響は全然違いますね。いままでは『テラスハウス』で知ってくれた方がほとんどだったから。ライブも9割方が若い女の子だったんです。いまは本当に幅広くなって。やっぱり「あなたに恋をしてみました」が60年代を意識したレトロなサウンドだったので、その世代の方も懐かしく思ってくださってるみたいで。世代を問わず幅広く聴いてもらえてるっていうのは実感してますね。
EMTG:『テラスハウス』で名前だけ知ってた人も多かったでしょうし。
chay:やっとリンクできたのかなって思ってます。ツイッターでも、「まいまいとchayが一緒だとは知らなかった」とか書かれてたみたいで(笑)。
EMTG:それじゃあ、一般的な知名度があがったところで、良いタイミングでのアルバムリリースになったわけですね。
chay:そうですね。シングル6枚も出してアルバムはまだリリースされていないとかあんまりないと思うんです。でも、焦らなくてよかったな、といまは思いますね。
EMTG:そういう意味では、デビューからシングル6枚分の時間が経っているわけで。人間的な成長の部分を入れられた作品にもなりましたよね。
chay:もう「はじめての気持ち」は、2年半前の曲ですからね。chayヒストリーじゃないですけど。歌い方も、声も、サウンドも全然違うのを改めて感じます。しかもシングル以外のアルバム曲は今年に入ってからレコーディングしたんです。だから、まさにいま自分が届けたいものも混ぜられたから。1stアルバムにして、ベストぐらいの気持ちです。
EMTG:自分が届けたいものが変化してるなっていうのは思います?
chay:「あなたに恋をしてみました」でだいぶ変わりました。今までいろいろ曲を作って、自分が目指してるサウンドの世界観を探し途中だったんです。もちろん作ってるときは、それぞれ想いがあるんですけど。それが、「あなたに恋をしてみました」で、やっと見つけた。やっぱり自分が通ってきた音楽のルーツも60?80年代が多かったので。いまっぽいサウンドをあんまり目指してるわけじゃなくて。1周まわって新しい感じが自分には合ってるかもしれないって思えたんです。
EMTG:今回のアルバムにもそういう傾向が強く出ている?
chay:「あなたに恋をしてみました」の後に作った「ハートクチュール」もそうですし。あとは、「恋はスペシャル」はロッカバラードで、ちょっとシルヴィ・ヴァルタンを意識してみたり。「Weekend!」はモータウンな感じで。まさに自分がやりたいサウンド、メロディ、歌詞っていうのを出せたんです。今後もそういうのをやっていきたいです。
EMTG:chayさん、前に「自分の声が嫌だ」って言ってたんですけど。でも今回はその自分の声を生かせる場所に出会えたんじゃないですか?
chay:それ!それが言いたかった。今回も多保さん(孝一/元Superfly・「あなたに恋をしてみました」の曲提供)と「ハートクチュール」で共作してるんですけど、多保さんもchayに合う曲をずっと探してくれてて。そのなかで、「ハートクチュール」のフレンチポップな感じが合うんじゃないかっていう客観的な意見もいただいたし。自分でもこういうのがやりたかったって思えたんです。
EMTG:その「ハートクチュール」はアルバムのタイトルにもなってますね。
chay:造語ですね。オートクチュールはフランス語で高級仕立服っていう意味なんですけど。わたしは、耳ではもちろん、目でも楽しめるアーティストになりたいっていう目標がずっとあるんです。幸いにもCanCanモデルもやらせてもらってますし、CDジャケットとかミュージックビデオも毎回こだわってる。だから、衣装とかもチェックしてほしいなと思って。で、ハートは、いま使ってるアコギのサウンドホールもハートだし、ファンの間でやってるchayポーズもハートだったりとか。アルバム曲も、それぞれのハートを詰めたというか。切ないハートだったり、胸がキュンキュンルンルンなハートだったり。1個1個ハートを仕立てたアルバムっていう意味で「ハートクチュール」にしました。
EMTG:まずアルバムのタイトルができてから、曲ができたの?
chay:そうなんです。アルバムのオープニングなので、朝、あっけらかんな気持ちで聴いてほしい。これを聴いてると不思議とウキウキしてくる、嫌なことがバカバカしくなってくる、そういう気持ちになってほしいなと思ってます。
EMTG:出だしの「ハートクチュール」は軽やかな曲だけど、アルバムのなかにはchayさんのネガティブな部分も曝け出してますね。
chay:特に、「nineteen」とかはそうだなと思います。この曲は19歳の頃のことを思い出して書いた曲なんです。小さいときから歌手を目指してたけど、本気で活動をはじめたのは19歳のときで。それまでは特にこれと言って何かひとつのことをがむしゃらで頑張ったことがなかったんです。でもギターに関しては、練習を何十回も何百回もやってると、不思議とサラッと弾けるようになる。その達成感ってそれまでに味わったことがなくて。
EMTG:たとえば部活とかではそういう経験はなかったの?
chay:陸上部だったんですけど。でもそれも自分が将来選手になりたかったわけでもなかったから、辛くてさぼったりしてて……。
EMTG:じゃあ、音楽での経験は本当に初めて味わったことだったんだ。
chay:そう。本気でやりたいことに初めて向き合えたっていうか。なんて言うんだろ……この歌詞にあるみたいに、《たった6本の弦だけど》、その弦が切れるぐらいまで練習をして、できなかったことができるようになったときの達成感!そういうのを初めて味わったときの気持ちを曲にしたのが「nineteen」なんです。それがあったから、周りが就活をはじめたときに、疎外感とか劣等感を感じながらも、これでいいんだって音楽を続けられたんですよね。
EMTG:じゃあ、さっきこの2年半が入ったアルバムって話もしたけど、歌手としての原点も詰まった作品になってるのかもしれない。
chay:たしかにそうですね。しかもこの曲の最後は《歌い続ける》っていうメッセージで終わるんです。だから最後に入れたかったんです。
EMTG:で、そんなアルバムを引っさげて、いよいよ初の全国ツアーですね。
chay:目標にしてた全国ツアーなのですごくうれしいです。やりたいことをあげてったらキリがないんですけど(笑)。自分が誰かのライブに行くときって、とにかく非現実的な世界に連れてってほしいんです。なので、わたしも現実的な嫌なことだったり、辛いことも、ライブの合間だけは忘れてほしい。明るくて、ポップで、キラキラしてて、非現実的なぐらい楽しめるようなものにしたいなと思ってます。

【取材・文:秦 理絵】

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ビデオコメント

リリース情報

ハートクチュール

ハートクチュール

2015年04月15日

ワーナーミュージック・ジャパン

1. ハートクチュール
2. あなたに恋をしてみました
3. Twinkle Days
4. I am
5. はじめての気持ち
6. Singin’ In The Rain
7. 恋はスペシャル
8. Weekend!
9. Half Moon
10. Forever
11. Wishes
12. Summer Darling
13. nineteen

お知らせ

■ライブ情報

ハートクチュールツアー
2015/05/31(日)愛知 Electric Lady Land
2015/06/07(日)福岡 BEAT STATION
2015/06/14(日)大阪 梅田 CLUB QUATTRO
2015/06/26(金)北海道 KRAPS HALL
2015/06/28(日)宮城 仙台MA.CA.NA
2015/07/04(土)東京 AKASAKA BLITZ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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