SiMの新作「ANGELS and DEViLS」は、ストレートで密度の高い気迫の1枚

SiM | 2015.06.09

 まさに天使と悪魔が拮抗するような壮絶な音源だ。ゴリゴリのヘヴィ音、晴れ渡るメロディ、ヒリヒリした歌詞といい、これまでSiMが培ってきた経験値と演奏力を総動員し、一点突破で体当たりにしてくる濃厚な意志がぎちぎちに詰まった気迫の一枚。2015年を占う意味でも最重要作と言える2曲入り5thシングル「ANGELS and DEViLS」と、今年7月に2日間に渡って開催される初の野外フェス「DEAD POP FESTiVAL 2015」について、メンバー全員にじっくり話を聞いてきた。

EMTG:今作は「ANGELS and DEViLS」という表題が象徴する通り、ゴリゴリのヘヴィさと明るいポップなメロディが同居した2曲で、どちらも凄まじい破壊力ですね。
MAH:ハードだけど、ウェットな質感もあるし、開けるようなサビもある。それをうまく表現できたと思います。
SHOW-HATE:メロがポップなので、そこに重点を置いてアレンジをしたんですよ。
SIN:楽曲的に前と比べると、音色的にシンセを使ってなかったり、シンプルになりましたね。
GODRi:今回もストレートなロックで、歌やメロディもキャッチーなので、心おきなくズバッと行けました。勢いで録った感じですね。
EMTG:振り返ると、前作『i AGAINST i』は自分たちのルーツを曝け出した作風で、MAHさんは「これ売れないかも」と零していたのが印象的で。いざ蓋を開けてみると、賛否両論どころか、讃美の方が多かったんじゃないですか?
MAH:そうですね。こういうのを聴きたかったと言われることもあって、そうなんだ!って。前作はあえて音楽性を散らかしたつもりだけど、ファンの子たちはSiMの曲として付いて来てくれましたからね。でも散らかりっぱなしもあれだから、一周回ってシンプルにしようと。前作でSiMの球種は全部見せたので、今のスキルで『SEED OF HOPE』(11年発表)みたいなストレートなアルバムを作ろうと。
EMTG:そうなんですか。『SEED OF HOPE』の頃はバンドがこれから世の中に打って出るために、意識的にストレートに寄せた作風でした。昔と今ではまた心境は違うと思いますが、どうですか?
MAH:『SEED OF HOPE』の前に発売した『LIVING IN PAiN』は、2千枚ぐらいしか売れてない状況でしたからね。で、いきなり『SEED OF HOPE』で大きな反応をもらって、次の『LiFE and DEATH』でもっと行けると思い、前作はここまで付いてきてくれるんだ!って。それを踏まえて、今回はストレートなものを作ったら面白いんじゃないかと。
EMTG:今だからこそ、自信を持ってストレートな作風で勝負できると?
MAH:はい。今回はそこまで考えずにやれましたね。
EMTG:今回MAHさんがもって来た曲に対して、ほかのメンバーはどんな印象を持ちました?
GODRi:毎回思うけど、また難しい曲を持ってきたなと。
EMTG:確かにシンプルだけど、凝るところは凝ってるし、楽曲密度は相当濃いですよね。
SHOW-HATE:リスナーはシンプルに聴こえるかもしれないけど、プレイヤー目線だと凝ってますね。実際やってみてもムズいんですよ。
MAH:ギター齧ってる子がコピーしようとしても、全然できないと思います。特に歌はシンプルにしてるつもりだけど、楽器は面倒臭いフレーズばかりだから(笑) 。
EMTG:前作よりもプレイ的には難しい?
SIN:いままでの中で一番難しい2曲ですね。
GODRi:いままでのこだわりがストレートの中に凝縮されてますね。
MAH:多くの人により聴いてほしいと思っていたから。歌はわかりやすくしたけど、ナメられたくない気持ちもあったから。今回は日本語もたくさん入ってるし、売れそうな曲を作ったと思うかもしれないけど、実際のプレイは難しくて。
EMTG:「EXiSTENCE」のサビで日本語を使った理由は?
MAH:もとが90秒のアニメの曲(TVアニメ『神撃のバハムート GENESIS』)を依頼されて、それで書いたんですよ。監督さんから指名を受けたものの、逆にいろいろ考えすぎちゃって。海外にも強いアニメなので、海外のアニメ・ファンも聴くと思ったから、逆に日本語で行ってみようと。いざ書いてみたら、しっくりハマりましたね。激しい曲に日本語を入れるのはダサくなりそうで、敬遠してたんですよ。でも違和感なかったので自信が付きましたね。だから、今後は日本語を増やそうかなと。韻を踏む選択肢も増えますからね。
EMTG:それこそ、地元横浜には山嵐を筆頭にゴリゴリの音に日本語を乗せる先輩ミクスチャー・バンドもたくさんいますからね。
MAH:そうですね。山嵐とか普通にカラオケで歌ってましたからね。「EXiSTENCE」でも日本語のラップが乗せたパートもあるけど、今なら新鮮に聴いてもらえるかなと。
EMTG:そして、カップリングの「Millions of Stones」は1曲目に負けずヘヴィですね。3分台の楽曲ですが、体感はもっと長く感じました。しかもSiM史上最高に明るい曲調で、そこにも驚いたんですよ。
MAH:自然とキャッチーなものが出てきたんですよ。あと、パンク・ロック感をすごく出したくて。A DAY TO REMENBERみたいなイージーコアってあるじゃないですか? でもパンク・ロック通ってる感じがしなくて、そこ(パンク・ロック)を混ぜたイージーコアを書こうと思ったんですよ。最終的にはラウドな仕上がりになりましたけど。
EMTG:確かにblink-182などポップパンク始点のイージーコア・バンドが多くて。
MAH:そうなんですよ! そこより前のパンク・テイストを臭わせたくて、「hey ho,lets go」という掛け声を入れてみました。
EMTG:わかりやすいですね(笑)。でも昔のSiMなら絶対にやらないアプローチじゃないですか?
MAH:照れちゃって、やらないですね。「hey ho,lets go」と共にRAMONESを知ってくれたらいいなと。
GODRi:みんなでRAMONESの曲をかけて歌いましたからね。
EMTG:その明るい空気も楽曲に表れてるんでしょうね。
MAH:うん、リラックスして作れましたね。
SHOW-HATE:アレンジ面は引き算足し算がうまくいったと思います。「トム(・モレロ)のリフのように」という歌詞(対訳)も遊び心があるし、やってる側も楽しく演奏できました。
EMTG:この曲はライヴのSiMに近いですね。オリジナル曲とは別にカヴァーもサラッと演奏することもあるじゃないですか。そういう要素さえも自分たちのオリジナル曲に混ぜてもOKみたいな風通しの良さを感じました。
MAH:そうですね。海外のバンドはそういうことをやるじゃないですか。日本のバンドはあまり人の曲をやらないじゃないですか。この曲は遊び心をギュッと詰めた曲ですね。かっこつけた部分も取っ払って、悪ノリぐらいの感覚でやれました。
SIN:この曲もシンプルに聴こえるけど、いかにグルーヴを出して弾くか、どれだけ人間臭く弾けるかに挑戦したんですよ。ムズかったです(笑)。
GODRi:パンクのノリから重たいリフに行く流れというのも、そういないと思うから。その切り替えは難しかったですね。
EMTG:なるほど。歌詞に関して聞きたいんですが、2曲ともに今の決意表明みたいな内容で。まるで断崖絶壁の突端で、星を見上げているような切迫した心情を感じました。
MAH:今年飛べなかったら、ほんとに落ちて行くと思うから。その切羽詰まった感じが言葉に出てるんでしょうね。2曲でアプローチは変えてるけど、結局どちらも自分で前に進むしかないみたいな気持ちを込めてます。その歌詞の対比も気に入ってますね。
EMTG:そして、7月にはSiM主催の野外フェス「DEAD POP FESTiVAL 2015」が遂に開催されます。最後に意気込みを?
SHOW-HATE:スタッフ、出演者、関わってくれるすべての人に、このフェスを成功させたい!と思ってもらえるようなフェスにしたいんですよ。そのためには自分たちがそういう人間にならなきゃいけないし・・・頑張ります。
MAH:全国にフェスが乱立する中で、バンド主催だからこそのフェスの一体感ってあると思うんですよ。自分たちもそうだけど、やっぱり出演者の心構えも違いますからね。今回初の野外フェスにもかかわらず、多くのバンドが「SiMがやるんだったら力を貸すよ」という気持ちで集まってくれたと思うから。何としても成功させたいし、血の通った熱いフェスにしたいですね!

【取材・文:荒金良介】

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リリース情報

愛を教えてくれた君へ

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愛を教えてくれた君へ

発売日: 2017年11月29日

価格: ¥ 1,111(本体)+税

レーベル: Epic Record Japan

収録曲

01. 愛を教えてくれた君へ
02. セツナロマンチック
03. 愛を教えてくれた君へ (Instrumental)
04. セツナロマンチック (Instrumental)

ビデオコメント

リリース情報

ANGELS and DEViLS

ANGELS and DEViLS

2015年06月10日

ユニバーサル ミュージック

[CD]
1. EXiSTENCE  
2. Millions of Stones

[DVD]
SiM AGAINST YOU + ライブダイジェスト映像("i AGAINST i" TOUR 2014 FiNAL SERIES - ONE MAN SHOWS at Zepp Tokyo )

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お知らせ

■ライブ情報

DEAD POP FESTiVAL 2015
2015/07/11(土)神奈川県 川崎市 東扇島東公園 特設会場
2015/07/12(日)神奈川県 川崎市 東扇島東公園 特設会場
http://deadpopfest.com/

THE TOUR 2015 FiNAL -ONE MAN SHOW at BUDOKAN-
2015/11/04(水)日本武道館

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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