ファースト・フル・アルバム『POWER OF LIFE』のリリースと、それに続く全国ツアーが大好評となったBRADIO。早くも彼らのニュー・シングル『HOTELエイリアン』がリリースされる。現在オンエア中のテレビ・アニメ『Peeping Life TVシーズン1 ??』のオープニング・テーマでもあるこの曲は、彼ららしいファンキーでダンサブルなサウンドでありながらも、場面が二転三転するめくるめく世界観が展開されており、まさにエイリアンが次々と登場してダンスしているような、楽しくて賑やかな作品になっている。

EMTG：新曲「HOTELエイリアン」は、アニメのオープニングテーマになっていますが、どういう風に作っていったのですか?

大山（Gt）：アニメのお話しをいただいて、それに合わせて書き下ろしました。楽しいオープニングにしたいというオーダーがあったので、BRADIOらしく作ればいいかなと思って、自分たち的にもわりと制約なく、統一感とか、そういう美的感覚を持たずに作っていきました(笑)。

EMTG：すごく楽しくてファンキーな曲ですけど、展開が二転三転していきますね。

大山：けっこう、こってりになりましたね(笑)。味濃いめという感じで(笑)。アニメ自体はシュールな世界観が持ち味なので、逆にシュールなものではなくて、ガツンとした、パンチの効いたものにしてみました。

酒井（Ba）：ハンバーグとチャーハンの組み合わせみたいな(笑)。自分の中ではお祭り要素というか、楽しい感じもあるし、やれるところはやっちゃってもいいのかな、と。ぼくの友人は、アニメを見ながら曲を聴くと、互いのいいところがわかり合えるねって言ってくれました。

田邊（Dr）：ドラム的には、マイクと楽器との距離をとって録っているので、スペイシーな、空気感の感じられる音になっていると思います。

EMTG：このタイトルや歌詞の世界観は、どういうイメージから出てきたのですか?

真行寺（Vo）：アニメの主題歌なので、お茶の間にも流れるということを意識しつつ、いかに違和感を作り出せるかというか、いかに耳を引くものを作れるかということも意識しました。とんかつ御膳に、メインのとんかつよりも目立つカレーが付いてて、“なんだ、これ?”みたいな違和感というか(笑)。“エイリアン”は得体の知れないものの象徴で、『Peeping Life』というのは、人々の暮らしをのぞき見るという意味合いですから、ホテルの1室1室を覗いていったら、そこに集まったいろいろな人たちが住んでいるというイメージですね。

EMTG：我々も、正体不明のエイリアンだと。

真行寺：この話をする時には、いつもカレーの話をするんですけど、カレーには福神漬けやラッキョウを乗せるじゃないですか。ぼくは福神漬け派なんですけど、ラッキョウ派の人もいるし、中には醤油をかける人もいれば、ソースをかける人もいて、ぼくからすれば、醤油もソースもありえない(笑)。彼らはぼくからすればエイリアンなんです。でもソースをかける人から見れば、ぼくはエイリアンだし、そういう風に、みんなエイリアンだよ、ということを言いたかったんです。価値観の違いというか、人と違ってもいいんだよ、というメッセージを込めています。

EMTG：先日のライヴでは、この曲ですごく盛り上がりましたね。

大山：眼の前に、いい匂いのするラーメンと白飯を出されたら、上がるよね、という感覚ですよね(笑)。いろいろ解釈できる曲かなと思うんですけど、シンプルに楽しんでもらいたいです。世界は変わらないけど、自分が変われば世界が変わって見えるという発想が持てるんじゃないかと思います。聴く人の尺度によって、違う世界に見える曲もあっていいと思うし、我々も変化を恐れずに、自分たちが変わっていった先の世界をみたいという気持ちも込められています。

EMTG：一方、カップリングの「Super Wonderful」は、ストレートなファンク・チューンですね。

大山：シンプルに、ファンキーな曲をやりたいなというイメージで作りました。「HOTELエイリアン」がいろいろな素材が詰め込まれているので、こちらはなるべく素材感がないというか、スッキリとしたものにしたいなという気持ちはありました。かなりセッション感の強い曲ですね。

真行寺：“すげぇいいな”という感じ、そのまんまです(笑)。ミュージカル映画の『ウェスト・サイド・ストーリー』で、ふたつの不良グループが踊るテーマ曲を、勝手に作った感じです。あの人たちが、BRADIOの曲に乗せて、街中で踊っていたら面白いだろうな、というイメージです。走りながらジャンプしたりとか(笑)。

田邊：昔のファンクみたいな、ちょっと古臭いけどカッコいい、というイメージになっていると思います。

酒井：ベースは、ずーっと同じフレーズを弾こうと思っていたんですけど、サビの部分をちょっと変えてみたら楽しくなってきて(笑)、ほぼ2パターンで、ノビノビ弾いてます。

EMTG：ではこのシングルで、リスナーに伝えたいメッセージなどはありますか?

真行寺：今までのBRADIOの魅力がてんこ盛りの2曲で、ライブでより楽しめる楽曲ができたと思うので、ぜひライブにも来て欲しいです。

酒井：BRADIOはカップリング曲もすごくこだわって作っていて、盾と矛のような2曲になったと思うので、ぜひCDとライブでこの2曲を体感して欲しいです。

田邊：アルバムのリリースとツアーを経て、新しい第一歩のいい序章になった2曲だと思います。今までのBRADIOのいいところは残しつつ、これからもっといろいろなことをやっていきたいと思います。

大山：次のステップに向けて、面白くなりそうだなという予感のする作品になったと思います。年代や性別問わず楽しめる曲になっていると思うので、ぜひ手にとって、シンプルな気持ちで楽しんでもらえたら嬉しいです。

【取材・文：熊谷 美広】