かりゆし58 デビュー記念日である2月22日に10周年記念ベスト盤『とぅしびぃ、かりゆし』 をリリース!

かりゆし58 | 2016.02.19

 2006年のデビューより一貫し、<暮らし>を感じさせる唄を紡いできた、かりゆし58。彼らがこれまで発表してきた身近さに溢れ、主人公の顔が浮かんでくる歌の数々に、多くの人が心を寄せ、気持ちを重ねてきた。
 そんな彼らが10周年記念ベストアルバム『とぅしびぃ、かりゆし』をリリースする。出自~軌跡や足跡はもちろん、新しい生命を宿した新録曲や新曲等、聴きごたえもばっちりな今作は、彼らのこれまで、現在、そしてこれからまでもを感じさせてくれる全30曲だ。
 早速、ボーカル&ベースの前川真悟、ギターの新屋行裕、宮平直樹の3人に、この10年を振り返ってもらいつつ、ベスト盤について、そして今後のかりゆし58を訊いた。

EMTG : 中村さん(昨年12月より病気療養中)の様態はいかがですか?
前川 : つい先日も会いましたね。ドラムはまだ叩けないんで、パーカッションだったんですが、一緒にステージに立ったんです。のんびりしなくてはならない病気なので、(中村)洋貴には焦らせないようにと気は使ってますが、僕自身としては今回の洋貴の療養は、良いふうに捉えていて。
EMTG : 良いふうにとは?
前川 : これは洋貴本人も言っていたんですけど、いい意味で、「かりゆしを外から見れるチャンスだった」と。やっぱり当事者だと自分たちを客観視できないじゃないですか。それが、「改めて、かりゆしがどんなバンドなのかが分かった」と言ってましたから。
新屋 : 普段から一緒に飲む間柄なんで、そんなに不在感はないんですけど、いざライヴとなると、多少寂しいところはありますけどね。
EMTG : 今はサポートドラムを交えての活動ですもんね。
宮平 : そうです。田代(浩一)さんに叩いてもらってます。田代さんも同じ沖縄出身だし、人柄も良いし、なんか兄弟が家を空けている間に、親戚の兄ちゃんが遊びに来た、そんな感じで叩いてもらってます。
前川 : 何よりも田代さんも「俺は洋貴の代わりにではなく、洋貴と一緒に叩いているつもりだ」と言ってくれたのが心強かったし頼もしかったですね。洋貴も客観的に見て、「かりゆしっていいバンドだったんだな…」と、今更ながら気づいてくれたようだし(笑)。
EMTG : 話は今回のベスト盤へ。まずはこの10年を振り返っていかがですか?
前川 : 毎日が一生懸命だったこともあり、アッと言う間でしたね。その分、濃密な時間を過ごせてたんだなって。おかげさまで、とても価値ある10年を過ごさせてもらいました。
新屋 : 僕はけっこう地味な印象ですね。だけど派手じゃなかったからこそ、いい意味で今も昔も変わってないんだろうなと。まっ、ドカンとブレイクしていたら、けっして今みたいにはなってなかっただろうし。なるべくしてなった10年間だったんでしょう(笑)。
EMTG : 宮平さんはデビュー後、ちょっと経ってからの加入でしたよね?
宮平 : 最初は“美味しそう”と、のっかる感じで入りましたからね(笑)。“音楽だけで食べていけるバンドに入れる!”って(笑)。正直、数年前までは、まだバイト感覚でギターを弾いてましたから。
EMTG : では、バンドのメンバーとしての自意識はいつ頃から?
宮平 : ここ2~3年かな(笑)。
EMTG : かなり最近じゃないですか(笑)?!
宮平 : 今まで周りに任せっきりにしていたのが、自分でやらなくちゃならなくなったのがキッカケでした。それが形になり始めて、ようやくバンドの一員の自覚と面白さに目覚めた感じです。
EMTG : 今回のベスト盤を聴いて2つ気がつきました。1つは一貫して近いテーマであったこと。もう1つは逆に、サウンドは様々なことをやってきたんなだなって。
前川 : 嬉しいですね。特に今回の30曲は自分たちのこの10年を象徴しているかのような曲ばかりですから。中でもセルフカバーは、作品毎に“あの時、ああしとけばよかった…”と、<今の自分たちならこの曲をこうプレイする>、そんな気持ちでリアレンジしたものばかりで。
EMTG : 実際にやってみていかがでした?
前川 : やってはみたものの、本当にあの頃を超えられたかは疑問ですね。“やっぱりあの頃は あの頃の良さがあったんだな…”と改めて気づきました。
EMTG : それは例えば?
宮平 : もちろん演奏等は今の方が上手だとは思うんですが、あの頃の方が果敢な感じはあります。エネルギッシュだったし、ガムシャラで。やりたいことを、とりあえずあまり考えずにやっちゃう感じ。今はもっと賢くなっちゃったんで、そこへの筋道や方法論、着地点に向かう最短距離やコースがパッと浮かんじゃうんですよね。だけど、当時はそれが分からないから、色々と寄り道や回り道をしていて。結果、偶然にも予想以上のものが出来ちゃったり。それに対して今は、けっこう予定調和になってるかな。
新屋 : 深くなっていった分、純粋に音楽を楽しめなくなったところはありますね。色々と分析しちゃって。素直に感動できなくなってきたというか。“俺だったら、こうするのに…”と、つい思っちゃう。
EMTG : だけど、変わらないものもありますよね。それが「身近」ってキーワードかなと思ったんです。どの唄も身近に感じますからね、かりゆしの唄は。
前川 : 嬉しいです。そこに固執していたつもりはないんですが、大事にしていたことの一つではあります。それ=<暮らし>ってことなんでしょうけど…。
EMTG : そうそう。<暮らし>って表現がぴったりです。
前川 : <暮らしに生まれ、暮らしに還っていく>というのが音楽の本来の姿ですからね。
EMTG : 特に今回のセルフカバー類には、その身近さや暮らし、傍らにいてくれる感じが凄くしました。
新屋 : セルフカバーに関しては、なるべく余計な音や自分たち以外の音は入れないことで、より楽曲のピュアさや根底を伝えたかったんです。
宮平 : いわゆる一つの部屋で、みんなでアイコンタクトをしながら作り上げていったところはあるかな。
前川 : そのぶん、生々しさや臨場感はありますよね。このセルフカバーに関しては、地元の沖縄で録ったんです。自分たちが初期に使っていたスタジオをあえて10年後の今、使って録ってみました。その辺りの空気感や雰囲気は楽器以上に入り込んでるかも。
新屋 : やっぱり沖縄で録ったのがいいと思うんです。生命力もより出たと思うし、息遣い、生活臭、その辺りも作品に盛り込めたかなと。おかげさまで、より<暮らし>が感じられる楽曲群になったかなと。
EMTG : アレンジは今の自分たちならではに生まれ変わった反面、歌い方やメロディはあえて歌い崩してませんね。
前川 : あの時の自分を思い返しながらどの曲も歌ってましたから。
EMTG : 新曲はいかがですか?
前川 : やっぱり自分のことを愛し直すところから始めたくて「アイアムを」を作りました。実はこの新曲たちって、セルフカバーを全部録り終えてから作り始めたんです。色々な心境をそれこそ日記を書くように書き進めましたね。「初恋夜道」なんて、今では恥ずかしくて書けない恋愛ものに久々に挑戦したし。セルフカバーが、この10年間の成長や幅を表したのに対して、新曲群は原点回帰しているところもあります。
EMTG : 今作の聴きどころを教えて下さい。
新屋 : この前、洋貴と会った時に、「このCDは俺がこれまででもっとも苦労して叩いた作品なんで、是非売れて欲しい」と言ってました(笑)。
宮平 : 今回セルフカバーで、自分がまだ加入する前の曲をやっと自分のプレイで収録出来たのが嬉しいですね。これまではどこか借りてきた感じで、それこそライヴでもバイト感覚で弾いていましたが(笑)、今回ようやく自分のものとして弾けましたから。逆にこれからは、ライヴでも“俺の曲だ!!”的な意識で臨みます(笑)!!
EMTG : 最後に今後のかりゆし58を教えて下さい。
前川 : この先を歩む上で、どれだけ無理のない姿勢で進めるかが大事だと思っていて。出来るなら、どんどん自然体になっていきたいんです。今後もどんどん純度を上げていくので、また生まれたての何かを見るぐらいの楽しみを持って僕たちと付き合ってくれたら嬉しいですね。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

かつて天才だった俺たちへ【ライブDVD盤】

かつて天才だった俺たちへ【ライブDVD盤】

発売日: 2020年08月26日

価格: ¥ 3,600(本体)+税

レーベル: SMAR

収録曲

01.ヘルレイザー
02.耳無し芳一Style
03.オトナ
04.日曜日よりの使者 (Creepy Nuts × 菅田将暉)
05.サントラ (Creepy Nuts × 菅田将暉)
06.Dr.フランケンシュタイン
07.かつて天才だった俺たちへ

DVD:2019年12月 新木場スタジオコーストにて行われたライブ「Creepy Nuts ワンマンツアー2019 よふかしのうた」の模様をダイジェスト収録

ビデオコメント

リリース情報

10周年記念アルバム『とぅしびぃ、かりゆし』(初回限定盤)

10周年記念アルバム『とぅしびぃ、かりゆし』(初回限定盤)

2016年02月22日

LD&K

[CD DISC1]
1. オワリはじまり
2. 初恋夜道
3. オリーブ
4. ウクイウタ
5. アイアムを
6. For di Future
7. 恋唄
8. 嗚呼、人生が二度あれば
9. かりゆしの風
10. 心に太陽
11. 日々紡ぐ
12. ウージの唄
13. 愛の歌

[CD DISC2]
1. このまちと
2. Oh!Today
3. ナナ
4. 南風になれ
5. 少年は旅の最中
6. まっとーばー
7. そばの唄
8. 愛なのでしょう
9. アンマー(アコースティックver)
10. ゆい
11. 恋の矢
12. さよなら
13. 証
14. 恋人よ
16. 青春よ聴こえてるか
17. 潮崎
18. 生きてれば良い事あるみたいよ

<初回限定盤>
CD2枚+DVD+BOOK

お知らせ

■ライブ情報

ハイサイロード 2006-2016~オワリ×はじまり~
2016/02/20(土)桜坂セントラル
2016/02/21(日)桜坂セントラル
2016/02/27(土)渋谷チェルシーホテル
2016/02/28(日)渋谷チェルシーホテル
2016/03/01(火)大阪BIGCAT
2016/03/03(木)神戸チキンジョージ
2016/03/04(金)京都MUSE
2016/03/06(日)松山サロンキティ
2016/03/08(火)高知キャラバンサライ
2016/03/09(水)高松DIME
2016/03/11(金)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2016/03/12(土)BLUE LIVE 広島
2016/03/16(水)鹿児島 CAPARVO HALL
2016/03/18(金)福岡DRUM LOGOS
2016/03/19(土)大分DRUM Be-0
2016/03/21(月/祝)Zepp NAGOYA
2016/03/23(水)浜松窓枠
2016/04/02(土)新潟LOTS
2016/04/03(日)金沢EIGHT HALL
2016/04/06(水)秋田SWINDLE
2016/04/08(金)仙台darwin
2016/04/09(土)郡山♯9
2016/04/17(日)札幌PENNY LANE24
▽追加公演
2016/05/01(日)大阪城野外音楽堂
2016/05/08(日)日比谷野外音楽堂

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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