“ゆとり×感覚ピエロ”、 不可能への挑戦となる1枚が完成!!

感覚ピエロ | 2016.05.30

 宮藤官九郎監督のドラマ『ゆとりですがなにか』の主題歌として、「拝啓、いつかの君へ」が大抜擢された感覚ピエロ。昨年6月に初の全国流通盤『Break』をリリースして以降、ライブハウスシーンを中心に少しずつ知名度を広げつつある彼らだったが、ここに来て突如お茶の間に知れ渡る存在になった。「何だ、あのバンドは!?」と、ネット上で起こるざわつきの一因は“ゆとり×感覚ピエロ”のマッチングが絶妙だから。そんなタイミングで、話題作「拝啓、いつかの君へ」を収録したミニアルバム『不可能可能化』がリリースとなる。あいかわらず自主レーベルのまま、バンド史上最大のチャンスを手に入れた4人に話を訊いた。

EMTG:「拝啓、いつかの君へ」がドラマ主題歌として話題になってますね。
秋月琢登(G):昔のツレからめちゃくちゃ連絡がきますよ(笑)。「あれ、お前やんな?」とか。初めてバンドの音楽がちゃんと一般層に届いてる実感がありますね。
EMTG:もともと「拝啓、いつかの君へ」は、会場限定盤(『あなたの正義、創ります。』など)にも収録されてた曲ですけど、どういう経緯で決まったんですか?
秋月:最初は水田(伸生)監督から僕のところに電話があったんです。たまたま曲を聴いたらしくて。「ゆとりですがなにか」っていうドラマの内容と歌詞がぴったりなので、ぜひ使わせていただきたいですっていうことだったんですね。それで、詳しく訊いたら、脚本が宮藤官九郎さんで、主演が岡田将生さんで……って言われたから、「えぇ!?」ってなって。舞い上がりそうになったんですけど、ちょっと落ち着こうと思って、メンバーに言わなかったんですよ。監督と会って「あ、これは決めよう」と思ったタイミングで伝えたんです。
滝口大樹(B):僕らはほぼほぼ決まってから教えてもらいました。
秋月:最初は全然信用されなかったですからね。しかも、「えぇ!?」ってなるのかと思ったら、「ああ……」みたいな。事の重大さがわかってなかったみたいで。
横山直弘(Vo・G):あとで調べたら、これはちょっとただ事じゃないなと思いました。放送初日を見て、ようやく胃袋がめっちゃ痛くなって。「マジか」ってなりましたね。
EMTG:ドラマでは、柳楽優弥さんが演じる道上まりぶが「おっぱい、おっぱい」って言ってるような役で(笑)、そこで感覚ピエロの『O・P・P・A・I』が流れてましたね。
秋月:あれも本当にたまたまなんですよ。最初に脚本を読んで笑ったんですけど。まりぶはもともとおっぱいパブの店員で1話からずっと登場するんですね。それで、監督に会ったときに、「僕らにも『O・P・P・A・I』っていう楽曲があるんです」って言ったんですよ。それも監督は知ってくださってたみたいで、「実はあの曲も使わせてほしい」っていう話になったんです。だから、監督とかクドカンさんが、感覚ピエロをめっちゃ好きだなっていう声もネット上ではあるんですけど、そういうのじゃなくて。たまたま曲がハマったのが正しいんですね。それで、僕らはインディーズバンドだし、監督も「こいつら、誰や?」っていうのを逆手にとって、ドラマを通して面白く打ち出してくれてるんです。
EMTG:感覚ピエロって、年齢的には“ゆとり第一世代”と呼ばれると思うんですけど。その他に、この“ゆとり”というワードとバンドがマッチした理由は何だと思います?
横山:ゆとりっていうのは新しい時代を象徴する言葉だと思うんです。たとえば、僕らがずっと自主レーベルでやっていること、今回のドラマ主題歌になったこともそうですけど、大阪のBIGCATでワンマンをやることも、既存のやり方ではないじゃないですか。
EMTG:既存の考え方だと、インディーではなくメジャーでやる規模ですね。
秋月:そうなんです。だから、僕らは上の世代の人が築き上げてきたことからしたら、たぶんちょっと違う価値観になってたりするんですよね。
横山:僕らがバンドとしてニューエイジの代を担っていく。それを言葉で形容したら、たまたまそこにゆとりっていう言葉が当てはまったんだと思います。
EMTG:ちなみに「拝啓、いつかの君へ」では、《あんたの正義は一体なんだ?》っていう問いかけにインパクトがありますけど、どういう想いで書いたんですか?
秋月:やっぱり正義は人によりけりなんですよね。自分のなかで正義だって信じてるものが、もしかしたら相手にとっては不利益なものかもしれない。そのときに流されることもあるし、自分がほんまに掴まないといけないのは何だろうなって悩むこともあるじゃないですか。でも、なるべく最終的に貫くものがあってほしいな、そうありたいなと思うんです。だから、「拝啓、いつかの君へ」は自分に対してもですし、いまから何か決断をする人に、後ろから背中を押せるようなエールソングになってほしいなっていうのはありました。
EMTG:この曲をはじめ、今作の『不可能可能化』は、“不可能を可能”にするっていうタイトルどおり、エールを送る、ポジティヴなメッセージを持つ楽曲が多いですよね。
秋月:僕らはアルバムを作るとき、大体タイトルとかテーマを先に決めるんです。『不可能可能化』は造語なんですけど。いま僕らがやっている活動は、周りからは不可能だとか、無理だって言われたりするけど、でもどんどん可能にしていきたいんです。それを可能にしてこそ僕らかなと思うんですね。これは願望でもあるんですけど。まずそれを僕らが掲げることで、作品を通してリスナーへのメッセージを出せたらと思ったんです。
EMTG:今回はメンバー全員が作詞を手がけてるわけじゃないですか。前作の『Break』はボーカルの横山くんが作詞作曲をしていたことを考えると、それも不可能への挑戦だった?
秋月:そうですね。いままではなかなかそういうのもできなかったんですよね。今回はタイトルもタイトルやし、「何か新しいことをしない?」っていうところがあって。まずベタなところから、全員で歌詞を出し合ってみようやっていう。それも、「やればできるんやぞ」みたいなメッセージにつながるんじゃないかなと思いました。
横山:僕は根本的にはビートルズが好きなんですよ。だから、4人が曲も歌詞も書く、それがバンドとして正しい姿だと思うんです。もちろん誰かひとりが突出して、キーパーソンになるバンドも良いんですけど。僕らは4人みんなにそれぞれ違う色の光があって、それぞれがガッと出ることで評価されるバンドになりたいんです。
秋月:覚えてないかもしれないけど、最初から横山は「誰が書いても良い」みたいなことを言ってたんですよ。曲も出し合う流れでやりたかったんですけど、結果的には横山が書く率が高くなっていたので。いまになってようやくこうなった感じですね。
EMTG:誰がどの曲の歌詞を書くかはどうやって決めたんですか?
横山:バンド内にキャラクターがあるんです。この人はおもしろ担当、この人はシリアス担当、この人はちょけ(ふざける)担当みたいな。それで、トラックがあがった段階で、誰が歌詞を書いたらいちばんハマるか、みたいなのをみんなで相談しました。
EMTG:じゃあ、シリアス担当は……?
横山:シリアスというか、誰かに向けてストレートなメッセージを書くのは秋月ですね。
滝口:伝えたいことがきっと多いんですよね。
EMTG:ちょけ担当は?
秋月・横山・滝口:(西尾健太/Dr を指さす)
横山:ちょけと言うか、エンターテイメント部門だね。
滝口:大体子供が好きなそうなものが好きなんです。戦隊もののヒーローとか仮面ライダーとか。
EMTG:で、滝口くんは何担当?
横山:ダークサイド部門、闇です(笑)。
EMTG:横山くんはオールラウンダー?
横山:と言うよりは、自分勝手部門ですね。「俺はこうだから!」っていうタイプの書き方。
滝口:こいつに関しては、「こうやって!」って言ってもできないよね。
秋月:ザ・横山ワールドですね。
EMTG:じゃあ、それぞれ担当した曲について訊かせてください。まず、メッセージ担当の秋月くんは「会心劇未来」。これもタイトルそのままですね。
秋月:たぶん僕は造語が好きなんですよね。「会心劇未来」も造語なんですけど、意味は伝わると思うんです。ここから僕らの会心劇だっていう。この曲はタイトルがいちばん悩みましたね。タイトルだけで持って行けるような力強さがほしかった。でも、出だしの部分(《雁字搦めの足元に誰も気付かぬままに溺れていく》)とかけっこう皮肉なんですよね。ダメなときがあっても、それを「何クソ!」って覆す未来を自分たちで作ろうぜっていう曲ですね。
EMTG:で、ヒーロー好きな西尾くんは、《七光りヒーロー》という、すごく面白い曲ですね。ヒーローが《一子相伝》っていう設定が最高だなと。
西尾:まずメロディに合うのは何だろうって考えたときに、大好きな仮面ライダーとかヒーローが浮かんだんです。で、どういうヒーローにしようかと思ったときに、めちゃめちゃ強いヒーローは面白くないし。ちょっと抜けてる。ビームが出ないヒーロー、闘わないヒーロー、親の七光りなヒーローが面白いなと思って。それを混ぜ込んでみました。
横山:今回のレコーディングのいちばん最後にやったのが、この「七光りヒーロー」のビームの音を入れる作業だったんですよね。すごく思い入れの深い曲なんです(笑)。
EMTG:シンセサイザーに入ってる曲のなかから選んだんですか?
秋月:そうです。何百通りのなかから選んでましたからね。
滝口:(西尾が)「鳴らして」「違う」、「鳴らして」「違う」、「鳴らして」「あ、これ候補」っていうのを延々とやったんですよ。
秋月:歌詞を書いた人間がプロデューサーにつくんです。
西尾:だから横山の歌い方とか力の入れ具合にもめっちゃ言いましたもん。
横山:「光が集まってるところだからもうちょっと……」とか言われてね。
滝口:「ここはエネルギー溜めてるねん」とか(苦笑)。
横山:だから、僕もなんかよくわかんないけど、「そのテイクええやん!」って言われるのを歌えたら満足なので(笑)、がんばりました。
EMTG:ダークサイド担当の滝口くんが書いたのは、別れのバラード「夜香花」です。他のメンバーとは少し違う言葉を使ってて、ポエムのような日本語の美しさがありますよね。
滝口:他のメンバーの歌詞を見てて、違うやり方をやろうと思ったんです。こだわったのは、出だしの《コンクリートを黒く濡らした》とか具体的な言葉を使うことによって、絵が想像しやすいというか、そういうのを考えながら書きましたね。この主人公は、このシーンで走り出したとか。ひとつのストーリーがイメージできるように書きました。
EMTG:横山くんは、らしい曲も含めて何曲かありますけど、全編英語詞の「Tonight Yeah!Yeah!Yeah!」がかっこよかったです。
横山:トラックがあがったときに、“ザ・洋楽”みたいなイメージがあったので、この曲は英語の歌詞でいってみようと思いました。どっちかと言うと、ぼくはメロディをいちばん大切にしたいタイプなので、そこは最大限生かして、英語のアクセントをうまく利用できたかなと思います。アルバムのなかでは、必ずひとつパーティソングというか、ビールを飲みながらガーッていけるような曲は必ず入れていて。この曲がそれですね。歌詞のテーマとしては“お前の常識を疑えよ”っていうことを歌ってます。
EMTG:わかりました。前作のミニアルバム『Break』からちょうど1年ぶりの全国流通盤ですけど、いろんな意味で大きくバンドが進化した1枚になりましたね。
秋月:前作の『Break』は名刺代わりっていうコンセプトがあったんですけど、そこから1年が経って新しいバンドの一面を出せたなと思います。僕らとしては、より音楽らしくなったかなと思うんですね。それぞれ好きなジャンルは違うんですけど、純粋に自分たちの好きな音楽というか、前作になかったビート感とかリズムも出せたし。僕らの雑食なところが今作にはいちばん現れてると思います。
EMTG:そうですね。わりと前作はライブで盛り上がるような曲が中心でしたし。
秋月:もちろん今回もライブを想定して曲は作ってるんですけどね。僕のなかでは大きいステージのイメージもあって。勝手ながら、ライブハウスというよりも、ちょっと大きいステージを思い描いてたりするんです。そういう場所のほうが映える作品かなと思います。

【取材・文:秦理絵】

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ビデオコメント

リリース情報

不可能可能化

不可能可能化

2016年06月01日

JIJI RECORDS

1. 会心劇未来
2. 七光りヒーロー
3. Hip You
4. Tonight Yeah!Yeah!Yeah!
5. 好きにして頂戴
6. 雨ノチ、雨アガリ
7. 拝啓、いつかの君へ
8. 夜香花

お知らせ

■ライブ情報

感覚ピエロ セカンドミニアルバム「不可能可能化」リリースツアー
make the impossible possible 〜俺のいん・ぽっしぶる〜

2016/06/03(金) 北海道 札幌Crazy Monkey
2016/06/10(金) 鹿児島 SR HALL
2016/06/12(日) 福岡 Queblick
2016/06/13(月) 岡山 PEPPERLAND
2016/06/19(日) 新潟 CLUB RIVERST
2016/06/22(水) 埼玉 西川口ハーツ
2016/06/23(木) 神奈川 横浜 Baysis
2016/06/24(金) 静岡 UMBER
2016/07/21(木) 東京 渋谷 CLUB QUATTRO
2016/07/22(金) 愛知 名古屋 CLUB QUATTRO
2016/07/28(木) 大阪 アメリカ村 BIGCAT

Brian the Sun TOUR 2016 「HEROES」
2016/07/02(土) 愛媛 松山サロンキティ
2016/07/03(日) 香川 高松DIME

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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