ピースが大前提! 様々な場面を鮮やかに切り取ったSPiCYSOLの2nd Mini Album 『Tropical Girl』

SPiCYSOL | 2016.06.17

 2013年に結成され、2014年からKENNY(Vo・G)、AKUN(G・Cho)、MOO(B)、PETE(Trumpet・Cho・Key)、KAZUMA(Dr)という現在のメンバーで活動しているSPiCYSOL。レゲエ、ファンク、ハウス、ロックなど多彩なエッセンスを吸収し、オーガニックなサーフミュージックを奏でるバンドだ。最新作となる2ndミニアルバム『Tropical Girl』の仕上がりが、とても気持ちいい。真っ直ぐな愛情表現、大切な友へのメッセージ、恋人と過ごす時間のときめき、開放的なパーティータイム……様々な場面を鮮やかに切り取っている。このミニアルバムの制作エピソード、彼らの音楽性の背景について、KENNYとAKUNに語ってもらった。

EMTG:サーフミュージックは、みなさんの核にありますよね?
KENNY:すごくあると思います。基本的に曲の骨組みを作るのは僕なんですけど、まさにサーフミュージックが好きなので。ルーツとなっているのは、00年代の前半のサーフミュージックです。ジャック・ジョンソンとかジェイソン・ムラーズとか。
EMTG:マリンスポーツも好きなんですか?
AKUN:好きです。僕とKENNYとMOOさんは、サーフィンをしますし。KENNYはスケボーも好きなんですよ。スケボーでスタジオに来るくらいなので。
EMTG:海とか屋外のイメージが湧く音楽性だと感じています。
AKUN:SPiCYSOLの「SOL」は「太陽」という意味ですからね。海、自然、太陽とかに合う音楽をやりたくて、「サーフビートミュージック」っていうのを掲げてやっているのが、SPiCYSOLです。
EMTG:今回のミニアルバム、ロックとかハウスとか、幅広いエッセンスを取り入れていますよね?
AKUN:はい。いろいろチャレンジしました。去年出した前作は、結構サーフ寄りだったんですけど、今作は今のトレンドや、今表現したいことを詰め込みたいという想いがあったので、昨年からストックしていたデモは使わずに、レコーディング前の1~2ヵ月で新たに曲を作りました。その中から、今流行っているトロピカルハウスの要素が入った「Tropical Girl」とか、ライブで楽しくなれる「イッチョ舞え!!!」とかができたんです。あと、バラードの「Coral」は、KENNYの友だちの結婚をきっかけに生まれた曲でしたね。
EMTG:「Coral」、グッと来る曲です。
KENNY:そう言って頂けると嬉しいです。1枚の中のこの位置にバラードを入れることをまず決めていたんですけど、自分の恋愛観を出すのは照れくさかったんですよ。そんな時に大親友が2組結婚したので、「これを題材にしよう」と思いました。僕らなりのウェディングソングですね。歌詞も「別れる」とか、結婚式でタブーな言葉は避けましたから(笑)。
EMTG:そこまで配慮が行き届いた曲だとは(笑)。
KENNY:誰かのために曲を作る方が得意なんですよ。
EMTG:「My Roots」も、友だちを題材にした曲ですか?
KENNY:そうです。僕と一緒に上京してきた友だちが、地元に帰ることになったんですよ。夢破れるような形だったんですけど、「お前のスタイルは間違ってねえぜ」っていう応援歌を作りたくて。そして、「俺のルーツってなんだろう?」って考えた時に、「やっぱり友だちだな」って思ったんですよね。
AKUN:KENNYのこういう熱いところ好きなんです。あんまり普段、そういう部分は表に出さないんですけど。
EMTG:このミニアルバム、どの曲にも「明るい、いい人たちなんだろうな」という感じが滲み出ていますよ。
KENNY:ありがとうございます(笑)。いろんな曲が入っていますけど、統一感はあると思います。
AKUN:ピースは大前提です。
KENNY:そこが一番のテーマという感じがありますから。
EMTG:歌モノとしての気持ちよさも大事にしているんじゃないでしょうか?
KENNY:はい。そこも大前提ですね。そして、「キャッチーでありながらメッセージも伝わる音楽にしたい」ということも思っています。しかも今っぽい要素もあって、サーフでもあって、オーガニック……というようなイメージですかね。
AKUN:トロピカルなところも、全曲にあるんじゃないでしょうか。
EMTG:みなさん、南国の出身なんですか?
KENNY:ところがそうでもないんです。MOOさんは奄美大島出身ですけど、僕は真逆の北海道出身ですし(笑)。でも、だからこそ南国への憧れが尋常じゃないのかも。地元の仲間も僕みたいな感じですよ。
AKUN:全員アフロなの?
KENNY:アフロではない(笑)。
EMTG:(笑)人にもよるでしょうけど、大半の日本人って南国に憧れがあるんじゃないでしょうか。
KENNY:そうかもしれないですね。だから「みなさん、こういうの好きですよね?」っていう音楽をやっているところもあるんだと思います。
AKUN:歌詞も日本語ですからね。
KENNY:海っぽさのあるバンドのシーンが日本にはまだないので、まずは歌詞を通じて想いを伝えるのが先なのかなとも思っています。
AKUN:そして、その先でシーンを作り上げたいんですよ。
EMTG:ジャック・ジョンソンとか日本でも人気がありますけど、サーフミュージックのシーンってあんまり生まれていないんですかね?
AKUN:やっているバンドとかはいますけど、まだアンダーグラウンドなんですよ。
KENNY:Def Techとか平井大さんとかはいらっしゃいますけど。
AKUN:日本のバンドシーンは、やっぱりロックが強いじゃないですか。ウチらみたいなシーンもできたらいいなと思っています。
KENNY:いつか無人島を貸し切って仲間と一緒にフェスをやれたらいいなとか考えているんですけど、そのためにもまずはシーンを作りたいです。
EMTG:サーフミュージックを気持ちいいと感じる人は、たくさんいると思いますよ。
KENNY:ファッションやインテリアではトロピカルなものが流行っていますからね。
AKUN:雑誌ではオーガニックな家具や雑貨の特集がよく組まれていますし。ココナッツオイルも流行りましたよね。
KENNY:ココナッツオイルに関しては、流行が去年来て、すでに終わっているくらいの勢いだし(笑)。こういう音楽を浸透させるためには、まずはいろんな人に聴いてもらうのが出発点なんだと思います。SPiCYSOLの音楽も、いろんな層に届けたいです。
EMTG:対バンは、やはりロックバンドが多いんですか?
AKUN:そうですね。でも、通じるものがあるバンドもいます。今回、事務所の先輩のTOTALFATの「Room45」をカバーしましたけど、彼らもそういう存在です。去年、TOTALFATと一緒にライブをやったんですけど、楽しかったですよ。
EMTG:「Room45」のレゲエアレンジ、すごくハマっていますね。
KENNY:TOTALFATのツアーに出させて頂いたので、TOTALFATのファンにも喜んでもらえるようにカバーをすることになったんです。でも、最初はカバーというよりもコピーだったので、先輩たちに「違えよ!」と言われました(笑)。
AKUN:「不合格!」と(笑)。
KENNY:「お前ららしくやれよ」と言われて、今回収録したアレンジになりました。そして、ライブでやったらお客さんにも喜んでもらえて、TOTALFATのみなさんから「アルバムに入れちゃえよ」って言われたんです。
AKUN:しかもShunさんがフィーチャリングで参加してくれました。嬉しかったです。
KENNY:TOTALFATのみなさんとはプライベートでも仲良くさせて頂いているので、そういう雰囲気もこの曲に反映されていると思います。
EMTG:SPiCYSOLは、仲間たちとワイワイガヤガヤやりながら作っている雰囲気もすごくあるバンドですね。
KENNY:ほんとそんな感じのバンドなんですよ。何か初めてのことをやる時も、「お前、マジできねえなあ」とか言い合いながら進めています(笑)。
EMTG:例えば「Tropical Girl」も、すごく男の子っぽいじゃないですか。男は何歳になっても可愛い女の子を見てドキドキしたり、ウキウキするものですし。
KENNY:ウチのメンバー、全員そんな感じです。
AKUN:やっぱ、夏はそうじゃなきゃ。
EMTG:いや。冬もです(笑)。
AKUN:そうですね(笑)。
KENNY:男は16歳くらいから変わらないもんですよね(笑)。
EMTG:「V.A.CATION」も、そういう味わいがあると思います。この曲、夏が待ち遠しくなる要素が満載ですね。
KENNY:夏のワクワクみたいなものを感じてもらえたら嬉しいです。「V.A.CATION」もそうですけど、今回はハンモックで揺られたり、ウクレレを弾いたりしながら、夏のイメージで作っていきましたので。
EMTG:雰囲気作りは、創作をする上で大事ですか?
KENNY:大事だと思います。『カリフォルニアの家たち』みたいなタイトルの本を開いて、「こんな感じなんだよなあ」とか想像しながら曲を作ったりもしますから。
EMTG:レコーディングでも雰囲気を作ってイメージを膨らませたりしています?
AKUN:はい。メンバー全員で歌っている「イッチョ舞え!!!」の僕のパートがそうでしたね。ちょっと色っぽい要素もある歌詞だったので、セクシーな画像を検索して、ノンアルコールビールを飲みながら気持ちを高めてレコーディングに臨みました(笑)。
KENNY:「イッチョ舞え!!!」は、全員で歌うというのが新しいチャレンジでした。AKUNも「ギターで生きてく」って決めていて、まさか歌うとは思わなかったでしょ?
AKUN:うん。僕以外のメンバーは、もともとボーカルをやりたいという願望があったみたいなんですけど。
EMTG:ライブでも全員で歌うんですか?
KENNY:歌いたいと思っています。今、RIP SLYMEやPerfumeを参考にしているところなんですけど。
EMTG:リップは分かりますけど、Perfumeも?
KENNY:Perfumeはアゲアゲな雰囲気を作るのが上手いですからね。面白いと思ったものは、どんどん吸収していきたいです。
EMTG:SPiCYSOLは、柔軟にいろいろ吸収しながら武器をどんどん増やしているバンドですね。
AKUN:そうなんだと思います。今回、また武器の種類が増えました。いろんなシーンで使える曲が生まれましたから、ワンマンライブも楽しみですよ。
KENNY:ひたすら曲を演奏するスタイルもいいと思うんですけど、僕らはそういうUKロックスタイルのバンドじゃないんですよ。「楽しいことがあってなんぼ」っていう感じのフランクなライブをやりたいです。そして、これからもいろんなものと絡んでJ-POPの何か変えたり、日常に彩りを届けられる音楽をやっていけたらいいなと思っています。

【取材・文:田中 大】

ビデオコメント

リリース情報

Tropical Girl

Tropical Girl

2016年06月22日

RX-RECORDS / UK.PROJECT

1. Tropical Girl
2. イッチョ舞え!!!
3. V.A.CATION
4. Coral
5. My Roots
6. Room45 ft.Shun(TOTALFAT)
7. Outro

お知らせ

■ライブ情報

波MACHI ONE MAN TOUR 〜いっちょやってやりますか!!!〜
2016/06/25(土) 名古屋ell.SIZE
2016/06/26(日) 心斎橋Pangea
2016/07/03(日) 渋谷WWW

JOIN ALIVE 2016
2016/07/17(日) 北海道 いわみざわ公園

『Brown Rice Family JAPAN LIVE』
2016/08/06(土) 新宿BLAZE
2016/08/07(日) 新宿BLAZE
2016/08/10(水) 名古屋RAD HALL

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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