GOOD ON THE REEL 主催ライブ50回を記念し、初のシングル『雨天決行』をリリース。

GOOD ON THE REEL | 2016.07.01

 リアルとファンタジーを行き来するような歌、楽曲の世界観を引き立てることに心を砕いたバンドサウンドによって、確実に支持を広げている5ピースバンド、GOOD ON THE REELが初のシングル「雨天決行」をリリース。結成当初から続けてきた主催ライブの50回目の公演「GOOD ON THE REEL presents 『HAVE A “GOOD”NIGHT Vol.50』ANNIVERSARY SPECIAL at日比谷野外音楽堂」(2016年10月9日)を記念して制作された本作には、オーディエンスに対する真摯な思いと現在の彼らのリアルな音楽性がしっかりと描き込まれている。今回はバンドのフロントマン、千野隆尋(Vo.)にインタビュー。本作「雨天決行」の制作プロセス、ライブに対するスタンスなどについて訊いた。


EMTG:GOOD ON THE REELにとって初のシングル「雨天決行」がリリースされます。自主企画ライブの50回公演を記念した作品ということですが、制作が決まったときはどんな気持ちでした?
千野:シングル自体が初めてっていうのもあるし、いままでの作品の制作とはちょっと違ってましたね。何かの記念のために曲を作るっていうのは、記念碑を建てるような感じもあるじゃないですか? どんなメッセージを込めればいいかもすぐには見えてこなかったし、ふだんよりも難しかったかもしれないですね。
EMTG:「雨天決行」というタイトルは、前回のツアー(「ペトリコール ~雨天決行~」)のサブタイトルと同じですね。
千野:そうなんですよ。昔から“雨”とか“傘”を歌詞に入れることがわりと多かったんですけど、「ペトリが呼んでる」というアルバムは特に“雨”の要素が強く出ていたので。ライブハウスだから、雨が降ってもライブは出来るんですけどね(笑)。
EMTG:GOOD ON THE REELの雰囲気にも雨は似合いますよね。
千野:そうですね。野外のイベントに出て、自分たちのときだけ雨が降ったこともあるので(笑)。「今日はGOOD ON THE REELが出てるから、雨かもね」って言われたりもするし…。すごく晴れてるときにミディアムバラードみたいな曲をやってると「なんか似合わないな」って自分で思うこともありますね(笑)。
EMTG:(笑)「雨天決行」は前向きな手触りのナンバーに仕上がってますね。
千野:夏のリリースだし、軽快で明るめな曲がいいなって思ったんですよね。この曲はメロディが先にあったんですけど、歌詞もできるだけポジティブにしたいって意識していたので。いろんなパターンを書いてみたんですけど、シックリくる歌詞が出て来るまではけっこう大変でしたね。
EMTG:子供のころの記憶と現在の思いが重なるような歌詞は、2nd album『ペトリが呼んでる』の世界観ともつながってますね。
千野:つながってますね。毎回CDを制作するたびに、過去の作品を踏まえたうえでもっと上にいきたいと思っていて。今回のシングルも“ペトリ”があったからこそ作れた作品だと思います。
EMTG:小さい頃に見ていた風景や匂いは、いまも千野さんのなかに残っているんですか?
千野:そうですね…。たとえば道を歩いていて、雨の匂いだったり、近所の夕飯の匂いがしてくると、懐かしさや温かい気持ちを感じたりしますよね? その感覚が好きだし、それを言葉(歌詞)で味わってほしいなって。それをちゃんとカタチにし始めたのが『ペトリが呼んでる』だったんです。すごく難しいですけどね。あの瞬間の哀愁だったり、ちょっと切ない、でも、どこか温かい感じを言葉にするのは。僕は歌詞を書いているので、そういうことに気付くのも自分の役目だと思うし。
EMTG:夕立というモチーフも効果的に使われてますよね。
千野:自分のなかの意味合いとしては、(夕立は)大人になってからの辛いこと、悲しいことに置き換えられるんじゃないかなって思っていて。心のなかで悩んで、落ち込んでいたとしても、それでも自分の脚で走れるはずでしょ?っていう。心が傷ついていても、脚が折れてなければ物理的には走れるわけだから……子供のときは、それがちゃんと叶えられていたと思うんです。大人になったら家から出たくなくなったり、精神的にきつくなったりすることもあるんじゃないかなって。
EMTG:確かにそうですね。今回のシングルは2形態になっていて、「HAVE A “GOOD”NIGHT盤」にはカップリング曲として「夏の大三角」を収録。七夕を想起させるノスタルジックな音像が印象的なミディアムチューンですね。
千野:この曲は季節を意識して作ったんですよ。さっきの雨の話もそうですけど、僕らって“夏”って感じがしないじゃないですか、バンドの色とか雰囲気とか。
EMTG:そうですね(笑)。
千野:だけど「いや、僕らは夏でも輝けるんだ」っていう曲を作りたいなって。まず夏の行事を調べるところから始めたんですけど――七夕とかお祭りとか――出来上がってみるとシットリした曲になってましたね(笑)。やっぱり、そういう夏のほうが好きなんですよね、僕は。小さい頃は昼間に外で遊び回ってましたけど、大人になると、夕暮れとか夜の風情が良く思えるようになってくるので。あと、この曲は「雨天決行」と逆の視点なんです。「雨天決行」は子供のときの自分がいまの自分に向けてエールを送ってるんですけど、「夏の大三角」はいまの自分が昔の自分を振り返っているので。それと、このCDのリリース日(7月6日)の翌日が七夕なんですよ! この曲を作ったときはリリース日が決まってなかったんです。七夕の前の日に出ることが決まったときは「なんてピッタリなんだ!」って思いましたね。
EMTG:さらに「HAVE A “GOOD”NIGHT盤」のDVDには最新のライブ映像(3月25日/Zepp DiverCity TOKYO)、もう一方の「Anniversary盤」には代表曲をスタジオライブ形式で再録した「ONE SHOT Live Tracks -夕映~いらない~ハッピーエンド-」が収録。GOOD ON THE REELのライブの雰囲気が体感できる作品になっています。
千野:あまり僕らのことを知らない人にもライブの空気を感じてほしいし、手に取りやすいシングルにしたかったんですよね。もちろんファンの人たちも楽しめるようにしたかったので(既存の曲を)再録して。
EMTG:ライブで何度も演奏している楽曲に改めて向き合ってみて、どんなふうに感じました?
千野:この間、オフィシャルサイトでLIVEでやって欲しい曲のリクエストを募ったんですけど、過去の楽曲と向き合うのはすごくおもしろいですね。「いまはこんなエモーショナルに歌えないな」って思ったり…。でもね、これは自画自賛になっちゃうんですけど「めっちゃいい曲だな」って思うんですよ(笑)。もっと伝えたいし、もう一度録り直して出したいなっていう気持ちになりますね。
EMTG:ライブに関しても意識の変化はありますか?
千野:根本的には変わってないかな。ワンマンは別ですけど、イベントやフェスになると「この場にいるすべての人に認めてもらいたい」とか「ここにいる全員を巻き込みたい」と思うし、それはいまも同じなので。
EMTG:ただ、巻き込み方は他のバンドと違いますよね。
千野:違いますね(笑)。音楽と言葉、歌で振り向かせたいという気持ちが強いので、あまり煽ったりしないというか。ただ、前回のワンマンツアーからちょっとポジティブになってきて、ギターやベースが煽ったりすることもあって。それを見ると「お、いいな!」って思うんですよ。
EMTG:「この曲で煽るよ」みたいな打ち合わせはしてないんですか?
千野:しないです(笑)。でも、そういう自然発生的なことはすごくいいなって。こちら側が楽しければ、きっとお客さんも楽しいと思うんですよ。もちろん、いまも強要はしないですけどね。手拍子するのが恥ずかしい人もいるだろうし、まず、ひとりひとり違うわけだから。一体感は大事だけど、目に見えるものよりも心が通じ合うことのほうが大事なので。 そういう一体感を毎回作りたいですね。
EMTG:10月の野音ライブも楽しみです。
千野:まだセットリストも考えてないから、どんなライブになるかはわからないですけどね。ただ、野音ってすごく雰囲気がいいじゃないですか。それを活かしたライブにはしたいなって思いますね。あと、せっかくなんでちょっとだけ雨が降るのもいいかなって(笑)。
EMTG:まさに「雨天決行」ですね(笑)。
千野:はい(笑)。もちろん、すごく晴れてくれたほうがいいんですけどね。まあ、どちらにしても天気は決められませんから。

【取材・文:森 朋之】
【写真: Viola Kam】

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ビデオコメント

リリース情報

雨天決行

雨天決行

2016年07月06日

ユニバーサル ミュージック

(HAVE A“GOOD”NIGHT 盤)
[DISC1 CD]
01.雨天決行
02.夏の大三角

[DISC2 DVD]
・ BYSTANDER
・ サーチライト
・ つぼみ
・ REM
・ シャボン玉
・ rainbeat
・ ペトリコール

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お知らせ

■ライブ情報

BAYSIS 10th ANNIVERSARY
2016/06/30(木) 横浜BAYSIS

GOOD ON THE REEL "うさラジ" presents HAVE A "GOOD" NIGHT vol.48
2016/07/03(日) 盛岡ChangeWave

Lyu:Lyu presents INCIDENT619 vol.7
2016/07/08(金) 名古屋 ell.FITS ALL

ESP学園presents COLORS2016
2016/07/09(土) 新木場STUDIO COAST

バズフェス
2016/07/16(土) ZEPP TOKYO

GOOD ON THE REEL "うさラジ" presents HAVE A "GOOD" NIGHT vol.49
2016/07/22(金) 松山サロンキティ

Talking Rock! FES.2016
2016/07/23(土) 泉大津フェニックス

MURO FESTIVAL 2016
2016/07/31(日) 新木場STUDIO COAST

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016
2016/08/14(日) 国営ひたち海浜公園

WILD BUNCH FEST.2016
2016/08/20(土) 山口きらら博記念公園

TREASURE05X 2016 -LIGHTNING EMPIRE-
2016/08/22(月) Zepp Nagoya

GOOD ON THE REEL presents HAVE A "GOOD" NIGHT vol.50 ANNIVERSARY SPECIAL at 日比谷野外音楽堂
2016/10/09(日) 日比谷野外音楽堂

LACCO TOWER 「心臓文庫」 リリースツアー“心造旅行”
2016/10/16(日) 新潟 CLUB RIVERST

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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