3rd Album 『UNOFFICIAL』は、今のTHE ORAL CIGARETTESの固い意志そのものが詰まった、“絶対的自信作”に。

THE ORAL CIGARETTES | 2017.01.30

 バンドパワーとキャッチーさの融合を存分に発揮したシングル「5150」(昨年11月リリース)で、大きな成長を遂げたTHE ORAL CIGARETTES。その勢いを注入した彼らのNEWアルバム『UNOFFICIAL』が2月1日にリリースされる。もちろんその内容には十分に期待していたが、いざ聴いてみると、曲の突き抜け感が明らかに予想以上だった。抜け感のあるメロディーや、直球のギターフレーズなど、これまでの彼らなら手を付けてこなかった領域に挑戦しているのも興味深い。これはバンドがいよいよ次なるフェーズに突入しようとしている証拠だ。とはいえ、相変わらずクセのあるフレーズもうまく取り込み、本来のオーラルらしい味も健在。6月16日には「UNOFFICIAL DINING TOUR 2017」の追加公演となる初の日本武道館ライブも決定し、アグレッシヴな動きは当分続きそうだ。そんな彼らが新作で掴んだ“何か”とは。

EMTG:『UNOFFICIAL』は、まず1曲目の「リコリス」からガツンときまして。2017年に賭ける並々ならぬ意気込みを感じました。
山中拓也(Vo&Gt):あ、嬉しいです! 「リコリス」は、出来た時から満場一致でアルバムの1曲目にしようって決まりましたから。
EMTG:シングル「5150」をリリースした時のインタビューでもモードが変わったような発言をしてましたし、やはり制作に関しては意識の変化が大きかったんでしょうね。
山中:いやもう大アリです。「5150」で、このアルバムの善し悪しが決まったぐらい。「5150」の制作で悩みに悩んだからこそ『UNOFFICIAL』のコンセプトがどんどん出来上がっていったし、「5150」を作って以降、すごい勢いで新しい曲が生まれたんです。
EMTG:前作の『FIXION』には、「エイミー」のようにずっと温めてきた曲が入っていましたが、今回はフレッシュな曲が並んだ印象がありますね。しかも随所に冒険を感じさせる曲ばかりで。メンバーから見ても新鮮に感じる曲があると思いますが、いかがですか?
中西雅哉(Dr):僕的には「LOVE」が印象的かな。この曲、完成形に至った時の高揚感がすごかったんですよ。完成形のイメージは見えてたんですけど、仕上がってみたら僕の想像をはるかに超える曲になってました。“すごい曲が出来たな”っていう。これを聴いたのはとある駅のホームだったんですけど、しっかり聴きたかったんで、電車1本見送りました(笑)。
あきらかにあきら(Ba&Cho):そうやったんや(笑)。知らなかった(笑)。
山中:まぁ、まさやん(中西雅哉)を驚かそうと思って作ったわけじゃないけど(笑)。
 
EMTG:意外だったと言えば、やはり「不透明な雪化粧」でのシゲさん(鈴木重伸)のギターフレーズですよね。ああいうストレートでクリアなギターは新鮮でした。
鈴木重伸(Gt):今まで勇気がなくてできなかったんです。僕自身は癖のある感じを取り入れたフレーズをずっとやってきたのに、そうじゃないところにいくのは勇気がいりました。自分自身がやってこなかったこともあるし、お客さんにどう思われるんだろうっていう不安もあって、なかなかチャレンジできなかったんですよ。でも、今後を考えたら、絶対にやらなきゃいけない部分かなって。
 
EMTG:こういうギターを弾いて欲しいというオーダーはメンバー内で出たんですか?
山中:いわゆる一音、二音になった時に“キター、この曲!”って感じられるようなリフを考えて欲しいという提案はしました。
鈴木:ギターソロに入って、そのまま泣かせて畳みかけていくようなテンション感なんですよね。
山中:ムリ言ってるのはわかってたんですけど、彼ならやれると思って。
 
EMTG:あきらさんはどの曲が印象的でしたか?
あきら:僕はもう10曲の中から1曲なんて選べないですよ(苦笑)。でも、やっぱり「リコリス」は存在感がある曲だなって改めて思います。聴くたびにその思いが強くなるし、ホントに聴いていて気持ちいい。サビ以外はほぼ変拍子が入っているのに、サビになった瞬間、一気に花開くみたいな。その音楽を作っているのが僕ら4人の楽器であって、拓也の歌であって。そんな曲を作れたことにグッときましたね。 
EMTG:さて、拓也さんには敢えてこちらから「エンドロール」について語ってもらいたいんですが。
山中:「エンドロール」ね(笑)。この曲は俺の中ではいちばんスタンダードな部分を出せた曲かな。「LOVE」「不透明な雪化粧」「エンドロール」の3曲は、かなり気を張ったんです。「エンドロール」はその中でも、これまでのオーラルやこれからのオーラルをふまえて作ったから、サウンドも歌詞もいちばん気を張って作った気がする。
EMTG:キャッチーさもあるけど、アンサンブルも独特だし、決して下世話になってないという。そこもすごくオーラルらしいのかなと感じます。あと、アルバムの中で聴く「5150」もいいですよね。よりメッセージが強くなっているような感じがするし。
山中:改めてですけど、アルバムを一通り聴いた時、「5150」と「DIP-BAP」は、強い曲だったんだなって感じますね。
 
EMTG:収録曲が10曲だからこそ、それぞれの曲の際立ち具合がいいんですよねぇ。
山中:アルバムは全部10曲入りにしてるんです。10曲ってストーリーを作りやすくて、起承転結も表現しやすいんですよ。
 
EMTG:ジャケットも2パターンあって、非常に考えさせられるビジュアルですけど、深い思いがこもっているそうですね。
山中:“文化”っていうものがこのアルバムのキーワードになっているんで、ちゃんと説明すると10分くらいかかります。  
EMTG:せっかくなので、10分バージョンでお願いします(苦笑)。
山中:タイトル案にはもともと“UNOFFICIAL”と“DINING”の2案があったんですね。“UNOFFICIAL”に関しては、ステージに立っている僕がオフィシャルだとしたら、それ以外のものがアンオフィシャルだと。今回の歌詞って、そのアンオフィシャルの部分で起こっていることがすごく多いんです。だから“UNOFFICIAL”っていうタイトルがいいと思ったのがひとつ。
もうひとつは、俺らがこのアルバムを作る時、言い回しは変わっても言ってることってずっと変わらへんなって感じたことがキッカケなんですね。ステージ上でも“自分の目で見て耳で聴いて感じてもらって、良かったら良い、悪かったら僕らのことを気にしなくていいです”って言ってきて、そこはずっと変わってないんです。でも、音楽が好き、この人が好き……っていう純粋なはずの感情がまわりに左右される状況は正しくない――そう考えた時に、例えば食事することもちょっと似てるなと思ったんです。昔は好きな時に好きなもの食べていたのが、今って食べる順番が決まっていたりする。食欲という欲望を満たすことにもルールが決まっていたりするわけですよ。そうじゃなくて、もっと素直に自分で決めたらいいんじゃないか……わかりやすい例えで食事というひらめきもあって“DINING”というコンセプトが出てきたんです。その流れでアートワークを考えたんですね。でも、“DINING”だけだとイメージが限定されちゃうかと思って。根底には“UNOFFICIAL”っていうコンセプトもありますからね。多くの人が“良い”って言っているものがオフィシャルだと思いがちですけど、それは違うよって。自分だけの感覚で物事を判断して欲しいんです。それって“DINING”で説明したことと一致してるんですよ。だったら“UNOFFICIAL”の方がもっと広い意味で伝わりそうですからね。ただ、アートワークはダイニングに寄せて、タイトルは『UNOFFICIAL』になったわけです。 
EMTG:壮大な説明ありがとうございます! 
山中:もう少し話すと、なぜ心臓と脳なのかっていう説明にいっちゃうんですけど――。
 
EMTG:ここまできたら教えて欲しいです(苦笑)。脳だと頭で考えること、心臓だと心で考えること……なのかなとか連想しちゃいますが。
山中:そうですね……正解(笑)。実は脳の方には手を付けた跡があって、心臓にはないんですよ。脳っていう、周りから何かを聞いて考えちゃう部分が“UNOFFICIAL”だとしたら、そんな部分はもう食べちゃっていいよって。でも、心臓って心のイメージもあるし、そこから出てくるものを信じた方がいい、ここは絶対に食べちゃダメっていう。
EMTG:確かに、脳の方にはナイフとフォークにソースが……細かいですね。
山中:どんなアーティストもアートワークや曲に対しては、すごく思いがこもっているということは伝えたいなと思って。
 
EMTG:最後に2017年のライブについてですが、ここはツアーの締め括りとして、6月16日に行う日本武道館公演のお話を伺わねばと! もちろん、通過点のひとつであるのはわかっているんですけどね。
山中:テンション的には初めて渋谷クアトロやZepp Tokyoをやった時の気持ちと一緒だと思います。もちろん、会場は違うし、変わる部分はあるだろうけど。あ、ただし、非常にめでたいことなのは知ってます(笑)。
 
EMTG:会場が大きくなるだけじゃなく、オーラルの歌もどんどんいろんな人達に伝わっていきそうですね。特に『UNOFFICIAL』の収録曲って、カラオケでも歌いたくなるようなものばかりですし。
あきら:あ、ウチのマネージャーがうまいですよ! 実は「DIP-BAP」をカラオケで歌っているみたいです(笑)。
山中:マネージャーが歌っているのってホッコリしますね……って、仲良しかよ(笑)。
中西:僕はオーラル歌いますよ。実は自分が大阪にいた頃のバイト仲間が、とにかくオーラルが大好きで(苦笑)。そいつらとカラオケに行くと、オーラル以外入れさせてくれないんですよ(笑)。「狂乱Hey Kids!!」とかもう何度も入れるし(笑)。
EMTG:うわ~、いい話ですね! 
山中:俺、そんなところに絶対にいられんわ! 恥ずかしい(苦笑)。
 
EMTG:メンバーが知らないところで曲が歌われていくという現象、この先どんどん広がりそうですね! 2017年も期待してます!

【取材・文:海江敦士】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル THE ORAL CIGARETTES

リリース情報

UNOFFICIAL

UNOFFICIAL

2017年02月01日

A-Sketch

1.リコリス
2.CATCH ME
3.悪戯ショータイム
4.5150
5.WARWARWAR
6.エンドロール
7.DIP-BAP
8.Shala La
9.不透明な雪化粧
10.LOVE

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

THE ORAL CIGARETTES唇ワンマンツアー UNOFFICIAL BRUNCH TOUR 2017
2017/03/21(火) 大阪 BIGCAT
2017/03/22(水) 愛知 名古屋ダイアモンドホール
2017/03/28(火) 東京 赤坂BLITZ

THE ORAL CIGARETTES唇ワンマンツアー UNOFFICIAL DINING TOUR 2017
2017/04/06(木)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2017/04/08(土)高松 festhalle
2017/04/09(日)高知 CARAVAN SARAY
2017/04/11(火)札幌 PENNY LANE 24
2017/04/12(水)札幌 PENNY LANE 24
2017/04/16(日)仙台PIT
2017/04/23(日)新潟 LOTS
2017/04/27(木)福岡 DRUM LOGOS
2017/04/28(金)福岡 DRUM LOGOS
2017/04/30(日)広島 CLUB QUATTRO
2017/05/04(木・祝)Zepp Nagoya
2017/05/12(金)大阪 Zepp Osaka Bayside
2017/06/16(金)東京 日本武道館<追加公演>

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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