ゴスペラーズ、浮遊感溢れるダンスチューン「Fly me to the disco ball」発売!

ゴスペラーズ | 2017.02.22

EMTG:どこまでも飛んでいけそうな気持ちのいい曲ですね。
酒井:曲の断片を作ったのは、実はだいぶ前なんです。ゴスペラーズの新しい曲とはどうあるべきかなどと根本の部分を考えつつ、たとえば、曲頭でいきなりバーンとインパクトのあるハーモニーがきたら、「エッ、これ誰の曲?」と思ってもらえるんじゃないかなと思って、サビの部分から作っていきました。最初はどちらかというとビックリ箱的コンセプトで考えてたわけです。
北山:選曲会議のときに、酒井さんが強烈なサビだけを持ってきて、みんなも「これはやったほうがいいね」となってシングルに仕上がるってことが、何年かに1回あるんですよ。それがまた彗星のようにやってきたなという印象でした。今回は特にA&Rの人たちが、「これはぜひ1曲にしてほしい」と熱意を持って風を起こしていきましたね。彼らの予想以上の反応に、酒井さん自身が、「えっ、そんなに?」という表情だったと思うんですけど(笑)。
EMTG:そうなんですね!
北山:デモの段階から、重力と無重力とが同居するような高揚感があったんですけど、その期待を凌駕するような完成形になるかどうかは、その段階では誰も確信がないわけじゃないですか。メンバー一人ひとりが曲を作ってるとき、他のメンバーは待つしかない。ただ今回は、スタッフの燃え上がる様や、その熱を受けた酒井さんの様子、さらに「よみうりランド ジュエルミネーション」の話も加わるなど、ジグソーパズルのピースが一つひとつハマッていくのが端からも見えた。ワクワクしながら楽しく待つことができました。
酒井:途中で「ジュエルミネーション」の話が加わったことで、キラキラ感を増していく方向になりました。重力に縛られているのに飛び上がろうとする人間の衝動=ジャンプというキーワードで詞は考えてたんですけど、「じゃあ、どこまで飛ぶか?」となったときに、「ミラーボールのお月さままで」というイメージになり、「Fly me to the moon」ならぬ「Fly me to the disco ball」というタイトルにつながりました。
EMTG:サウンド面で浮遊感をもたらしているのが、いわゆる「コンプのサイドチェイン」を使った「ウンシャッウンシャッ」というウネリだと思うんです。EDMの手法がゴスペラーズらしく開花しているなと思いました。3月に出るアルバム『Soul Renaissance』は「90年代回帰」がテーマになるとうかがっていたので、そのなかでこの曲はどういう位置づけになるのかなと思ったのですが。
酒井:アルバムへの流れとはちょっと浮いたようなところで制作が進んでいたところもあるので、僕自身は、次のアルバムには入らないだろうと思ってました
EMTG:ソウル/R&BとEDMのフュージョンという意味で、すごく今な音でもあるわけですが。
酒井:そういう意味ではアップトゥデイトな音だと思ってます。流行り物のトラックと並んでかかっても違和感ないなかで、人間5人のハーモニーがバーンくるんだぞ。どうだ! みたいな感じになるかなと(笑)。そういうところに食い込みたいとい気持ちは、もちろんありました。
村上:「90年代回帰からはハズれた曲」と酒井は言ったりしてるんですけど、それは90年代の典型的な音楽ワードをあてはめようとすると違うというだけの話なんです。実は『Soul Renaissance』は、90年代にゴスペラーズがやっていたことのアップデートという側面もあって、「Recycle love」と「Fly me to the disco ball」にそれがいちばん顕著に出てるんですよ。僕自身、「Fly me to the disco ball」は、『Soul Serenade』に収録されてる「Free Space」のアップデート版という気がしてます。印象的なハーモニーがあって、かつ、全員がずっと歌ってるという意味で。「Fly me to the disco ball」はさらに休みなく歌ってるから、歌詞覚えるのが久々に大変でした。リズムのギミックがあって大変というより、物量的にね。ゴスの曲って案外覚えるところ少なかったりするんで(笑)。
酒井:サビのコーラスに参加するだけとかね(笑)。
村上:そうそう。場合によっちゃ、そのサビも同じだったりするし。でも、今回は、フル・テンションとは言わないけど、常に全員で疾走してる。「Free Space」、「FIVE KEYS」、「FRENZY」なんかでやってた感じですよね。全員でずっと歌ってる曲というのは、当たり前なんだけど、見てる人たちが応援しやすいわけで(笑)。
黒沢:そうね。待っている人いないからね。
村上:カッコつける間がいらない曲(笑)。しかものっけからバーンとハーモニーがくるので、「あんまり知らないけど、これ、ゴスペラーズだよね」って思ってもらえると思うんです。
酒井:グループのアイデンティティーの刻印が押されているような。
村上:そう。たしかにここ数年、そういう曲はなかったかもしれない。そこがルネッサンスでもあるわけです。今って、黒人じゃない人たちが、「ソウル/R&Bを自分のものにしている」と言い切れる世界じゃないですか。20年前に、石野卓球さんが「ファンキーなのはブラック・ミュージックだけじゃねぇぜ」という名言を吐いて、「サイコー」と思ってたけど、もはやそういうソウル/R&Bの肉体化がユニバーサル化してる。ブルーノ・マーズにしたってそうですよね。「24K Magic」でウェッサイやっててもドポップに仕上がってたりしてる。「Fly me to the disco ball」は、そういった今のシーンに対するゴスペラーズの回答でもあるわけです。「Back to」でもあり、未来志向でもあるというね。
EMTG:まさにそういう曲だと思います。
黒沢:リズムに対する言葉のハメ方が酒井は独特なので、歌いこなせるまで、千本ノックを受けてる感じでした。たしかに、この全員でずっと歌ってる感じが懐かしかったですね。
EMTG:もちろん酒井さんの声が多めに聞こえたり、2番では1ラインずつリードが変わったりもするんですけど、全体の印象として匿名性が高いと思いました。全員の声でひとつみたいな。
安岡:そのいろんな口が同時に歌ってる匿名性が、スライ&ザ・ファミリー・ストーンなどに通じるファンクネスだなと思うんす。誰がリード・ボーカルっていう話でもない。全員で歌うパーティー感がある。
EMTG:たしかにそうですね! しかも、歌うと楽しくなる。ちょっと呪文を唱えるみたいな感じで。
酒井:「ビビディ・バビディ・ブー」ですよ(笑)。リズミックなフレーズに、日本語踏み外すくらいの勢いで言葉をあてはめていくってことをやりました。ラップほど韻を守っているわけじゃないんですけど、口に出して楽しい音にはしたいと思いましたね
EMTG:思わず真似したくなります。
酒井:書いた時期が「Recycle Love」に近かったので、ハーフSFみたいな頭もあったので、たとえば「空を漂う」とかじゃなく、「衛星軌道まで上昇中」といった具体的な言葉が出てきたんだと思います。ジャンプしたくらいで宇宙には行けませんが、想像の翼を広げてもらえたらうれしいですね。今、話していて思い出したんですけど、「Recycle Love」は、ルーパーを使ったアカペラだったじゃないですか。「Fly me to the disco ball」の大元では、アカペラにコンプのサイドチェインかけたらどうなるか、みたいなことも考えてた気がします。ゴスペラーズの基本であるところの声を素材に、未来志向のことをやりたかったということですね。
EMTG:なるほど。とても腑に落ちました。さて、カップリングの「True Colors」ですが、カバーするのは?
村上:こんなに大ネタなのに、初めてなんです。
EMTG:スッキリとした味わいに仕上がってますね。
北山:祈りというより、ポジティブなメッセージがビビッドに伝わる音になった気がしました。「like a rainbow」と歌いながら、まさにハーモニーの歌だなというふうにも思いました。
安岡:虹の前の雨の重さが軽くなったというか、青空を見ながら虹を待っているようなイメージに変わりましたね。いろんな人がカバーしている理由がわかりました。
EMTG:「True Colors」という言葉から何か思うことはりますか?
安岡:誰でもそうだけど、強い自分もいれば弱い自分もいるわけじゃないですか。本当の自分はひとつじゃなくて、いくつあってもいいということが、「True Colors」という複数形に現れている気がして、そこがこの詞の素晴らしいところだと思いました。
北山:その昔、「本当はどうなの?」ということを話すのが難しいと思った時期があって、取材で「どんなデートをしますか?」と聞かれたときに真剣に困ったんですよ。そしたら安岡が、「家で食事をして、一緒に食器をシンクに持っていく。それもデートなんだよ」と教えてくれた。これは、ある意味僕の原点となってます。
EMTG:そうなんですか!
北山:「本当」ってわからなくなることがあるじゃないですか。サングラスかけてるのに、それを忘れて、見てる色が「本当」だと思ってしまったり。今は、写真の目を大きく加工できるでしょ。その大きい目のほうを「本当の自分」と思う人のほうが多いんですって。遠足に行くのは楽しいけど、早起きはイヤだったりする。でも、どっちも「本当」。つまり、七色が全部まざって白に見えてるかもしれないけど、そのなかのどの色を見るかは、日々その時々で自分が選んでいいんだなと。安岡さんの言葉で僕は気づたんです。
安岡:今、俺の知らない俺に出会った気がする(笑)。
EMTG:それも「True Colors」。そうだ、このシングルのDVD付きには、「私がゴスペラーズじゃなかったら」の第一弾・酒井雄二編が収録されています。保護猫カフェで働く映像、心温まりました。
酒井:それも俺の「True Colors」です(笑)。

【取材・文:藤井美保】

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リリース情報

Fly me to the disco ball

Fly me to the disco ball

2017年02月22日

Ki/oon Music

01.Fly me to the disco ball
02.True Colors

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

ゴスペラーズ坂ツアー2017
“Soul Renaissance”

2017/04/22(土) 千葉・松戸森のホール21
2017/04/24(月) 東京・オリンパスホール八王子
2017/04/26(水) 神奈川県民ホール 大ホール
2017/04/29(土・祝) 福島・南相馬市民文化会館
2017/04/30(日) 山形・南陽市文化会館
2017/05/03(水・祝) なら100年会館 大ホール
2017/05/04(木・祝) ロームシアター京都メインホール
2017/05/06(土) 広島・上野学園ホール
2017/05/07(日) 兵庫・姫路市文化センター大ホール
2017/05/13(土) 三重・伊勢市観光文化会館
2017/05/14(日) 静岡市清水文化会館マリナート 大ホール
2017/05/18(木) 埼玉・川口総合文化センターリリア(メインホール)
2017/05/20(土) 群馬・桐生市市民文化会館シルクホール
2017/05/21(日) 茨城県立県民文化センター
2017/05/27(土) 石川・輪島市文化会館
2017/05/28(日) 富山・オーバード・ホール
2017/06/02(金) 北海道・ニトリ文化ホール(さっぽろ芸術文化の館)
2017/06/03(土) 北海道・旭川市民文化会館大ホール
2017/06/10(土) 岩手・大船渡市民文化会館リアスホール
2017/06/11(日) 宮城・仙台サンプラザホール
2017/06/17(土) 愛媛・西条市総合文化会館大ホール
2017/06/18(日) レクザムホール(香川県県民ホール)・大ホール
2017/06/24(土) 鹿児島市民文化ホール 第一
2017/06/25(日) 宮崎市民文化ホール
2017/07/01(土) 大阪国際会議場(グランキューブ大阪) メインホール
2017/07/02(日) 大阪国際会議場(グランキューブ大阪) メインホール
2017/07/08(土) 東京国際フォーラム ホールA
2017/07/09(日) 東京国際フォーラム ホールA
2017/07/15(土) 名古屋国際会議場センチュリーホール
2017/07/16(日) 名古屋国際会議場センチュリーホール
2017/07/22(土) 長崎ブリックホール
2017/07/23(日) 福岡サンパレスホテル&ホール
2017/07/29(土) 島根・出雲市民会館
2017/07/30(日) 岡山・倉敷市民会館

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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