雨のパレード、シーンの一端を担う新たなPopsの形を提示した2ndアルバムをインタビュー

雨のパレード | 2017.03.08

 エレクトロハウスやダブステップ等、様々な音楽要素を取り入れたサウンドプロダクトだが、歌が中心にあり、言葉が正面から飛び込んでくるバンド。一聴するとシーケンス等を使っていそうだが、実はすべての音を生で、各メンバーの手で鳴らしているバンド。超満員のオールスタンディングのライブハウスで、オーディエンスを“ひたすら固まらせる”状態に陥れながら、一回ごとに動員を増やし、ハコのキャパを上げているバンド。耳に心地よくて、とてもわかりやすくて、聴き手に届きやすくて、何を伝えたいかが明確なバンドだが、そのバンドを構成するパーツの一部一部を微細に見ていくと、ユニークというか、異端というか、“ほかにいねえよこんなことやってるバンド”というか、とにかく面白い、雨のパレードという存在は。2ndアルバム『Change your pops』を題材に、すべての詞曲を手がけるボーカルの福永浩平に聞いた。

EMTG:先行のシングルも何曲か入っているアルバムですが、新しい曲も、それらに負けないクオリティのものが揃ったなあと。
福永浩平:僕もそう思っています。1曲ずつが、かなり自信作なんで。
EMTG:この間、GLIM SPANKYをゲストに呼んだライブを観させていただいたんですが(2月5日LIQUIDROOM)、そのときのMCで、GLIMの松尾レミさんと歳が同じだという話から、「僕らの世代で時代を変えてやろうと思っている」とおっしゃってましたよね。
福永:ああ、はい。
EMTG:で、このニューアルバムにも「popという言葉の固定概念をひっくり返してやるつもりでアルバムを作りました」というコメントを出されてますよね。
福永:かっこいいこと言ってますよね(笑)。
EMTG:それは今の時代なり、今のポップという言葉の認識なりに、違和感があるから出る言葉ですよね。
福永:そうですね……たぶん、みんなそれぞれ、ポップっていう言葉に対して、ちょっと嫌悪感みたいなものがあると思うんですよ。“ポップってダサくない?”みたいなイメージが。でも海外だと、普通にR&Bがポップとして認識されてたりする。そこまで持っていきたいというか。10代の頃とかは、その頃流行ってた音楽に違和感を感じていたこともあって、だから自分たちがひっくり返してやりたいという気持ちはすごく強いのかな、というのはありますね。大それた言い方をしちゃうと、日本のポップシーンの底上げをしたいというのが、すごい大きな気持ちで。今、そのムードは少しずつ感じることができていて……同年代のバンドが、どんどん面白いことをやっていて。今はまだ幕張メッセを埋めるイメージはできないけど、僕らの世代がそういうところまで来たらすっごい楽しいじゃないですか? 自分たちの本当にかっこいいと思える音楽で……“橋渡し”っていう言い方はちょっと違うかもしれないですけど、一緒に時代を変えたいっていう気持ちはあります。あと、最近思ったのは……僕が上京する5年くらい前とか、CDが売れなくなったってよく言われてたんですけど。レコード会社が、既存のやり方で結果が出せなくなってきて、今までのやり方が通用しなくなって、どうしよう? っていう状態で。それで今、2万枚売れればすごいって状況なわけじゃないですか? それは逆に、新しい、自分たちの個性を持っているバンドでも2万枚は売れるかもしれないっていう事実もあると思うんですよね。
EMTG:昔なら20万枚売れてたバンドが今は2万枚かもしれないけど、昔なら2000枚だったバンドが今なら2万枚の可能性もあると。
福永:そうですね。コミケとか……全然僕の畑じゃないけど、あれだけ人が集まってるじゃないですか。そういうのと同じで、どのバンドでも可能性があると思うんですよね。だからこそメジャーレーベルもそういうバンドを推せる環境になってきていて。その環境も相まって、もしかしたら本当にひっくり返るんじゃないか、と感じていたりもするんです。
EMTG:雨のパレードのライブのとき、満員のフロアの後ろから観てると、踊っている、ノッている、というよりとにかく“音楽を聴いてる”という感じの人が目立つんですよね。
福永:ああ……自分的には、踊らせたいから音楽をやっているというのは、微塵も考えてなくて。自分もそんなに踊らせる音楽を聴いてきたつもりもなくて。好きなのはチェット・フェイカーとか、最近だとサンファとか、ボン・イヴェールだったりとか。そういう音楽って、すごい新しさがあって。そういうものがやっぱり好きですね。今までなかったものというか……ジェイムス・ブレイク以降の流れが大好きなので。そのへんですね、いちばん僕たちが出そうとしている音は。それをポップミュージックに落とし込むっていうのが、たぶん、自然なやり方というか。ユーミンさん(松任谷由実)とかも、普通にポップミュージックとしてみんな聴いてるけど、実は昔ファンクだったりボサノヴァだったりいろんな音楽を取り入れてポップミュージックに落とし込んでるじゃないですか……そういう感覚で、自分たちも、ポップミュージックとして聴かれてるけど実はトラップだったり、ダブステップだったり、エレクトロハウスだったり、っていう。そういうやり方でリスナーの聴き方を変えていきたいなって思ってますね。
EMTG:雨のパレードのようなバンドがいわゆるロックフェスとかに出ていくと、苦戦したりする場合もあると思うんですけど……年末の“COUNTDOWN JAPAN”に出てたじゃないですか(12月30日、幕張メッセ)。
福永:はい。
EMTG:さっき言ったように、超満員なんだけど……お客さんみんな“聴いてる”って感じで。お。
福永:(笑)。
EMTG:MOON STAGEの外ではみんなわいわいやってるのに、中に一歩入ると――。
福永:6500人がシーンと(笑)。そうですね。
EMTG:で、シーンとするのが好きな人が集まったんじゃなくて、あの人たちも外に出るとわいわいやってると思うんですね。
福永:そうですよね。
EMTG:お客さん、つまんないと思ったら出ていくだろうけど、誰も出ていかないで、とにかく聴いてる。フェスの参加者をそういう状態に陥れるというのは面白いなあと(笑)。
福永:まあ確かに「ライブ始まると一気に空気変わるよね」とはよく言われますね。まあでも、自分が経験した中ではいちばん大きいステージで、見た感じパンパンだったんで、すごいうれしかったですけど。
EMTG:あと、新しいアルバムも、前の作品もそうですが――歌詞がわりと長いことに関しては、自覚的ですか?
福永:長いですか?
EMTG:長いというか、情報量が多いというか。歌詞だけパッと見ると、ヒップホップぐらい文字数がある気が。
福永:(笑)そうですね。基本、メロディが多いんで、歌詞も多くなるんだと思いますけど。毎回、最初は英語風な宇宙語でメロを作って、あとで歌詞を乗せるんですけど。
EMTG:リフレイン、なくはないけど、少ないですよね。くり返すのは嫌い?
福永:嫌いではないですけど……もしかしたら僕の課題なのかもしれないですけど、少ない言葉で伝えられる情報量が、今のところ僕はそんなに多くないのかもしれないですね。曲を聴きながら歌詞をつけていって、同じ歌詞をくり返したほうがよく聴こえたら同じ歌詞でいくし、変えたほうが聴き心地がよかった場合は歌詞を変えるし、っていう。だから、言葉を多くしたいとか思ってるわけではないんですけどね。
EMTG:それから、1曲目が「Change your mind」で、アルバムタイトルが『Change your pops』というふうに、ちょっと変えているのは?
福永:“Change your pops”っていう言葉は、英語的にはたぶん正確ではなくて。「Change your mind」は、“Change your pops”と同じテーマで書き始めたんですけど……自分の直感に素直になれるような曲にシフトしていったというか。同じテーマではあるんですけど。まあでも、たぶんニュアンス的には、優しい感じになってると思うんですけどね、“Change your mind”のほうが。“I’ll change your mind”、あなたの気持ちを変えたい、っていうことだから。ゆっくりでいいから変えていきたい、っていう。

【取材・文:兵庫慎司】

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リリース情報

Change your pops

Change your pops

2017年03月08日

ビクターエンタテインメント

1. Change your mind
2. free
3. stage
4. Count me out
5. Take my hand
6. perspective (Interlude)
7. You
8. feel
9. Hey Boy,
10. intuition (Interlude)
11. 寝顔
12. 1969
13. speech (Interlude)
14. morning

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

ビクターロック祭り2017
03/18(土) 幕張メッセ国際展示場

ワンマンライブツアー2017
Change your pops
03/24(金) 新潟 CLUB RIVERST
03/31(金) 札幌 COLONY
04/02(日) 仙台 LIVE HOUSE enn 3rd
04/06(木) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
04/08(土) 広島 Cave-be
04/09(日) 福岡 graf
04/12(水) 名古屋 CLUB QUATTRO
04/14(金) 赤坂 BLITZ

VIVA LA ROCK 2017
05/04(木・祝) さいたまスーパーアリーナ

OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2017
05/14(日) METROCK大阪特設会場(大阪府堺市・海とのふれあい広場)

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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