SHE’S第一章完結。“覚醒”を意味するミニアルバム『Awakening』で新たなフェーズへ。

SHE’S | 2017.06.19

“覚醒”を意味するSHE’Sのニューミニアルバム『Awakening』には、いま新たな未来へとバンドが突き進んでいく抑えようのないエネルギーが溢れている。かつてないほど華やかなストリングスアレンジサウンドを導入して、“あなたたちの意味になりたいんだ”“僕が僕であれば 迷わないさ”という揺るぎないメッセージをのせたリードトラック「Over You」をはじめ、ガッチリと聴く人の手を掴んで光あるほうへと導いていくような作品だ。今作で彼らはバンドの原点と進化の両方を表現する必要があった。メジャーデビューから1年。初めてのフルアルバム『プルーストと花束』を完成させて、赤坂BLITZでのワンマンライブを成功させたSHE’Sがこの先どこへ向かっていくのか。今作にはその答えが詰まっている。

EMTG:ツアーファイナルの赤坂BLITZを見てSHE’Sはあの広い会場でも隅々まで音楽を届けることができるバンドだっていうことを改めて感じました。
井上竜馬(Vo・Key):序盤、あんなに自分は緊張するんだと思いましたけどね(笑)。
EMTG:緊張してましたね(笑)。最初のMCぐらいまでは見ててもわかりました。
井上:さすがに歌ってる最中に「あ、やばい、俺緊張してる」って思うことはいままでなかったんですけど。そこに向かっていく気持ちがあり過ぎると、自分にプレッシャーをかけ過ぎてしまうんだなと思いました。これからデカくなっていきたいと思ってるし、こういうときこそ肩の力を抜いてやったほうがいいんだっていう反面教師のライブでしたね。
服部栞汰(Gt):いままでより格段に大きいツアーをまわってみて、次の課題も見つけられたんです。ワンマンで長尺のライブをやるなら、もっと演出にこだわってみようとか。そういうチャレンジをしながら、もっと大きなステージに進めたらと思いました。
EMTG:そうなんですね。真面目だから気持ちは反省モードですけど……。メジャーデビュー1年で赤坂BLITZをソールドさせるなんて、もっと喜んでいいと思いますよ。
井上:それで言ったら、俺はBLITZよりも(大阪)BIGCATのほうが嬉しかったんですよね。去年のワンマンが売り切れてなくて不安だったから。そこでちゃんとお客さんを入れられたのは成長を感じたし、広がってるなっていう自信になりました。
EMTG:6月8日でメジャーデビューから1年が経ちましたけど、振り返ってみてどうですか?
木村雅人(Dr):土台を作ることができた1年でしたね。ここまであんまり振り返ることもなかったんですけど、いろいろな経験をして自信をつけて前に進める気がしてます。
服部:この1年間はスケジュール的には忙しくて大変ではあったんですけど、何より自分たちが楽しくできたのは良かったと思ってます。
井上:目まぐるしく環境も変わったし、応援してくれる人が増えて、そういう中で自分たちのチームを確立していったから、いままででいちばん濃密な1年でした。いまは何をやるべきかもわかってきたので、ここからが“けものみち”的なことは感じてます。
EMTG:けものみち。
広瀬臣吾(Ba):このタイミングで上京もしてきたし、大阪SHE’Sの第一章は終了したと思うんです。メジャーでシングルを2枚出して、ツアーを10本やって、フルアルバムを出して、バンドとして最初のタームを完結できたから。ここから先は1回経験したことを、さらに良くしないと意味がないと思うので。だから“けものみち”になりそうな気がしますね。
EMTG:なるほど。そういう覚悟をもって次の一歩を刻むのが『Awakening』ですよね。正直、『プルーストと花束』からこんなに早く7曲入りの作品がくるとは思いませんでした。
井上:俺も全盛期のGLAYちゃうかなと思ってます。それくらいペースが速い(笑)。
EMTG:どんどん曲が出てきたんですか?
井上:と言うより、もともとシングルを出そうと思ってたんです。でもシングルは作ろうと思って作るものじゃないと思うんですよ。シングルにしたい曲ができて出すものというか。だからシングルにするかミニアルバムにするかは別にして、まずは3~4曲でも書けるところまで書いてみようっていう流れでしたね。
EMTG:『プルーストと花束』のアルバムインタビューのときに、井上くんはエネルギーを使い切ったから、しばらく曲は作れなそうと言ってましたよね。
井上:そうですね。だから最初は腰が重かったんです。でも出し切ってるからこそ今回はコンセプチュアルなものにもしなかったんですよね。単純に自分の中から出てくるものだったり、『プルーストと花束』でやり切れなかったことを改めてやっていった感じというか。『プルーストと花束』を去年11月に作り終えて、1ヵ月ぐらい何も書けなくて、曲作りは年明けから始めて。レコーディングはアルバムをリリースした直後ぐらいだったんです。
EMTG:コンセプチュアルにするつもりはないと言いつつ、インスト曲の「Lantern(inst.)」から始まって、「aru hikari」で終わるから、1枚を通して光がテーマにも感じましたが?
井上:どうしても形式美が好きなので、始まりと終わりは繋げたくなるんですよね。イメージとしては朝から始まって夕暮れで終わるっていう景色が頭のなかにあって。夕暮れどきの野音とかで聴けたら気持ち良いだろうなっていうのは考えてました。
EMTG:インスト曲の「Lantern(inst.)」がピアノを軸にしつつも、エレクトロな要素も入っていて、まさに覚醒であったり、今作は音色にバラエティがあって進化を感じさせてくれるなと。
井上:この曲はインディーズ時代にSHE’Sで初めて作った曲から持ってきてるんですよ。
広瀬:イントロのフレーズがそのままなんです。
井上:高3のときだから……まだSHE’Sを組む前から作ってた曲なんですけど、ある瞬間からパッてライブでやるのをやめてしまったので。なんとか供養してやれへんかなと思って入れました(笑)。この曲から「Over You」に繋がることで、昔の自分を越えていくっていう意味を出したいなと思ったんです。
EMTG:なるほど。
井上:そこから透明感のある「Over You」とポップパンク×ピアノの「Someone New」っていう従来のSHE’Sの良さみたいな曲を入れることで、今作ではSHE’Sが確定したイメージをもっと定着させられたと思ったんですよね。まだ俺らのことを知らない人も多いと思うから。その中でいままで自分たちがやってないことも違和感として提示したいなっていうので、「Awakening」(覚醒)っていうタイトルをつけたんです。俺らの中ではインディーズで出した三部作(『WHO IS SHE?』『WHERE IS SHE?』『She’ll be fine』)と『プルーストと花束』でSHE’Sの第1タームは終わったけど、まだまだやりたいことはいっぱいあるし。次のフルアルバムに向けて、新要素を入れていきたいなって思ったんです。
木村:かなり音は新しいよな。
EMTG:たしかにアルバム後半にかけては、新鮮な曲が多いですよね。特に「Don’t Let Me Down」とか「In the Middle」は洋楽的なニュアンスも濃いですし。
井上:「Don’t Let Me Down」はエレクトリックピアノを取り入れた曲ですね。全然ピアノで弾いてなくて、あの感じはなんて言えばいいのかな。モノトーンの都会をひとりで歩いて行くみたいな映像があるじゃないですか。周りの人の動きがブレてるなか、真ん中に立ってる人だけピントが合ってる映像のイメージ。都会の孤独感みたいなのを表したかったんです。
広瀬:あと、これはザ・スクリプトのイメージって言ってたよな。
井上:そうそう。「Breakeven」ね。
広瀬:あとは「In the Middle」は洋楽のカントリーっぽい感じっていうのは意識してたし。
井上:「Beautiful Day」はMIKAみたいなカラフルな絵にしたいなっていうところで、サビから書き始めた曲なんですよね。
EMTG:『プルーストと花束』ではあんまり洋楽寄りのニュアンスを出し切れなかったって言ってたから、このあたりはそういう意味でのチャレンジですね。
井上:リード曲の「Over You」がJ-POP寄りになったので、そこのバランスも考えてこういう曲を入れたらどうなるんだろうっていうのを試したいなと思ったんですよね。
EMTG:「Beautiful Day」はどうですか? SHE’Sにはこういう多幸感のあるポップソングが本当に似合うなと思いますけど。
木村:この曲は前作の「パレードが終わる頃」を意識しましたね。ドラムのフレーズが似ないようにするのが難しかったんですよ。
広瀬:今回はアレンジの部分で「いままでの俺やったらこうしてたな」っていうのをできるだけ避けようっていうのを重視してたんですよ。
EMTG:いわゆる手クセでやりそうな部分をあえて封印したというか?
服部:だからけっこう大変だったんです。自分が持っていったギターソロとかも「それ前にやってたやつや」ってメンバーにばっさり言われたりして……。
井上:あの曲のアレや!ってなったら、実際に流してみて「一緒や!」とかね(笑)。
服部:そういう作り方をしてたら、「Beautiful Day」の2番のAメロの後半でレコーディングのときに初めて合わせたギターのフレーズがあったんですけど、それを竜馬が聴いて、「あ、歌も同じように重ねよう」って言ってくれたのもありましたね。
井上:あれは「グッドフレーズやな」と思ったから、俺も歌ったら良いなと思ったんですよね。歌詞に合わせるようにギターが先に行ってたり、歌が先に行ってたりして、そこで季節の追いかけっこみたいな感じを出したかったので。
EMTG:なるほど。SHE’Sのインタビューでメンバーの相互作用で曲がブラッシュアップされたような話を聞けたのは初めてかも。割と井上くんが持ってくるイメージに演奏を近づけることを大切にしてるバンドじゃないですか。
井上:確かにあんまりなかったかも。作ってるときは必死すぎて何も周りが見えてなかったけど、振り返ってみると新しいメンバーの一面も見えてきたので、いまバンドが良いムードの中にあるのかなっていうのは思いますね。
EMTG:すごく個人的に思うことを言うと、SHE’Sはもっとバンドの総合力が上がるといいなと思うんですよね。ソングライティングを担う井上くんのだけのセンスじゃなくて。
井上:ああ、なるほど。この間1週間イギリスに行ってたんですけど、そのときに俺はやっぱりUKの音楽が好きだなと思ったし、それを反映させることで、もっと自分たちの中にある多面的な部分を見せたいって思ったんですよ。いま自分たちでも“第2ターム“って言ってるからには、どんどん面白いことをしていきたいし。そのためには俺の持ってくる曲に合わせて全員で進化していきたいっていうのはありますよね。もっともっと全然違うアプローチをするための引き出しは増やしていかなきゃいけないし、それがメンバーだけにかかってるわけじゃないけど……メンバーにもかかってるというか。
EMTG:そうですね。
井上:今まではSHE’Sが良くなるか悪くなるかは自分の持ってくる曲次第やし、自分のライブ次第やって思ってたんです。でもその考えも最近はずいぶん変わってきて。やっぱりメンバーを頼れるようになってきてはいますね。それがこの先は大事なんやろうな。今はいろんな曲を書きたいなと思うようになってるから、栞汰が新鮮なアプローチを持ってきたときに、「次のところにいったんかな」と思えたし。ああいう面白さは曲作りのなかで続けていきたいです。結局、聴く人って新しいものが好きだと思うんですよ。だから「Over You」とか「Someone New」みたいなSHE’Sの鉄板曲も提示するけれど、ずっと同じ音楽ではいられないので。僕らは好きな音楽をやりながら、変わっていけたら理想やなと思います。

【取材・文:秦 理絵】

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リリース情報

Awakening

Awakening

2017年06月21日

ユニバーサル ミュージック

01.Lantern(inst.)
02.Over You
03.Someone New
04.Don’t Let Me Down
05.In the Middle
06.Beautiful Day
07.aru hikari

お知らせ

■ライブ情報

SHE’S Hall Tour 2017 with Strings ~after awakening~
09/29(金) 東京・草月ホール
09/30(土) 東京・草月ホール
10/13(金) 愛知・名古屋市芸術創造センター
10/14(土) 大阪・立命館いばらきフューチャープラザ グランドホール


ABC夏(サマー)フェス2017マイドほたるまち
07/17(月) 朝日放送「ABCホール」

10th Anniversary!! 『Mujack Dream Land 2017』
06/23(金)~25(日) 大阪・Music Club JANUS

PELICAN FANCLUB TOUR 2017 “Electoronic Store”
07/14(金) 千葉LOOK

日本工学院ミュージックカレッジ presents「Summer Rise 2017」
07/1(土) 赤坂BLITZ

MURO FESTIVAL 2017
07/22(土)~23(日) お台場野外特設会場

NUMBER SHOT2017
07/22(土)~23(日) 国営 海の中道海浜公園 野外劇場

大ナナイトvol.108
08/04(金) 高崎club FLEEZ

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
08/06(日) 国営ひたち海浜公園

WILD BUNCH FEST. 2017
08/19(土)~20(日) 山口きらら博記念公園

KANSAI LOVERS 2017
09/23(土)~24(日)大阪城音楽堂

【微光夢遊】-Vol.2 夜之吐息 ※台湾公演
10/07(土) Live Warehouse(高雄)

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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