GLIM SPANKY、約一年ぶりのアルバム『BIZARRE CARNIVAL』で表現した 唯一無二の“日本語ロック”

GLIM SPANKY | 2017.09.11

 GLIM SPANKYがこれまで何度となく伝えてきたバンド名の由来、”GLIM=童話に象徴される幻想的な世界””SPANKY=平手打ちを食らわせるように世の中に衝撃を与えたい”が、3rdアルバム『BIZARRE CARNIVAL』によって一つに繋ぎ合わされた。  もちろん、これまでのアルバム2作『SUNRISE JOURNEY』『Next One』でも表現してきたことだ。TVドラマ主題歌「褒めろよ」やブラインドサッカーの日本代表公式ソング「NEXT ONE」などSPANKYな曲はメディアの注目を集めるに留まらずライブの重要曲となってきた。一方、「焦燥」や「大人になったら」などGLIMな曲もファンの心を掴んでいる。こうして広げてきた両翼を、大きく羽ばたかせるのが『BIZARRE CARNIVAL』だ。

EMTG:『BIZARRE CARNIVAL』とは、GLIM SPANKYらしいタイトルですね。4月に出たミニアルバム『I STAND ALONE』の延長にある作品でしょうか。
松尾レミ(Vo・Gt):『I STAND ALONE』を作ったときからテーマは続いているんですけど、私たちの好みやサイケデリック感を王道のロックに落とし込んで、日本語のロックとして表現するというのがテーマです。もともと好みがそっちなので自然とそうなった感じで、めちゃめちゃナチュラルにできたアルバムです。
EMTG:レミさんがよくおっしゃる”GLIM”な面ですね。
松尾:今までタイアップが多かったので、元気な曲を求められることが多かったんです。今回は、そういう要望がなく始めたので、自然と”GLIM”の方が出たんだと思います。
EMTG:2曲目「BIZARRE CARNIVAL」は、まさにそんな光景を歌っていて引き込まれます。
松尾:摩訶不思議なフリークショウの世界で、完全に私の趣味の曲(笑)。以前から調べていた妖精研究の本とかを参考にしながら、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』とか『マジカル・ミステリー・ツアー』のようなサイケ感を思って、できた曲です。
EMTG:それは3曲目「The Trip」にも通じますね。
松尾:そうですね。この2曲は私の趣味がわかりやすいと思います。さっき言ったビートルズの作品や妖精伝説みたいなものも含め、私の好きな世界を存分に書きました。アレンジは亀と話し合いながら、打ち込んで作って。  
亀本寛貴(Gt):3曲目は、何か儀式っぽい太鼓みたいな音があったらいいなと思って、レディオヘッドの「There,There」とかを参考にして。60年代後半のサイケ感だけだと、ちょっと物足りないと思ったので。
松尾:私、これ作ってる頃にザ・バーズにハマってて。68年あたりをイメージしながら作りました。それでザ・バーズが使ってた12弦ギターを入れたくて、この曲で弾いてます。
EMTG:歌詞にも60~70年代ロックを連想させる言葉がありますね。”黄金のハート”とか”ルーシー”とか。
松尾:めちゃめちゃわかりやすいところを敢えて(笑)。
EMTG:こうした世界観は以前からライブで演奏してきた「Velvet Theater」に通じますが、今回が初録音ですか。
松尾:そうなんです。2011年頃にできた曲で、ライブではずっと演奏してきたんですけど、レコーディングのタイミングがなくて。今回ようやく落とし込めるコンセプトのアルバムになったので、入れました。
亀本:ライブでやっている形だと弾き語りが中心になってしまうので、そこは少し変えましたね。
EMTG:「END ROLL」「Sonntag」はちょっと違うニュアンスもあるように感じました。
亀本:「END ROLL」は自然にラテンな感じになったね。
松尾:それとロックの融合がイケてるなと思った。DJの人がかけてくれるようなノリのある曲もいいなと思って。この2曲は、去年海外に行った時の経験をもとに書いていて。「END ROLL」はパリに行った時の夜がすごく楽しくて、その気持ちをパリの映画のようとか、エミール・ガレのランプとか、フランスをモチーフに書きました。「Sonntag」は、その後に行ったベルリンでチーズフェスタをやっていると知って、チーズが大好きなのでベルリン在住の友達に連れてってもらったんです。ベルリンから少し離れた町まで電車で行ったんですけど、駅を降りたらめっちゃ治安の悪い薄暗い公園があって、そこを通り抜けた先でチーズフェスタが行われてるという(笑)。そのままの曲です。
EMTG:それでタイトルもドイツ語なんですね。「ビートニクス」は直球な曲題ですが、映画『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』主題歌に。
松尾:作者の方がGLIM SPANKYを指名してくださって。この映画には、“人間にとって何が一番大切なのか”みたいな裏テーマがあって、そういう人間性を歌って欲しいと言われたんですね。それで思い浮かんだのが、ビート世代のこと。ビートニクスという言葉自体はメディアが作ったもので、ビートの人たち…例えばアレン・ギンズバーグとかウィリアム・バロウズとかジャック・ケルアックを示す言葉ではないんですけど、そうしたムーブメントを示す言葉として使いたいと思って。ビートの人たちは戦争を乗り越えて急速に発展する社会に疑問を持ったり人間性を取り戻そうと自然回帰を目指したりしたわけで、その頃とは時代が違うけど思うところは同じじゃないかと。今の時代に、もう一度言ってもいいんじゃないかと。
EMTG:リード曲「吹き抜く風のように」には、ここまでお話しいただいたことが全部詰め込まれているように思います。
松尾:実はこの曲には、私の人生を変えるぐらいのエピソードがあるんです。今年の春に祖父が他界したんです。それまで家族が他界した経験がなかったので、自分の家は仏教だと思っていたら無宗教だったんですよ。それで、お坊さんもこないしお経もあげないお別れ会のような葬儀になって、自由に式をやっていいということだったので私もライブしたりとか。こういうお別れもあるんだなとその時は思ったんですけど、終わってからどうやって祖父に話しかけたらいいのかわからなくて。そういう拠りどころになる宗教があるっていいなと思ったんです。何もないと不安になるし、頼るところがないと不安になることが、自分でも本当に衝撃で。それをそのまま曲にしたんです。今だから書けた曲ですね。
EMTG:そんなにパーソナルな曲とは思いませんでした。「アイスタンドアローン」と通じる、毅然とした生き方を歌っているのかと。
松尾:それも含みながら。それがいろんな人の捉え方で広がっていけばいいなと思います。「白昼夢」も、実家にいると近所のお菓子工場から甘い匂いが漂ってくるんですけど、その中でお昼寝をするといい夢を見るという幼い頃の思い出で。そんな素敵な午後の時間を、少ない楽器のサウンドで生々しく表現できたらいいなと思って、カフェからいろんなグラスを借りてきてスタジオで音階を作ったり、参加していただいたパーカッショニストASA-CHANGさんの手作り楽器を使ったり。
亀本:今回バンドだけという曲が少ないですね。バンドでなくてもオッケーみたいな感じで、いろいろ重ねまくりで。
EMTG:レコーディングの醍醐味ですね。それがツアーでどう変わってくるか楽しみです。
松尾:それが一番楽しみだし、お客さんがどう聴いてくれるかも楽しみです。

【取材・文:今井 智子】

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リリース情報

BIZARRE CARNIVAL

BIZARRE CARNIVAL

2017年09月13日

ユニバーサル ミュージック

1. THE WALL
2. BIZARRE CARNIVAL
3. The Trip
4. 吹き抜く風のように
5. Velvet Theater
6. END ROLL 
7. Sonntag  
8.ビートニクス 
9. 美しい棘  
10. 白昼夢  
11. アイスタンドアローン

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018
10/14(土) 長野CLUB JUNK BOX
10/15(日) 松本ALECX
10/20(金) 熊本B.9 V1
10/22(日) 福岡DRUM LOGOS
10/28(土) 札幌PENNY LANE24
11/03(金・祝) 京都磔磔
11/05(日) 広島CLUB QUATTRO
11/11(土) 金沢EIGHT HALL
11/12(日) 新潟studio NEXS
11/17(金) 仙台Rensa
11/18(土) 郡山HIPSHOT JAPAN
11/23(木・祝) 大阪なんばHatch
11/25(土) 岡山YEBISU YA PRO
11/26(日) 松江B1
12/02(土) 高知X-pt.
12/03(日) 高松DIME
12/09(土) 清水SOUND SHOWER ark
12/10(日) 名古屋DIAMOND HALL

【2018年】
01/5(金) 新木場STUDIO COAST
01/6(土) 新木場STUDIO COAST

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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