人を人たらしめるものは何なのかと問いかける、Halo at 四畳半の3rdミニアルバム

Halo at 四畳半 | 2017.09.25

 「たぶん僕は70とか80歳になったときに、豊かな人で死ねると思う」。これはインタビューの最後に、白井將人(Ba)が残した言葉だ。まだ25歳。この先の長い人生で何がどう転ぶかもわからないことは百も承知で、そんな言葉すら言えてしまう。Halo at 四畳半が9月20日にリリースした3rdミニアルバム『Animaplot』は、そんな充実したバンドのムードが全て反映された作品だ。今作でソングライティングを手がける渡井翔汰(Vo/Gt)は、自身の根本にある書きたいことに向き合い、人を人たらしめるものは何なのかと問いかける。サウンド面ではストリングスをはじめ、様々な楽器を取り入れたことで、バンドの可能性も大きく広がった。変わらないものと、変わっていくもの。その両軸のなかで、いま浮彫りになるHalo at 四畳半らしさとは何なのか。作品を通じて、渡井と白井に話を聞いた。

EMTG:本題に入る前に。渡井くんにはEMTG MUSICの連載「発条式短篇奇譚」で、短編小説を書いてもらってるので、その話からいきましょうか。
渡井:大丈夫ですかね……?
EMTG:え、なんでですか? 毎回楽しみにしてますよ。
渡井:小説を書くのは初めてなんですよ。やってみたい気持ちはずっとあったんですけど。
EMTG:すでに4回まで掲載されてますけど、書いてみてどうですか?
渡井:本当に楽しくやらせてもらってます。けっこう期限ギリギリに迫られないと書けないので、大変だったりもしますけど(笑)。一応、文字数の制限はあるなかで、でも(曲みたいに)文節の制限がないから、歌詞を書くよりも伸び伸びと書いてますね。
EMTG:白井くんは読んでます?
白井:毎回読んでます。いや、すごいですよね。俺らも掲載されてから読むんですけど、ふつうに面白くて。たぶん俺3本目とかは先に(原稿を)もらったよね?
渡井:うん。
白井:読みてえ、と思って。
EMTG:メンバー特権ですね(笑)。
白井:高校生ぐらいから、俺は渡井がブログとかをやってるのを面白いなと思って、読んでた側の人間なんです。ふつう書けないじゃないですか、小説なんか。もちろん歌詞もですけど。あれだけテーマが絞られてるなかで起承転結があって、すげえなと思うんですよ。なんか……すげえばっかり言ってる。語彙がなくてすみません(笑)。
EMTG:たしかに、ひとつのテーマからどんどん世界が広がるのがすごいですよね。小説を読んで、きっと歌詞もこういうふうにテーマを広げてるんだなって思いました。
渡井:ああ、歌詞もそういう節はありますね。何気ないワードから妄想を広げていくんです。起承転結を考えるっていうよりは、ひとつテーマを決めると、勝手に脳みそが(登場人物を)動かしてくれるっていうか。この主人公がこういう行動をとったっていうことは、こういう自分の気持ちにつながるな、みたいなところを拾って歌詞にするんです。
EMTG:今回のミニアルバムで言うと、テーマから歌詞を広げた曲はありますか? たとえば、「ステラ・ノヴァ」とか「劇場都市」とか、そういう感じかなと思いましたが。
渡井:「ステラ・ノヴァ」に関しては、齋木(孝平/Gt)がオケを持ってきたんですけど、“星”のイメージがあるという話があったんです。でも、うちには星の曲がけっこうあるから、どうしようかな? と思ってたら、ふと“星が降ってくる”のがありだなと思って。そこから終末感のイメージを膨らませました。そのとき、民衆はどういう行動をとるのか、自分自身はどういう行動をとるのか。だから、歌詞の舞台設定は時間がかかるんですけど、それが決まると、あとは自分の気持ちをのせていくだけなんです。
白井:すごい(笑)。俺、漫画が好きなんですけど、羽海野チカさんの作品を読んだときに、あとがきに「キャラが勝手に動くタイプです」って書いてあったんです。結末がどうなるかわからないけど、主人公が動くとおりのことを表してるだけです、みたいな。それを「すげえな」と思ったけど、まさかメンバーにもそのタイプがいるとは思わなかった(笑)。
EMTG:「劇場都市」も同じような感じですか? 近未来の都市で、人が意志を持たずに生きているような退廃的な感じがする曲ですけども。
渡井:この曲はちょっと違ってて、まず書きたい想いがありました。≪君の本当を言えよ≫っていうところですね。これも齋木が持ってきた曲で、すごくエッジがきいた曲だったっていうのもあって、曲からインスピレーションをもらった感じです。
EMTG:そういう曲たちが集まって、結果アルバム全体として、“人を人たらしめているもの”というテーマにつながっていますが、そのテーマはどの段階で見えたんですか?
渡井:いちばん最初に「劇場都市」ができたことが大きかったんですね。ここまで尖ったことをやっていいんだって、枷が外れたような瞬間があって。そこに歌詞をあてはめていったら、本当に濃密な歌詞が書き上がったというか。それで、あとから振り返ったときに、“人を人たらしめるもの”っていうアルバムになってたんです。でも、もとを辿ってしまえば、僕はずっと“人を人たらしめるもの”を書き続けてるんですけどね。
EMTG:どうして、ずっと“人を人たらしめるもの”を歌うんでしょう?
渡井:うーん……自分にとって、歌はそういうものなんです。もちろん歌にも種類がありますけど、自分自身の心に響くのは、やっぱり人のことを歌ってるもので。それを歌うことが、いちばん美しいというか、かっこいいというか、憧れなんです。
EMTG:白井くんも、バンドとして同じようなテーマを大切にしたいと思いますか?
白井:そうですね。僕はもう渡井とは8年ぐらいやってますけど、やっぱり昔から渡井の歌詞が好きで、バンドをやってるので。歌詞に関しては渡井に任せたいというか。メンバーも、渡井がこう向きたいんだったら、同じほうを向くよっていう感じなんです。
EMTG:なるほど。今作はサウンド面でもバンドの幅を広げるものになってます。これは最初からイメージしていたことなんですか?
白井:いつかこういうことをやりたいねっていうのは話してました。それが、たまたま今回だったって感じですね。俺らはいつかメジャーに行きたいから、その前に自分らの意思でこういうことをやっておきたかったんです。4人以外の楽器が入っても、Halo at 四畳半の音楽ですよっていうのを、このタイミングで提示できて良かったと思ってます。
渡井:仮にメジャーデビューのときにそれをやってしまうと、傍から見たら、俺たちが何を言おうと、大人の意思でやったと思われてしまいそうなので。
EMTG:今作の多彩な音楽性を象徴するのが、「トロイカの箱」だと思いますけど、かなりたくさんの楽器を入れてますよね。
白井:数えられないぐらい入ってますよ。アコーディオン、大太鼓、ウィンドチャイム、アコースティックギター、ウクレレベース、笛、タンバリン……あとは、何だ?
渡井:楽器じゃないですけど、サビでちょっとゴスペルっぽくコーラスに厚みを出したりとか。アルバムの終盤に「よし、やろう」ってなって、みんなで一生懸命やりましたね。
EMTG:いままでのハロは4人の楽器だけで鳴らすことにこだわってきたところもあったと思いますけど、こういう曲ができてみて、どう思いました?
渡井:ずっと挑戦したかったので、単純にバンドの幅が広がったなと思いました。だからと言って、4人だけで鳴らすことを捨てたわけじゃないし、また新しい武器がひとつ増えたなっていう感覚ですね。
白井:結局いちばん響くのが歌っていうのは変わらなくて。そこは自信につながったと思います。それも作ってみなきゃわからなかったことですね。
EMTG:バンドには変わっていく美学と、変わらないまま貫く美学がありますけど、ハロはどんどん変わっていきたいタイプですか?
白井:そうですね。話が少し違うかもしれないですけど、本当に好きなことをやり続けていたいんです。好きなことをやるうえで、変化は恐れたくないというか。ストリングスとかアコーディオンを入れるのも、やりたければやる。でも、次の作品では4人の音しか入ってない可能性もあるし、もしかしたら急に電子音が入ってくるかもしれない。それはバンドとして変わっていきたいからじゃなくて、その時々の好きなものを取り入れていきたいっていうことなので。その変化のうえで、核となるものを守っていきたいです。
EMTG:いま自分たちで思う核の部分とか自分たちらしさって何だと思いますか?
渡井:明確に答えは出てないんですけど。歌詞に関しては、さっきも話したとおり、人について歌っていること。あとは物語性のある歌詞だったり、物語性はあるんだけど、自分自身の本心を大事にしてることとか……。音のほうは難しいな。
白井:演奏の側でいうと、かっこいい曲ってことですね。ふつう俺らみたいな歌詞を伝えるバンドは、演奏は一歩引いたりするバンドが多いなかで、俺らはそれぞれの我を出す。楽器が好きな人が好きになってくれるような曲を生み出していきながら、やっぱりいちばん良いのは歌だよねってなる。それが、いまは俺が思うハロらしさかなと思います。
EMTG:わかりました。ちょっと作品に話を戻しますけど、最後に収録されてる「点描者たち」は名バラードですよね。この曲が入ることでアルバムの価値が変わるぐらいの。
渡井:良いエピローグになったと思います。
白井:僕的には、「点描者たち」はミュージックビデオにして、世に広めてもいいぐらい良い曲だと思ってるんですよ。でも、それ以上に、アルバムを全曲通して聴いてもらったときに、7曲目にこの曲を聴くことが大切だと思ってるんです。ここまでの曲を聴いて、心に思うことがあったうえで聴いてほしい。今作は30分で1曲みたいなイメージなんですよね。
EMTG:1曲いくらでバラ売りされる時代に、それは逆行してると思いませんか?
渡井:ああ、たしかに。いま言われて思いました。
EMTG:そういうことは考えない?
白井:でも、言われますよ。いろいろ流行りとかがあるなかで、どうしてもっと踊れる音楽をやらないんだとか。でも、なんで俺はこういう音楽をやってるのかなと思ったら、こういう音楽が好きなだけなんですよ。たぶん4人とも。だから、逆行しようとか、シーンをぶち壊したいとかじゃなくて、ただ単純に、いまHalo at 四畳半がやってる音楽が好きでやってるだけなんです。
EMTG:いま自分たちが歩んできた道のりをどう振り返りますか?
渡井:決して早くはないし、むしろマイペースだと思いますけど、でも、幸せに歩んでる気持ちはあります。こと僕に関しては、バンドのセールス的なことを考えたことがないので。Halo at 四畳半として、自分たちがやりたい音楽をできているので、何も不満はないですね。
白井:僕もそうです。1回しかない人生で、こういう活動ができるのは、めっちゃ幸せだなと思うんですよ。自分の人格を形成してくれるような人と出会ってきて、それが自分を豊かにしてくれてるのは感じてて。このバンドが何年続くかわからないですけど、自分が70、80歳で死ぬときに、豊かな人で死ねるなって思うんです。
EMTG:それ、まさに「点描者たち」で、渡井くんが書いてることじゃないですか。
渡井:そうですね(笑)。
白井:うん(笑)。たぶん、こういうことも、1年前のインタビューでは言えなかったから。ここ1年でこういう風に思えてるので。けっこう幸せなバンド人生を送れてますね。

【取材・文:秦 理絵】

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リリース情報

Animaplot

Animaplot

2017年09月20日

SPACE SHOWER MUSIC

1.クレイマンズ・ロア
2.ステラ・ノヴァ
3.ユーフォリア
4.劇場都市
5.発明家として
6.トロイカの箱
7.点描者たち

お知らせ

■コメント動画



■ライブ情報

「Animaplot」リリース記念
ぼくらの設計図の描き方
番外編"Outstore Session"

09/30(土) 千葉Sound Stream sakura
10/17(火) 大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
10/26(木) 渋谷 TSUTAYA O-Crest

Halo at 四畳半 ワンマンツアー
「ぼくらの設計図の描き方」

11/04(土) 広島CAVE-BE
11/05(日) 福岡Queblick
11/18(土) 仙台MACANA
11/19(日) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
11/22(水) 札幌COLONY
11/25(土) 梅田CLUB QUATTRO
11/26(日) 名古屋CLUB QUATTRO
12/02(土) 渋谷TSUTAYA O-EAST

Date fm 35th Anniversary MEGA★ROCKS 2017
10/01(日) 仙台市内にて開催

ircle 2man tour"HUMANisM 決闘編 2017"
10/06(金) 岡山CRAZYMAMA 2nd Room

MINAMI WHEEL 2017
10/07(土) 〜9(MON)
大阪・ミナミエリア ライブハウス20ヶ所以上(出演日は後日発表!)

LAMP IN TERREN TOUR “FOR TRUTH”
10/09(月) 金沢vanvan V4
10/15(日) 静岡UMBER
Butterfly in the stomach II
10/13(金) 高松DIME(香川)

第42回島根大学医学部くえびこ祭
10/14(土) 島根大学医学部(特設野外ステージ)
※学園祭 9:00〜18:00

グッドモーニングアメリカ企画フェス
「八王子天狗祭2017」

11/11(土) エスフォルタアリーナ八王子

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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