2017年の挑戦的な活動が結実し、新しいandropの多彩さが詰まったニューアルバム

androp | 2018.03.07

 初の主催対バンツアー、初の野外単独ライブ、アコースティック楽器も交えた初のビルボードライブツアー、意外なアーティストとのコラボ楽曲と、2017年のandropの活動は、「初」という文字が目を惹く挑戦的で意欲的な年であった。そして、それらは従来の彼らの既成概念や固定観念をぶち壊し、 “自分たちはこんなにも自由なバンドなんだ!!”と見せつけているようにも映った。そんな思いが強く伺えた新作『cocoon』には、彼ら初の試みや意外性、新機軸など、これまでの彼らには見られなかった要素や素養がたっぷり。言い換えれば、彼らはこんなにも自由で幅広く、多彩な引き出しを持っていることを証明し、それらを具現化させた作品とも言える。 そう、今作を機にandropは、さらなる孵化と成長、そして羽ばたきを見せてくれるにちがいない。

EMTG:多くの初の試みや意外なアプローチを含め、2017年のandropは、自身の既成概念をいい意味で崩そう、壊しそうとしてきた風にも映ります。そしてそれが結実されたのが今作アルバムのように感じられました。
前田恭介(Ba):まさにおっしゃられた通り、去年は色々と新しいことにチャレンジしてきた1年でしたからね。それらが活かされたり、反映されて今作に結実した感は自分たちでも持っていて。それらがあったからこそ、色とりどりの豊かな作品内容になったんでしょうからね。
EMTG:まさに今作は聴き手が驚く要素を多々擁しています。
佐藤拓也(Gt・Key):初挑戦や新機軸も多々ありますが、どれも元から自分たちの素養として持っていたものばかりで。それがパブリックイメージや、今までの自分たちの活動からは想像もつかないことだっただけで。それこそ今回は、「それをやってもいいんじゃない?」と、普通に思えたんですよね。いわゆる枠に縛られず、自然体でやってみようと。なので今回の楽曲たちは、どれも自分たちの中では自然なものばかりだったりするんです。
伊藤彬彦(Dr):まさにその通りで。何か新しいことに挑戦したり、自分たちが出してこなかった面を発表するのは、確かにリスクは伴いますが、逆にそうしないと自分たちの身になったり、経験になりませんからね。いわゆるハイリスク・ハイリターンってヤツで。
EMTG:私が今作を言い表すとしたら、「自分たちに素直な作品」でした。音楽性もサウンド面もリリックにしても、すごく色々な箇所から素直さやナチュラル、丸腰な感じが伺えたんです。
内澤崇仁(Vo・Gt):言い得てますね。自分たちの作品ながら、それ、凄くよく分かります。そもそも自分たちが音楽をやっていく上で、とり繕ったり、手前みそ的に表現するつもりは毛頭なくて。そんなものは聴く人にはすぐバレるし、伝わってしまうものですからね。僕らの音楽を聴いてくれる人の心に届くもの、心が揺れるもの、感動するものを伝えていきたいだけで。その為には、より真正面からぶつかり、付き合っていくことこそ、今作を制作していく上での根源だったし。それこそ素直に誠実に、真摯に音楽と向き合った作品だと自分たちでも自負してます。
前田:まさに素でナチュラルに挑みました。奇をてらったり、目立つようなことをしようといった邪(よこしま)な思惑もなく(笑)。
佐藤:なので、レコーディングもワイワイしてましたよ。その場で思いついたアイデアを躊躇なく色々と試したり。「それ、いいじゃん!」「面白いじゃん!!」って具合に。それが決まっていく瞬間もこれまで以上に多かったし。今回は楽曲をまとめて一気にレコーディングしたんですが、そんな作り方もこれまであまりしてこなかったし。
EMTG:作り方も従来とは違ってたんですね。
佐藤:そうなんです。これまでは内澤君が作ってきた完璧なデモを基にみんなで形にしていたものが、今回は内澤君が提案した1フレーズを基に、アレンジも4人で「どうする?」って具合に、スタジオで決めていったんです。
伊藤:より歌を聴かせるアルバムにしたかったですからね。ホールツアーも既に決まっていたこともあり、そこで鳴らした時にキチンと全体のお客さんに行き届く楽曲たちにしたかったんです。
EMTG:前作アルバム『blue』とは対照的な作品内容になった面も興味深いです。前作は、自身の内側に向かった楽曲が中心だったのに対して、今回は完全に外側に向かっているじゃないですか?
内澤:まさに前作の『blue』は「闇」をコンセプトに作っていった作品でしたからね。それに対して今作は、メンバー各々が俯瞰して、バンド全体をより見れる作品になった感が今はあります。あとは、自分たちでレーベルを始めて、自分たち主導で色々なものを動かすことによる、各人の人間的に変わった部分や思うところも反映されたかなって。
前田:そういった部分で言うと僕は今回、ユーフォニウムとコントラバスを僕発信で入れさせてもらったんです。それも、これまでだったら打ち込みや同期に頼っていたでしょうけど、それをあえて、本来の楽器や生楽器で入れてみたんです。自分たちで演奏する部分のこだわりや役割も、今作では大きいんじゃないかな。
EMTG:確かに今作は、従来デジタル楽器で補っていた部分も、生楽器やアコースティック楽器を導入している面も印象的でした。
佐藤:その辺りはビルボードでライブを演ったことが大きかったです。デジタルでは表せない生楽器ならではの音色や手触りや耳障り、そのあたりの人肌感も自分たちに融合させたくて。
EMTG:分かります。今回はよりウォームで人肌な感じが凄くします。
伊藤:同期にしても、これまでは、「自分たちの弱点をどうにかしよう」的な起用だったものが、逆に、「そのアイデアは面白いから、それを活かすにはどうしたらいいだろう……?」的な発想の転換に移りましたからね。温かく感じてもらえたのも、やはり各人の人間性や個性が活きているからでしょうし。
EMTG:歌詞も以前に比べ余白や行間も多い印象を受けました。より聴き手の解釈に委ねたというか。
内澤:それはありますね。押しつけはないし、「こうだ!!」との決めつけはしていませんが、「こんな考え方もあるんじゃないか?」といった提示や、聴く人なりの画を浮べてくれるような楽曲たちになったとは思ってます。その辺りもナチュラルに感じてもらえると嬉しいですね。
EMTG:個人的に今作では「Kitakaze san」と「Ao」が特に驚きました。特に「Kitakaze san」は共同プロデューサーやアレンジャーさんを交えていますよね?
前田:この曲では今までの自分たちには無かった音も色々と入っているんですが、デモの段階で、そのアイデアはあったんです。で、そのアレンジをうまく活かせる方と思いついたのが、石崎(光=楽曲「Kitakaze san」の共同プロデューサー&共同アレンジャー)さんで。以前一緒にお仕事をさせていただいたことがあったんですが、特にホーンやストリングスのアレンジにたけている印象があったので、お願いしました。外部の方を交えて一緒にやるのはとても新鮮だったし、勉強になりましたね。
EMTG:「Ao」はいかがですか?すごく多幸感や至福感たっぷりな曲ですが。
内澤:この曲は聴き手と繋がるといった部分に重きを置いて作りました。大きくきっかけを与えてくれたのは前田君のユーフォニウムで。ビルボードのライブの際にも使ったのですが、これが凄く多幸感のある音で。なんか人を温かくさせる質感の楽器だなって。で、「これを取り入れた曲調って、どんなだろう?」と考えて至ったのが、これで。
前田:単純に今までエレキベース以外でやったことのある楽器が、ウッドベースとユーフォニウムだけだったことで(笑)。今作では、その両方を入れさせていただきました。
EMTG:ユーフォニウムを導入するとは、さては学生時代の部活はブラバンでしたね(笑)?
前田:まさに(笑)。あまり他のバンドで使ってないじゃないですか。トランペットやサックスなどの管楽器は多用されてますが。それもおいしいなって(笑)。
EMTG:それらとは対照的にAimerさんと再び一緒にやられている新曲もあったり。
内澤:この曲は具現化させるのに凄く苦労しました。実はアイデア的にはかなり以前からあって。それこそ8年ぐらい前から。いつか形にしたいと過去何度か試みたのですが、なかなかうまくいかず……。今回ようやく納得のいくものが出来ました。
EMTG:この曲は同じ事象を前に、片側に男性の思うところ、その反対側に女性の思うところが歌われていて、それがシンクロしたり相反していたりする箇所が耳を惹きました。
内澤:片側ずつのチャンネルだけでも成立し、両方のチャンネルとしても1曲が成立する。それをどう具現化させるかは悩みました。普通のデュエット曲にはしたくなかったので。歌詞や楽器もあえて左右で真逆なものを入れてみたり、たまにシンクロさせてみたり。独立したふたつのものがひとつに合わさった時に起こる化学変化。それを楽曲化してみました。
EMTG:今回、これだけ開けたアルバムにも関わらず、タイトルは『cocoon』(繭の意味)なんですね。
内澤:今作に関しては振り返ると、蚕が細い糸で繭を作っていく感覚で。自分たちが一音一音紡いでいき、1曲ができ、それが集まって1枚のアルバムになる。あとは、その繭を破って聴き手に届く、そんなアルバムだし、そういった曲たちであって欲しいとの願いも込めて、このタイトルを付けました。是非聴き手ひとりひとりのみなさんの心の中で育み、今回の曲たちを孵化させて欲しいですね。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

cocoon

cocoon

2018年03月07日

ZEN MUSIC

01.Prism
02.Arigato
03.Joker
04.Hanabi
05.Sorry
06.Catch Me
07.Sleepwalker
08.Kitakaze san
09.SOS! feat. Creepy Nuts
10.Proust
11.Ao
12.Memento mori with Aimer
bonus track
Tokei (album ver.) ※通常盤のみ収録

お知らせ

■ライブ情報



■ライブ情報

image world -2nd. Anniversary live-
03/25(日) 名古屋ell.SIZE

one-man live tour 2018 "cocoon"
04/28(土) 愛知 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
05/03(木・祝) 宮城 仙台電力ホール
05/12(土) 福岡 福岡国際会議場
05/26(土) 大阪 NHK大阪ホール
06/03(日) 神奈川 パシフィコ横浜国立大ホール


FISE HIROSHIMA WORLD MUSIC ACTION! 2018
04/07(土) 旧広島市民球場跡地内特設ステージ

JAPAN JAM 2018
05/05(土・祝) 千葉市蘇我スポーツ公園

Mexican Standoff Tour 2018
06/15(金) 仙台GIGS

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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