これを聴かないと恥をかく! 挫・人間、初の全国流通盤シングル「品がねえ 萎え」インタビュー

挫・人間 | 2018.05.19

「品がねえ 萎え」。挫・人間の新作だ。意外にも彼らにとって初の全国流通盤シングルとなる。シングルと聞いてパッとイメージするのは、タイトル曲+カップリング曲の組み合わせの類だろう。しかし彼らの今作は3種3様。どれもがリード曲になりえるぐらいの高いクオリティを誇っている。かねてよりのメロディメイカーさとキャッチーさは相変わらず。しかし、その上に載る歌詞は、やはり…。ある意味、裏切り、ある意味、裏切らない。実に彼ららしいシングルだ。しかし3曲入りとあなどるなかれ、これらには他のアーティストならアルバム1枚分に匹敵するぐらいの情報量と機知が凝縮されていたりする。
そんな今作についてをボーカルの下川リヲが解説。我々に品位の向上と共に今作の素晴らしさを説いてくれた。

EMTG:それにしても今作のタイトルは凄い!!(笑)。意外ですがシングル盤としては初の発売なんですね。
下川リヲ(以下、下川): そうなんです。これまで配信や会場限定発売でのシングルはあったんですが、盤での全国流通は初で。
EMTG:シングルは曲数の制約もあり、挫・人間の盤として発売するには多少リスキーな印象があります。
下川:僕もあります(笑)。でも、これは半ば勢いで。昨年末の渋谷クアトロのワンマン終演後の打ち上げの際に、僕が言ったらしいんです。「次はシングルをリリースするゾ!!」って。酔っぱらっていて全く記憶がないんですが(笑)。僕、泥酔するとすぐ記憶が飛ぶタイプなので。気づけば、そのような流れになっていたので、こうなったらレット・イット・ビーの精神で行こうと。
EMTG:なすがままにと(笑)。
下川:もう、流れに任せようと(笑)。実は僕の中でもシングルってあまりイメージに無いんです。今までアルバムを買ってきた人生だったりするんで。シングル盤といったら僕の中では8cmシングルのイメージで。
EMTG:いつの時代の人ですか(笑)。
下川:で、一般的にはアルバムのリード曲っぽい曲調や歌詞が多いじゃないですか。なので、それなりにシングルをリリースすることのプレッシャーはありました。
EMTG:これは、いつも以上の気概をもって、単体でいい曲を書かなくちゃいけないゾって? では、今回は一般的にイメージされるシングルってものを作ろうと挑んだわけですね。
下川:最初は。でも結果的には、現時点の僕がどんなことを考えているかが、より伝わる3タイプになってしまいました。当初はマスにコミットする、そんな歌詞を目指していたはずなんですが…。
EMTG:確かにサウンドやメロディは充分マスにコミット出来るポテンシャルがありますが、逆にリリックは完全に人を選ぶタイプです(笑)。しいて言えば、逆にコアの方にコミットしそうな内容というか…(笑)。
下川:でも、最初は本気でマスにコミットする歌詞で挑もうとしていたんです。で、書き上げてレコーディングの直前に急に、やはりそれに納得がいかなくなって。やっぱり違和感があるな...と。で、歌入れ寸前だったにも関わらず、急遽そこで歌詞を全て今の形に書き換えたんです。それこそ歌入れの30分前に。
EMTG:30分?! むっちゃ直前じゃないですか!
下川:そうなんです。さすがにみんな苦い顔をしてました。でも結局、歌うのは僕しかいないんで、全員しぶしぶ了承してくれて。で、30分で書き上げた歌詞をみんなに見せたら爆笑してくれて。これで行こう!! と。結果、逆に凄く人を選ぶ歌詞になってしまいました。
EMTG:特にタイトル曲の「品がねぇ、萎え」は、人を選ばないサウンドに、人を選ぶリリックや歌のマッチ感がたまりません。直前に何を想ったんですか?
下川:所詮借り物の言葉でそれっぽく取り繕っても、自分でやる必要の無いものが出来てしまうなって。それはワードのみならず、歌に関しても不本意そうに聴こえるだろうなと。やはり自分が不本意っぽく書いてしまったものは、不本意そうに伝わってしまいますからね。それは不誠実で良くないことであって。“だったら、誠実なものとは一体なんだろう…?”と考えた結果、やはり普段から思っていることを歌にするのが一番だろうと。
EMTG:元々はどんな歌詞だったんですか?
下川:ちゃんとしたラブソングものだったような…。いわゆるみなさんが経験しているような恋愛を描いてみようと挑んだんで。でも、そもそも僕自体がそういった恋愛の経験がゼロですからね。それを想像で書くぐらいなら...他に歌うことあるだろうと。
EMTG:前作アルバム『もょもと』の際も感じたんですが、下川さんの書くメロディは基本どの曲も良い曲ですよね。
下川:ありがとうございます。今回の3種にしてもシングルとは言え一辺倒にはしたくなくて。バラエティに富んだものにしたかったんです。あと、カップリングって概念で聴かれると曲がもったいなかったり。「タイトル曲をどれにするかは後で選べばいいや」ぐらいの気持ちで3曲作ったんです。なので、自分の中でも他の2曲もカップリングって感覚は全くないですね。でも「タイトル曲とその他」って見方はどうしてもされてしまうので、今回はあえてそれを避ける為にタイトル曲は最後の3曲目に持っていったんです。
EMTG:今作も歌詞カードを見ながら聴くと色々な発見があって面白いです。
下川:文章量も凄く多いですが(笑)。自分でもその辺りは自信があって。言葉のレトリックが好きなんで、ついつい色々なところでやっちゃうんですよね。聴いた感じこうだったけど、実は歌詞カードではこう記されていたなんてトラップ沢山ありますから。まっ、大体が毒ですが(笑)。今回もその辺り色々と発見して欲しいです。
EMTG:それもあり。1曲目の「多重星」のような聴きやすい曲で惹き込み、ズブズブと挫・人間の世界観に引き込んでいく流れがいいです。ちなみに「多重星」は、ピュアな恋愛ソングに映ります。
下川:現実社会で恋愛を全く経験してこなかったんで、頭の中で疑似恋愛を進行しながら書いていきました。となるとやはり、原宿に2人でパンケーキを食べに行く、みたいなビジョンは僕には浮かばなくて。それはもう僕の管轄外の世界なので。僕の脳内だと、やはりこのようなファンタジーチックになってしまうんです。
EMTG:いわゆる少女マンガ的なファンタジーさとでも言うか…。
下川:何故か女性の目線でいつも書いてしまうんですが…。今回だと、女性が何かを追いかけて果てしなく行くとすると、宇宙まで行って、宇宙に行くと無重力なので、もう帰れないことを悟って、無重力なのでパーッと宇宙に涙が飛び散っていく…。そんな曲を書いたつもりが結果、やはりちょっと変な曲になってしまいました。
EMTG:2曲目の「ダンス・スタンス・レボリューション」はラウドロックですね。
下川:こちらもある意味、人を試してます(笑)。サークルモッシュやウォールオブデス自体、僕はやったことがないんです。ケガが怖くて(笑)。うちのお客さんもたぶんあまりやったことがないでしょう。その安全圏の境目を一度壊してみようと歌ってみました。
EMTG:フロアで場面場面でのお客さんが曲に合わせて色々な暴れ方をしている光景が浮かびます。
下川:うちらのお客さんって、けっこう難しいことをやっても平然としっかりついてくるんですよね。それが悔しくて(笑)。そんな方々に、「今度はどうだ!」と。これもクリアできたらそうとう面白いでしょうね。本当に何でもありのごった煮感が一つのライヴで味わえるでしょうから。この曲を通して、バンドもバンドなら客も客だろうといった事象を巻き起こしたいです。
EMTG:で、3曲目の「品がねえ 萎え」。これは“EDM meetsディスコ”ってタイプの曲ですね。
下川:いっちょ4つ打ちの曲を作ろうと。そう言えばEDMって俺たちまだやったことがないな…と思い当りまして。実はこの曲は元々僕が弾き語りで作ったものをEDMっぽくアレンジしたものなんです。
EMTG:問題はリリックです(笑)。
下川:まっ、僕からしたら日常会話レベルなんですが(笑)。挫・人間史上最も危険なリリックになってしまったことは否めません(笑)。
EMTG:ここまでくると痛快です。
下川:これを聴けば僕がどれだけ偏屈な人間かが分かると思うんです。ここを頭打ちにしておけば、後は上がって行くしかないですからね。でも、言っていることは危ないかもしれませんが、音楽はちゃんとしている自負はあって。是非この曲を聴いていただき、魂のステージをワンランクアップさせて欲しいです。これを知らないと恥をかきますから。品が無い人間と思われてしまう。品がある人たちはきっとこんなに優しく注意してくれないでしょうからね。これを聴いてこっそり勉強をして、品性について学んで欲しいです。これを聴けばあなたも必ず品が良くなります!これを聴いておけば大丈夫! と、僕が幾ら力説しても信憑性がないでしょうが(笑)。

【取材・文:池田スカオ和宏】



<ミュージック・ビデオ>

挫・人間「品がねえ 萎え」MV

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リリース情報

品がねえ 萎え

品がねえ 萎え

2018年05月23日

redrec / sputniklab inc.

1.多重星
2.ダンス・スタンス・レボリューション
3.品がねえ 萎え

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

東名阪ツアー2018〜人間合格〜
06/21(木)梅田Shangri-La
06/22(金)名古屋APOLLO BASE
06/24(日)恵比寿LIQUIDROOM

〜トビダセ・コワセ・ノバセ〜Vol.2
06/28(木)松山サロンキティ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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