テスラは泣かない。今だからこそ完成できた4thアルバム『偶然とか運命とか』インタビュー

テスラは泣かない。 | 2018.05.21

 今年結成10周年を迎える、【テスラは泣かない。】から4枚目のフルアルバム『偶然とか運命とか』が届けられた。作品毎で見せてきた自身の特性やストロングポイントを改めてキチンと分かりやすく伝えた、この10年間の縮図感さえある今作。これまで培ってきた制作陣と更なる強固なスクラムを組み、新しい試みや表現方法も巧みに取り入れられており、中でも歌詞の表現変化や試み、ストレートな伝え方の出現には、従来以上の身近さを覚えた。
より聴き手に近く、より正面を向き歌やサウンドを伝えている面も特筆的。体感的でありつつ、親和性溢れる今作に、このタイミングで接するのは偶然? いや、これはもう必然な運命でしょう!

EMTG:去年は一時休止していたベースの吉牟田直和さんが復帰したり、年末にはピアノロックバンドのみを集めて対バンツアーを行ったり、自身の出自を見直す機会が都度あり、それが今作に繋がった印象を受けました。
村上 学(Vo&G/以下、村上):実は、その「見つめ直す作業」自体は、僕らは常にしていて。それこそ作品を出す毎に行ってきたんです。その1年間の自分たちと向き合ってきた結果が今作でもあって。「これまでを裏切って新しいことをやっていくのか?」「これまでを踏襲し、それを更に押し進めていくか?」のどちらかだろうと作り始めましたが、初期段階から「自身が10年培ってきたものに沿ったものを作る方」を選んでましたね。いわゆる【テスラは泣かない。】的な作品の方とでも言うか…。
EMTG:おっしゃるとおり、この10年でみなさんが培ってきた自身の特性が至るところで垣間見れる作品内容に感じました。しかも、キチンと新しい要素も同居させていて。
村上:まさにそこがポイントです。自分たちでも、やりたいことと自分たちにしか出来ないこと、その2つの大きな円の真ん中の部分が出せたと自負していて。「それをどうやったらしっかりと伝えられるか?」その辺りを考えながら作っていきました。
飯野 桃子(Pf&Cho/以下、飯野):今回の作品は、ここまで経験したものを広い目で見ながら作れましたからね。「ここはこう作り込んだ方がいいね」「ここは自由にやった方がいいだろう」等々都度ジャッジをしながら作り進めました。おかげで視野も狭くならずに作品が出来た感はあります。
實吉 祐一(Dr/以下、實吉):あと、これまでで最も落ちついて作れました。が故に隙間を見つけられたし。ドラムもけっこうリズム遊びにもこだわれたり。音色や音質の面もこれまで以上にこだわって作れました。縛られることなく、自由に作れたかなって。
EMTG:では、着地点はあまり決め込まずに、わりと各メンバーがフリーフォームで挑んだ感じだったんですか?
村上:いや、意思統一こそしませんでしたが、着地点はみんな一緒のところを目指していたと思います。
EMTG:それは例えば?
村上:やはり自分たちの強みですね。たぶん4人が今回共通して抱いていたその辺りは、グルーヴィーで、鍵盤がいるのにピコピコしていなく、非常に人力でアナログで泥臭くて、なんかよく分からないけど感情がぐっとなる(笑)。さらっと聴き流される音楽じゃなく、なんか心に引っ掛かる楽曲…それらは共通してあったんじゃないかな。それが=自分たちにおけるいい曲にあたることも認識していたでしょうから。
吉牟田 直和(B/以下、吉牟田):あとはレコーディングに携わって下さる方はもとより、MVの監督も含めチームとしてより機能した部分も大きいです。チーム一丸で同じビジョンに向かえたから余裕や相手に任せて作ったり、時には外からの意見を取り入れて進めることが出来たので。
村上:その辺りの自分たち+αの要素は大きいです。僕たち4人でやれることなんて限られてますからね。そのプロジェクトチームがより強固になり、そこにこの4人のキチンと筋の通った意志があったのが今作では大きくて。今回のチームは前作ミニアルバム『永遠について語るとき、私たちの語ること』とほぼ全員一緒なんです。が故に、前作の流れを継承しつつ、新しいことにも挑戦できたし。その安心感があったんで、本来、そこに注ぐべきエネルギーを違う部分に注入出来たんです。
EMTG:分かりやすさに関してはいかがですか? これまで以上に体感的な作品になった印象があります。
村上:この10年間、ひたすら「体で聴いて欲しい」と思い作ってきましたが、ようやく今回そこに行き着けたのかも。その辺りは小難しい歌詞を書かなくなったのが寄与しているかもしれませんね。
EMTG:今回は全体的に凄く歌詞がストレートですもんね。相手が見える歌詞が増えた印象があります。
村上:これまでは歌詞が難しすぎましたね。今作に際しては、「このようなことを書かなくちゃ」的な制限も設けず、プレッシャーもなく自由に書きました。ここぞとばかりに物語チックなものを(笑)。
EMTG:中でも、「夜明けのうた」の歌詞内容には驚きました。
飯野:あれには私たちも驚きました。「ありがとう」や「ごめんね」が飛び出してきましたからね。「俺、遂に書いちゃうから」との事前告知こそありましたが、実際、いざ出てきた際にはかなり衝撃でした。
村上:これまでだったら絶対にしない表現でしたからね。「ありがとう」なんて入れたら、そりゃいい歌詞になって当たり前だろうと避けてきたタイプだったんで(笑)。だけど、今回はそんな変なプライドも無かったんです。これまでの「俺、同じ気持ちを表すのでも、こんな言葉で表現しちゃうんだぜ」的な気持ちが無くなって。まっ、そこで終わっとけばいいものを、中にはつい余計なものを付けちゃったりもしてますが(笑)。
EMTG:それが村上さんらしいです(笑)。
村上:やはり押し通せないんですよね、変な照れがあるのか。僕の中では、口にこそ出さなかったですが、「ごめんね」と「ありがとう」は常に自分の中にはあったんです。方向性は変わりましたが、自分らしい歌詞は書けたかなと。
EMTG:それらも手伝い、より身近になった感があります。
實吉:前作からその片鱗はあったんですが、今作ではその辺りより研ぎ澄まされた感じですね。ちゃんと伝わる自信が芽生えた証拠なんでしょう。
EMTG:中でも「万華鏡のように」は、テスラのこの10年間の縮図のように感じました。これまでのみなさんの特性がこの1曲に凝縮されているような…。
村上:その感想は嬉しいですね。「万華鏡」って、転がすと色々な模様が出てくるじゃないですか。それってテスラっぽいなって。転がす毎にピアノの模様が出てきたり、ドラムのダンサブルさやエモさ、男女ツインボーカル性が出てきたり、片や歌がずっとキラキラと鳴っていたり。それを歌詞はもとよりサウンドでも表してみたのが、この曲なんです。
EMTG:いやー、ラーメンで例えると全部乗せです(笑)。
村上:(笑)。ピアノのリフレイン、ドラムとベースによるグルーヴィーな躍動感、サビでドカンとくるカタルシス…それらがチャーシュー、メンマや卵だとしたら、あと、今回はコーラスワークが新たなトッピングとして加わったかな。
EMTG:確かにコーラスワークやハーモニーはかなり充実しています。あと、男女混声のコントラストもより活きていて。男性の心情は村上さん、女性の心情は飯野さんと歌い分けられているのも特徴的に映りました。
村上:これはもう具材ではなく隠し味ですね。何故今までこれをやって来なかったんだろう的な発見でもありました。特にプライベートで何かあったわけでもないんですが(笑)。僕、中学~高校とずっと男子校だったし、そこまで自分に男女の云々を書ける技量もないな…と自分には無い要素だと思い込んで挑まなかっただけで。でも今回、「書けるかも…」と思い立ち、二人称的に女性も登場させてみたんです。
飯野:私もここまで歌わせてもらって光栄でした。今までは声や楽器の一部として歌っていたものが、今回は歌としてキャラクターがあって。それに則って歌わせてもらいました。
EMTG:6月からは今作を携えた過去最多本数の全国ツアー『10周年とかツアーとか』も控えてます。
村上:10周年のツアーでもあり、もしかしたらベストヒット的な内容を期待して来られるかもしれませんが、今作をライブでもキチンと伝えたいので、これらの曲が中心にはなってきます。あとは、10周年に相応しい楽曲たち。その両方を満たす選曲やステージにしますので、是非みなさん遊びにきて下さい。
EMTG:では最後に。テスラの11年目以降のビジョンを訊かせて下さい。
飯野:私、このバンドほど長く続けられたものってピアノ以外ないんです。それほど、やってもやっても楽しいし、発見もあるし、好きだからなんでしょう。今後もそれらは持ち続けて活動していきたいです。
實吉:ツラいことも沢山あったけど、それ以上に楽しいことも沢山あったから、ここまで続けられましたからね。これからもっと長く続くでしょうが、更に遊んでいく気持ちで今後もやっていきます。
吉牟田:僕的には今後はまたちょっと変わったこともやっていきたいですね。今回しっかりとベースが出来たので、逆に色々な枝葉や挑戦が出来るチャンスにも感じていて。それらも含め今後も期待していて下さい。
村上:その時々でいっぱいいっぱいでやってきて、今後も目の前にあるものを真面目に取り組んでいくのが一番なんだろうなって。僕にとって“生きている=曲を作る/歌う”なので、1曲でも多く良いと思える曲を生み出し、1分でも長くこのバンドを続けていきたいですね。

【取材・文:池田スカオ和宏】




<ミュージックビデオ>

テスラは泣かない。 - 万華鏡のようだ


tag一覧 J-POP アルバム 男性ボーカル インタビュー テスラは泣かない。

リリース情報

偶然とか運命とか

偶然とか運命とか

2018年05月23日

mini muff records

01.万華鏡のようだ
02.ダーウィン
03.大人の秘密
04.REAL
05.マグノリア
06.アテネ
07.変なワルツ
08.正論
09.old time blues
10.夜明けのうた

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

Chungking Express
05/25(金)TSUTAYA O-nest

Mujack Dream Land 2018
06/02(土)大阪・Music Club JANUS

トライシグナル
06/12(火)渋谷・TSUTAYA O-nest

OTOSATA ROCK FESTIVAL 2018
06/16(土)茅野市民館(長野県茅野市)
10/17(日)茅野市民館(長野県茅野市)

テスラは泣かない。「偶然とか運命とか」Release Tour
【10周年とかツアーとか】

06/29(金)岡山・CRAZYMAMA 2ndRoom
06/30(土)広島・CAVE-BE
07/01(日)福岡・Queblick
07/08(日)高松・TOONICE
07/11(水)横浜・F.A.D
07/16(月・祝)仙台・enn3rd
07/18(水)水戸・LIGHT HOUSE
07/31(火)大阪・大分club SPOT
07/25(水)千葉・LOOK
07/28(土)鹿児島・SR HALL
07/29(日)熊本・NAVARO
08/07(火)静岡・UMBER
08/08(水)京都・MOJO
08/23(木)松本・ALECX
08/24(金)名古屋・APOLLO BASE
09/07(金)大阪・pangea
09/09(日)東京・渋谷WWW

CLUB ROCK’N’ROLL 25th ANNIVERSARY!!! Miracle
07/06(金)名古屋 CLUB ROCK’N’ROLL

THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2018
10/07(日)鹿児島市・桜島多目的広場&溶岩グラウンド

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る