LUCKY TAPES メジャーデビューEP「22」をリリース

LUCKY TAPES | 2018.05.23

 ファンキーなブラックミュージックの要素と、繊細かつ詩的な表現を融合させた音楽性が人気を博するLUCKY TAPES。数々のフェス出演や海外公演を経験した彼らがついにメジャーデビューを果たす。その記念すべきメジャーデビューEPとなる「22」についてバンドにインタビューを行った。

EMTG:今作はLUCKY TAPESのメジャーデビュー作となります。アルバム『Cigarette & Alcohol』の時点でJ-POPなどメジャーな音楽の良さに気付いたと話されていましたが、メジャー契約は迷いなく決断されたのでしょうか?
高橋健介(以下、健介):はい。自然な流れでしたね。「よし!メジャー行くぞ!」という意気込んだ感じではなくて、マネジメントと話しながら自然と決まりました。
EMTG:メジャーデビュー作をEPにした理由は?
高橋海(以下、海):それはレーベル側からのオファーですね。僕はもともとアルバムをメジャーから出すと聞いていたので、当初はアルバムの構想を練っていたんですけど、アルバム前にEPを作ろうということになって、そこから曲も新しく書き下ろしました。
EMTG:そのアルバムの構想は今回のEPとは別に残っているのでしょうか?
海:アルバムの構想から今回のEPに落とし込んだ曲もあれば、使わずに残している曲もあります。
EMTG:EPという形式はシングル以上アルバム未満という絶妙なボリュームのフォーマットだと思います。好きなEPもしくは理想的なEPはありますか?
海:チーム・ミーの『Ep』というタイトルのEPがあるのですが、収録曲が良いのは大前提として、アートワークも含めたトラックの流れや組み方が理想的ですね。全5曲の中にストーリーがあり、音楽的にもアップテンポな曲からゆったりした曲まで詰め込んであって飽きがこない。全体の長さもちょうどよく、4曲目から5曲目にトラックが移り変わるところなんかはフェードでトラック同士がつながっていて世界観に浸ったまま曲が続いていくのが素晴らしい。4曲目の最後に鳴っているベル音が、5曲目のイントロに少し残っているみたいな。この作品意外にも、Toro Y Moiの「Causers Of This」だったり、Daniel Caesarの「We Find Love」なんかにも見られる手法で、こういう作り方は面白いなって。
EMTG:確かに「22」には短編映画のようなストーリー感がありますね。
海:トラックの長さも今回こだわったポイントです。というのも、前作までは一曲の中に展開が多く、各トラックが長くなりがちだったんです。それに対して今作は曲中の展開を少なくしてさらっと聴ける長さにしてあります。かと言って、一曲一曲の印象を軽くすることはなく、内容的には今まで以上に濃いものであると言えます。
EMTG:メジャー進出作品ということを意識して制作された箇所などはありますか?
海:プロダクションにおいては、メジャー、インディーズ関係なく今まで通り変わらずに作りました。
健介:ただ、関わる人が増えたことによって、いろんな意見が聞けるようになって、判断基準みたいな部分で幅が増えましたね。それとレーベル側が業界の人を繋げてくれたりしたので、メジャーデビューしたことによって人脈も広がったと思います。
EMTG:タイトルトラックである「22」は歌詞の中の英語の比率が高く、むしろインディーズでの作品っぽいなと思う部分もありました。
健介:確かに(笑)最近の曲の中では英語多めですね。
海:ちょうどこの曲を作っていた頃、タイのバンコクで初めてライブをしたんです。実際に行くまでは「LUCKY TAPESの音楽はタイまでは流石に届いていないだろう」と思っていたのですが、いざ幕を開けてみると1,500人ものオーディエンスが熱狂して、日本語がわからないにも関わらず日本語詞の曲を一緒になってシンガロングしてくれていたり。信じられないですよ、ベッドルームで生まれた音楽や言葉が海や国境を越えて愛されている事実が。結成当時は、海外なんて考えてもいなかったし、意識したこともなかった。ただ、こうやってアジアツアーを通して、国外にも自分たちの音楽を待ってくれている人たちがいるということを体感して、それに応えていきたい、いや、応えなければいけないという使命感すら感じています。今回英語詞の割合が多くなったのも、そういったところからの影響が少なからずあると思います。
EMTG:海外の人たちはどういうルートでLUCKY TAPESの音楽にアクセスしたのでしょうか?
海:おそらくYouTubeですね。
健介:うん、向こうではプロモーションしてないし、ネット経由なのは確実ですね。
EMTG:SpotifyやApple MusicといったストリーミングサーヴィスではなくYouTube?
海:イントロが鳴った瞬間に沸くのはYouTubeにミュージック・ビデオを公開している曲だったりするので、きっとYouTubeが大半を占めているんだと思います。
EMTG:本作のEP全体としてのコンセプトは?
海:最初コンセプトは決めずに作りはじめたのですが、タイトルトラック「22」ができてから、もっとこういう曲が欲しいなとか考えながら作品全体を組み立てていきました。
EMTG:「22」から始まる物語のようなものが?
海:「22」というのは“夜が幕を開ける22時”、そして“一般的に大学を卒業して社会へ飛び込む22歳”という、何か新しいことが始まることへの期待や不安で胸が高まるその瞬間を表した一曲。自分の場合、22歳というのは、LUCKY TAPESを結成した時の年齢なんです。
EMTG:全曲を通して、夜が始まるワクワク感や「何かが変わるかもしれない」という期待感から出発し、徐々にいつもの日常現実に収束していく、そんなストーリーの作品なのかと思いながら聴いていました。
海:「22」で22歳から始まり、1曲進むごとに1歳ずつ年を取っていく流れでトラックが組んであります。
EMTG:というと、次の「NUDE」では23歳に?
海:はい。「NUDE」では23歳になり艶やかな大人の世界を知ると同時に、音楽という裸同然の表現にまみれていた頃の様子を。
EMTG:なるほど。
海:そして「EASY」では24歳になります。「22」では“幻想だらけのこの狭い世界で”と歌っていたのが、2年間の音楽活動を通して色々な人やものごとに出会ったことで、“この世界は僕一人には少し大きすぎて”とこの世界はまだまだ広くて計り知れないことを知る。そんな中「カッコばかりつけてないで力を抜いて気楽に生きていこうよ」と歌っています。
EMTG:そして諦めに似たリリックと、どこか安堵感に満ちた曲調が印象的な4曲目「MOOD」ですが。
海:25歳ということで、四半世紀の人生を回想するシーンから始まります。25歳の頃に歌った「TONIGHT!」の歌詞を引用したり、ボイスカットアップを使ったり遊び心も満載。
EMTG:最後の「ENCORE (Voice Space)」はインストトラックですね。
海:このトラックで描いている26歳というのは、いま現在の自分の年齢で、この「ENCORE (Voice Space)」(Voice Space=タイ公演の会場名)に収録されている歓声は、タイ・バンコク公演での実際のアンコール時の歓声をサンプリングして使っています。タイの人々に出会って、このEPを完成させた、今現在の自分の年齢に時間軸が追いついてカーテンコールとなり、再びステージに上がるところで今作は幕を閉じます。そしてこの「ENCORE (Voice Space)」から1曲目の「22」にリピート再生しても自然と聴くことができるような仕掛けもしてあります。
EMTG:これまでの人生を振り返り、追いつき、次の作品から新しく物語が更新されていくというストーリーができたわけですね。
海:はい。EPの制作に入る時には、特にコンセプトがあって作り始めたわけではないけど、制作を進めていく中でそういった流れが出来上がってきた感じです。
EMTG:最後にサウンドプロダクションについても伺いたいのですが、世界的には現在バンドサウンドは苦境に立たされています。そうした打ち込みの強烈なビートが隆盛を極める現代に、バンドサウンドをプレゼンテーションするための工夫などはされていますか?
海:もともと自分はトラックメイカーで、現在もプロデュースワークやCM音楽の制作なんかも行なっているんですけど、前作まではLUCKY TAPESとソロとでは表現の仕方を完全に分けていました。しかし、今作「22」ではそういった時代の流れも汲みつつ、自分がトラックメイクできる強みを活かして、ソロで使っているようなボーカルカットアップを取り入れてみたり、レコーディングしたドラムのタイミングでプラグインの音源を重ねてみたり、ループを作ってみたり。前作もキックやクラップを重ねることはしていたんですけど、意図的にそういったサウンドを融合させてみようと思ったのは今作からですね。
EMTG:そこにはやはり多くのリスナーが今聴いている音楽にバンドサウンドをアジャストしようという意識があったのでしょうか?
海:いえ、実際のところ、今作のミックスした作り方は偶然の産物なんです。前作までは、曲によってはギターやベースのフレーズを貰って、そこに自分が展開やメロディーをつけて一曲に仕上げることもあったのですが、今作に関しては制作時間が十分に取れなかったこともあり、自分一人で作詞作曲からアレンジやフレージングまで打ち込みで完成させていきました。かと言って、ギターやベースが上手く弾けるわけでもないので、デモの段階では、サンプル音やシンセを使って音の隙間を埋めたりしていて。最終的にはそれをメンバーの弾くギターやベースに差し替えるイメージで考えていたのですが、意外とサンプル音やシンセがあっても違和感がなくハマっていたので、残した曲もあったりします。なので、デモの時点で入っていた音が完成した音源にそのまま残っている曲もあるということです。ギターも、レコーディングで再現出来なかったフレーズは自分が弾いたものを残していたりもします。あとは最後の「Encore (Voice Space)」なんかは完全に宅録で完結させていますしね。そういったトラックメイク的なアプローチとバンドサウンドを少しずつ交わらせていったのが、結果として新しく面白いサウンドになっているのかと。

【取材・文:照沼健太】

tag一覧 J-POP 男性ボーカル インタビュー LUCKY TAPES

リリース情報

22

22

2018年05月23日

ビクターエンタテインメント

1. 22
2. NUDE
3. EASY
4. MOOD
5. ENCORE (Voice Space)

お知らせ

■コメント動画




■ライブ情報

“22”リリースワンマンツアー
05/25(金)[名古屋]池下 UPSET
06/03(日)[大阪]梅田SHANGRI-LA
06/23(土)[東京]キネマ倶楽部

GREENROOM FESTIVAL’18
05/26(土)[神奈川]横浜・赤レンガ地区野外特設会場

NATUBIRAKI MUSIC FESTIVAL2018
07/01(日)[大阪]服部緑地野外音楽堂
07/07(土)[福岡]天神コア 屋上広場
07/15(日)[埼玉]所沢航空記念公園 野外ステージ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る