Official髭男dismの多彩な魅力が凝縮された最新作『Stand By You EP』

Official髭男dism | 2018.10.12

 最新作『Stand By You EP』は、Official髭男dismの快進撃をさらに後押しすることになるだろう。瑞々しい躍動感と4人のコーラスワークが冴え渡っている「Stand By You」。ハードロック、ファンク、ディスコミュージックが大胆な融合を果たしている「FIRE GROUND」。起伏に富んだ展開、多彩なサウンドの味付けが心地よい「バッドフォーミー」。教会でワンテイク録音された「Stand By You(Acoustic Ver.)」――ヒゲダンの魅力がフレッシュに凝縮された作品だ。各曲にこめた想いと制作エピソードについてメンバーたちが語ってくれた。

EMTG:ヒゲダンは自分たちの音楽がリスナーに寄り添うものであってほしいという願いを「あなたの人生とタイアップ」と、度々表現してきたじゃないですか。「Stand By You」は、まさにそういう曲だなと感じました。
藤原聡(Vo&Pf):そうですね。メジャーデビューしてチームも大きくなって、夏フェスにも出させていただいて、今まで以上に多くの人が楽しみしてくれている状況があるんです。だからこそ、自分たちがやりたいことのど真ん中を貫けているものを、このタイミングでリード曲にしたかったんです。
小笹大輔(Gt):僕たちの最新の興味とかも反映して作れたのが、「Stand By You」ですね。今っぽい新しさも感じています。こういう楽曲を今のヒゲダンの顔としてリード曲で出すのをスタッフも納得してくれて、チームとしてよりひとつになった感覚があります。
松浦匡希(Dr):制作期間が長かったので、作っている過程にも濃いストーリーがありましたね。曲がすごく成長したと思います。
藤原:「ノーダウト」が主題歌だった『コンフィデンスマンJP』があと数週間で最終回を迎えるという時に、「ドラマの放送終了直後に新曲を出さない?」っていうことになったんです。それで作り始めたのが「Stand By You」なんですけど、そのリリース予定が変更になったので、編曲の方向性とかをいろいろ変えました。
松浦:この形に持って行けたというのは、すごく良かったと思います。
小笹:制作期間の中で、いろんなライブを観たりもして、吸収できたしね?
松浦:うん。だからこそクール且つハッピーなものになったと感じています。
藤原:音の面でも面白い取り組みができました。今年に入ってからシンセサイザーとか打ち込みの音とか、アレンジの面でも気に入っていただけることが、ありがたいことに多かったんですけど、そういう部分と「ピアノポップバンド」という自分たちが掲げているものとの融合ができたと思っています。ピアノのリフが引っ張っていくタイプの楽曲にもなっていますから。
楢崎誠(Ba&Sax):シンセサイザーの実機をレコーディングでたくさん使ったんですけど、びっくりしました。パソコンのシンセの音と全然違うんですよ。実機は音が太くて存在感がすごいんです。
藤原:シンセサイザーの存在感が大きくなり過ぎたので、実は最終的に少しぼかして抑えたんですけど(笑)。でも、実機の良さを知れたのは、今後にも活きる経験になりました。
EMTG:この曲、ヒゲダンの強みの1つであるコーラスが、存分に発揮されている曲でもありますよね?
藤原:そうなんです。でも、強みと言いつつ、実はスタジオで録った音源では、あまりやってこなかったんですよね。メンバーみんなががっつり歌ったのって、これが初めてかも。
楢崎:コーラスに関しても、紆余曲折があったんですけど。
藤原:最初は僕の声だけでやってきたんですけど、みんなの声を重ねたコーラスを録ることになりました。この楽曲にこめたメッセージ的にも曲調の面でも、「みんなの声で今歌ってる」っていう生の空気感が欲しくなったんです。だからガヤを入れる時にしかやっていなかった「メンバー全員が一斉に歌う」という手法をとりました。スタジオも部屋感というか、響きを良く録れるところをエンジニアさんに選んでもらったので、臨場感があるものになっていると思います。
楢崎:「人数感を出したい」ということにもなって、和音の1つ1つをみんなでユニゾンして、「低い声が出る人はマイクから少し離れて、後ろに下がって」とかやりながらバランスをとりました。
藤原:あの録り方は面白かったですね。4人のユニゾンで3声だから、つまり計12人の声になっているということです。そこに僕がボコーダーでちょっと重ねたので、しめて16人くらいですかね?(笑)。
EMTG:(笑)このコーラス、ゴスペル的なものも感じましたよ。
藤原:まさにです。今年に入ってからゴスペルをフィーチャーしたアーティストの楽曲が心の琴線に触れることが多くて。クリーン・バンディットの「Rather Be」で歌っているジェス・グリンが始まりだったんですけど。そこからチャンス・ザ・ラッパーとかにもハマっていって、「声が重なる」っていうことの魅力を改めて認識していきました。僕はTOTOがすごく好きだから、もともとそういうのに惹かれるところがあるんですよ。TOTOもめちゃくちゃハモりますからね。
楢崎:コーラスといえば、今回、「Stand By You」のアコースティックバージョンも4曲目に入っているんですよ。
EMTG:教会で録ったんですよね?
楢崎:はい。教会で生で一発録りしています。スタジオ版のコーラスが16人分くらいのものになっているのに対して、アコースティック版は4人の声ですけど、スケール感を教会の空間がカバーしてくれています。聴き比べると面白いと思いますよ。
EMTG:教会のあの空間の響きって、すごいんですね。
楢崎:正直言って上手く聞こえます(笑)。
EMTG:(笑)では、他の曲のお話もしましょう。2曲目の「FIRE GROUND」は、TVアニメ『火ノ丸相撲』のオープニングテーマですが、ハードロック、ファンク、ディスコミュージックが融合しているという印象です。
藤原:相撲って熱量がすごいですし、『火ノ丸相撲』も熱いストーリーなんです。熱さといえば、僕の中ではヘヴィメタルとかハードロック。とはいえ、「ピアノポップバンド」と謳っているヒゲダンで2バスのドラムを踏むわけにもいかない(笑)。だから「熱量とヒゲダンをどうコラボさせよう?」と考えて、このサウンドに行き着きました。ファンクとメタルと言えばエクストリーム。だからエクストリームとかタワー・オブ・パワーは、当然ながらすごく参考になりました。
EMTG:この曲、ギターがかなり暴れていますよね。
小笹:はい。「やっとこの時が来たか!」と(笑)。初っ端から僕のギターリフで始まるというのが気持ちいいです。
EMTG:(笑)ベースも、かっこいいですね。聴いているとテンションが上がります。
楢崎:レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーをイメージして弾きました。フリーみたいな音はどうやったら出るのか、いろいろ試したんです。畳の上で上半身裸になりながら練習しましたから(笑)。湧き上がる「ウギャー!」みたいなのを出したかったんです。
EMTG:熱いギターやベースが鳴り響く中、ドラムも骨太な存在感を発揮していますね。
松浦:はい。他の楽器がすごいので、それをどう支えながら自分も主張するかを考えました。ドラムセットの音作りを重めにして、スティックも重めのものにして、いつもの倍くらいの力で叩いたんです。筋肉痛になりましたけど(笑)。
藤原:こういう楽曲もヒゲダンでやれちゃったのって、嬉しいことですね。挑戦でしたけど、エンジニアさんとかの力も借りながら、いい音で録ることができました。
EMTG:今回のEPは、ヒゲダンの多彩さがすごく出ていると思います。3曲目の「バッドフォーミー」も、他の曲とはテイストがかなり異なりますし。
藤原:「バッドフォーミー」のデモ音源自体は、今年の頭あたりにはありました。年末年始に実家に帰りそびれた時期に作ったので(笑)。『エスカパレード』に入れることを考えながら7曲くらい作った中の1つです。
EMTG:《君は垢抜けて みんなの「キミ」になった》の部分で、サウンドが不穏に揺らぐじゃないですか。あそこがとても印象的です。
藤原:あそこは重いですよね(笑)。だからホーンセクションで爽やかにしました。
楢崎:僕、高校の時にサックスを始めたんですけど、最初に吹いたのがテナーサックスだったんです。大学受験のためにアルトサックスを買っちゃったんで、ずっとテナーをやりたい欲があったんですよ。テナーがヒゲダンに合う予感がずっとあったので、それを一気にこの曲で解き放ちました。楽しかったあ(笑)。
小笹:「バッドフォーミー」のアレンジの中核を担っているのはブラスですね。アレンジは結構メンバー個々に任されたんですけど、僕と楢ちゃんが別々に考えたフレーズが、2番のAメロで絶妙に絡み合ったという手応えもあります。「歌行ってギター行ってベース行ってまた歌、ギター、ベース」っていうバトンタッチが、最初から狙っていたわけじゃないのに、すごくいいものになりました。
楢崎:この曲、ドラムのフィルを録るのが大変だったよね?
松浦:あれは、やばかった(笑)。何十回もやりましたから。
藤原:ギターの3連のアルペジオからドラムの鬼畜フィルへというのは、プリプロの時に僕が考えていたんです。だから「やってください」と(笑)。
松浦:頑張りました(笑)。
藤原:コンピュータって何でもできちゃうので、ついついちゃんまつの手と足が2本ずつだということを考慮せずに作ってしまうんです(笑)。
松浦:パソコンで作るドラムのフレーズって、近代的なところがあるんですよね。最近の打ち込みサウンドの曲に入っている近代的なフィルを、毎回、デモを通じて勉強できています。とはいえ、叩くとなると難しいんですけど(笑)。
楢崎:実際の楽器を弾いていると出てこないフレーズって、他のパートに関してもあるんですよね。そういうのを生の楽器とミックスするのって面白いです。
藤原:手癖から出てくるフレーズを客観的に見て、「ここは活かしてここは変えよう」っていうことが、パソコンを使うとできるんですよ。
EMTG:ヒゲダンのアレンジ力の高さもすごく出ているのが、今回のEPということですね。今作が出た後は全国ツアーですが、どのような心境ですか?
藤原:とにかく楽しみです!
EMTG:東京と大阪のNHKホールでの公演もあって、ツアーファイナルは、みなさんの地元の島根県民会館大ホールじゃないですか。
藤原:島根県民会館大ホールは、大学の卒業式以来です(笑)。去年のツアーは中ホールでやらせてもらって、MCで「次は大ホールでライブができるように、でっかくなって帰ってきたい」ということを話したんです。だから、ここでできることが決まったのは、すごく嬉しかったです。「地元だから」というのを常に強く意識しているわけではないですけど、自分たちのゆかりのある土地の一番大きな会場でできるのは、感無量です。
EMTG:最近のヒゲダンの大躍進は、すごいですよね。周りでも「ヒゲダンが好き」っていう声を度々聞きますよ。
藤原:本当にありがたいです。たくさんの人が聴いてくださるようになってきたからこそ、妥協しないでいいものを作っていきたいです。その気持ちがどんどん強くなってきています。僕は「この曲はあの曲を越えられていない」みたいな言い方があまり好きじゃないんですよ。結局は好みなので、みなさんそれぞれの好きな曲があればそれで良くて。だからこそ自分たちが面白いと思ったもの、今やりたいと思ったものを愚直にしっかり形にするというのをブレずにやっていきたいです。それがお客さんと真正面から向き合うことに繋がっているんじゃないかと思っています。

【取材・文:田中 大】

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リリース情報

Stand By You EP

Stand By You EP

2018年10月17日

ポニーキャニオン

1.Stand By You
2.FIRE GROUND
3.バッドフォーミー
4.Stand By You(Acoustic Ver.)

お知らせ

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■ライブ情報

Official髭男dism one-man tour 18/19
<2018>
11/07(水)[神奈川]横浜Bay Hall
11/09(金)[北海道]札幌cube garden <追加公演>
11/10(土)[北海道]札幌cube garden
11/17(土)[香川]高松DIME
11/18(日)[愛媛]松山サロンキティ
11/22(木)[島根]松江AZTiC canova
11/24(土)[鳥取]米子AZTiC laughs
11/25(日)[広島]CLUB QUATTRO
11/28(水)[埼玉]HEAVEN’S ROCK さいたま新都心
12/01(土)[宮城]チームスマイル・仙台PIT
12/02(日)[福島]郡山CLUB #9
12/09(日)[茨城]水戸ライトハウス
12/15(土)[新潟]GOLDEN PIGS RED STAGE
12/16(日)[長野]CLUB JUNK BOX
<2019>
01/11(金)[大阪]NHK大阪ホール
01/12(土)[鳥取]米子市文化ホール
01/16(水)[愛知]日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール <追加公演>
01/18(金)[静岡]Live House 浜松 窓枠
01/19(土)[愛知]日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
01/24(木)[東京]NHKホール
01/26(土)[福岡]DRUM LOGOS
01/27(日)[鹿児島]SR HALL
01/31(木)[大阪]NHK大阪ホール <追加公演>
02/02(土)[島根]島根県民会館 大ホール

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