POT、約4年半ぶりのニューアルバム『SPARK』で見せる飛躍的な進化!

POT | 2018.12.05

 POTが変わった! いや、これまで通り聴く者にハッピーを寄与することや本質は変わらないのだが、そこに向かう過程や方法論に変化が伺えるのだ。最終的に楽しさに辿りついたり、出会ったり、知ったり――12月5日にリリースされるニューアルバム『SPARK』は、これまでの受動的なものから、より能動的なものに移ったように筆者は感じている。きっと今作を聴いた後のみなさんは、どこかそこに“かけがえのなさ”や“尊さ”を覚えるはずだ。ミディアムな曲やバラード、時には打ち込みや同期、アコギも飛び出し、何とも新章を綴ってくれているようで頼もしい。とは言えご安心を。彼らの本質は全く変わってはいない。約4年半ぶりのニューアルバムを引っ提げ、年をまたぎ、40本以上の全国ツアーに挑戦するPOT4人のインタビューから、それを感じ取ってもらいたい。

EMTG:今作はこれまでPOTが大切にしてきたハッピーさが歌や演奏と共に、各曲さまざまな形で現れている印象を持ちました。
織田亮太(Vo/Gt):曲は全部僕が作ったんですけど、特に深く考えこまずに作った結果こうなったというのが正直なところです。メンバーからの「こんなことしたい」「あんなことしたい」等のリクエストに応えつつ、やりたい曲調や思いついたアイデアを次々と入れていった結果、こうなっていたって感じなんです。
EMTG:てっきり色々と考えた末の到着地点とばかり思ってました。というのも、けっこう色々と新しいことを取り入れたりもしていて。凄く新章的なものを感じたんです。
織田:実は全くその逆です。これまでは、「ライブでこうしよう」「ああしよう」みたいに考えて作っていたんですけど、今回はあえてその辺りをしなかったんです。今回あまり制作時間が無く、ライブの合間に作っていったので。それこそ、曲を作って次の日にはレコーディングして、また曲作って次の日にレコーディングして、みたいな (笑)。
EMTG:そうだったんですね。今回はかなり曲種の幅があったりバラエティに富んでたので、てっきり出来たものを作り溜めており、そこから選ばれた楽曲たちばかりだと思ってました。
織田:でも、それが良かったんやと思います。ライブをやって、合間に次々と曲を作っていったから、「さっきこういった曲調のを作ったから、次はそれとは全く違ったタイプの曲を作ろう」とか。新鮮な分、違う目線で次々見えていきましたからね。間が空いちゃうと前に作った曲の感触やタイプも薄らいじゃうんで、それがまだ色濃く残っているうちに違った面、違った自分たちを意識して出していったんです。
まこと(Dr):それこそどんどん上書きされていった感じでしたよ。最後の曲になると最初どんなタイプの曲から録ったか? なんてすっかり忘れてました(笑)。それこそ今まではライブで狙い過ぎていた面もあって。こうやった方が盛り上がったり、ウケたりするんとちがう? みたいな。今回はそれらを一旦無視して、自分たちのやりたいことをやってみたというか。これまでは割と頭で考えたり、構成を練ったり、話し合いながらやってましたが、もっと感覚的にやってみました。なんか今回でようやく曲作りの本質や自分たちにマッチした曲の作り方を得れた気がします。
EMTG:むっちゃテンポ良く作品を聴き進められるのも特徴かなと。
よしくん(Vo&Gt):全体的に曲が短くなりましたからね。いつも悩みまくって一周回って曲が出来るんですけど、それがなくなった分、余計なものが排除されて曲がよりシャープで無駄なくなったというか。あえて盛り込み過ぎず、1曲の中で1つのテーマやコンセプトで行けたなって。もう、ライブやったら次から次へと気持ち良く進んでいくんやろうなと今から確信してます。
EMTG:でも、その無駄のそぎ落しにしても、シンプルとはまた違った類ですよね。逆にこれまでの分数のものをギュッと凝縮させた感があります。
よっぴー:このぐらいの分数が気持ち良くてちょうどいいんじゃねぇ? って曲が、気づいたらみんなけっこう短かったってだけで。あ、そうそう、今回はちょっと個人的には意識した部分があって。
EMTG:それは?
よっぴー(Vo&Ba):前回の取材の時に、「君らの最近の曲には景色が浮かぶものが現れ出した」と称してくれたじゃないですか。あれがずっと頭に残っていて。あれは僕自身ずっとやりたことでもあったんです。特に僕は夏が好きなんで、夏っぽさを出したかったんですよね。なので今作では、「ザ・夏」ってタイプの曲もあれば、夕暮れのサンセットみたいな景色が浮かぶ曲等々、夏っぽい曲がめっちゃあるんです。
EMTG:そうなんです。聴いていて、「なんでこの時期に出すんだよ!」「出す時期間違ったんじゃないの?! もったいない」とさえ正直思いました(笑)。
よっぴー:そこもキチンと考えがあってのことなんです。夏に夏っぽい曲を出しても普通じゃないですか。で、あえて冬に出しますが、このアルバムのツアーファイナルはちょうど夏なんです。夏ってワクワクするし、より景色観も湧くじゃないですか。来年の夏、どうしようかな? と聴いて想いを馳せたり、タイムリーな時期よりよっぽど情景が浮かぶんじゃないかと。その辺りも狙ってのことでした。
EMTG:失礼ですが、そこまで考えられているとは。きっと考えもなく出したんだろうなって想像してました(笑)。
よっぴー:考えますよ! 僕らも(笑)。やはり長く聴いてもらいたいんで。でも、夏に夏の曲を出したら、それ以降なかなか聴かないじゃないですか。あと1年待たないと再び夏は来ないし。対してこのアルバムはそれこそ1年中聴けるんです。
織田:作った時期もちょうど良かったんですよね。夏の終わり頃から作り始めたんで。ちょっとした夏っぽさも残りつつ、ああ、もう夏が終わってまうんや…ってノスタルジックや振り返るところもあったり。
よっぴー:その辺りもグルーヴでしたね。特に冬やけど夏の曲作ろうやって感じで作ったわけでもなく、自然と作っていたら不思議と夏っぽい曲が多かった。さりげなさや自然さがあって、しかも一年中聴ける。これ完璧やんって。それは演奏でも同じで。今回、わりとミディアムな曲や横ノリっぽい曲も随所に入っているんですが、そのベースラインもこれまでのルート弾きではなく、レゲエのたゆたうようなベースラインにして遊んでみたり。曲が短くなった分、メロディを楽しもうってなったのも関係してると思います。
よしくん:ラストに入っている「Sunset Love」にしても、今回、最後に作った曲だったんですが、これもかなり景色観は意識しましたね。浜辺をゆっくりと歩いている中でバックに流れていて似合うのってどんな曲だろう? って想像して弾いたり。ギターソロもですが、今回はリフにしても、これまでやってこなかったことを沢山取り入れたり、挑戦しましたからね。今作でもその「Sunset Love」では、ノスタルジックなチャイムのフレーズをギターで入れてみたり。そういった遊びを随所で入れ込んでます。
EMTG:そうそうEDMが現れたのには驚きました。
織田:実は前回のシングルで挑戦したかったんです。だけどシングルだし、ちぐはぐになるんで、そういった意味では今回はアルバムなんで、何をやってもつじつまが合うやろうと。思い切って入れてみました。
まこと:僕、Bメロではシークエンスにドラムを任せて前面に出て踊ったりしてますから(笑)。打ち込みとの融合も新しい試みでしたが、最後の「Sunset Love」でのお客さんのワイパーも含め、最近ダイブやモッシュが禁止のイベントに出演させてもらうことも多くて、それに代わる一緒に楽しめたり一体感や盛り上がる手法って何かないかな? って考えて、そこから来ている面もあります。さっき、「今作はお客さんを意識しなかった」と言っておきながら、楽曲を聴き返すと、自然とお客さんの光景やビジョンが浮かんでくる作品になってましたね。あとは今回、あまり気づいてもらえへんかもしれないけど、これまで以上に各曲の雰囲気に合わせて、例えばスネアの音を変えたり、チューニングを変えたりしてるんです。その辺りも、より楽曲に寄せることが出来た要因なのかなって。
EMTG:他にもアコギが入っている曲もあったり。
よっぴー:前々からやりたかったんです。「似合いそうなのにどうしてやらないの?」と指摘されたこともあったし。それこそ人間にしか出せない温かさが出せる楽器ですからね。なのでライブで演る時もこの曲ではアコギを同期で鳴らすんです。
EMTG:えっ?! POTが同期を使うんですか?
織田:使いますよ。今の僕らそんなこだわり全くないですから。
よっぴー:今後はガンガンに増えていくかもしれない。
まこと:それに合わせて僕が踊っているだけの場面も増えるかも (笑)。
よっぴー:とは言えあくまでも味付けに軽く入れる程度ですよ。基本生音重視はこれからも一切変わらないので。そこは譲れない。だけど自分たちに足りないものはどんどん積極的に補っていきたいですね。
EMTG:今回はこれまで以上に転調が目立っているような気もします。
織田:そうですね。その辺りは僕が90年代J-POPが好きなんで、そこからの影響が大きいです。それが自然と出ちゃった感じで。気持ちいいじゃないですか、あの頃の曲のメロディや展開って。さりげないドラマティックさがあるし。ある意味憧れです。
よっぴー:確かに最近はライブでも年配の方も増えましたからね。親子でファンの方とか。そうそう、今回この作品を引っ提げて40数か所のツアーがあるんですが、約半年をかけて全国細かく回るし、同じ地域でも時間を空けて何度か演るんです。なので是非一度観ても、また次に来た時にはその成長具合やライブを経ての楽曲の育ち具合も含めて観て欲しいですね。特に今回は土日が中心なので、間が空くぶん万全だし、気持ち的にも余裕もありそうなので、是非いいコンディションの中での自分たちを観に来て欲しいです。

【取材・文:池田スカオ和宏】

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リリース情報

SPARK

SPARK

2018年12月05日

TRUST RECORDS

1. YELL
2. My Life
3. Ho-!!
4. Sunrise
5. gleam
6. Tonight
7. Hustle Mr. Hopper
8. なぎさ
9. cherish the time
10. Backward
11. Supra
12. Sunset Love

お知らせ

■ライブ情報

POT presents "SPARK TOUR 2018-2019"
[2018]
12/14(金) 大阪心斎橋新神楽
12/16(日) 沖縄Out Put
12/21(金) 千葉LOOK
12/23(日) 松本ALECX
12/24(月) 名古屋R.A.D
[2019]
01/06(日) 金沢vanvan V4
01/12(土) 水戸LIGHT HOUSE
01/13(日) 郡山#9
01/14(月) 渋谷TSUTAYA O-CREST
01/18(金) 高松DME
01/19(土) 高知X-pt.
01/20(日) 松山double-u studio
01/26(土) 広島CACE-BE
01/27(日) 福岡小倉FUSE
02/03(日) 長野ライブハウスJ
02/09(土) F.A.D YOKOHAMA
02/10(日) 宇都宮HEAVEN’S ROCK
02/11(月) 静岡UMBER
02/16(土) 神戸太陽と虎
02/24(日) 岡山CRAZYMAMA 2nd Room
03/01(金) 岐阜柳ヶ瀬ANTS
03/03(日) 熊谷HEAVEN’S ROCK
03/09(土) 札幌COLONY
03/10(日) 苫小牧ELL CUBE
03/13(水) 出雲APOLLO
03/21(木) 京都MUSE
04/04(木) 八王子RIPS
04/06(土) 秋田CLUB SWINDLE
04/07(日) the five morioka
04/12(金) 米子AZTiC laughs
04/13(土) 周南live rise
04/14(日) 福岡Queblick
04/20(土) 高崎FLEEZ
04/21(日) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
05/04(土) 仙台MACANA
05/10(金) 滋賀 B-flat
05/11(土) 豊橋CLUB KNOT
05/12(日) 三重鈴鹿ANSWER
05/18(土) 福井CHOP
05/19(日) 富山Soul Power

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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