go!go!vanillas ロックンロールの不屈の精神を刻むニューシングル「No.999」

go!go!vanillas | 2019.01.22

 昨年12月、ベースの長谷川プリティ敬祐が事故に遭い一時は意識不明となるほど大きな怪我を負うという危機に直面したgo!go!vanillas。プリティの復帰までにはもう少し時間がかかりそうだが、そんななかでもバンドは前へ進む。ニューシングル『No.999』は奇しくもそんなバニラズとロックンロールの不屈の精神を刻む作品となった。どんな状況でも立ち上がれ、と繰り返し叫ぶこの曲はバニラズというバンドの本質だし、これまでの楽曲にも通じるメッセージをもつものだ。しかしその伝え方、言葉の切れ味は明らかにこれまでと違う。なぜこんなにも攻撃的でタフな曲が生まれたのか。以下の牧達弥(Vo・G)の話からは、彼が抱いている時代認識やロックシーンへの思いが浮かび上がってきた。

EMTG:プリティくんの事故は本当にショックでしたが、そんななかでも年末のフェスに出演して。大変でしたね。
牧:もう、がむしゃらでしたね。当たり前にライブとかレコーディングをやっていた部分もあったけど、それって大げさに言えば奇跡だし、どこにも当たり前なんてないなって感じました。サポートを入れてライブをすることも想像していなかったし、そこから生まれてくる新たな――悪いこともあれば絶対いいこともあるし。いろいろと凝縮された年末って感じでした。
EMTG:大阪の「RADIO CRAZY」でライブを見たんですが、牧くんはもちろん、(ジェット)セイヤくんも(柳沢)進太郎くんもバンドを背負っているんだっていう気概が伝わってきました。でも「やる」っていう決断は難しかったんじゃないですか?
牧:いや、フェスもすぐ始まっちゃうって感じだったんで、もう「ライブはやろうよ」って決めて。とはいえベースどうする?ってなったときに、スタジオミュージシャンみたいな人を入れてやるというのは違うなって俺は思ったんですよね。気心が知れていて信頼できる人じゃないと今の精神状態じゃできないなって。そこで声をかけた人たちがみんな「力になれるなら」って言ってくれて。それで5本やってみて……ずっと一緒にやってきた仲間として、みんな人としても尊敬できるなって改めて思ったし、音楽のジャンルは違うし普段はそれぞれツアー周っていて会えなかったとしても、こうしてまた一緒にいいライブをできるっていうのは夢があるなと。僕らがすごく力をもらったし、ここからまだまだ、あいつが帰ってくるまでダメにならずにやれるなっていう気持ちが強くなりましたね。
EMTG:プリティくんはライブやってくれて嬉しい半面、めちゃくちゃ悔しかったと思うよ(笑)。
牧:そうそう。本人も気にしていたんで、「めちゃくちゃよかったよ」って言っときました。あいつは「マジか……悔しい……」って言ってましたけど(笑)。でもそれが原動力になればいいと思うし、全部がいい方向に進んでいく、正しい選択だったなと思いますね。
EMTG:そんななかで届いたニューシングル「No.999」ですが、この歌詞はみんな今の状況と結びつけたがると思うんですけど――。
牧:そうですねえ。皮肉だなあと思いましたけど、皮肉はロックの特権ですから。びっくりもしたんですけど、嬉しかった部分のほうが強くて。それは……窮地じゃないですか。人間にとってピンチな状態を僕も久々に感じたし、「あ、バンド終わったな」って思ったし。そういうときって、本当に必要なものが見えてくるじゃないですか。その必要なもののなかに、この曲が入ってきたんですよ。僕自身かなり鼓舞されたし、「こんなところで終われねえだろ」っていう精神状態になれた。ということはこの曲のもつパワーとして、窮地に立った人に向けてしっかりと響く、刺さるものを落とし込めてたんだなっていうことが確認できたので、嬉しかったですね。
EMTG:結果的に状況にリンクしたとはいえ、「No.999」に歌われていることって、バニラズがずっと歌ってきたこと、体現してきたことでもありますよね。
牧:この曲で言いたいのは、結局「自分次第だ」っていうことなんです。誰かに批判されて、それで「じゃあやめようかな」っていうくらいのことだったら最初からやる必要はなくて。自分がかっこいいと思うもの、僕だったら音楽ですけど、そこに対して人から何か言われても何も感じないはずだから。だから「サンドバッグ ミー」って言ってますけど、人から何を言われてもいい、でもその上で「言いたいことが言えない時代なんかクソだ」っていう。
EMTG:その「自分次第だ」っていうテーマを、今回はそれをかなり痛烈に言っているなと感じたんですが。
牧:そうですね、トゲがあるというか。たとえば悪口とか、世間にとってちょっとしたタブーになっているようなことって、文字にしたりスピーチしたりするととても重くて、人ってちょっと距離を置くじゃないですか。でも音楽ってそれがないと思っていて。とくにロックって、自分も思ってるしみんなも思っている部分のタブーっていうのを、楽曲に落とし込んだときに意外とすんなり聞き取れるっていうことがあると思うんですよ。そこはちょっと頭を使いました。曲調としては言ってしまえばコミカルな部分が強くて。だから言葉は強いけど、そんなに深刻に思って言っているわけではなく聞こえるというか。
EMTG:逆にいうと、ファニーなロックンロールにすることでバランスを取っているけど、じつは結構きわどいところを攻めているなとも思います。
牧:でも、たとえば今ヒップホップがすごく盛り上がっているじゃないですか。でも一方でロックがすごく弱いものになってると思っていて。ロックってもともとはカウンターカルチャーであって、ヒップホップと近いところに位置していたと思うんですけど、今のロックは俺からするとそこを「避けてるな」って感じるんです。本当はみんなが腫れものみたいに扱っている部分もしっかり具体化して伝えることが必要なんですよ。それってすごく労力がいるんですけど、伝えるときに絶対必要なことで。なのにそれを今のロックシーンはかなり避けている。すごく違和感のあるものになっているなと。
EMTG:そこに危機感があるんですね。
牧:うん。でもこの2~3年でそこが変わっていくと思うんですよ。よりリアリティのあるものをロックに乗せていく人たちっていうのがどんどん出てくると思うし、自然に僕もそうなってきたというか。それがこの曲――この曲だけじゃなくて、2018年、アルバムをずっと作っていたんですけど、そこに体現されていますね。
EMTG:この曲に「ハーベスト」というキーワードが出てくるじゃないですか。ツアータイトルにもなって、2018年のバニラズを象徴する言葉でもあったと思うんですけど、牧くんはこの言葉をどういう意味合いで使っているんですか?
牧:そのツアータイトルもじつはこの曲から来ていたんですけど、「収穫」って意味じゃないですか。でも、ひとつひとつ自分の脳から栄養を出して楽曲の実を大きくしていくっていう意味でいうと、僕の中ではレコーディングをして曲を作りました、っていうのが収穫ではないんですよ。やっぱりライブをやる中で曲はどんどん変わっていくし、それをよりよいものにしていくっていう――そういうのも全部ハーベストですし。あるいは、一見マイナスだったりとか損害だって思うようなことでも、もっと大きな周期で見たときにプラスになるっていうこともあると思うんですよね。
EMTG:うん。
牧:たとえば今回もプリティが事故に遭って、絶対的なピンチになって。どうすりゃいいんだろうって思ったけど、すごくたくさんの人が支えてくれて、祈ってくれて。それがあったことですごいペースであいつも回復してるし、そこでライブをしたときにすごく響いたものもあって。そうやって、今はマイナスかもしれないけど、ここから続けていったときにプラスになるものがどこかで絶対生まれてくるっていうことはあるなと。
EMTG:だから「今がハーベストです」というよりは「常にハーベストにしていくんだ」っていう――。
牧:うん、っていうマインドですよね。もっともっと、今も実っているし、収穫って獲って終わりじゃなくて、また生えてくるんですよ、次の年になれば。ここで獲りきっちゃうものもあれば、まだ残しておこうっていうものもたくさんあるわけで。そのタイミングは自分次第だと思うし……大きな夢を持ってそこに向かっていく期間って曖昧じゃないですか。でも絶対、そのなかでも収穫をしなきゃいけないんですよ。何かいいものを見つけて。そこでもちゃんと喜びを感じなきゃ俺は嫌で。テンプレートでいうと、みんな「まだまだだぜ」って言うじゃないですか。「まだまだだぜ」って言い続けて大きな夢に近づいていく、それはわかるんですけど、でも人生の楽しみ方として違うと俺は思っちゃうから。「もちろんまだまだだけど、でも最高じゃん、これ楽しいよな」っていう収穫をしながら大きな収穫に向かっていくほうが、自分としてもいいし、お客さんに対しての僕の恩返しにもなる。自分のエゴを貫くより、一緒に楽しみたいというほうが強いので。そう思える曲を書いていくってことかなと思います。

【取材・文:小川智宏】




<ミュージックビデオ>
【go!go!vanillas - No.999 Music Video】



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リリース情報

No.999

No.999

2019年01月23日

Getting Better

1.No.999
2.触れたら
3.SUMMER BREEZE (Live at Shinkiba Studio Coast 2018.5.5)

お知らせ

■ライブ情報

ビクターロック祭り 2019
03/16(土)幕張メッセ国際展示場

LIVE! TO \ワー/ RECORDS feat. go!go!vanillas 〜新曲大解禁〜
04/14(日)Zepp Tokyo
04/21(日)Zepp Osaka Bayside
04/28(日)Zepp Nagoya

ARABAKI ROCK FEST.19
04/27(土)-28(日)
みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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